外国人採用でおさえるべき法律はこれ!

目次
外国人採用の法律:出入国管理および難民認定法
日本国内で外国人を雇用する際、「出入国管理および難民認定法」で定められたルールに基づいて雇用します。外国人の雇用を考えている方には、必須の法律です。当記事では、外国人を採用する際に関わる法律について解説します。外国人採用に関する法律の概要を把握しておくことで、問題を未然に防ぐことができます。
どんな法律?
「出入国管理および難民認定法」とは、日本に出入国する全ての外国人に対し定められた法律です。一般的には、「入管法」と呼びます。入管法の起源は、1951年に制定された「出国管理令」であり、それから何度か改正された上、現在の入管法に至ります。
どこが改正されたの?
2018年10月、入管法の改正が決定し、2019年4月から改正入管法案が施行されています。改正の背景としては、労働目的で日本にやってくる外国人が増加傾向にあり、外国人受け入れ体制を見直す必要があったためです。では、具体的にどこが改正されたのでしょうか?
特定技能を新設
入管法改正により、新たに「特定技能」という在留資格が新設されました。特定技能は、「技能実習」の延長のような在留資格です。技能実習では、特定の技能を習得する目的として最長5年間の労働許可が与えられます。しかし、期間を終えると、母国に帰らなければいけません。日本でより働きたい外国人が増えている中で、需要を満せなくなってきました。そこで「特定技能」を新設したことにより、外国人労働者のニーズをより満たす形となります。
なお、特定技能の在留資格を得るには、技能実習経験があるか日本ぼ能力やビジネススキルの試験に合格する必要があります。また、特定技能が取得できる業種は以下の14業種となります。
引用:HR NOTE
外国人採用の法律:雇用対策法
雇用対策法は、日本における労働についての基本的なルールが定められた法律です。正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」となります。
具体的には、青少年の労働の推進や女性の安定した雇用、事業主は労働者に均等な機会を与えることなどが定められています。
2018年に同法律が改正され、新たに政府の「働き方改革」の意向が盛り込まれています。それに伴い、雇用対策法も改名されました。現在は「労働施策総合推進法」と呼ばれています。
労働施策総合推進法
労働施策総合推進法は全九章あり、外国人の労働に関して定められているのは第七章です。第七章では、外国人を雇用する際の基本的な事項が定められています。
様々なルールが定められていますが、要点をまとめると「外国人を雇用する際は雇用状況に関する書面を用紙すること」・「外国人の中でも雇用が認められた者を雇用すること」・「外国人を雇用する際は労働時間や給料など差別せず、法律に基づくこと」の3点です。
特に重要なのが一つ目にあげた外国人を雇用する際に用意すべき書面です。この書面を「外国人雇用状況届」といいます。
外国人の法律:外国人雇用状況届
「外国人雇用状況届」の提出は外国人を雇用する全ての事業主の義務です。外国人を雇用する際はもちろんのこと、離職する場合も必要となります。「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律」の改正に伴い、2017年10月から定められています。外国人雇用状況届に必要事項を記入し、ハローハークか外国人雇用状況届出システムで提出します。
外国人雇用状況届は全ての外国人に当てはまる訳ではありません。「外交」と「公用」以外の在留資格、あるいは「特別永住権」以外の外国人が対象となります。また、留学生が働くケースは提出する必要はありません。
外国人雇用状況届に記載する情報は以下となります。
- 氏名
- 在留資格
- 在留期間
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 勤務先の住所
外国人雇用状況届に関する情報は雇用する外国人の在留カードやパスポートをみせてもらい、記入してください。とはいえ、偽の在留カードやパスポートをみせてくる場合もあるので、何か不審な動きを感じたら、入国管理局に連絡するようにしましょう。不法滞在の可能性があるためです。
記入事項に関してですが、雇用する外国人が雇用保険に加入する場合と加入しない場合で記載事項が少し異なりますので、注意してください。また、提出先はハローワークか外国人雇用状況届出システムがあると先ほど説明しましたが、提出的によって提出期限や書式が異なりますので、注意してください。
雇用状況届出書に関して詳しく知りたい方はこちらからご確認ください。
外国人採用の法律:事業主の対処指針
事業主の対処指針とは、雇用対策法第八条に基づいて、事業主が適切な対処をするようまとめた指針となります。なお、正式名称は「外国人労働者の雇用管理改善等に関する事業主の対処指針」です。
具体的には以下のような内容です。
- 外国人の雇用について労働期間・業務内容・労働時間や休日などを書面で交付すること
- 外国人労働者のあっせんを受ける場合は法律で定められた届け出を行った団体のみとし、それ以外からは受けないこと
- 在留資格上、従事することが認められる者を雇用すること
- 外国人の国籍で賃金や労働時間を差別してはならない
雇用対策法の部分でも説明しましたが、事業主の対処指針の重要なポイントは以下の3つです。
- 外国人の雇用状況について書面で明示すること
- 就労資格のない外国人は雇用しないこと
- 外国人労働者を法律に基づいて労働時間や休日の確保などを守ること
1つ目の「書面」とは先ほど解説した「外国人雇用状況届」のことを指します。2つ目は、就労可能な在留資格をもっていない場合は不法労働になることを意味します。そのため、雇用側は就労不可の在留資格なのか見極める必要があります。ここでは、詳しく解説しませんが、在留カードを確認することで、簡単にチェックできます。
外国人採用の法律:不法就労助長罪
冒頭で説明しましたが、日本に入国した外国人の基本的なルールは入管法によって定められています。万が一、雇用した外国人の不法労働が発覚した場合、「不法就労助長罪」として法律で罰せられます。
助長とは、助けることを意味し、故意ではなかったとしても不法労働を助けたとみなされます。不法就労罪となれば、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が課せられます。不法労働となるのは、不法滞在者を雇用するケースや就労不可の外国人を雇用するケース、外国人労働者が規定の労働時間を超えて労働させているケースなどがあげられます。
外国人の雇用に関する知識が乏しく、雇用側が知らずに雇用した外国人が就労不可だったケースは往々にしてあるので、注意が必要です。
罰金になることも?
不法就労助長罪に問われると罰金もしくは逮捕される可能性があると先ほど説明しました。実際に罰金となったケースを紹介します。
大阪に本社をおく「スーパー玉出」では、中国やベトナム国籍の留学生を規定の28時間を越えて労働させていたとして、大阪簡易裁判所に起訴されました。その結果、2017年2月8日に罰金80万円の支払い命令が下されています。また、人事部長の氏名が公表され、企業としての信頼を失いました。
外国人採用の法律については詳しくなりましたか?
外国人採用の法律についての理解が深まったでしょうか?外国人を雇用する際の法律を理解しておかなければ、知らずのうちに「不法労働」となってしまうことリスクもあります。
一度雇用した外国人の不法労働が発覚してしまうと、罰金どころか企業としての信頼を大きく失ってしまうでしょう。不法労働のリスクを最小限に抑えるたけにも、外国人を採用する際の法律を把握しておいてください。