タイ人採用のためのイロハ教えます!

ASEANの成長市場であるタイは、ビジネスチャンスに溢れています。そのチャンスをつかむためにも優秀なタイ人の採用は欠かせません。もちろん「優秀な人材」の確保とは、どんな企業においても最重要課題でしょう。しかし、それが「タイ人材」となる場合、その国の文化的背景や国民性を知らずに採用を行うことは、かえって大きなロスを招くことにもつながります。
タイ進出のメリットを最大限に高めるためには、優秀なタイ人材の見極めが大切なのです。そこで本記事では、外国人採用をはじめた企業の人事担当者に向けて、タイ人採用のカギを握るイロハを紹介します。
目次
タイ人採用:どんな人たち?
まずは、タイ人がどんな人たちなのか、タイという国柄、タイ人の気質を学んでいきましょう。
タイ人の性格
タイは「ほほえみの国」と称されるように、タイ人のスマイルにはハッピーなイメージが思い浮かびます。タイ人には好きな言葉が3つあると言われています。
「サヌック(楽しい)」
「サバーイ(気持ちいい)」
「マイ・ペンライ(気にしない)」
その言葉通り、タイ人は楽しいことが大好きです。タイでは社員旅行や歓送迎会、飲み会などの社内レクリエーションイベントが盛んで、仮装をしたり、歌ったり踊ったり、そのパーティーにかける熱量は仕事以上と言われるほどです。
しかし、その一方で、気をつけなければならないのが「マイ・ペンライ」という言葉です。この言葉は、寛容を伝える良い面ばかりではないので注意が必要です。たとえば、日本では考えられないような仕事上のミスや不敬な態度があったとしても、本人に自覚がなければ、軽く「マイ・ペンライ」で済んでしまうことがあります。
しかし、このような局面で、決してタイ人を人前で叱ったりしてはいけません。タイ人はプライドが強いとも言われますが、おそらくは基本が寛容な性質である分、他人が目くじらを立てて怒るというような感情を受け入れがたいのだと考えられます。どうしても叱らなければならない場合は、別室に呼び出して1対1の対面で話すなどのケアが必要となります。
タイ人の性格や気質を知ることで、より安定的な人材採用に役立てることができます。
タイ人の仕事の考え方
タイでは、より良い待遇を求めて転職を行う「ジョブホップ」が盛んにおこなわれています。数百バーツというわずかな給料差でも、高い条件となればどんどん転職をしていくと言われています。
また、タイでは独特の転職タイミングがあります。それは毎年4月に訪れる「ソンクラーン」という旧正月、この時期にはタイの多くの企業でボーナスが支給されます。このボーナスをタイ人のサラリーマンはしっかり貰ってから、新たな転職先へと巣立って行くのです。
人材が定着しない要因は、長く勤めていても待遇が変わらないとか、昇給や昇格の評価が不明であるというのがほとんどです。しかし、日系企業の場合は上記の要因のほか、日本人でのみ重要な役職が入れ替わったり、タイ人には昇格のチャンスが与えられないという、人事評価の不満があることは見逃せません。
役職や給料といった面も重要ですが、人事評価のポイントを明確にすることは、タイ人の会社に対する忠誠心や、仕事へのモチベーションを向上させる上で重要です。タイ人の仕事に対する考え方を理解し、優秀な人材の採用、定着に取り組みましょう。
タイ人採用:現状はどうなっている?
タイ人採用の現状は、急成長中の経済状況が招いたタイの都市生活水準や、留学生自身の進路に対する考え方など、ひと昔前より様変わりしつつあるのが実情です。それではタイ人採用の今を見ていきましょう。
留学生数は増えている?
2019年現在、タイ人留学生は4000名となり、3年前の3500名に比べて微増というのが現状です。タイ人留学生の特色として、国費留学生が多くを占めているということが挙げられます。約4000名いるタイ人留学生の内、700名以上が国費留学生で、この学生たちは文部科学省の奨学金を受けて、日本有数の大学や大学院に進学しています。これは訪日している全ての留学生9500人中、18.2%を占めており、この割合は国別においてトップとなっています。
しかし、彼ら優秀なタイ人は、必ずしも日本企業に就職したいとは考えていないという現状もあります。これは、現在急成長中の経済状況から、自国の生活水準に満足を得られるようになったことが挙げられます。日本企業へ就職することのメリットが、以前ほど感じられなくなったというわけです。
また、留学生は大学で研究生活を続けますが、研究のために必要な言語は英語であればよく、将来のために必ずしも日本語習得が必須ではないという事情もあります。このように、タイ人採用にあたっては日本にいるタイ人留学生の現状について知っておくことは重要です。
タイ人採用:効果的な採用方法とは?
