ミャンマー人の性格や特徴は? 文化、宗教、政治的な側面、採用する際のメリット・デメリットも解説
近年は人材不足を補うため、外国人採用を考えている企業も増えています。日本で暮らす外国人の中でも、ミャンマーの方は2023年12月末時点で86,000人以上です。今後はますます外国人を採用する企業が増えていくことが予想できますが、ミャンマーの方は国民性としてどんな性格、気質の方が多いのでしょうか?
今回の記事では、あくまで一般論にはなってしまいますが、ミャンマー人の文化的な背景や、性格、特徴などについてご紹介します。
目次
ミャンマーの基礎情報は?
ミャンマーの基礎的な情報をみてみましょう。
国名:ミャンマー連邦共和国
面積:68万平方キロメートル
人口:5,797万人(2023年度の総計)
首都:ネーピードー(※2006年度まではヤンゴン)
言語:ミャンマー語、シャン語、カレン語、英語
宗教:上座部仏教(85%)、ヒンドゥー教など
ミャンマーの文化、歴史など、特徴
文化と宗教
ミャンマーの宗教と文化はおもに仏教に根ざしています。国民の約90%が上座部仏教を信仰し、僧院や仏塔が各地にあります。僧侶は社会的に高い尊敬を受け、社会の中心的存在です。
仏教行事や祭りは生活に密接に結びついており、とくにティンジャン(水祭り)や仏誕節は盛大に祝われます。
また伝統舞踊、音楽、工芸品も豊かです。パゴダや寺院の建築様式には歴史的な影響が強くみられます。多民族国家であるため各民族の文化や宗教も共存しており、多様性に富んだ文化が特徴です。
歴史的な遺産
ミャンマーの歴史的遺産は豊かで、多くの古代都市や宗教的建築物があります。とくに有名なのはバガン遺跡。11世紀から13世紀にかけて築かれた、数千の仏塔や寺院が広がります。
またシュエダゴン・パゴダはヤンゴンにあり、ミャンマー仏教の象徴です。ここには釈迦や、社会前にこの世に現れた菩薩たちの遺体が一部収められていると信じられています。
民族の多様性
ミャンマーは135以上の民族グループが共存する多民族国家です。最大の民族はビルマ族で、人口の約68%を占めます。各民族は独自の言語、文化、伝統を持ち、衣装や祭り、生活様式にも反映されています。
この多様性がミャンマーの文化を豊かで多彩なものにしていますが、同時に民族間の対立も歴史的につづいています。
政治的な不安定さ
ミャンマーは長らく軍事政権による支配が続いてきましたが、2011年以降、民主化への動きが進展しました。しかし2021年にはクーデターが発生し、政治的な不安定さも見られます。
日本でも有名なアウン・サン・スー・チー氏は非暴力民主化運動のもと指導者で、2016年からミャンマー政府でトップでした。クーデター以降はまたもや軍事政権になっており、諸外国からは経済制裁を受けています。
貧困と社会問題
ミャンマーは経済的には発展途上国であり、貧困が依然として大きな課題です。また民族間の対立や、人権問題も社会的に懸念されています。
治安、病院・保健、教育などの政府サービスも、クーデターの後では大きく質が下がっており、社会的な機能が低下している(参考:「ミャンマー クーデターから2年でどうなった? 専門家に聞く」)といわれています。
若年人口が多い
国民の27%が14歳以下で若い人が多いです。
日本で働くミャンマー人が増えている
日本国内で働く、海外からの就労者数としては、中国人が82万人、ベトナムが56万人、韓国が41万人でトップ3です。ミャンマーから日本に働きにくる方も急速に増えており、8万6千人(※2023年末時点で)になっています。
前年と比べての増加率が非常に高く、ミャンマー国内で日本へ働きに行きたいと考える方が多いことがわかります。
上述しましたが、ミャンマーでは軍のクーデターなどのできごともあって、生活をする上で不安を感じている方が増えているようです。
日本は深刻な労働力不足に直面しており、とくに建設、農業、介護などの分野で外国人労働者を積極的に受け入れています。ミャンマー人は「勤勉で真面目な労働者」として評価されており、日本での雇用機会が広がっています。
在留ミャンマー人がもっとも多く持っている在留資格は、「特定活動」となっています。
ミャンマーの主要な産業は?
