「外国人を採用したいけれど、日本人よりお金がかかりそう」と感じていませんか?
たしかに、ビザの申請や渡航に必要な準備など、外国人ならではの費用が発生することがあります。ただ、採用そのものにかかるお金は日本人と大きく変わらないことも少なくありません。

この記事では、初めて外国人採用を考えている方に向けて、どんな場面で費用が必要になるのかを順番に説明していきます。採用時だけでなく、入社後の手続きに必要な支出も含めて整理したため、最後まで読めば全体像をつかみやすいはずです。

「見えにくい費用」の中身を知ると、会社に合った無理のない採用プランを考えやすくなります。少しずつ確認しながら、自社に合う方法を見つけていきましょう。

外国人採用のコストはどんな要素で決まるの?

「外国人採用にかかる費用」と言っても、その中身はとても幅広く、必ずしも高額ばかりではありません。
とくに影響が大きいのは「今どこに住んでいるか(国内か海外か)」「雇用形態」の2つです。

「国内採用」と「海外採用」でかかるコストのちがい

結論から言うと、海外から人材を呼ぶ場合は、国内採用の1.5〜2倍ほどの費用になることがあります。理由を見ていきましょう。

国内採用(すでに日本に住んでいる外国人)

  • 住まいが決まっているため、生活を整えるための初期費用が少ない
  • 在留カードを確認しながら、業務内容に合うビザかどうかをチェックすればよい
  • 日本語力や仕事の経験がある人も多く、定着しやすい傾向がある

海外採用(海外に住んでいる外国人)

  • 渡航費や空港からの送迎、社宅の準備などで初期費用が大きくなる
  • 在留資格認定証明書の申請や、現地での手続きに必要な翻訳・行政書士費用がかかる
  • 国によっては、現地の紹介業者が間に入ることがあり、追加の手数料が必要になる場合がある

はじめて採用する企業であれば、負担が読みやすい国内採用から始めるほうが動きやすいでしょう。
一方で、「特定の専門人材がほしい」「まとめて人数を確保したい」といったケースでは、海外採用のほうが結果的にスムーズに進むこともあります。

正社員・契約社員を採用する場合のコストイメージ

外国人を正社員や契約社員として迎えるときは、1人あたり50万〜150万円がひとつの目安になります。

おもな内訳は次の通りです。

  • 求人広告費や人材紹介の手数料(年収の25〜35%が一般的)
  • 在留資格の取得・変更のためにかかる費用(行政書士報酬や翻訳費など)
  • 渡航費、住まいの初期費用、生活用品の準備費
  • 日本語研修やOJTなどの教育にかかる費用

特定技能や技能実習制度を使う場合は、登録支援機関や監理団体への支援費(監理費)が追加で必要になります。年間50万〜100万円ほどかかるケースもあるため、制度の特徴として押さえておきましょう。

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アルバイト採用のコストは日本人とほぼおなじ

アルバイトとして採用する場合、費用そのものは日本人とほぼ同じです。おおまかな目安は次のようになります。

  • 求人広告費:5万〜15万円
  • 日本語力の確認・在留資格の確認にかかる担当者の人件費

これらを合計して、1人あたり10万〜30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
ただし、在留カードの確認や資格外活動許可の有無など、不法就労を防ぐためのチェックが欠かせません。この作業に時間がかかるため、「見えにくい人件費」が上乗せされる点は覚えておく必要があります。

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留学生(新卒)を採用するときのコストと注意点

日本の大学に通う留学生を新卒採用する場合、基本の流れは日本人学生と同じです。
リクナビやマイナビといった就職サイトの掲載費や、合同説明会への出展費がおもな費用になります。

気をつけたいのは、内定から入社までの期間が長いことです。
この間に、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへ切り替える必要があります。ビザ申請をサポートするための社内の工数もかかるため、人件費は少し多めに考えておくと安心です。

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外国人を採用するときのコスト相場はいくら?

資料を確認しながらコストを計算する手元の画像

「仕組みはわかったけど、結局いくら用意すればいいの?」
そんな疑問に答えるために、中小企業でよくあるパターンの費用相場を整理しました。

【早見表】雇用形態×採用ルート別コストの目安

次の表から、自社が想定しているパターンに近いものを探してみましょう。

雇用形態採用ルート採用コストの目安(総額)ポイント
正社員人材紹介(国内在住)80〜150万円採用の手間が少なく、ミスマッチも起きにくい。ただし紹介料の割合が大きい。
正社員求人媒体(国内在住)10〜50万円費用は抑えやすいが、原稿の工夫や選考フローの設計が重要になる。
正社員海外からの呼び寄せ100〜200万円渡航費・住居・ビザ手続きなどが追加でかかる。専門家のサポートがあると進めやすい。
正社員(特定技能・技能実習)海外からの呼び寄せ50万〜100万円+月額の監理費制度が特殊。入国前費用に加え、毎月の監理費や支援費など継続コストが必要。
アルバイト求人媒体・SNS3〜10万円媒体費が中心で、日本人アルバイトと大きな差はない。

