特定技能での外国人材採用を成功させるには、適切な人材を見つけることと並んで、複雑な申請手続きを正確に進めることが不可欠です。特に、申請に必要な書類は多岐にわたり、準備に多くの時間と労力を要します。

この記事は特定技能申請ガイドの【前編】として、基本的な申請の流れと、最も重要となる「必要書類」について詳しく解説します。(主に地方出入国在留管理庁の窓口での申請を想定)

なお、近年利用が広がっている効率的な「オンライン申請」の方法については【後編】で具体的な手順を詳しく解説しますので、そちらも合わせてご確認ください。

まずは、申請全体の流れと必須書類をしっかり押さえましょう。

本記事では、日本国内に在住している外国人を採用する際の「在留資格変更許可申請」を例に解説を進めます。

 

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1. 申請のステップ:国内在住の外国人を受け入れるまでの実践フロー(在留資格変更許可申請の場合)

すでに日本に滞在している留学生や技能実習修了者などを特定技能として採用し、在留資格を変更する際の申請手続きは、大まかに以下の流れで進みます。採用担当者として、各ステップの内容と、企業として対応すべき点を把握しておきましょう。

ステップ1:候補者探しと採用決定

まず、国内に在住し、特定技能の要件(必要な試験の合格など)を満たす外国人材を募集・選考し、採用を決定します。(例:Guidable Jobsなどの求人媒体を活用)

ステップ2:雇用契約と支援計画の準備

採用決定者と、報酬額(日本人と同等以上が必須)など法令基準を満たした「特定技能雇用契約」を締結します。同時に、採用後の職業生活や日常生活をサポートするための具体的な内容を定めた「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。
※支援計画の作成・実施は、全ての支援を自社で行うことが難しい場合、登録支援機関に委託することも可能です。

ステップ3:事前ガイダンスの実施

雇用契約の内容、業務内容、労働条件、日本で生活する上でのルールや注意事項、支援内容などについて、採用決定者本人に対面またはオンラインで説明(事前ガイダンス)を行います。本人が内容を十分に理解したことを確認し、その旨を記した書面(確認書)を作成します。

ステップ4:申請書類の準備【最重要】

後述する「2. 申請書類リスト」に基づき、申請に必要な書類を企業側・本人側双方で準備します。
このステップが申請プロセスの中で最も時間と労力を要する部分です。

【企業側の対応】: 登記事項証明書や納税証明書など、自社に関する書類を漏れなく準備します。

【本人へのサポート】: 本人が準備すべき書類(パスポート、在留カード、住民税の証明書、試験の合格証明書など)を明確に伝え、必要に応じて取得方法を案内するなど、スムーズに準備できるようサポートします。

ステップ5:申請書の作成

出入国在留管理庁のウェブサイトから最新様式の「在留資格変更許可申請書」をダウンロードし、必要事項を正確に記入します。(申請取次を行う場合は、取次者が作成を代行することも可能です)

ステップ6:地方出入国在留管理庁への申請

準備した全ての申請書類一式を、原則として申請者(外国人本人)の住居地を管轄する地方出入国在留管理庁の窓口に提出し、申請を行います。

※申請は原則として本人が行いますが、地方出入国在留管理庁長官の承認を受けた企業の職員(申請取次者)や、依頼を受けた弁護士・行政書士が本人に代わって申請書類を提出(申請取次)することも可能です。
オンラインでの申請も可能です。詳細は【後編】で詳しく解説します。

ステップ7:審査

提出された書類に基づき、出入国在留管理庁にて、特定技能の基準に適合しているかどうかの審査が行われます。
審査期間は申請内容や時期によって異なります(標準処理期間は目安として公表されています)。

ステップ8:結果通知と新しい在留カードの受領

審査の結果、許可となった場合は、申請者本人宛に許可を知らせる通知ハガキが郵送されます。

【本人の対応】: 指定された期間内に、通知ハガキ、パスポート、現在所持している在留カード、手数料納付書(収入印紙4,000円分を貼付したもの)を持参し、申請した地方出入国在留管理庁の窓口で新しい「特定技能」の在留カードを受け取ります

