南米でも日系人が多いことで知られるブラジル。
物理的な距離では地球の真裏に位置していますが、その割には身近に感じている方も多いのではないでしょうか。

英語を第2言語に持つ100か国のランキングでは、日本は80位(熟練度:低い)なのに対してブラジルは58位(熟練度:中程度)となっています(参考:EF EPI 2023)。

今回は日本よりも相対的にすぐれているとされているブラジル人の英語力について、説明したいと思います。

ブラジル人は小さい頃から英語が話せる?

ブラジルの一般的な英語力は、日本より少し高い程度ですが、子供のころの英語力はどのくらのレベルでしょうか?
一時期は経済危機などをきっかけにして、公立学校の教育費を真っ先に削ったことでデモが起きているなどのニュースを多く目にしました。

子供の頃の英語力を測るためには、こうした教育制度や文化的な背景についての理解が必須です。そのため、まずは言語を語る上でのブラジルの文化的な背景、子供の頃の英語教育について紹介します。

ブラジルについての基本情報

まずは基本的なブラジルのデータを紹介します。
ブラジルの国土は日本の約23倍と広く、人口は約2.14億人と日本の1.7倍程度です(2023年時点)。

歴史的には1500年にポルトガル人ペドロ・アルヴァレス・カブラルに発見されたことをきっかけに、長らくポルトガルの統治下となっており、1820年にポルトガルから独立を果たしました。

そのため公用語は「ブラジルポルトガル語」となっております。
ブラジルポルトガル語とは、一般的なポルトガル語とはかなり異なるブラジル訛りがあるポルトガル語です。
イギリス英語とアメリカ英語の違いよりも大きく異なっているため「ブラジル語」と略称されることも多いようです。

日本とブラジル

日本は1908年(明治41年)から戦前戦後にかけて、約25万人がブラジルに移り住みました。今では200万人以上のコミュニティになっています。
また1970年代になるとブラジルが経済的苦境に立ち、今度はブラジルから日本へ出稼ぎが起こるようになります。
日本に住むブラジル人は21万人程度います。

ブラジルの英語教育とは?

ブラジルでは日本の小・中学校に当たる、6才から14才までが義務教育期間にあたります。
貧しい子は実質無料である公立へ、中・高所得層以上であればお金のかかる私立学校へ通う傾向があります。

英語教育の期間は、11才からの17才の6年間。
先述の通りで公立学校は無料ですが、国は教育費を捻出できておらず、学校の最低限の設備や教師の質が担保されていません。
そのため教育環境の質は、教師やカリキュラムの点では公立学校よりもはるかに私立学校がすぐれています。
しかし日本の英語教育と同様に、実践的に語学を学ぶには至っていないです。

また富裕層家庭になるほど、「海外に出るのに英語が必須」という事実を知っています。
そのため一流大学に進む生徒であっても、高額な授業料を支払い、語学学校でより実践的な英語を学ぶようです。

ブラジル人の英語は訛りがあるの?

ブラジル人の英語の教育水準は日本と同程度であるとわかりました。
しかし英語を話すことができるブラジル人の英語には、訛りはあるのでしょうか?

ブラジルポルトガル語

一般的にブラジル人が話す英語には、ブラジルポルトガル語の影響を受けた特有の訛りがあります。

ポルトガル語やスペイン語では、英語と同じ意味で綴りが同じだけど発音が違うという言葉を多く持ちます。
そのため簡単な英語でも、母国語のポルトガル語の発音に近いことが多いようです。
しかしブラジルの中でも、サンパウロなど都市部にいる若者は比較的キレイで流暢な英語を話す傾向があります。

ブラジル人は留学する人が多い?

2019年時点で、米国におけるブラジル人学生の数は16,000人程度です。(※参考ブラジルは現在、世界で9番目に米国に学生を送り込んでいる主要国となった)全体でも30〜40万人程度の学生が、カナダ、イギリス、アイルランド、オーストラリアなどの英語圏に留学しています。

英語圏への留学経験を持つ留学生は、例外的に一般的ブラジル人より訛りが少ない英語を話すことが多いです。

また英語圏に渡航できる留学生は裕福な家庭を出ている割合も高いです。
そのため子供の頃から教育水準の高い私立学校に通ったり、ブラジル国内にある語学学校ですでに英語を学んでいるケースもあり、一般的なブラジル人よりも英語レベルは非常に高いです。
もし日本でブラジル人を採用するなら、英語圏への留学歴を英語力を測る指針にするのもいいでしょう。

日本で働くブラジル人は英語が堪能?

日本で働くブラジル人は比較的、英語が話せることが多いです。貿易関係やエンジニア関係などの多国籍な職場では、英語を求められるためでしょう。

日本で働く際にもとめられるのは、「日本語と英語を最低限話せるケース」、もしくは「英語を必須にしているケース」の2パターンがほとんどでしょう。
そのため日本人から見たときは、日本で働くブラジル人は英語が上手にみえます。

またポルトガル語を重視する採用では、それほど英語が流暢ではないこともありますが、こうしたケースは「ポルトガル語と日本語さえできればいい」という商社などにみられます。

ブラジル人が多い業種は?

ブラジル人が多い職種は、インバウンド事業(※訪日外国人や、訪日旅行など広くインバウンドに関連する事業のこと)や、貿易関係、エンジニアなどの異文化への理解を重視する業種が多いです。

こうした職場ではほかの業種にくらべて、チームでのプロジェクトやコミュニケーションが求められます。明るく気さくな性格が多いブラジル人であれば、こうしたコミュニケーションを必要とする業種で輝けるでしょう。
加えてこうした職種は多国籍であることが多いため、多民族国家であるブラジル人は相性がいいです。多人種・多宗教の人が周囲にいることに慣れているのは、こうした職種では大きなアドバンテージです。

ブラジル人の英語事情について詳しくなりましたか?

今回はブラジルでの英語の特徴や英語教育などを紹介しました。

「ブラジル人は英語が話せるのか?」という点に関しては、一般的なレベルではノーと言わざるを得ません。
しかし都市部に住む中上流階級の家庭では、基本的には英語教育が行き届いており、英語を話せる人が多いです。

またコミュニケーションの観点でいえば、彼らの明るく気さくな性格もあり、身振り手振りなどの非言語的なコミュニーケーションを用いて意思疎通を取れます。
これは日本人にくらべて、とても高いスキルといえます。

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