永住者は生活保護を受け取れる?外国人と生活保護について徹底解説!

グローバル化の進展とともに、日本国内で活躍する外国人材は増加の一途をたどっています。企業が外国人材の採用選考をおこなう際、また雇用した後の労務管理において、彼らが日本で安定して生活できる基盤を理解しておくことは非常に重要です。
万が一、採用した外国人従業員が病気や失業など予期せぬ事態により生活に困窮した場合、セーフティネットの一つとして生活保護制度の知識が役立つ場面があるかもしれません。また、制度を正しく理解しておくことは、採用時のミスマッチを防ぎ、受け入れ後の無用なトラブルを避けるためにも不可欠と言えるでしょう。
本記事を通じて、在留外国人と生活保護に関する正確な知識を習得し、適切な採用活動と雇用管理にお役立てください。
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目次
在留外国人と生活保護制度の基本
まず、日本の生活保護制度の概要と、在留外国人がその対象となるのかについて基本的な点を押さえておきましょう。
生活保護制度とは
生活保護制度は、日本国憲法第25条に規定する理念にもとづき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護をおこない、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としています(生活保護法第1条)。
在留外国人と生活保護
生活保護法は、その対象を「国民」と規定しています。したがって、法律上、外国人は生活保護の対象とはなりません。
しかし、現実には生活に困窮する外国人が存在することも事実です。
この点について、厚生労働省は「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和29年5月8日社発第382号厚生省社会局長通知)を発出し、「永住外国人、日本人の配偶者等その他これらに準ずる地位にある外国人であって、その者が居住する地方公共団体の長が特に必要があると認めるものに対しては、当分の間、生活保護法に準じた取扱いにより必要な保護を行うこと」としています。
この通知にもとづき、人道上の観点から、特定の範囲の在留資格を持つ外国人に対して、行政措置として生活保護法に準じた保護がおこなわれているのが現状です。最高裁判所も、外国人は生活保護法の対象ではないとしつつ、行政措置として生活保護法を準用して保護をおこなうこと自体は適法であるとの判断を示しています(平成26年7月18日第二小法廷判決)。
つまり、外国人は法律上の権利として生活保護を請求できるわけではありませんが、行政の裁量により、一定の条件を満たす場合には事実上の保護を受けられる可能性がある、と理解しておくことが重要です。
参照:e-Gov法令検索「生活保護法」、厚生労働省「生活保護制度」
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在留資格で異なる!生活保護の受給可否
行政措置として生活保護に準じた保護がおこなわれる場合でも、その対象となるのは日本での定住性が認められる一部の在留資格を持つ外国人に限られます。ここでは、主な在留資格ごとに受給の可否について解説します。
受給が認められる可能性が高い在留資格
以下の在留資格を持つ外国人は、日本での生活基盤が確立している、あるいはそれに準ずると判断されやすく、人道的観点から生活保護に準じた保護の対象となる可能性があります。
永住者
日本に永続的に居住することが認められているため、対象となる可能性が高いです。ただし、永住許可の申請時や永住権の維持において、生活保護を受給していることは独立生計の要件を満たしていないと判断され、申請や維持に影響を与える可能性があります。
日本人の配偶者等
日本人と婚姻関係にある、または日本人のお子さんであるなど、日本社会との結びつきが強いため、対象となる可能性があります。
永住者の配偶者等
永住者と婚姻関係にあるなど、永住者と同様に日本での生活基盤が認められやすいため、対象となる可能性があります。
定住者
法務大臣が特別な理由を考慮して居住を認める者であり、日本での定住性が高いため、対象となる可能性があります。
特別永住者
主に戦前から日本に居住している韓国・朝鮮籍の方々及びその子孫であり、歴史的経緯から日本での永住が認められているため、生活保護法の準用対象となります。
難民認定申請中の外国人
難民認定手続き中は、生活保護とは別に、難民認定法に基づく「保護費」の支給など、公的支援を受けられる場合があります。これは生活保護制度とは異なる枠組みですが、生活困窮者への支援策の一つです。
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原則として受給が難しい在留資格
一方で、日本での活動目的や滞在期間が限定されている以下の在留資格を持つ外国人は、原則として生活保護に準じた保護の対象とはなりません。これらの在留資格は、自国からの送金や本国での資産、あるいは日本での就労活動によって生計を立てることが前提とされているためです。
就労資格(「技術・人文知識・国際業務」「技能」など)
特定の専門分野での就労を目的として在留しており、その活動ができなくなれば本国へ帰国することが基本とされます。
技能実習・特定技能
在留期間や活動内容が定められており、生活困窮時には受け入れ企業や監理団体、登録支援機関によるサポートや帰国の途につくことが想定されています。
留学
学業を目的とし、学費や生活費の支弁能力があることが在留の前提条件です。
短期滞在
観光や親族訪問など一時的な滞在を目的としているため、対象外です。
参照:厚生労働省「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」
おわりに
本記事では、外国人採用担当者が知っておくべき在留外国人と生活保護制度の関係について解説しました。生活保護法は原則として国民を対象としていますが、人道的な配慮から、永住者や日本人の配偶者等など、一定の在留資格を持つ外国人に対しては行政措置として準用される実態があります。
一方で、就労を目的とする在留資格や短期滞在など、多くの在留資格では生活保護の対象となりにくいのが現状です。採用担当者としては、これらの知識を正しく理解し、採用活動や雇用管理において適切な判断と対応を心がけることが求められます。
外国人材が日本で安心して能力を発揮し、企業と社会の双方にとって実りある共生関係を築くためには、このような制度に関する正しい知識が不可欠です。本記事が、貴社の外国人採用戦略の一助となれば幸いです。
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