永住権申請のための年収要件とは?個人・世帯年収にわけて解説!

日本での長期滞在を希望する外国人にとって、「永住権」の取得は一つの重要な目標となります。永住権を持つことで、在留期間の制限がなくなり、活動内容に原則として制限がなくなるなど、生活の基盤がより安定します。
永住権の取得には、様々な要件を満たす必要がありますが、中でも経済的な側面、特に「年収(経済的な安定)」は、申請の許可・不許可に大きく影響する要素の一つです。
本記事では、日本の永住権取得における年収(経済的な安定)に関する要件を、分かりやすく解説します。
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永住権申請に必要な「経済的な安定」とは?
日本の永住権取得の要件の一つに、「独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」(独立生計要件)があります。これは、今後も日本で安定して暮らしていくための経済力があることを証明する必要があるというものです。
この経済力は、申請者本人の年収が重要な指標となりますが、出入国在留管理庁が永住許可のために「〇〇万円以上の年収が必要」といった、法令等で明確に定められた一律の基準額を公表しているわけではありません。
しかし非公式な目安として、年収300万円程度が一つの基準として語られることがあります。これは、過去の許可事例や行政書士等による実務経験にもとづく参考値であり、「最低ラインは300万」と言われる理由でもあります。
ただし、これはあくまで目安であり、法令等で定められたものではない点に注意してください。
申請者の状況(扶養家族の有無、居住地、雇用形態、申請に至るまでの在留状況など)や過去の収入・納税状況によって判断は異なり、300万円未満の収入でも永住が許可されるケースもあれば、収入が300万円以上であっても他の要件を満たさずに不許可となるケースもあります。
重要なのは、この金額自体よりも、申請前直近数年間(一般的には過去3年または5年程度)にわたり、安定した継続的な収入があり、扶養家族を含めた生計を将来にわたって維持できる経済力があることを、提出書類に基づいて合理的に証明できることです。
ここで注意が必要な点として、永住権申請においては、収入額だけでなく、その収入の安定性や継続性も重視されます。
そのため、例えば転職して間もない時期に申請を行うと、新しい雇用や収入の安定性が十分でないと判断され、審査において不利になる、あるいは審査に時間を要する、といった指摘を受ける可能性があります。
申請の際は、ある程度、現在の勤務先での在職期間と収入の実績を積んでから行うことが望ましいと一般的に言われています。
参照:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)」、しらき行政書士事務所「【相談事例】永住許可の年収は300万未満では絶対にとれないの?」
扶養家族がいる場合の必要年収への影響
永住権を申請する本人に配偶者やお子様などの扶養家族がいる場合、必要とされる年収の水準は高くなります。これは、養うべき家族が増える分、より多くの生活費を賄える経済力が必要と判断されるためです。
扶養家族の人数に応じて、求められる安定した収入水準は増加する傾向にあります。目安として300万円が語られる場合でも、扶養家族がいればそれに上乗せした収入が必要になると考えられます。
逆に、審査対象期間中に扶養家族が減ったケースについても説明します。例えば子供が就職して扶養から外れたような場合です。この場合でも、永住権の審査では過去数年間の各年における経済状況が確認され、提出する住民税の課税(非課税)証明書や納税証明書には、当該年に何人扶養家族がいたかが記載されています。
そのため、扶養家族が減ったとしても、審査対象期間内の過去の年については、扶養していた人数に応じた経済力が各年で求められると考えられます。直近で扶養家族が減ったことが、過去の収入条件の評価ベースを遡って引き下げるものではないという点に注意する必要があります。
参照:永住ビザサポートセンター「永住権取得のための収入条件について」、しらき行政書士事務所「【相談事例】永住許可の年収は300万未満では絶対にとれないの?」
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個人収入と世帯収入:どちらが重要視されるか?
永住権申請における経済力の審査では、原則として申請者本人の安定した収入が最も重要視されます。申請者自身が経済的に自立し、自身の生計を維持できる能力があるかが問われるためです。
ただし、申請者が世帯主である場合など、世帯全体の収入や資産状況が考慮されることもありますが、基本的には申請者自身の経済基盤が重視されます。
収入証明のための主要書類・考慮事項
主要書類
経済的な安定を証明するためには、永住権の申請時に主に以下の書類の提出が必要です。
住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書
これらは、申請者の収入額と納税状況を公的に証明する最も重要な書類です。通常、過去数年分(直近3年または5年分)の提出が求められます。
その他
給与所得者であれば源泉徴収票、個人事業主であれば確定申告書の控えなども、収入を証明する資料として提出する場合があります。
これらの書類により、収入の継続性・安定性、納税義務を適切に履行しているかが厳しく審査されます。
経済的な考慮事項
永住権の審査では、年収額だけでなく、経済的な安定を総合的に判断するため、以下の点も考慮されます。
納税義務の履行状況
所得税、住民税、消費税などの税金を定められた期限内に納めているかは極めて重要です。未納や滞納は、審査において非常に不利な要素となります。
公的義務の履行状況
年金や健康保険料などの社会保険料を適切に支払い、公的義務を果たしているかも重要な審査ポイントです。これらに未納や滞納がある場合も、審査に影響します。
借金の有無
過大な借入金がある場合、経済的な安定性がないと判断される可能性があります。
参照:しらき行政書士事務所「【相談事例】永住許可の年収は300万未満では絶対にとれないの?」、ビザ申請サービス「永住申請の年収条件」
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永住権保持のために必要な「経済的な安定」
一度永住権が許可されれば、永住者としての在留資格には期限がありません。そのため、永住権を維持するために、取得後も毎年特定の年収が必要とされるわけではありません。
しかし、永住者も日本国の法令を遵守する義務があります。これには、引き続き適切な納税や公的義務(年金・健康保険料の支払いなど)を履行することが含まれます。
これらの義務を怠ると、将来的な手続き(再入国許可など)に影響が出る可能性があり、永住者として経済的な自立と義務の履行を継続することが重要です。
おわりに
永住権取得における経済的要件の核心は、「安定的かつ継続的な収入による独立生計能力」と「納税や社会保険料納付といった公的義務の適切な履行」です。
明確な基準額は公表されていませんが、年間収入300万円程度が非公式な目安として語られることが多いことを念頭に置きつつも、最も重要なのは過去数年間の収入実績と、それに基づいた公的義務の履行状況、そして雇用や収入の安定性・継続性であるといえます。
扶養家族がいる場合はより高い収入水準が求められ、審査期間中の扶養家族の増減と収入のバランスも、提出書類に基づいて確認・判断されます。
永住権の審査は、経済的な側面に加え、「素行が善良であること」や「日本の国益に合すること」など、他の要件も含めた総合的な判断で行われます。個別の状況に関する具体的な確認や申請手続きについては、出入国在留管理庁の公式情報を参照するか、専門家(行政書士等)に相談することをお勧めします。
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