永住者と特別永住者の違いって?

「永住者」と「特別永住者」の違いを知っていますか?外国人を雇用すると、永住者や特別永住者という言葉を耳にする機会があるかもしれません。
「永住」という言葉からおおよそのイメージは掴めるものの、具体的に説明するのは難しいですよね。この記事では、元・総務担当の筆者が、永住者と特別永住者の違いとそれぞれの雇用上の注意点をご紹介します。
両者の違いを簡単な言葉で説明しているので、気になる方はぜひ一緒に見ていきましょう。
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目次
永住者と特別永住者の違いって?
はじめに、永住者と特別永住者がどんな人を指しているかを確認していきます。それぞれどんな違いがあるのでしょうか。
永住者とは
永住者とは、「永住許可」の申請が許可され、日本に永住している外国人のことです。
2018年末、日本には771,568人、約77万人の永住者がいます。内訳は中国、フィリピン、ブラジル、韓国が上位4国で、これらが全体の3分の2を占めています。また、永住者がほかの外国人と異なるのは、以下の2点です。
1.活動の制限がない
通常、日本に中長期滞在している外国人は活動目的に応じた「在留資格」を持ち、原則としてそれ以外の活動を行うことはできません。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格なら、その技術や知識を活かした仕事のみ許可されています。そのため、接客や販売などの単純労働に就くことは許されません。
しかし、永住者は活動の制限がなく、日本人と同じように全ての活動や仕事を行うことが可能です。
2.滞在期間の制限がない
外国人は一般的にあらかじめ滞在期間が決められています。たとえば、「留学」の在留資格では、その教育を受ける期間しか滞在することができません。
一方で、永住者は在留期間の制限がなく、在留許可の取り消しをされない限りは日本に永住することが可能です。注意点として、「在留カード」には有効期限があり、7年ごとに更新が必要となっています。
その要件は
日本に滞在する外国人が永住者と認められる要件は3点あります。法務省の「永住許可に関するガイドライン」から3つの要件を引用します。
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア.原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ.罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ.現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ.公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,(1)及び(2)に適合することを要しない。また,難民の認定を受けている者の場合には,(2)に適合することを要しない。
(引用:法務省「永住許可に関するガイドライン」)
特別永住者とは
特別永住者とは、第二次世界大戦前から引き続き日本に住んでいる在日韓国人、朝鮮人、台湾人、およびその子孫のこと。2018年末時点、日本には321,419人、約32万人の特別永住者が住んでおり、国籍別の内訳では韓国人と朝鮮人が98.8%を占めています。
特別永住者の人数は永住者に比べ減少しており、2007年に初めて永住者の人数を下回りました。これは特別永住者の高齢化が進んでいるためと言われています。
また、日本で特別永住者という在留資格が生まれた歴史的背景についてもご紹介します。
今から約100年前、1910年の韓国併合から1945年の終戦まで、韓国と朝鮮は35年間日本の植民地として支配されました。同じように、台湾も1895年から1945年まで日本の植民地でした。
日本が朝鮮半島や台湾を支配していた時代に、多くの朝鮮人や韓国人、台湾人が日本に来日し、そのまま日本で生活し続けました。この人たちの子孫が、現在の「特別永住者」となっているのです。
その要件は
特別永住者であるためには「平和条約国籍離脱者」又は「平和条約国籍離脱者の子孫」であることが前提要件とされています。
具体的には、1952年のサンフランシスコ講和条約で日本国籍を離脱したとされた在日韓国人・朝鮮人と在日台湾人が対象です。日本国外に出国して在留資格を喪失した者、つまり帰国した人は「平和条約国籍離脱者」には該当しません。
永住者と特別永住者で違う採用の注意点とは
つづいて、永住者と特別永住者を雇用する際の注意点を見ていきましょう。雇用する際はどのような違いがあるのでしょうか。
永住者の雇用上の注意点は
永住者には就労にかかわる制限がないため、接客業や工事現場などの短銃労働を行わせることも出来ます。つまり、日本人と同じように雇用することが可能なのです。
しかし、雇用する上では「在留カードの確認」と「外国人雇用状況報告」を必ず行うようにしましょう。
1.在留カードの確認
外国人を雇用する際は、在留カードを提出してもらう必要があります。在留カードは、日本での就職や日本人との結婚などで在留資格を持っている外国人ならば、必ず所持しているカードです。
観光客や不法滞在者は在留カードを持っておらず、原則として日本で就労することはできません。
2.外国人雇用状況報告制度
外国人を雇用したら、「外国人雇用状況届出書」で外国人労働者の氏名や在留資格、在留期間の届け出が必要です。
外国人労働者の雇用状況を把握し、適切に雇用管理を行うために必要とされている制度です。なお、在留資格が「外交」や「公用」の方は対象外となります。
特別永住者は雇用できるのか
特別永住者も就労にかかわる制限はなく、日本人と同じように雇用することができます。しかし、永住者と特別永住者では違う点がありますので、しっかり押さえておきましょう。
1.在留カードについて
永住者と異なり、特別永住者は在留カードを持っていません。在留カードの代わりに特別永住者証明者が交付されているようです。
しかし、この特別永住者証明書は就職のときに提示する義務はありません。在留カードとは扱いが異なるため、注意が必要です。
2.外国人雇用状況報告制度について
永住者と異なり、特別永住者は外国人雇用状況の報告が必要ありません。
3.通称名について
特別永住者の中には、本名と通称名を持っている人が少なくありません。通称名は、日本国内で生活するときに使用する日本の名前です。雇用保険や社会保険の手続きは通称名で届出をすることが可能ですので、覚えておきましょう。
その他にも永住者・特別永住者を募集するにあたっては求人票の作り方や選考のフローなど注意すべき点がいくつかあります。
最悪刑事事件に発展するケースもあるので是非押さえておきましょう。
以下の資料にわかりやすくまとめられています。
永住者と特別永住者の違いは分かりましたか?
永住者と特別永住者の違いについて、お分かりいただけたでしょうか。
現在日本には約77万人の永住者が住んでおり、彼らは日本人と同じように雇用することができます。しかし、雇用の際は在留カードの確認や外国人雇用状況報告を忘れずに行うようにしましょう。
また、特別永住者は戦後から引き続き日本に住んでいる在日韓国・朝鮮人、台湾人やその子孫を指しています。現在日本には約32万人の特別永住者がおり、彼らも日本人と同じように日本で働くことが可能です。
普段は聞きなれない「永住者」と「特別永住者」ですが、いざ雇用するときに慌てないよう、しっかり押さえておきたいですね。
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