在留カードとマイナンバーカード、何が違うの?2026年統合までに知っておきたいこと
外国人が日本で生活するうえで欠かせない「在留カード」と「マイナンバーカード」。
現在は2枚を別々に持つ必要がありますが、2026年6月までに「特定在留カード」として1枚に統合される予定です。
この記事では、現在の2つのカードの違いから、統合後の変更点、企業の入社手続きで確認すべきポイントまでをわかりやすく解説します。
目次
【2026年統合予定】特定在留カードとは?
2024年の入管法改正により、在留カードとマイナンバーカードが1枚にまとめられた「特定在留カード」が導入されることになりました。
統合の3つの目的
- 行政手続きの効率化:出入国在留管理局でまとめて手続き可能に
- 利用者の負担軽減:2枚のカード管理・更新の手間を削減
- セキュリティ強化:偽造防止機能の向上
いつから使えるの?
- 交付開始時期:2026年6月までに政令で定められる予定
- 本格運用:交付開始後、順次
- 取得方法:希望者のみ申請(義務ではない)
- 申請窓口:地方出入国在留管理局または市区町村
- デザイン:現行のマイナンバーカードに近い形
今持っているカードはどうなる?
現在の在留カードとマイナンバーカードは、有効期限まではそのまま使用可能です。更新のタイミングで特定在留カードに切り替えるかどうかを選べます。
⚠️ 重要なポイント
• マイナンバー(12桁の番号)自体は変わらない
• カードを作らなくても罰則はない
• 在留資格の更新・変更時に申請できる
現在の「在留カード」と「マイナンバーカード」、何が違う?

特定在留カードの導入までは、2つのカードを別々に管理する必要があります。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
在留カードとは
日本に3か月以上滞在する外国人に発行される「在留資格を証明するカード」です。
| 項目 | 内容 |
| 発行機関 | 出入国在留管理庁 |
| 交付場所 | 入国時は空港、更新時は地方入管 |
| 対象者 | 3か月超の在留資格を持つ外国人 |
| 有効期限 | 在留期間と同じ(永住者は7年) |
| 携帯義務 | あり(常に持ち歩く必要がある) |
記載内容:
- 氏名、生年月日、国籍・地域
- 在留資格の種類
- 在留期間と満了日
- 資格外活動許可(裏面)
主な用途:
- 就労資格の確認
- 銀行口座開設
- 携帯電話の契約
- 本人確認書類として
マイナンバーカードとは
住民票のあるすべての人(外国人を含む)が申請できる「個人番号を証明するカード」です。
| 項目 | 内容 |
| 発行機関 | 市区町村 |
| 対象者 | 住民登録をしているすべての人 |
| 有効期限 | 成人は10年、電子証明書は5年 ※外国人は在留期間まで |
| 携帯義務 | なし |
記載内容:
- 表面:氏名、住所、生年月日、顔写真
- 裏面:個人番号(12桁)
主な用途:
- マイナポータルでの行政手続き
- e-Taxでの確定申告
- 健康保険証としての利用
- 本人確認書類として
【担当者向け】入社時に確認すべきポイント
外国人を採用する際、在留カードとマイナンバーカードで確認すべき内容は異なります。
見落としがあると法律違反になる可能性もあるため、しっかり確認しましょう。
①在留カードで確認すること

外国人を雇うときに、まず確認すべき情報が在留カードに3つあります。
どの仕事ができるかを示す「在留資格」、アルバイトなど別の活動が許可されているかを示す「資格外活動許可」、そして日本にいつまで滞在できるかを示す「在留期間」です。
なかでも重要なのは「在留資格の種類」です。
その内容によって、正社員として働けるのか、アルバイトに限られるのかが変わります。
以下で順番に見ていきましょう。
1. 在留資格の種類
就労制限なしの資格:
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
職種に制限がある資格:
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定技能
- 技能
→業務内容が在留資格の範囲内か必ず確認
2. 資格外活動許可(裏面)
「留学」「家族滞在」などの資格でアルバイトをする場合:
☑︎ 裏面に資格外活動許可のスタンプがあるか確認
☑︎ 週28時間以内(留学生の長期休暇中は40時間)
許可がない場合、雇用すると企業も罰則の対象になります。
3. 在留期間の満了日
在留カードには、在留期間の満了日が書かれています。
有効期限が近い場合は、更新手続き中であることを示す「受付票」などの書類を出してもらう必要があります。更新後は新しいカードのコピーを受け取り、管理台帳の内容も忘れずに更新しましょう。
こうした確認をせずに、働く資格がない人を雇ってしまうと企業側も法律違反になる可能性があります。
そのため、人事担当だけでなく現場の責任者とも情報を共有し「どこを確認すればいいのか」を社内でルール化しておくことが大切です。
②マイナンバーカードで確認すること

