近年の日本では人手不足への対策として、外国人労働者の受け入れが進められています。2024年には日本で働く外国人労働者数が204万人を記録し、今後も外国人を採用する企業が増えることが予想されています。

しかし外国人を雇用する上で、かならず直面するのがコミュニケーションの問題です。職場で外国人を相手にしたときに、日本人と同じように話しても通用しないことは多くあります。

今回の記事では外国人留学生といっしょに働く筆者の経験から、職場での外国人とのコミュニケーションのポイントやコツを解説いたします。

外国人とのコミュニケーション ポイント4選

外国人とのコミュニケーションでは、言語にまつわることだけでなく、話し方などにおける工夫も必要です。
以下では具体的なポイントを見ていきます。

外国人と上手くコミュニケーションを取るポイント

① やり取りしやすい環境づくり

外国人とのコミュニケーションを円滑に行うには、そもそもの基盤となる「話しかけやすい・聞きやすい」環境を整えることが大切です。そのためには業務を個々の閉じた作業とするのではなく、チーム全体で共有して取り組む、ひらけたものへすることが効果的でしょう。

またやり取りする手段として、オンライン上のツールも積極的に使うことが大切です。相手に話しかけるハードルが下がり、コミュニケーションの活発化が期待できるためです。結果として「報連相」が行き届き、外国人の方が日本語を上達するきっかけにもなります。

② 英語を交えて話す

ほとんどの日本企業が、採用の条件として「日本語が話せるかどうか」を重視しており、基礎的な日本語のできる外国人労働者は増えています。

しかし相手の日本語がある程度できると起きがちなのが、日本語だけで話すということ。こちら側から見て理解できていても、実際には話の概要しか伝わっておらず、細かな部分スが抜け落ちていることがよくあります。
基本は日本語で話しつつも、「強調したいこと」「伝わりにくい部分」を、英語を交えで説明することで、話を深く理解してもらえるでしょう。

また英語を交えて話すことは、同時に外国人の職場における疎外感をなくすことにもつながります。
部署での会話やミーティングを日本語のみで進めるのは、外国人にとって話に入りにくい空間を作ってしまう要素です。「仲間に入れてもらえていない」と思われる原因となりかねません。
外国人を受け入れる準備のひとつとして、社内での積極的な英語の活用をすることが挙げられます。

③ 明確な表現で伝える

普段よりも意識的に明確な表現を使うことも、外国人との円滑なコミュニケーションでは重要です。

日本人特有の話し方として、「相手を傷つけないように」「察してほしい」という思いから、遠回しな表現やあいまいな言葉を使う一面があります。例えば「〜かもしれない」という語尾をよく使うことや、察してもらおうとする文化がそれに該当します。
しかし、そうしたコミュニケーションにおける気遣いや空気を読む文化は外国人にとって理解できない場合がほとんどです。こちら側の意図が伝わりにくいだけでなく、誤解を生んだり、混乱させてしまう可能性もあります。

対して外国人は、はっきりと自分の意見を言い、結論から入る直接的な表現を好みます。
こうしたコミュニケーションの違いを理解し、話し方を意識的に変えることが効果的です。

④ 日本語をシンプルにする

職場で使われる丁寧な日本語は外国人にとって難しい場合がほとんどです。
たとえば「召し上がる」「差し上げる」「いらっしゃる」のような尊敬語・謙譲語は伝わらず、それを使わないだけでも意思疎通がラクになります。

日本語自体を簡単にするだけでなく、話す際に具体的な例を出して説明するなどわかりやすくなるような工夫も必要です。特に、話の途中でこまめに理解できているかどうかを確認するのは非常に効果的であり、その都度お互いの認識をすり合わせていくことでコミュニケーションのミスを減らすことができます。

外国人とのコミュニケーション 注意点

以下では外国人と一緒に働き、コミュニケーションを取る上での注意点を紹介します。

外国人とのコミュニケーションの注意点

文化の違いに配慮する

外国人といっしょに働くうえで、相手の出身国の文化や国民性を理解し、尊重することは非常に重要です。
たとえば、マナーや時間に関する感覚は国によって異なり、日本での常識を前提に向き合うと衝突してしまう原因となります。人によっては食事や生活習慣において信仰上の配慮が必要な場合もあるでしょう。

また国民性や文化だけでなく、それぞれの国における職場の特徴を知ることも大切です。職場での常識や働き方は国によって異なり、給与のシステムと残業への考え方にはとくに注意しなければなりません。
実際にIT Mediaの調査によると、業務へのミスマッチ・上司との人間関係につづいて、給与・残業代に関する不満が日本で働く外国人材の離職理由としてトップになっています。

成果報酬が一般的な海外では、年功序列の制度は受け入れられにくい傾向にあります。あるいは日本で急増している南アジアの方々は、家族との時間を最優先にしているため、残業には日本人よりも抵抗があるかもしれません。

採用後、早期の離職を防ぐためにも、いっしょに働く外国人の文化や国民性についてよく知っておきましょう。

参考:ITmedia 日本で働く外国人の早期離職率は28%、理由は?

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孤立しないように工夫する

外国人が日本で働く中で抱きやすい悩みのひとつに、「外国人」であることを原因とした孤立や周囲との対応・待遇の違いがあります。評価や給与の面ではもちろん、日常的な扱い方や関わり方においても他の社員と平等であることを意識する必要があり、そこに差があると日本人よりも敏感に反応しやすいでしょう。

たとえば外国人の方の理解が追いつかず、まわりと共有できないまま話や業務を進めることは起こりうる問題のひとつです。またミーティングなどの場面で、外国人の方による発言にしっかりと耳を傾けることも大切。
言語の問題で話が伝わりにくいと、どうしても意見が流れてしまいやすくなり、結果として「外国人の意見を採用してくれない」と思われてしまう原因です。

こちらが平等に扱っているつもりでも、外国人からしたらそうでないケースというのは十分あり得るので、定期的に話し合いなどを行って確認する時間も作れると良いでしょう。

まとめ|外国人とのコミュニケーション

本記事では、職場での外国人とのコミュニケーションにおけるポイントや注意点について解説しました。

外国人とのコミュニケーションでは日本人との違いを意識しながら、言語や話し方の面で工夫する必要があります。職場での連携をスムーズにし、離職を避けるためにもぜひ本記事の内容を参考にして取り入れましょう。