外国人を正社員として雇用するには?その求人方法までご紹介

近年増加する外国人雇用ですが、まだまだ正社員雇用は少ないのが現状です。厚生労働省の2019年「外国人雇用」の届出状況によると、外国人労働者は166万人を超え、過去最高を記録しました。
一方、株式会社マイナビが2019年6月に発表した「外国人に関する業種別採用調査」によると、大企業の約半数が外国人を非正規雇用しています。さらに、接客業においては60%以上が非正規採用、つまり、正社員として雇っていないのが現状です。
では、なぜ企業は正社員として外国人労働者を受け入れないのでしょうか。ここでは、外国人の正社員雇用が少ない理由とその解決策にとどまらず、正社員雇用する際に必要なことや正社員雇用のメリットまですべて解説していきます。
目次
外国人の正社員が少ない3つの要因とは?!
外国人雇用が増える中、正社員雇用が増えない要因はいくつかあります。特に重要な要因となるのが、「制度的な問題」「複雑な雇用形態」「受け入れ体制の整備」の3つです。外国人の正社員雇用を検討中なら、これらの要因をしっかり理解しておく必要があります。
これらの要因をきちんと把握しておけば、正社員雇用がスムーズになるばかりか、雇用後のトラブルも避けられるでしょう。
①制度的な問題
2018年11月初めに日本政府は「入管法改正案」を閣議決定しました。「入管法」とは「出入国管理及び難民認定法」のことで、1951年に制定されて以来、何度も改正が行われています。今回の改正の目的は、外国人労働者を増やし、日本国内の人材不足に対応すること。要するに、外国人の採用を緩和する処置です。具体的には、新たな在留資格を設け、外国人受け入れの業種拡大や在留期間の延長が検討されています。
新たな在留資格は「特定技能1号」と「特定技能2号」。この在留資格により、これまで資格の取得ができなかった業界でも資格取得が可能になり、外国人を正社員雇用できるようになります。しかし、同在留資格取得には技能や日本語能力を確認する試験があり、誰でも取得できるものではありません。
このように入管法改正で外国人を受け入れやすくなった一方、制度的に正社員雇用のハードルが依然高いのが現状です。
厚生労働省の「日本で就労する外国人のカテゴリ」によると、外国人労働者約146万人のうち、就労目的で在留が認められる人は約27.7万人しかいません。つまり、正社員として雇用可能な人は、全体の約5.3%しかいないのです。
就労目的で在留が認められる人が全体の約5.3%しかいない理由は、在留資格が「専門的・技術的分野」に及ぶから。具体的な在留資格は「教授」「高度専門職」「法律・会計業務」「医療」「教育」などになり、高度な専門知識を持たなければ資格が取得できないのが要因の一つと言えるでしょう。
②外国人労働者の雇用形態は複雑!
外国人労働者の雇用形態は、以下の4つに分類されます。
<雇用形態のパターン>
直接雇用
パターン1:日本人正社員と同等の立場の「正社員」
- 大企業の研究・技術系ホワイトカラーに多い。
- 日本の大学・大学院の理工系卒業が多い。
パターン2:日本人嘱託社員、パート・アルバイト、期間工などと同等の立場の「非正社員」
- 正社員より安い賃金、賞与なし。雇用期間の設定あり。
- 在留資格が「技術」「人文知識・国際業務」「日本人の配偶者等」「定住者」で、不安定な採用ルートで採用、嘱託社員に。
- パート・アルバイトは移動が多く、雇用不安定。「留学」「就学」等の在留資格。
間接雇用
パターン3:請負会社から企業に派遣された「請負社員」
- 請負会社の活用。
- 請負会社と雇用契約を結ぶ。
パターン4:派遣会社から企業に派遣された「派遣社員」
- 中小工場、建設業・職別工事業の単純労働者(ブルーカラー)から請負会社雇用に切替。
引用:(独)労働政策研究・研修機構 日本における外国人労働者雇用の現状と課題
前述したように、高度な専門知識を活かして在留資格を取得した約5.3%の外国人は、正社員や契約社員などの形態で直接雇用することが可能です。また、定住者や永住者、日本人の配偶者などは就労に関する制限がないため、雇用形態は人それぞれ異なります。
一方、技能や技術を習得させることを目的とした「技能実習」の在留資格で働く外国人の雇用形態は、雇用する企業によりますが、「正社員」「派遣」「業務請負契約」のいずれかになるでしょう。また、留学生は資格外活動としてアルバイトを行い、外国人看護師・介護福祉士候補者は雇用契約に基づいて就労しています。
近年、外国人労働者が増加する一方で、実際の内訳は留学生のアルバイトや技能実習の割合が多いのが現状です。
<日本で就労する外国人のカテゴリ(約146.0万人の内訳)>
- 就労目的で在留が認められる人:約27.7万人
- 身分に基づき在留する:約49.6万人
- 技能実習:約30.8万人
- 特定活動:約3.6万人
- 資格外活動(留学生のアルバイト等):約34.4万人
引用:厚生労働省 日本で就労する外国人のカテゴリー(総数 約146.0万人の内訳)
受け入れ体制の整備が難しい?