ステップ9:就労開始と関連手続き

新しい在留カードを受け取った後、正式に特定技能としての就労を開始できます。

【企業側の対応】: 就労開始に合わせて、社会保険や雇用保険への加入手続きなどを適切に行います。

ステップ10:支援の実施と定期届出

【企業側の対応】: 就労開始後、ステップ2で作成した「1号特定技能外国人支援計画」に基づき、必要な支援(例:生活オリエンテーションの実施、日本語学習機会の提供、相談・苦情への対応など)を開始・継続します。また、特定技能外国人の受入れ状況や支援の実施状況、活動状況などについて、四半期ごと等、定められたタイミングで地方出入国在留管理庁へ定期的な届出を行う義務があります。

参照:

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2. 最重要ポイント:「特定技能 申請書類」完全リストと準備の注意点

特定技能の在留資格変更許可申請には、非常に多くの書類が必要です。

ここで挙げるのは主なものであり、申請者の状況(現在の在留資格など)や受入れ分野によって必要書類は異なります。

申請前には必ず、出入国在留管理庁のウェブサイトでご自身のケースに必要な最新の書類リストを確認してください。

【受入れ機関(企業側)が準備する書類】

  • 受入れ機関に関する証明書類:
    (※過去の申請から変更がない場合など、提出を省略できる書類もあります。詳細は公式サイトをご確認ください)

    • 登記事項証明書: 法人の場合。
    • 役員の住民票の写し: 日本に住所を有する役員全員分。
    • 特定技能所属機関概要書: 定められた様式で作成。
    • 直近2年分の決算文書の写し: 損益計算書および貸借対照表。新規設立等の場合は事業計画書など。
    • 労働保険関係成立届等の写し: または労働保険料等納入通知書の写しなど。
    • 社会保険料納入状況照会回答票: または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写しなど。
    • 税に関する証明書: 法人税、消費税、源泉所得税、地方税(法人住民税・事業税)などの納税証明書。
      未納がないことを証明する必要があります。
  • 雇用契約・労働条件に関する書類:
    • 特定技能雇用契約書の写し: 省令で定められた基準に適合するもの。
    • 雇用条件書の写し: 労働基準法第15条に基づく書面。特定技能雇用契約書と一体として作成することも可能。
  • 支援体制に関する書類:
    • 1号特定技能外国人支援計画書: 省令で定められた基準に適合するもの。
    • 支援責任者・支援担当者の履歴書、就任承諾書及び役職員であることの証明書: 支援責任者・支援担当者それぞれについて必要。
    • (登録支援機関に支援業務を全部委託する場合) 登録支援機関登録通知書の写し、特定技能外国人支援委託契約書の写し。
  • 事前ガイダンス・費用説明に関する書類:
    • 事前ガイダンスの確認書: 定められた様式を使用。
    • 支払費用の説明書: 本人が負担する費用がある場合に必要。
    • 徴収費用の説明書: 保証金等を徴収する場合に必要(原則禁止)。
  • 分野別書類: 受入れ分野ごとに、所管省庁が定める追加書類が必要です。
    (例:建設分野では建設キャリアアップシステムへの登録証明書など)

【外国人本人(申請者側)が準備・提出する書類】

  • 申請書: 在留資格変更許可申請書(顔写真貼付)。最新様式を使用してください。
  • 証明写真: 規定サイズ(縦4cm×横3cm)、申請前3ヶ月以内に撮影されたもの。
  • パスポート及び在留カード: 申請時に窓口で提示。
  • 技能試験の合格証明書の写し: 従事する業務区分に対応するもの。
  • 日本語能力試験の合格証明書の写し: 日本語能力判定テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上の合格証明。
    • ※技能実習2号を良好に修了した外国人などは、上記技能・日本語試験が免除される場合があります。免除対象であることを証明する書類が必要です。
  • 健康診断個人票: 指定された検査項目を全て満たし、医師の所見が記載されたもの。
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書: 定められた様式を使用。
  • 直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書: 住所地の市区町村役場で取得。未納がないことが必要です。

書類準備の注意点:

  • 最新様式の確認: 申請書や各種様式は変更されることがあります。必ず出入国在留管理庁ウェブサイトから最新版をダウンロード・使用してください。
  • 証明書の有効期限: 登記事項証明書や住民票、納税証明書などは、通常「発行日から3ヶ月以内」のものが有効です。期限切れの書類は受理されません。
  • 書類内容の整合性: 申請書、雇用契約書、支援計画書など、提出する書類間で記載内容に矛盾がないか、提出前に必ず確認しましょう。
  • コピーと原本: 原則として提出書類はコピーで良いものが多いですが、窓口で原本の提示を求められる場合があります。指示に従ってください。
  • 翻訳: 日本語以外で作成された書類には、原則として日本語の翻訳文を添付する必要があります。