入社時にマイナンバーカードを提出してもらったら、会社はカードの内容を正しく確認し、必要に応じて記録します。このカードは、個人番号と本人確認が1枚でできる便利なものですが、取り扱いには注意が必要です。
1. 氏名・住所の一致
在留カードや履歴書と内容が合っているか確認。特にローマ字のスペルに注意(銀行口座名と1文字でも違うと振込できないことも)。
2. 個人番号(裏面)
- 12桁の番号を記録
- 裏面のコピーは法定調書作成など、法律で認められた目的のみ
3. 有効期限
外国人の場合、在留期間に合わせて短く設定されていることがあります。期限切れのカードは受け取らないよう注意。
⚠️ 保管・管理の注意点
• 在留カード:コピーを鍵のかかる場所に保管、アクセス権限を制限
• マイナンバー:特定個人情報として厳重管理、不要になったら裁断処分
③よくある確認漏れとトラブル事例
ケース1:在留期間の更新を見落とした
入社時に確認したが、その後の更新日を管理していなかったため、有効期限が切れてしまった。
対策:
- 在留期間満了日の3か月前にリマインダーを設定
- 更新手続きの進捗を定期的に確認
- 新しいカードのコピーを受け取り、管理台帳を更新
ケース2:ローマ字表記が銀行口座と異なっていた
在留カードと銀行口座で1文字スペルが違い、給与振込ができなかった。
対策:
- 入社時に本人と一緒に全ての書類を照合
- 銀行口座名義を在留カードに合わせてもらう
ケース3:マイナンバーカードを持っていなかった
「カードを作っていない」「通知カードをなくした」というケース。
対策:
- マイナンバー記載の住民票を取得してもらう
- 住民票で確認する場合、別の本人確認書類(在留カード等)も必要
特定在留カード統合後、企業の対応はどう変わる?
管理の効率化
- 2枚→1枚になることで、コピー・保管・更新の手間が削減
- ICチップで在留資格とマイナンバーを同時確認できる可能性
確認すべき内容は変わらない
カードが1枚になっても、管理ルールは従来通り:
- 在留資格・在留期間の確認は必須
- マイナンバーは法定目的以外で取得・保管不可
- 更新管理の継続
今から準備すべきこと
- 社内ルールの見直し:政令公布後、速やかに対応できるよう準備
- 従業員への周知:更新時期が近い人に情報提供
- システム連携の検討:ICカードリーダーと人事システムの連携
企業が無理に切り替えを求めることはできません。本人の判断を尊重し、サポート体制を整えておくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 在留期間を更新したら、マイナンバーカードも手続きが必要?
A. はい、必要です。
在留期間の更新でマイナンバーカードの有効期限も変わるため、出入国在留管理局での手続き後に、市区町村でマイナンバーカードの有効期間延長手続きを行う必要があります。
2026年以降、特定在留カードに切り替えれば、この二重手続きが不要になります。
Q2. 留学生のアルバイトでもマイナンバーの確認は必要?
A. はい、必要です。
給与を支払う場合、雇用形態に関わらず源泉徴縮票作成のためマイナンバーが必要です。
また、留学生が働くには資格外活動許可(在留カードの裏面)が必須。週28時間(長期休暇中は40時間)の制限も確認しましょう。
Q3. 特定在留カードでは、在留カードとマイナンバーカードの扱い方はどう変わる?
A. カードが一体化しても、それぞれの情報に関する管理ルールは変わりません。
在留カードの役割として「在留資格」「資格外活動の許可」「在留期間」の3点は、引き続き会社で確認する必要があります。採用時にはカードのコピーを保管し、更新があれば差し替えておくと安心です。
マイナンバーの取り扱いは、より慎重に行うことが求められます。番号が書かれている裏面をコピーできるのは、法律で認められた目的がある場合だけです。
1枚になったことで便利になる面はありますが、目的ごとに情報を分けて扱う意識は引き続き大切です。
Q4. 特定在留カードは全員取得しないとダメ?
A. いいえ、任意です。
希望する人のみ申請できます。取得しなくても罰則はありません。現在の在留カードとマイナンバーカードも有効期限まで使用可能です。
Q5. 海外出張や一時帰国のとき、カードはどうする?
マイナンバーカード:
- 海外転出で住民票を抜く場合→カードを返納
- ただしマイナンバー(番号)は無効にならず、再入国後に再発行可能
在留カード:
- 一時的な出国→持ったまま出国OK
- 再入国許可を取得すれば、帰国時にそのまま使用可能
Q6. 特定在留カードの申請はいつからできる?
A. 交付開始時期は2026年6月までに政令で定められる予定です。
開始後は、在留資格の更新・変更手続きのタイミングで申請可能になります。申請窓口は地方出入国在留管理局または市区町村(特別永住者は市区町村のみ)。詳細は政令公布後に出入国在留管理庁から発表されます。
まとめ
現在(〜2026年):
- 在留カードとマイナンバーカードは別々に管理
- 在留期間更新時は、出入国在留管理局と市区町村で二重手続き
2026年以降(交付開始後):
- 特定在留カードで1枚に統合(希望者のみ)
- 手続きが出入国在留管理局でまとめて可能に
- ただし管理ルールは従来通り
企業としては、統合後も在留資格の確認とマイナンバーの適正管理という基本は変わりません。制度の詳細が発表され次第、社内ルールを見直し、従業員が安心して手続きできるようサポート体制を整えておきましょう。
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