外国人雇用にあたっては、国柄や国民性などのリサーチに思いのほか時間がかかるものです。それでは効率的な外国人採用活動を行うための具体的な方法をみていきます。
外国人専門の求人サイトを使う
外国人専門の求人サイトは、各国の文化的背景や国民性への理解をもとに情報を提供していますので、より的確な人材情報にリーチが可能となります。また、国籍や日本語レベルなどの情報が整理されており、リサーチ時間の短縮化にも寄与します。
・外国人採用ノート
アジア出身の人材採用についての多角的な情報、またアジア出身の留学生たちが何を考えているのかなど、外国人採用を考えている人事担当者にとって、有益な情報を発信しています。
・外国人求人ネットACE
国内最大級の外国人人材登録数で、タイ人の留学生の登録も豊富です。ネットで閲覧できる情報には、言葉スキル、日本語レベル、在留資格などがあり、外国人採用担当者にとって必須の情報に簡単にリーチできます。
・留なび
外国人留学生専門の求人情報です。留学生と留学生を採用したい企業を結びつけるということに特化し、求職者にとっては将来のキャリア設計の観点から職を探すことができるなど、ユーザーにとっても利用価値が高いサイトです。
上記に挙げたサイト以外にも、多くの外国人雇用に特化した求人情報サイトがあります。それぞれの特徴を把握した上で、継続的に利用できるパートナーサイトを見つけましょう。
SNSを駆使する
SNSは特に十代、二十代の若者の利用率が高く、ユーザーは世界全土に拡がっています。外国人採用にSNSを駆使するというのは大きなアドバンテージとなるでしょう。海外ではSNSを活用した人材採用活動は主流になりつつあり、これらを総称して「ソーシャルリクルーティング」と呼ばれています。
・フェイスブック
実名での登録が推奨されているので、求職者に対するリサーチに優れています。フェイスブックではユーザーのタイムラインに広告を流すこともできますので、少々コストはかかりますが、より多くの求職者にリーチできるという点で、最も効果的な方法といえるでしょう。
・ツイッター
140文字(英語などの言語では280文字)の短文投稿で、気軽さをアピールしつつ情報を発信できます。また、拡散性が高いので、求職者のネットワークから、求人情報を効率的に回覧させることも可能となります。
・リンクトイン
求人/求職に特化したビジネス系SNSなので、より理想とする求職者と出会える可能性が高まります。日本での知名度はまだ高くはありませんが、海外では主流です。ユーザーページはそのまま履歴書として閲覧できるので、よりダイレクトな人材採用が可能となります。
SNSの活用例と注意点
実際にSNSを利用して採用を実現した事例から、注意すべきポイントを紹介します。
・SNSの求人情報は募集部門の社員が発信する
SNSで情報発信を行うのは、人事担当者ではなく、募集部門の社員がよいとされています。これは、求職者が自分の知りたい情報に、リアルタイムで的確にリーチできるためです。自分が興味ある分野の社員による生の声は、求職者によりリアルに響くのでしょう。
・選考フロー&コンタクトをリードする
外国人は日本のスローな選考段階に慣れていないので、より迅速かつ的確なコンタクトを進行させることが重要です。「書類を写メールでいいので送ってもらう」「面談日時をこちらから指定する」など、選考フローをリードし、コンタクトの段階を省略することが肝心です。
・レスポンスを速く
デジタルネイティブな若者は、とにかく情報のやり取りが速いです。ましてSNSというツールを使うわけなので、レスポンスが速いことは採用活動を有利に進めることが可能です。
タイ人採用はつかめましたか?
タイはアジアの中でも特に魅力的な成長市場です。タイ進出を成功させるためにも、優秀なタイ人の採用は欠かせません。そのためには、タイという国柄、タイ人の性格や気質という独自性を学び、的確に人材採用に役立てることが必要です。
人材採用も「人材ファースト」と考えることで、より求職者のニーズを理解することができ、双方にとってメリットの高い出会いが実現します。