外国人社員とのコミュニケーションが難しい? コツや解決策を徹底解説
「人手不足だし、そろそろ外国人の採用も考えたい。でも、言葉が通じるか少し心配」
「前に外国人を雇ったとき、指示がうまく伝わらずトラブルになったことがある」
こんな不安を抱える方は多いものです。実際のところ、外国人採用で一番気になる点は、ビザの手続きよりも「現場でのコミュニケーション」だとよく言われています。
とはいえ「やっぱり自分の会社には難しいかも」と決めつけてしまうのはもったいない話です。少し視点を変えるだけで、状況が大きく変わる可能性があります。
じつは、外国人とのやり取りに完璧な英語力は必要ありません。伝え方の工夫や、日常的に使える無料のツールを知っておくだけでも、言葉の壁はかなり低くなります。
この記事では、明日から現場で使えるコミュニケーションのコツを、専門用語を使わずにわかりやすく紹介します。
読み終えるころには、「これなら自分の職場でもできそうだ」と前向きに感じられるはずです。
目次
外国人とのコミュニケーションが難しいと言われる理由は?

日本人同士なら、言葉にしなくても何となく気持ちが通じることがあります。しかし、同じ感覚が外国人の方に通用するとは限りません。
実は「なぜ伝わらないのか」という原因には、おもに次の3つの壁が関係しています。
- 育った文化や価値観の違い(文化の壁)
- 日本語力や専門用語の差から生まれる言葉の壁
- 叱り方・褒め方の受け取り方が異なることで生じる心の壁
この3つを知らないまま、「日本人と同じように接すればうまくいくだろう」と考えると、現場で思わぬ混乱が起きやすくなります。少し立ち止まって振り返ることが大切です。
【文化の壁】どうして「報連相」ができないの?
外国人社員に関する悩みで、とくに多いのが「報連相をしてくれない」という声です。
その背景として、そもそも「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」という考え方が、自分の国にない場合があります。
たとえば、
- 自分で判断して動くほうが評価される
- 上司に細かく聞くと「自分で考えていない」と見られる
- 日本のように、こまめに報告する習慣がない
といった価値観が根づいていることがあります。
そのため「終わったあとにまとめて伝えればいい」と考える人がいても不思議ではありません。もちろん悪気があるわけではなく、育ってきた環境が違うだけです。
【言葉の壁】「分かりました」=「理解した」とは限らない
現場でよくあるのが、「分かりました」という返事を信じて任せたら、全く違う作業をしていたというケースです。
日本語が得意ではない人にとっての「はい」は、「話を聞いています」という合図に近いことがあります。
とくに、日本人の上司に向かって「分かりません」と言うのは失礼だと考える文化もあります。笑顔で返事をされても、実際には理解が追いついていない可能性もあるため、注意が必要です。
【心の壁】注意されると「人格否定」と感じてしまうことも
叱り方ひとつで、その日のうちに来なくなってしまうケースもあります。とくに東南アジアの一部の国では、「人前で叱ること」は大きなタブーです。
日本人から見れば「チームへの注意」のつもりでも、本人にとっては「みんなの前で恥をかかされた」「自分を否定された」と感じてしまうことがあります。これが退職につながることも珍しくありません。
外国人とのコミュニケーションでは「何を言うか」だけではなく、「どの場面で、どんなトーンで伝えるか」も重要です。静かな場所で個別に話すだけでも、受け取り方が大きく変わります。
3分でチェック! 「外国人とのコミュニケーション」診断リスト

まずは、自分の職場がどんな状況なのかを簡単に確認してみましょう。
次の項目で「あてはまる」が多いほど、コミュニケーションのすれ違いが起きやすいと言えます。
【話しかけ方】
- ☐ 注意するとき、みんなの前で強い口調になっていませんか?
- ☐ 忙しいとき、業務指示をまとめて一気に伝えていませんか?
- ☐ 相手の日本語力を確認せず、「ふつうに話せているから大丈夫」と思い込んでいませんか?
- ☐ 早口や方言、専門用語をそのまま使っていませんか?
【聞き方・確認の仕方】
- ☐ 「分かった?」と聞き、「はい」だけで判断していませんか?
- ☐ 作業の途中で「困っていない?」「質問ある?」と気軽に聞けていますか?
- ☐ ミスが起きたとき、最初に本人だけを責めていませんか?
- ☐ 口頭だけで終わらせず、メモや写真で指示内容を確認していますか?
【職場の雰囲気】
- ☐ 日本人同士だけで話し、外国人社員が孤立する空気になっていませんか?
- ☐ 外国人社員が気軽に雑談できる環境になっていますか?
- ☐ 相談を受ける担当者をあいまいにしたままにしていませんか?
- ☐ 日本人向けのマニュアルを、そのまま外国人に渡していませんか?
チェックが3つ以上ついた場合は、このあと紹介する「やさしい日本語」やツールの活用を意識するだけでも状況が改善しやすくなります。
少しずつで良いので、できるところから取り入れてみてください。
コミュニケーションの基本①|明日から使える「やさしい日本語」

