在留カードには、就労不可の(就労できない)ものがあります。
就労不可の在留カードを保有している外国人を雇ってしまうと、不法労働となり採用した企業側も法律で罰せられます。
外国人を就労する際のルールは「出入国管理及び難民認定法」に定められており、「不法就労助長罪」の罪だと、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金あるいはその両方が課せられます。

不法就労を冗長すると企業としての信用を失いかねませんので、細心の注意を払う必要があります。就労不可の外国人かどうかを見わけるには、在留カードを確認する必要があります。そこで今回は就労不可の在留カードの見分け方について解説いたします。

在留カードってなに?

在留カード表裏

画像引用:出入国管理庁ホームページ

在留カードとは、中長期にわたって日本での滞在を許可された外国人に交付されるカードのことです。
原則として、在留カード(内部記事リンク)を保有していない外国人は、日本での長期滞在が認められていません。

在留カードには本人の名前や国籍をはじめ「有効期限」や「在留資格」が記載されています。
在留カードの表面をみることで、外国人の基本情報を知ることができます。

外国人を雇用する際は、在留カードの有効期限と在留資格を確認しましょう。有効期限は文字の通りですが、「在留資格」とは日本での活動に対して入国管理局から与えられた資格のことです。

在留資格は全部で29種類あります。在留資格の中には、日本で働ける資格と働けない資格があるので注意してください。

働ける在留資格は?

日本で就労可能な在留資格は、以下の19種類です。

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習

詳細な諸条件などについては、以下の記事をご確認ください。

【総まとめ】就労ビザの更新と種類変更|外国人が日本で働き続けるための手続き・申請時の必要書類

以下はあくまで一部ですが、在留資格と、どのような仕事に就けるかをピックアップして紹介します。

在留資格

どのような仕事に就ける?

技術・人文知識・国際業務エンジニア、通訳、翻訳、デザイナー、営業などの専門性の高い仕事
企業内転勤外国の企業から日本の関連企業への転勤者
経営・管理日本で事業を営む、または会社を設立・運営するなどの仕事
技能調理師、スポーツトレーナー、外国料理のシェフなど特定の技能が必要な仕事
特定技能特定の14業種(介護、建設、造船・舶用工業、農業、漁業など)で働くことができる。特定技能1号と2号がある
高度専門職高度な専門知識や技術を持つ人材に対するポイント制の資格。ポイントが高いほど優遇される
技能実習発展途上国の人材が日本で技能を習得し、母国の発展に寄与することを目的とした制度(この制度は廃止され、「育成就労」という新しい制度に切り替わることが決まっています)
家族滞在働くことができる在留資格を持つ人の家族(配偶者や子供)に与えられる資格で、資格外活動許可を得ることでアルバイトが可能になる
特定活動上記に該当しない特定の活動を行うための資格。例としてワーキングホリデーや企業のインターンシップなど

これらの在留資格を取得するためには、それぞれの資格ごとに定められた要件を満たす必要があります。

 制限のある在留資格とは?

先にあげた就労可能な在留資格19種類の中でも、ほとんどの在留資格には就労の制限があります。むしろ以下の4種類の在留資格以外はすべて制限がある、といえます。

  1. 永住者
  2. 日本人の配偶者など
  3. 永住者の配偶者など
  4. 定住者

これらを持つ在留外国人は一般に「身分系」と呼ばれており、就労制限なくほとんど日本人と同じような仕事に就くことができます。

ちなみに永住権を取得できるのは、基本的には引き続き10年間日本で暮らしていて、素行が善良、独立した生計を営むに足りる資産または技能を持っている人が対象です。

詳しくは以下の記事を読んでみましょう。

「身分系」の在留資格 全4種類|就労系との違い、採用するメリットについて詳しく解説

働けない在留資格とは?

原則として日本での就労が認められていない在留資格は、以下の5種類です。

「文化活動」
「短期滞在」
「留学」
「研修」
「家族滞在」

外国人の留学生は原則として日本での就労が許可されていませんが、「資格外活動許可」があればアルバイトとして採用可能です。

外国人留学生をアルバイト採用する場合には、入国管理局で資格外活動許可を受ける必要があります。資格外活動の許可があれば、週に最大28時間の就労が認められます
また留学生の通っている大学が、長期休暇期間(夏休みなど)の場合には、1日最大8時間・週40時間の就労が可能となります。

就労不可の在留カードの外国人を雇わないために

在留資格は一見すると複雑にみえますが、いくつかのポイントを抑えておけば就労不可の外国人を採用することは防げます。ここでは外国人アルバイトを採用する際の注意点をまとめました。上記で述べてきた内容と重なる部分もありますが、これらのポイントをしっかりと頭に入れておきましょう。

1. 在留カードの確認

在留カードには在留資格とその有効期間が記載されています。在留資格が「特定活動」「留学」「家族滞在」などの場合、就労制限があることが多いです。カードに記載されている情報を必ず確認します。

在留カードには在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、技能実習など)が記載されています。これに基づいて、その外国人がどのような職種や活動が許可されているかを確認します。

2. 在留カードの有効性確認

在留カードの有効期限が切れていないことを確認します。
また、在留カードの更新が行われている場合、最新の情報を反映したカードを確認することが重要です。

3. 在留資格認定証明書の確認

必要に応じて、外国人労働者が持っている在留資格認定証明書を確認します。これは在留カードの発行前に出入国在留管理庁が発行する書類で、在留資格とその条件を詳細に示しています。

4. 出入国在留管理庁への確認

出入国在留管理庁のオンラインシステム(出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションシステム)を利用して、在留カードの有効性を確認することができます。これによりカードの真偽や在留資格の詳細を確認できます。

5. 資格外活動許可の確認

就労が制限されている在留資格を持つ外国人(例:留学生や家族滞在者)が「資格外活動許可」を取得している場合、その許可内容と範囲を確認します。

6. 定期的な確認

雇用している外国人労働者の在留資格や在留カードの有効期限を定期的に確認することで、不正な就労を未然に防ぐことができます。特に在留カードの更新時期には注意を払いましょう。

7. 従業員教育

人事担当者や採用担当者に対して、外国人の在留資格確認手順や法令遵守の重要性について教育を行います。これにより、ミスを防ぐことができます。

8. 法律専門家への相談

外国人の在留資格に関して不明点がある場合、出入国在留管理庁や専門の弁護士に相談することが有効です。専門家の助言を受けることで、法令違反を防ぐことができます。

就労不可の在留カードは理解できましたか?

就労ができるかどうかは、在留カードに記載されていますので、見極めることは簡単です。とはいえ、有効期限や「資格外活動許可」を提出すれば就労できるケースもあります。この点をぜひ把握しておきましょう!

在留カードの種類や細かいルールについて、すべてを理解する必要はありません。しかし不法労働とならないように、最低限の理解は必要です。
雇い主が気づかずに採用した外国人が、不法労働となるケースは往々にしてあります。そのような場合でも「知らなかった」では済まされず、場合によっては逮捕の可能性があります。

就労不可の外国人アルバイトを採用しないためにも、当記事で解説したポイントをぜひ覚えておいてください。