外国人労働者を採用する際には、企業側も受け入れ体制を整えなければなりません。事務的な準備としては、英文の就業規則や雇用契約書などの作成があります。その他にも、正当な評価基準の設定や定期的な面談なども必要です。また、職場の環境としては、外国人労働者の雇用労務責任者を選出したり、社内で外国語教育を推進したりするのも有効でしょう。さらに、日本人社員が異文化理解を深めることも大切です。
もちろん外国人労働者の採用が初めての場合は、何に重点を置けばいいのか分からないかもしれないので、実際に企業が受け入れに成功した事例をご紹介します。
<事例1:日揮株式会社>
- ビジネス日本語検定J1以上で奨励金を支給
- 社内の部活動・クラブ活動などを通して人間同士のつながりを深めて定着を促した
- 社内ファシリティ案内を英語で表記
- イスラム教徒向けのお祈り部屋の設置
<事例2:カシオ計算機株式会社>
- キャリアプランをイメージしやすくするために職種別採用を実施
- イスラム教徒向けのお祈り部屋の設置
- 「母国帰国休暇」を制度化し、有給を申請しやすくした
- ビジネス日本語能力テストの受験料を補助
<事例3:パナソニック電工株式会社>
- レベル別にビジネス日本語研修を実施
- 仕事の進め方に対する違いをワークショップ形式で学ぶ
- 異文化研修の実施
- 経営理念研修を個別に実施
外国人の正社員を雇うためには?
外国人採用には、「優秀な人材の確保」「自社のダイバーシティ推進」「グローバル展開の戦力になる」など、数多くのメリットがあります。その一方、前述した3つの要因により、外国人の正社員雇用は少ないのが現状です。また、どのように優秀な外国人を見つければいいのか頭を悩ます採用担当者も少なくないでしょう。実際、企業が自力で優秀な外国人材を見つけるのは困難です。
このような現状と3つの要因を踏まえ、正社員雇用にはより適切なマッチングサービスが不可欠と言えるでしょう。マッチングサービスは外国人採用に特化しているためミスマッチの心配もなく、自力で探すより効率的に優秀な人材を見つけられるのが魅力です。
正社員雇用にもGuidable Jobs!
Guidable株式会社が運営する在留外国人向け求人サービス「Guidable Jobs」は、日本人と同様に労働できる在留会員が多く、その数は1万人に上ります。同サービスを正社員雇用に使う最大のメリットは充実したサービスです。
外国人の正社員雇用については詳しくなりましたか?
外国人労働者が過去最高を記録する一方、実際の内訳は留学生のアルバイトや技能実習の割合が多く、正社員はほんの一握りに過ぎません。出入国管理法の改正で外国人の受け入れが緩和されたものの、制度的には正社員のハードルは高いのが現状です。また、外国人労働者の在留資格や複雑な雇用形態など、雇用者側が理解しなければならないことも多く、さらに受け入れ体制の整備も多方面にわたります。
しかし、実際に外国人の受け入れに成功している企業も増えつつあるので、工夫次第なのではないでしょうか。効率的に優秀な人材を見つけて正社員として雇用するポイントは、マッチングサービスを上手く活用すること。まずはそこから始めてみてはどうでしょう。
引用・参考文献
EPA外国人看護師・介護福祉士候補者 受入れの枠組み、手続き等について(公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS))
在留外国人向け求人サービス「Guidable Jobs」がリニューアル、「リニューアル記念 掲載半額キャンペーン」を実施 PRTIMES