海外に行ったり、外国人と関わることが少ない人は「ビザって何?」「パスポートとどう違うの?」と疑問に思うことがあるかもしれません。

この記事では、ビザとパスポートの基本的な説明とそれぞれの違いについて、さらに外国人を採用する際に必要なビザについても詳しく説明します。

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ビザとパスポートの基礎知識

まずはじめに、ビザとパスポートそれぞれの役割や特徴について説明します。

ビザ(査証)とは、入国審査のための事前許可証

ビザの申請が許可された画像

ビザ(査証)は、日本国大使館または総領事館の長が、日本への入国を有効にする、また外国人の日本への入国及び滞在が適当であるとの推薦の性質を持つもののことです。
その国が、自分の国の安全やルールを守るために、入国しても問題がない人かどうかを事前に確認してから発行します。

ビザを取得するための条件

ビザを取得するには、いくつかの条件があります。

たとえば、以下のことなどがチェックされ、この条件をクリアした人だけがビザを取得することができます。

  • 有効なパスポートを持っていること
  • 本国への帰国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること
  • 犯罪歴や健康状態に問題がないこと など

ビザがあっても入国できないことがある

ビザを持っていても、実際に入国できるかどうかは、渡航先の空港や港で行われる「入国審査」で決まります。
この審査では、健康状態や入国の目的が、ビザ申請時に伝えた内容から変わっていないかを確認します。入国審査官が問題ないと判断すれば、正式に入国が許されます。

パスポートとは、国籍や名前、年齢などを証明する身分証明書

日本のパスポートの画像

パスポートは、各国の政府が発行する身分証明書で、持っている人の名前、生年月日、国籍などが記載されています。
パスポートがないと、自分の国を出ることも、外国に入ることもできません。また、ビザ(査証)を申請する時にもパスポートを見せる必要があります。

日本では、外国人が入国する時は、まずパスポートで本人の身分を証明します。その後、ビザが必要かどうかや、そのビザの条件がチェックされます。
ビザは通常、パスポートに貼られていることが多いので、実際にはパスポートとビザは同時に確認されることになります。

日本のパスポートは信用度が高い!

日本のパスポートは、世界中で高い信頼を受けており、190以上の国や地域ではビザ(査証)が免除されています。
これは、日本と他の国々が「日本人は特定の条件を満たせば、ビザなしで旅行できる」という協定を結んでいるからです。そのため、日本のパスポートを持っている人は、滞在期間などの条件をクリアすればビザなしで入国できる国がたくさんあります。

たとえば、アメリカやイタリアに行く場合、90日以内の観光や短期間の滞在ならビザは必要ありません。

ビザとパスポートの違い

ビザとパスポートの違いをまとめた表

ビザとパスポートは、どちらも海外に滞在するために必要な書類です。この2つがないと、正しく他の国に入国したり、活動をしたりすることはできません。
ここからは、それぞれの役割や違いを見てみましょうえ。

発行元が違う

ビザは、母国にある渡航先の国の大使館や領事館で申請して、審査を受けて発行されます。
一方、パスポートは自国(日本の場合は日本政府)が発行します。

それぞれの発行元が異なるため、申請方法や必要書類も異なります。

目的が違う

ビザは、渡航先の国に入るための許可証です。ビザを持っていれば、その国に入る権利を得られます。
これに対して、パスポートは自国民であることを証明する身分証明書です。旅行や滞在をする時に必要で、入国審査でも使われます。

有効範囲が違う

ビザは、特定の国(渡航先)でだけ使えます。一方、パスポートは世界中で使えるものです。

有効期間が違う

ビザの有効期間は通常3か月程度で、1回の入国に限り使えます。もし再度その国に行きたい場合は、新しくビザを取得しなければなりません。
一方、パスポートは数年から10年くらい有効で、その期間内なら何度でも使うことができます。

必要性が違う

パスポートは、自分がどの国の人かを証明する唯一の身分証明書なので、海外に行くときは旅行や滞在中ずっと持っている必要があります。
これに対して、
ビザは行き先の国によって違い、入国許可が必要な場合にだけ求められます。

ビザとパスポートは在留資格の申請にも必要

日本の在留カードの画像

まず、よく混同されがちですが「就労ビザ」や「身分系ビザ」と日本で呼ばれているものは、実際には「在留資格」に関するもので、ここで説明しているビザ(査証)とは少し違います。

ビザ(査証)は、日本に入国するための許可証で、入国する前に必要な許可を示します。
一方、在留資格は「日本に中長期間(3か月以上)滞在して、働いたり、勉強したりするため」に必要な資格です。

ビザとパスポートは、観光などの短期滞在のために使うことも多いですが、日本で仕事をしたり、特定の活動を行うために在留資格を取得する際にも必要です。

具体的にいつ必要かは、以下の記事を参考にしてください。

参考:出入国在留管理庁 在留資格認定証明書交付申請

【行政書士監修】就労ビザ申請の流れ|海外から招へいする場合、日本在住の外国人を採用する場合の2通りに分けて解説!

海外在住の外国人を採用するにはどのビザが必要?

日本のビザ(査証)は以下の8種類です。

査証在留資格
1外交査証外交
2公用査証公用
3就業査証教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、興業、技能、特定技能、特定活動
4一般査証技能実習、文化活動、留学、研修、家族滞在
5短期滞在査証短期滞在
6通過査証短期滞在
7特定査証日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
8医療滞在査証特定活動

日本で中長期間(3か月以上)活動をするためには、その活動に合った「在留資格」を取得することが重要です。
そのためには、必要な在留資格に対応するビザを取得してから日本に入国する必要があります。

就労目的の外国人は「就業査証」

受け入れる予定の外国人が、技能実習以外の就労系在留資格(俗称「就労ビザ」)を取得する場合、外国人は「就業査証」を取って入国します。

「一般査証」や「特定査証」の外国人も採用できる

技能実習生を受け入れる場合、その外国人は「一般査証」を取得して入国します。

また、留学や家族滞在の在留資格で滞在する予定の外国人をアルバイトで雇う場合も、「一般査証」を持っている必要があります。
就労に制限がない配偶者などの在留資格に該当する外国人は「特定査証」を取得して入国します。

上記のうち、技能実習生以外は主に就労を目的としていないため、企業がビザの取得をサポートする必要はあまりありません。

永住者はビザ(査証)の取得が不要

まれに、永住者が一時的に出国して日本に戻るタイミングで採用する場合がありますが、その際、ビザは必要ありません。なぜなら、永住者は出国する前に「再入国許可」や「みなし再入国許可」を取得しているからです。

そのため、永住者を採用する場合は、通常の雇用手続きだけで済みます。

さいごに

ビザとパスポートは、他の国に行くときに必要な大切な書類です。
とくに日本で働く場合は、必要な在留資格に対応したビザを取ってから日本に入国しなければなりません。

これから外国人を採用しようと考えている方は、外国人労働者がビザや在留資格をスムーズに取得できるように、この記事を参考にしてみてください。

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