農業
農業はミャンマーの経済においてもっとも重要な産業で、労働力の約70%がこの分野で働いています。主要な農産物には米、豆類、油糧種子、ゴマ、トウモロコシ、ピーナッツなどがあります。
とくに米は国内消費だけでなく輸出品としても重要で、タイやベトナムとならぶ東南アジアの主要な米輸出国のひとつです。ミャンマーの農業は伝統的な方法に依存しており、近代化が遅れていることが課題です。
気候変動や水管理の問題も農業生産性に影響を及ぼしていますが、政府や国際機関の支援を受けて改善の努力が進められています。
鉱業
鉱業もミャンマーの経済において重要な役割を果たしています。とくにルビーや翡翠、その他の宝石の産出で世界的に知られています。
ミャンマーは世界有数の翡翠の産地で、アジア諸国への輸出がさかんです。また銅や鉛、亜鉛、スズなどの鉱物資源も豊富に存在し、これらの鉱物は国内外の市場で高い需要があります。
しかし鉱業活動は環境問題や労働条件の悪化を引き起こすことが多く、持続可能な開発がもとめられています。さらに一部の鉱区では、武装勢力との関係が問題で、鉱業の収益が地域紛争の資金源になるケースもあるようです。
製造業
製造業はミャンマーの経済成長において、新たな推進力となっています。とくに繊維・アパレル産業が急速に成長しており、ヨーロッパやアメリカ、日本への輸出が増加しています。
ミャンマーの製造業は低コストの労働力に依存していて、アジアの他の新興経済国と競争しています。政府は外国直接投資(FDI)を奨励し、経済特区(SEZ)の設立やインフラの改善を進めていて、これにより多くの外国企業が進出しています。
製造業の成長は雇用創出や経済多様化に寄与していますが、労働環境や賃金の改善、技術革新が課題です。
ミャンマー人の性格や特徴は?
以下に、ミャンマー人の一般的な性格や特徴を紹介いたします。
親切さ
ミャンマー人は非常に親切で、温かい人々として知られています。日常生活のなかで他人を助けることや、困っている人に手を差しのべることが自然に行われています。たとえば道に迷った観光客に対して、親切に道案内をしたり、自宅に招待して食事を振るまったりすることもあります。
この親切さは、仏教の教えに基づいた「メッタ」(慈悲)の精神に由来しており、他者に対する思いやりや配慮が、文化の一部となっています。
宗教心
ミャンマーはおもに仏教徒の国であり、仏教の教えが日常生活に深く根づいています。仏教行事や祭りは社会生活の中心で、多くのひとはこれらの行事に積極的に参加します。
また僧侶や寺院に対する尊敬の念も強く、社会的にも重要な役割を果たしています。このような宗教心は、ひとびとの行動や価値観にも影響を与え、謙虚さや節度、忍耐強さなどの美徳を育んでいるのです。
親日国で日本へ偏見はあまりない
ミャンマーは過去の歴史から見ても「親日派」といわれています。ミャンマーには日本語学校も多く、日本の都会的な街並みや整ったインフラなどに興味を持っている方も多いです。
日本人とともに、ルーツとしてもモンゴルあたりにあるとされています。外見的にも見た目が似ていることも、おたがいに好意を持つ理由かもしれません。
仕送りのために働く人が多い
家族への仕送りをするために、日本で働いているという方は多いです。その事実もあってか、手取り金額を重要視する方も多いです。
▽こちらの記事で仕送りについてアンケートを取っています
ミャンマー人を採用するメリット、デメリット
メリット
メリットとしては、以下のものがあります。
・ミャンマー人は勤勉で真面目、高い労働倫理がある
・周囲を気にする性格、日本人とも親和性が高い、チームワークを重視する
・仏教文化を共有しているため、文化的な相性がいい など
デメリット
デメリットとしては、以下のものがあります。
・遠慮がちで、なにがイヤなのかわかりにくい
・文化的に叱責に慣れていない、いっしょに働く際には注意が必要
まとめ|ミャンマー人の性格、特徴、文化的背景はわかりましたか?
ミャンマーは国内の情勢が不安定なため、安心して暮らすことができる、母国よりも稼ぐことができる日本へ来ている方も多いようです。ミャンマーの方は、日本と同様に仏教の影響を受けていて、言語的にも日本語が上手になりやすいといわれています(文章の構造が似ているため)。
「外国人採用を始めたい」と考えている企業さまにとっても、ミャンマーの方を採用するのはおすすめです。
在留外国人の採用に興味を持っている方は、ぜひお問合せください。