※あくまで一般的な目安であり、職種や地域、採用難易度によって変わります

はじめて採用する企業であれば、多少費用がかかっても「人材紹介(国内在住)」がいちばん安全です。ビザの要件チェックや面接の調整を専門家に任せられるため、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。
「中小企業で外国人を1〜2名だけ採る」ケースでも、このパターンや国内在住者を対象にした求人媒体を選ぶ企業が多い印象です。

採用コストの内訳(広告費・紹介料・ビザ申請など)

では次に、「何にいくらかかっているのか」を把握するために、おもな費用の内訳を確認していきましょう。大きく分けると、次のような項目があります。

項目相場感誰が払う?備考
求人広告費数万円〜会社媒体に掲載する際に発生。採用できなくても費用がかかる。
紹介手数料年収の25〜35%会社採用が決まったときだけ発生する成功報酬。
ビザ申請代行費10〜15万円会社行政書士へ依頼する場合の費用。自社対応なら無料だが手間が大きい。
渡航費・引越代実費要相談海外採用では会社負担が一般的。国内採用では本人負担のこともある。

日本では、有料職業紹介を行うために「職業紹介事業の許可」が必要です。外国人向けサービスを選ぶときは、サイトに許可番号が公開されているかを必ず確認してください。

また「ビザ申請費用は本人に払ってもらってよいのか?」という質問もよく聞かれます。結論としては、会社が負担するケースがほとんどです。これから働いてくれる人への先行投資と考えるほうが自然でしょう。

【事例】ケース別コストシミュレーション

具体的なイメージをつかみやすいように、よくある3つのケースで試算してみます。

ケース1:海外の優秀なITエンジニア(正社員)を呼び寄せる場合

想定年収:600万円

項目金額(概算)
人材紹介手数料(35%)210万円
渡航費(航空券)10万円
ビザ申請代行費15万円
住居初期費用(社宅など)20万円
合計約255万円

年収が高いぶん初期投資は大きくなりますが、その分即戦力の技術者を確保できる魅力があります。

ケース2:日本に住んでいる外国人(正社員)を採用する場合

想定年収:350万円

項目金額(概算)
人材紹介手数料(30%)105万円
ビザ変更申請代行費10万円
合計約115万円

渡航費がかからないため、海外採用と比べると負担が抑えやすいのが特徴です。

ケース3:留学生アルバイトを求人媒体で採用する場合

項目金額(概算)
求人媒体掲載費(4週間)5万円
合計約5万円

日本人アルバイトとほとんど同じ感覚で採用できるケースです。

外国人採用で見落としがちなランニングコスト

採用時の費用に目が向きがちですが、忘れてはいけないのが入社後にかかるコストです。代表的なものは次のとおりです。

  • ビザ更新費用:1〜5年ごとに数万円(行政書士へ依頼する場合)
  • 生活サポート費用:寮・社宅の維持費、光熱費の一部負担、日本語学習費など
  • 監理・支援費用:技能実習生は監理団体、特定技能は登録支援機関への月額3〜5万円ほどの支援費

これらを年単位で見ると、1人あたり数万〜十数万円になることがあります。
「そんなにかかるの?」と思うかもしれません。しかし、ここを無理に削ろうとすると、書類作成や生活サポートで担当者の負担が膨らみ、結果的に人件費が増えるケースも少なくありません。

入社後の費用は、「定着して長く働いてもらうための必要経費」と考えるほうが、結果として会社にプラスになります。

「高い?妥当?」採用コストに対する企業のリアルな声

口コミをまとめた表

ガイダブルジョブスにご相談いただく企業からは、次のような声が多く寄せられています。

  • 「年収350万円クラスでも、紹介会社を使うなら採用コストは100〜150万円くらいを覚悟しています」
  • 「150万円を超えると、経営会議で説明が必要になってきますね」
  • 「以前、ビザ手続きや日本語研修を後から追加した結果、最終的に当初より30〜50万円ほど高くなりました」

多くの企業が、1人あたり150万円前後を「現実的なライン」 と感じており、150万円を超えると慎重になる傾向があります。

どこにお金をかけるかでも満足度は変わります。たとえば、

  • 採用の精度を高めるために、外国人採用エージェントや専門データベースにはしっかり投資する
  • その一方で、社宅や家具は「最低限+必要に応じて追加」程度に抑える

こうしたメリハリをつけることで、「費用をかけたのに成果が出ない」という不満を減らせます。
採用コストをただ削るのではなく、何に投資すればミスマッチや早期離職を防げるかという視点が重要です。