英語を勉強する必要はありません。その代わりに、私たちが普段使っている日本語を、外国人にも分かりやすい形に言い換えてみましょう。
少し工夫するだけで、伝わり方が大きく変わっていきます。
参考:出入国在留管理庁 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン
【一覧表】ビジネス用語の言い換えリスト
結論から言うと、「あいまいな言葉」と「難しい熟語」は避けたほうが安全です。
日本人が日常的に使っているビジネス用語は、外国人にとっては暗号のように聞こえることがあります。
そこで、以下のようなシンプルな言い換えを習慣にしてみてください。
| NG表現(避けたい言い方) | OK表現(やさしい日本語) |
| なる早でお願いします | 今日の17時までに終わらせてください |
| よしなにやっておいて | マニュアルの通りにしてください |
| そこは空気を読んで | 分からないときは、必ず聞いてください |
| アサインします | あなたが担当です |
| スケジュールをリスケする | 日時を変更する |
| 書類に記入してください | 紙に書いてください |
| 至急連絡をください | すぐに電話をください |
この表は、そのまま印刷して現場に貼っておくのもおすすめです。日本人同士のやり取りでも、「伝わる話し方」を意識するきっかけになるでしょう。
伝言ゲームを防ぐ「ハサミの法則」とは?
相手に伝えるときのコツは、「ハ・サ・ミ」と覚えると便利です。
ハ(はっきり)
「やっといて」「大丈夫」などのあいまいな表現を使わず、主語や目的を明確に話します。
- NG:「例の件、なるべく早くやっといてね。」
- OK:「この注文書を今日の15時までに作成してください。」
サ(さいごまで)
文末をぼかさず、「〜してください」「〜してはいけません」と言い切る形にします。
- NG:「えーと、多分、このやり方はちょっと危ないかなって思う。」
- OK:「この機械に素手で触ってはいけません。必ず手袋を使ってください。」
ミ(みじかく)
一文を短くすることがポイントです。「〜なので、〜ですが」とつなげすぎず、一度区切りましょう。
- NG:「昨日社長が話していた安全確認のためのチェックリストができたので、今日から現場で使ってもらいたいんですが、まずこの説明書を読んでください。」
- OK:「①新しいチェックリストを配ります。」「②この説明書を見てください。」「③これは、昨日決まった安全確認のためのものです。」
もちろん、ゆっくり話すことも大切ですが、この「ハサミ」を意識するだけで、相手に届く速さがぐっと変わるはずです。
「いつまでに・どこまで」を数字で伝える
「ちょっと」「しっかり」「きちんと」といった言葉は、人によって基準が違います。
そのため、あいまいな表現を避けて、できるだけ数字や固有名詞に置きかえることが大切です。
- 「しっかり掃除しておいて」→「この3か所(床・テーブル・シンク)を、ほこりとゴミがない状態にしてください」
- 「ちょっと切ってください」→「3センチ切ってください」
- 「いい感じに並べておいて」→「写真と同じように並べてください」
このように、数字や具体的な言葉を入れるだけでも、相手の理解度が大きく変わるはずです。まずは簡単なところから試してみると、やり取りが楽になります。
コミュニケーションの基本②|言葉だけに頼らない「視覚化」と「ツール」

言葉だけで説明しようとすると、どうしてもお互いに疲れが出ます。
「目は口ほどに物を言う」というように、視覚的な情報や便利なツールを使うだけで、言葉の壁はぐっと低くなります。
ジェスチャーとアイコンタクトも大事な「言語」
コミュニケーションというと「話す言葉」に意識が向きがちですが、実は次のような要素も大切です。
- 表情(やわらかな表情か、険しい顔か)
- 目線(相手を見ているか、PCばかり見ていないか)
- 手振りやジェスチャー
たとえば、作業を教えるときには次のような動きを少し加えるだけで、理解しやすさが大きく変わります。
- 自分が一度やって見せる
- 指で場所を示す
- 「ここ」「これ」と言いながら対象物に触れて示す
一方で、腕を組んで上から見下ろすような姿勢や、ため息をつきながら話す態度は、相手に強い緊張を与えてしまいます。
日本では目を合わせるのが苦手な人も多いですが、話すときは相手の目を自然に見るように意識してください。「あなたに関心を持っています」というサインになり、相手も安心しやすくなるでしょう。
「指差し会話シート」と「ピクトグラム」を活用する
危険な場所や、必ず守ってほしいルールは「絵(ピクトグラム)」を使うと効果的です。
「立入禁止」と文字で書くより、×印のイラストを見せたほうが一瞬で理解してもらえます。
また、現場でよく使う言葉をまとめた「指差し会話シート」を貼っておくのも効果的です。
「トイレ」「休憩」「危険」といった言葉を指差すだけで意思疎通ができるため、急いでいる場面でも迷いにくくなります。
翻訳アプリを上手に使い分ける
スマホの翻訳アプリは、今や必須アイテムです。
「外国人 コミュニケーション アプリ」で調べると、たくさんの翻訳ツールが出てきます。
全部を使いこなす必要はありませんが、場面に合わせて以下の3つを使えると、とても便利です。
| アプリ名 | 得意な場面 | 特徴 |
| VoiceTra | 口頭での指示・会話 | 音声入力が得意で、話した内容をすぐ翻訳してくれる |
| DeepL | チャット文やマニュアルなどの文章 | 長めの文も自然な言語に訳しやすい |
| Google翻訳 | 機械の操作盤・紙の書類 | カメラを向けるだけで、画面の文字をそのまま翻訳できる |
ただし、翻訳アプリはあくまで「補助として使う道具」です。とくに、安全に関わる説明や契約内容のように絶対に誤りが許されない部分は、日本人側でしっかり確認する必要があります。
アプリに頼りきりにせず、最後は自分の目で確かめるつもりで向き合ってください。
コミュニケーションの応用|信頼関係を築く「職場づくり」

