日本では、労働力不足を解消するために外国人労働者の受け入れが進んでいます。しかし、実際には職場でいろいろな問題が起きているのも現実です。

この記事では、外国人労働者に関する問題と、その解決方法をわかりやすく説明します。

Guidable株式会社の「外国人採用に役立つウェビナー」開催をお知らせする画像

外国人を雇用する企業は毎年増えている

外国人労働者数と外国人雇用事業所数の推移グラフ

データ出典:厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)

厚生労働省の発表によると、2024年10月末の時点で、日本で働いている外国人は2,048,675人、外国人を雇っている企業は318,775社で、どちらも過去最高となりました。

高齢化が進む中で、日本では今後さらに労働力不足が深刻になると予想されています。
そのため、外国人労働者の需要はますます高まり、大企業だけでなく中小企業でも外国人を雇う企業が増えると考えられます。

日本で働く外国人が企業に期待していること

ここでは、外国人が日本で働きたい理由について説明します。
それぞれの理由は人によって違いますが、多くの外国人が次のような期待を持っています。これに対して、日本の企業がどう応えていくかが今後大切になっていくと考えられています。

1 安定して雇用されたい

日本の経済規模は大きく、世界的に見ても経済が安定していることで有名です。
また、他の国と比べて解雇が少なく、長く働き続けられることが特徴でもあるため、経済が不安定な国で働くことに不安を感じている外国人からすると、日本の安定した雇用は大きな魅力です。

2. キャリアアップやスキルアップがしたい

とくに技術系や専門職で働く人たちは、日本で得られるスキルや知識が世界中で高く評価されることを期待しています。
日本の技術や専門知識は世界トップクラスとされており、それを学ぶことで自分の能力をさらに伸ばせると考えている外国人はおおいです。

3. 家族を支えたり、良い生活を送りたい

日本で稼いだお金を、自分の母国にいる家族のために使いたい、あるいは自分たちの生活をもっと良くしたいと考える人が多くいます。
日本は医療や教育などの社会保障が整っているため、家族を連れて日本で生活するために就労ビザや家族用のビザを取得しようとする外国人もいます。

4. 国際的なキャリアを築きたい 

日本で働くことを、グローバルに活躍するためのステップと考える外国人もいます。
日本の企業は世界中に拠点を持っていることが多く、国際的な仕事に関わるチャンスがあります。そのため、将来、海外で働きたいと考える人々にとって、日本は良い足がかりになるからです。

外国人雇用で課題となっていることは?

外国人雇用の課題TOP5のイラスト

前項で説明したように、日本では外国人の働き手を積極的に受け入れています。外国人も日本で働くことに期待を持ってやってきています。
ただ、日本の大切な働き手となっている一方で、外国人を雇うときにはいくつかの課題もあるのです。

ここからは、東京都内で働く外国人労働者や、外国人を雇用する企業から寄せられた相談内容を踏まえ、具体的な課題について説明します。

参考:東京都 産業労働局 令和5年東京都の労働相談の状況

課題① コミュニケーション不足が生じやすい

外国人が日本で働くとき、「言葉の壁」「文化の違い」からコミュニケーションがうまくいかないことがあります。たとえば、仕事の指示が誤解されたり、質問や相談がしにくくなったりすることです。

こうしたコミュニケーションのズレが職場での誤解や対立を引き起こし、双方がストレスを感じる原因となることがあります。
職場内の人間関係を良好に保つためには、これらの障壁をお互いに理解し、解消していく努力が必要です。

課題② 賃金や待遇への満足度向上が必要

外国人労働者の中には、期待していた賃金や待遇が実際と違い、不満を感じる人もいます。
母国と比べて日本の生活費が高いことや、税金や社会保険の仕組みが分かりにくいことが原因で、不満が大きくなることも少なくありません。
また、同じ職場で働く日本人社員との待遇の違いに気づき、それが離職や仕事へのやる気の低下につながる場合もあるため、まずは外国人労働者に賃金や待遇を納得してもらう必要があります。

一部の会社では、外国人労働者に「長時間労働」を強いたり、「低賃金」で働かせているケースもあり深刻な問題となっています。
こうした不公平な扱いによって、外国人労働者が職場で不平等を感じたり、会社への信頼を失ったりすることがあるため、この問題を早く解決する必要があります。

課題③ 労働環境に慣れるまで時間がかかる

外国人労働者が日本の職場の文化や働き方に慣れるには、時間がかかることがよくあります。
とくに、日本特有の「報連相(ほうれんそう)」や細かい品質管理のルールは、初めて日本で働く外国人にとって混乱の原因になります。

こうした職場の習慣に慣れないことが、仕事が遅くなったり、外国人労働者がストレスを感じたりする原因になることもあるため、企業は外国人労働者がスムーズに職場の環境に慣れるようにサポートする必要があります。

課題④ 教育やスキルアップの支援が不十分

外国人労働者が日本で長く働きたいと思う場合、教育やスキルを高めるための支援が大切ですが、現在、多くの企業ではそのための制度が十分に整っていません。
研修が限られた内容だけだったり、日本語を学ぶサポートがないために、外国人労働者が仕事の幅を広げることが難しくなっています。

これはキャリアアップの妨げとなり、不満を感じる原因にもなっています。

課題⑤ 定着率を高めるための取り組みが必要

課題①〜④が重なることで、外国人労働者が早く仕事を辞めてしまう原因になることがよくあります。
また、仕事のストレスやコミュニケーション不足、文化の違いに加えて、私生活で孤独を感じたり、将来に不安を感じたりすることが、仕事を続ける意欲を低くしてしまいます。

そのため、企業は労働環境を良くするだけでなく、外国人労働者が安心して働き続けられるように、生活面でもサポートを充実させることが大切です。

外国人雇用の課題をどう「解決」する?