外国人採用のコストをおさえる5つの工夫

採用コストを下げたいときは、次のような取り組みが効果的です。

1. 助成金を活用する

要件を満たせば、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などで数十万円の支援を受けられることがあります。社内掲示物の多言語化などに使える制度です。

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2. 採用プラットフォームを活用する

ガイダブルジョブスのような外国人向け求人サイトで直接応募を集めれば、紹介会社に頼る回数が減り、紹介料を抑えやすくなります。

3. 既存社員からの紹介(リファラル採用)を強化する

すでに働いている外国人社員に「友達はいない?」と声をかけるのは、実はとても効果的です。社内メンター制度をつくってコストを抑える企業も増えています。

4. 繁忙期を避ける

海外から採用する場合、4月前後や旧正月明けは航空券や引越し代が高くなる傾向があります。時期を少しずらすだけでも費用を抑えられることがあります。

5. ビザ申請を自社で行う

在留資格に関する知識は必要ですが、行政書士への10〜15万円を節約できます。

外国人採用のコストを見積もる前に必ずチェックしたいこと

やることリストにチェックを入れる男性のイラスト

外国人採用にかかる費用は、事前の準備が不十分だと「あとから増えてしまう」ことが多く見られます。
ここでは、見積もりを出す前に押さえておきたい4つのポイントを整理しました。

「隠れコスト」の見積もり前チェックリスト

次の項目が予算に含まれているか、もう一度確認してみてください。

  • □ 翻訳費用:雇用契約書を母国語にする費用(数千円〜数万円程度)
  • □ 現地の書類取得費用:卒業証明書などを取り寄せる際の郵送費
  • □ 生活立ち上げ費用:Wi-Fi契約、印鑑の作成、布団セットの購入など(会社が立て替えることも多い)
  • □ 本人負担分の確認:パスポート取得費など「本人負担とされる項目」がどこまでかを要確認
  • □ 移動時間・人件費:空港への迎えや役所手続きの同行、社内資料の多言語化にかかる工数

これらが抜けていると、想定よりも費用が高くなるため、見積もり段階でチェックしておくことが大切です。

「同一労働同一賃金」と給与設定のルール

外国人であっても、同じ仕事をする場合は日本人と待遇をそろえる必要があります。とくに注意したい点は次のとおりです。

  • 外国人だからといって、日本人より低い給与を設定してはいけない
  • 同じ仕事内容であれば、国籍に関係なく待遇を統一する
  • 基本給や手当は仕事内容とスキルで決める
  • 住宅手当や福利厚生で、外国人だけを対象外にしない
  • 昇給・賞与・研修の機会も公平に提供する

このような見直しでは、賃金テーブルの修正や就業規則の改定が必要になることもあります。結果的に日本人社員の待遇にも影響が出る場合があるため、事前にシミュレーションしておくと安心です。

参考:厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン

ビザ・契約更新にかかる年間コスト

外国人のビザには「期限」があります。
1年、3年、5年といった期間ごとに更新手続きが必要で、行政書士に依頼する場合はその都度数万円〜15万円ほどのコストがかかることがあります。
「更新費用枠」をあらかじめ年間予算に組み込んでおき、急な出費にも慌てずに対応できるようにしましょう。

採用時期によるコストの変動

採用する時期によっても、コストが変わることがあります。
たとえば、留学生の卒業シーズン(3月)ボーナス後の転職シーズンは、求人広告費が高くなりやすく、採用単価が上がることも珍しくありません。

急募でなければ、あえて時期をずらすのもひとつの方法です。また、入社時期を少しずつずらしておくと、後年のビザ更新手続きが同じ月に集中するのを避けられます。
「人手が足りないから今すぐ採る」という考え方だけでなく、1〜2年単位のスケジュール感で計画を立てると、ムリなく採用活動を進めやすくなります。

さいごに

外国人採用でうまくいっている企業の多くは、最初から「100点満点」を目指していません。
たとえば「まずは国内在住の方を1名採用してみる」「最初はアルバイトから始めてみる」といった形で、小さな一歩からスタートしています。

いきなり海外から何人も呼び寄せようとすると、コストも手続きも一気に増え、社内が混乱しやすくなります。まずは小さく始めて、経験が積みあがってきてから少しずつ広げていくほうが、結果としてコストを抑えやすくなるでしょう。

この記事を読み終えたら、次の4つのステップで自社の予算感を整理してみてください。

  1. 「欲しい人材」をざっくり決める(例:国内在住の正社員1名)
  2. 相場表を使って概算してみる(例:だいたい120万円ほど?)
  3. ランニングコストを仮置きする(例:ビザ更新に年5万円など)
  4. 「ガイダブルジョブス」の掲載プランを確認する

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