ここまで紹介してきた「外国人と話すコツ」や「やさしい日本語」は、どれも大切なポイントです。
ただ、現場がスムーズに動くかどうかは、日本人社員の姿勢や職場の雰囲気も影響をあたえます。外国人を「ただの労働力」ではなく、「チームの仲間」として迎える仕組みを整えてみてください。
日本人社員が変わると、現場の雰囲気もよくなる
現場で外国人と一緒に働くうえで、社長や担当者だけでなく、日本人社員一人ひとりの意識も重要になります。
「郷に入っては郷に従え」といった考え方で、日本のやり方だけを一方的に求めていないでしょうか?
外国人側だけに努力を求めてしまうと、「こちらのルールに合わせて当然」という空気が生まれてしまいます。文化と言葉が違う以上、日本人社員の側も歩み寄る姿勢が欠かせません。
そのために、次のような姿勢を意識してみてください。
- 「分からないことは何度聞いても大丈夫」と先に伝える
- ミスが起きたときは、すぐに責めず「伝え方」や「仕組み」を一緒に振り返る
- 日本人同士だけで固まらず、外国人社員にも自然にあいさつや雑談をする
こうした姿勢があると、現場の空気はゆっくりと柔らかく変わっていきます。
かんたんな異文化理解の時間(ランチ会など)を用意すると、日本人側のストレスも減り、お互いに気持ちよく働けるようになるでしょう。
確認は「分かった?」ではなく「何をするか言ってみて」
指示が伝わったかどうかを確かめるうえで、最も大切なのが「ダブルチェック(復唱)」です。
「分かりましたか?」と聞くと、つい反射的に「はい」と言ってしまうことがあります。
そうではなく、「今から何をしますか? 日本語で言ってみてください」と質問し、本人の言葉で説明してもらいましょう。もし誤解があっても、その場で直せるので大きなミスを防ぎやすくなります。
理解が足りなかったとしても「日本語ができていない」と責める必要はありません。
むしろ、「説明のしかたを一緒に工夫しよう」という姿勢で向き合うほうが、信頼関係につながります。
孤立を防ぐ「雑談」と「相談窓口」の設置
外国人とのコミュニケーションで、意外と見落とされがちなのが「心の孤立」です。
仕事の話だけで終わってしまうと、悩みや不安を相談しづらくなります。
たとえば、次のような雑談が孤立を無くすための良いきっかけになるでしょう。
- 出身国の食べ物や祝日について話してみる
- お互いの週末の過ごし方を共有する
- 日本で驚いたことや楽しかったことを聞いてみる
こうした小さな会話があるだけで、「この職場なら相談しやすい」と感じてもらいやすくなります。
さらに、
- 「困ったときはまずこの人に相談して大丈夫」というメンター(相談役)を決める
- 月に1回、短い面談やランチミーティングを設定する
といった仕組みをつくると、不安やトラブルの芽に早く気づけます。結果として、離職の防止やチームの安定にもつながっていくでしょう。
さいごに
外国人とのコミュニケーションに、流暢な英語や特別な研修が必要なわけではありません。
大切なのは、「やさしい日本語」へのちょっとした言い換えと、便利なツールの活用、そして相手に歩み寄ろうとする気持ちです。
「そうは言っても、初めての採用はやっぱり不安だ」「自社にはどんな人が合うのか、一度プロに相談したい」
そんな思いが少しでもあれば、【ガイダブルジョブス】にご相談ください。 私たちは外国人採用の専門家として、求人掲載だけでなく、採用後の定着やコミュニケーション面まで相談を受け付けています。
まずは「どんな人材が採れそうか」を聞くだけでも大歓迎です。貴社の課題を解決する一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
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