企業の人手不足は深刻です。日本には368万社もの企業がある(※令和3年調べ)といわれていますが、2023年度の倒産件数は9,053にもおよび、人手不足による倒産も年を追うごとに増加しています。

2023年の倒産のうちで人手不足関連倒産は191件で、前年度の2.4倍。調査を開始したのは2013年以降ですが、2023年の人手不足関連倒産が最多であることが企業の慢性的な人手不足の証拠となっています。

日本の少子高齢化の波を受けて、企業への就労者は減る一方です。団塊の世代がすべて後期高齢者である75歳以上になるのが2025年ですが、この年にさまざまな業界で人手不足がさらに顕著になるといわれています。これが「2025年問題」といわれるものです。

そんな日本にとっての人手不足の最後の希望といえるのが外国人労働者。
ただ就労規則や在留資格の課題など、日本人採用では必要のない手続きが増えるため、いまだに採用に踏み出せない企業も多いのが現実です。

そんな企業でも気軽に利用できるのが、「外国人雇用サービスセンター」。
今回は意外に知られていない、お得に外国人を採用できる外国人雇用サービスセンターについてご説明いたします!

外国人雇用サービスセンターの前に

外国人を採用する際、まず求職者を探す必要があります。この段階では大手外国人求人サイトを使う企業が大半です。

ただネックとしては、採用に際して企業側の金銭的負担が大きいことです。紹介料は70〜100万円が相場です。
さらに求職者との就労条件が合致して採用に至ったあと、外国人採用特有の対応が必要です。

具体的には、

  • 雇用契約書作成
  • 就労ビザ申請、審査

があります。

これらの書類を提出することで、「外国人が日本で働く許可」を国からもらわないといけません。

ただこれらの手続きは決まった型がなく、状況によって柔軟に対応することが必須です。しかし企業として初めて外国人を採用する場合は、まだノウハウがなく、手続きが滞ることも少なくありません。
手続きを請け負ってくれる代行業社などもありますが、すべて任せると外国人ひとりあたり約30万かかるともいわれています。

外国人雇用の現状はこれ!

外国人を採用するにあたり課題もありますが、近年の外国人採用数は右肩上がりをつづけています。実際に2023年の外国人労働者は204万人と過去最高を記録しており、前年比12.4%増です。

また外国人採用は、労働力を手に入れるということにプラスして、ほかにもメリットがあります。

海外展開を視野に入れることができる

人口が減りつづける日本国内のマーケットだけに注視するのではなく、地球規模で世界に広く目を向けることが、企業存続や売上上昇の鍵になっています。
単に言語面だけでなく、その国の文化や国民性にもくわしい外国人を採用することで、諸外国と密接かつ細かいやり取りができます。

職場が活性化する

外国人は新たな視点で物事を捉えられる可能性が高いです。行き詰まっていた課題を解決できたり、プロジェクトへの新たなアプローチ、会社への貢献が期待できます。
また「日本で働きたい」という方は、家族や親戚を養うために来日されている方も多く、「仕送りできる量を増やしたい!」と高いモチベーションで仕事に臨む方も多いです。

実際に弊社が独自に在留外国人(※永住者・定住者・配偶者等の長期滞在者が全体の7割)に対して行ったアンケートでは、「定期的な仕送りをしている方は54%」で、「月毎に送金している方も59%」いました。

▼調査についてもっと詳しくみる

【外国人労働者の懐事情】 理想の年収と今の年収のギャップはどれくらいある? 日本で働く在留外国人の年収や貯金について

外国人雇用サービスセンターとは?

「費用をかけずにいい外国人の求職者を採用したい!」と考える方なら、外国人雇用サービスセンターはすでに知っているかもしれません。

外国人雇用サービスセンターとは、求人から採用、そしてアフターフォローまですべてのサービスを無料で提供する機関。内閣府が主導して行う「就労支援の公的機関」です。
外国人版のハローワーク、ともいわれています。

少子高齢化によって、働き手が減ることは政府に大きな課題です。「日本で就労意欲のある外国人をもっと採用しよう!」という働きかけをして、人材不足の企業を支援するために生まれた機関です。

外国人雇用サービスセンターは、東京、名古屋、大阪、福岡に設けられています。東京には「東京センター」と「新宿センター」の2カ所があって、対象となる外国人の資格や状況で扱う求人が変わります。

▶︎現在の住所はこちらから

センターごとの特色
東京センター卒業後も日本で働きたい留学生、「技術・人文知識・国際業務」「技能」など、専門的・技術的分野の在留資格を持っている外国人が対象
新宿センター日本人の配偶者、定住者、永住者といった、就労に制限のない在留資格を持っている外国人とアルバイトを探す留学生が対象