企業は、日本人と外国人のどちらも安心して働ける環境を作ることが大切です。
ここでは、前に紹介した課題を解決するための具体的な方法を説明します。

日本人が「外国人と働くこと」を理解する

社内でミーティングを行う画像

外国人労働者と一緒に働くとき、まずは日本人側が外国人の文化や考え方を理解し、受け入れる姿勢を持つことが大切です。
外国人労働者は、それぞれの国の文化や習慣に基づいた考え方や働き方を持っています。たとえば、時間の感覚やコミュニケーションの仕方が日本人と違うことがあります。
こうした違いを「個性」として尊重する意識が必要です。

また、採用担当者は外国人を雇う際のルールや手続きについて知っておくことも大切です。
たとえば、在留資格や雇用契約の手続き、外国人労働者の文化に合わせたサポート方法などを学ぶようにしましょう。

不安な場合は、外国人採用に詳しい人材紹介会社や行政書士に相談するのも良い方法です。また、このサイトにも役に立つ記事がたくさんありますので、ぜひ参考にしてください。

外国人労働者向けの教育内容を充実させる

日本語が得意でない外国人を雇うときは、まず日本語を学ぶ機会を提供することが大切です。これが、職場でコミュニケーションをうまくとるために最も重要なことだからです。
日本語の授業は、社内で担当者を決めて行うこともできますし、外部の日本語学校に通わせる方法でも大丈夫です。

また、作業マニュアルや業務の流れをいろいろな言語で用意したり、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実際に仕事をして経験を積むことも、仕事に早く慣れるために役立ちます。

外国人労働者の教育方法をわかりやすく解説!  何を教えれば良いのか、教育しないリスク、教育をうまく進める方法は?

日本人社員と仕事以外で関わる機会を作る

社内イベントに参加する外国人の画像

職場での交流を増やすために、社内イベント交流会を開くことが良い方法です。
また、生活の悩みを相談できる窓口を作ることで、外国人労働者は私生活での不安を解消できます。
日本人社員と非公式な関わりを持つことで、文化の違いを理解しやすくなり、職場でのコミュニケーションも良くなります。

外国人労働者の待遇を日本人と同じにする(同一労働同一賃金)

外国人労働者にも日本人社員と同じ待遇を与えることが大切です。同じ仕事をしているなら、賃金や福利厚生、休暇の待遇に差をつけてはいけません。

待遇を透明にし、給与の仕組みを明確にすることで、外国人労働者の安心感や職場への信頼が高まります。

参考:厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン

市場を見ながら労働環境を改善する

外国人労働者が安心して長く働ける職場を作るためには、労働市場の状況を定期的に調べて、働く条件を見直すことが大切です。
たとえば、他の会社の給料を参考にして、公平な給与を設定したり、厳しい労働時間や環境を改善する努力をします。

また、長時間働きすぎないようにルールをしっかり決めたり、休憩できる場所を増やしたり、安全に働ける環境を作ることも大切です。

具体的なキャリアプランを一緒に作成する

キャリア相談をしている外国人の画像

外国人労働者が将来に希望を持つために、キャリアアッププランを一緒に作ることも効果的です。
仕事でスキルを上げたり昇進したりする道を示すだけでなく、ビザの変更や永住権の取得についても説明して、将来のビジョンを共有することが大事です。
これにより、外国人労働者は安心して働き続けることができ、定着率も高まります。

地域住民との交流を促進する

外国人労働者が地域社会になじむためには、具体的な交流の場を作ることが大切です。
たとえば、地域の祭りやスポーツ大会への参加を促したり、その中で外国人労働者が料理や文化を紹介する機会を作ることで、地域の人たちとの接点を増やせます。
また、自治体が開催する日本語教室や生活相談会に参加してもらい、地域での生活に慣れるための支援を行うのも効果的です。

地域住民との理解が深まれば、孤立感を減らし、安全で安心できる生活環境の確保につながります。
企業が積極的にこうした取り組みに関わることで、地域全体の協力を得やすくなり、外国人労働者が安定して日本で生活できるようになります。

さいごに

外国人雇用には、乗り越えるべき課題がいくつかありますが、受け入れの準備をしっかりすることで貴重な人材を迎えやすくなります。
外国人労働者が増えるこれからの時代、一つひとつの問題に向き合いながら、一緒に働ける職場を作ることが大切です。

ぜひこの記事を参考にして、安心して働ける環境づくりに役立ててください。

Guidable株式会社の「外国人採用の基礎知識が学べるホワイトペーパー」のダウンロードページにアクセスする画像