参照:

出入国在留管理庁: 日本での活動内容に応じた資料【在留資格変更許可申請】>特定技能 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/index.html#midashi02 (こちらで必要な最新の書類リストと様式を必ずご確認ください)

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3. 申請手続きに関する注意点とよくある疑問 (Q&A)

特定技能の申請をスムーズに進めるために、以下の点にご注意ください。

  • Q: 申請はいつまでに行う必要がありますか?
    • A: 在留資格変更許可申請は、現在持っている在留資格の在留期間が満了する日までに行う必要があります。申請が受理されていれば、審査結果が出るまで(または元の在留期限から最大2ヶ月を経過する日まで)は、現在の在留資格で引き続き日本に滞在できます(特例期間)。ただし、審査には時間がかかるため、在留期限ギリギリではなく、余裕をもって申請準備を進め、早めに申請することが重要です。
  • Q: 申請書類に不備があった場合はどうなりますか?
    • A: 提出した書類に不足や記載漏れなどがあった場合、出入国在留管理庁から電話や郵送(資料提出通知書など)で連絡があり、追加の書類提出や説明を求められます。指示に従い、速やかに対応してください。指示に応じない場合や、不備が解消されない場合は、申請が不許可となる可能性があります。
  • Q: 審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
    • A: 出入国在留管理庁は標準処理期間を公表していますが、これはあくまで目安です。申請内容、提出書類の状況、申請時期、地方局の混雑具合などによって、実際の審査期間は変動します。許可が出るまでの期間を見越して、採用計画や本人の生活設計を考える必要があります。
  • Q: もし申請が不許可になった場合はどうすれば良いですか?
    • A: 不許可となった場合、その理由を確認することが重要です(通常、不許可通知書に簡単な理由が記載されていますが、詳細は窓口で確認できる場合があります)。理由を分析し、問題点を改善できれば再申請も可能です。ただし、再申請しても必ず許可されるとは限りません。専門家(行政書士など)に相談することも有効な選択肢です。
  • Q: 申請手続きについて、どこに相談できますか?
    • A: 申請手続きに関する一般的な質問は、最寄りの地方出入国在留管理庁のインフォメーションセンターや、外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせることができます。個別の申請に関する相談や、より専門的なアドバイスが必要な場合は、申請取次資格を持つ行政書士などの専門家への相談を検討しましょう。

参照: 出入国在留管理庁: 外国人在留総合インフォメーションセンター

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4. (補足)申請をスムーズに進めるために

特定技能の申請手続きは複雑であり、多くの時間と労力を要します。スムーズに進めるためには、以下の点が役立ちます。

  • 早めの準備開始: 特に書類収集には時間がかかるものが多いため、採用が決まったら速やかに準備を開始しましょう。
  • チェックリストの活用: 必要な書類をリスト化し、準備状況を管理することで、漏れやミスを防ぎます。
  • 専門家の活用検討: 自社での申請が難しい場合や、より確実に手続きを進めたい場合は、登録支援機関(支援計画作成・実施、一部申請サポート)や行政書士(申請書類作成、申請取次)など、外部の専門家のサポートを検討することも有効です。

 

5. まとめ

今回は、特定技能申請ガイド【前編】として、国内在住の外国人を採用する際の「在留資格変更許可申請」を中心に、申請全体の流れと、特に重要な必要書類について解説しました。

【前編のポイント】

  • 申請プロセスは多段階にわたり、企業と外国人本人の双方で準備が必要。
  • 必要書類は非常に多く、正確な収集・作成が不可欠。
  • 申請は在留期限までに、余裕をもって行うことが重要。

手続きの複雑さ、書類準備の大変さを感じられた担当者様もいらっしゃるかもしれません。

【後編】では、こうした手続きの負担を軽減できる可能性のある「在留申請オンラインシステム」を利用した申請方法について、メリット・デメリットから具体的な手順まで詳しく解説します。ぜひそちらもご覧いただき、貴社にとって最適な申請方法をご検討ください。

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