提供される支援の中でも、企業側としても嬉しいのが「在留資格に関するサポート」でしょう。

外国人を雇いたい場合には、企業側が入国管理局に申請をして、許可をもらう必要があります。一連の流れを具体的に示すと以下の通りです。

  1. 就労ビザ取得の見込みを調査
  2. 内定を出したら雇用契約書を作成
  3. 就労ビザの申請手続き
  4. 入国管理局で就労ビザの審査
  5. 雇用開始

外国人雇用サービスセンターの就労支援

外国人雇用サービスセンターを利用することで、実質無料で外国人を採用することが可能です。
実際に企業が外国人雇用サービスセンターの支援なしに、外国人採用をすると以下のお金がかかります。

・求人掲載(大手就職サイト):0〜28万円(4週間)
・説明会ブース出展(career forum):190万円(3日)
・採用紹介料(大手就職サイト):0〜100万/人
・在留資格手続き代行(大手代行会社):30万/人

外国人雇用サービスセンターのメリットは?

◉情報が豊富!

外国人雇用サービスセンターには、外国人採用に関する情報が豊富にあります。
内閣府が管理しているため信頼性も高く、外国人就労希望者も採用企業も多くの方が利用しています。

◉入管手続きの見本を見られる!

外国人雇用サービスセンターでは、「入管手続きの見本を見る」ことができます。
就労ビザ取得に必要となる入管手続きの書類ですが、じつはこれといった型が決まっていません。

必要記入事項は変わらないのですが、作成者によって書式や形式が異なります。
代行することなく自社で準備するとなると、社内にひな形がない場合はネット上で探すことになります。ただ情報がたくさんありすぎて、どれが最新で正しいのかわからなくなってしまうでしょう。

外国人雇用サービスセンターの見本は、内閣府管轄の厚労省が出している信頼できるものです。これらを参考として、職員に相談して支援を受けながら資料作成することができることはメリットです。

◉求人を無料で出せる!

外国人雇用サービスセンターには一定数の求人が集まります。求人も無料で出せますので、そこはメリットといえるでしょう。

外国人雇用サービスセンターのデメリットは?

日本に住んで働く外国人が増えていることは、すでにニュースなどで知っている方も多いでしょう。外国人雇用サービスセンターは国が運営している機関ですので、外国人版のハローワークのようなものです。

日本人の転職活動においても、ハローワークを通じて行われるものよりも、民間の会社が立ち上げている人材紹介サービスを通じて行われるものの方が、質がよく、数も多いという印象をもたれる方もいるはず。

民間の外国人採用を行うサイトのメリット見れば、それが自ずと公的機関の外国人雇用サービスよりすぐれている部分になります。

◉広告費と効果的採用

民間での求人応募サイトでは、広告を通じて求職者にアプローチする手段が取られます。一方で公的なサービスでは、求職者に対して積極的なアプローチをしません。それゆえに人材の質という意味では、積極的に広告費をかけて求人を集める方がいい人材が集まりやすくなります。

◉求職者層の多様性

民間の求人応募サイトでは、より多様なバックグラウンドの求職者にリーチすることができます。特定のスキル、経験を持っている方にも、民間の求人サイトはより効果的にアプローチできます。

◉サービスに追加される価値

民間の会社は競合他社や公的なサービスにユーザーの満足度で負けてしまっていては、企業として存続していることも難しいです。よって民間企業は採用のプロセス全体へのサポート、助言、応募者のスクリーニング、選考支援などで、さまざまな価値を提供します。

これによって外国人採用サービスを利用した企業は、かけた時間費用に対して、効率的に採用を進めることが可能です。

外国人雇用サービスセンターについて、理解は深まりましたか?

外国人雇用サービスセンターは、日本人にとってのハローワークのような存在です。人手不足がどの業界も慢性的になっている中、このような行政が主導するサービスでどのくらい人手を確保できるのかは実際に利用してみないとわからないかもしれません。

行政のサービスと民間のサービスではそれぞれに強みがあり、そのどちらもから話を聞いてみて、より自分たちのニーズに合う採用活動をされてみてはどうでしょうか? 

弊社は在留外国人の中でも、身分系と呼ばれる、永住者、定住者、配偶者の方の採用で大きな実績を残してきました。今年から特定技能での紹介事業も始めました。まだ知識が全然ないという方でも、ぜひ一度ご相談ください。