外国人採用において、在留カードの確認は不法就労を防ぎ、適正な雇用を実現するための基本です。

特に「技能実習」の在留資格を持つ外国人の場合、他の在留資格とは異なる特有のルールが存在するため、より慎重な確認が求められます。

この記事では、技能実習生の採用を検討している、またはすでに行っている企業の採用担当者様に向けて、在留カード確認における重要なポイントを、行政機関の情報を基に分かりやすく解説します。

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最重要:「在留資格」欄の読み解き方

まず確認すべきは、在留カード表面にある「在留資格」欄です。

  • 「技能実習」の記載:ここに「技能実習」と記載されていることを確認します。技能実習には、技能等の習熟度に応じて1号、2号、3号の区分がありますが、いずれもこの欄で「技能実習」と表示されます。
区分主な内容
技能実習1号基礎的な技能習得を目的とした初期段階
技能実習2号習得した技能の熟練度向上を目的とした中級段階
技能実習3号高度な技能の定着や指導を目的とした上級段階(優良認定機関のみ)

 

  • 他の在留資格との違い: 「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」など、他の就労可能な在留資格とは全く異なる制度です。混同しないよう注意が必要です。
在留資格名主な特徴
特定技能1号人手不足分野で一定の技能を持つ外国人が就労可能
特定技能2号高度な技能を持つ外国人が長期就労・家族帯同可能
技術・人文知識・国際業務専門知識や技術を持つ外国人が事務職や専門職に従事

(出典:出入国在留管理庁「在留カードとは?」

 

【保存版】在留カードはココを見る!確認ポイント早わかりガイド

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「就労制限の有無」欄は要注意!「指定書」とのセット確認が必須な理由

次に「就労制限の有無」欄を確認します。技能実習生の場合、多くは以下のような趣旨の記載があります。

  • 「在留資格に基づく活動のみ可」
  • 「指定書記載の活動のみ可」 など

これは、「許可された特定の業務・作業以外は一切行うことができない」という厳しい制限を示しています。一般的な就労ビザのように「技術・人文知識・国際業務の範囲内ならOK」といった柔軟性はありません。注意点として、この欄だけでは「具体的にどの仕事ができるのか」までは分かりません。

セットで確認必須!「指定書(技能実習計画認定通知書 添付)」とは?

在留カードの就労制限欄で示された「許可された活動」の具体的な内容は、「指定書」で確認する必要があります。

【指定書とは?】

一般的に「指定書」と呼ばれるこの書類は、通称です。 正式には、外国人技能実習機構(OTIT)が技能実習計画を認可した際に発行する「技能実習計画認定通知書」の別紙(添付書類)を指します。この書類は、「誰が、どこで、どのような技能実習を行うのか」を公的に証明するものであり、記載された内容こそが、その技能実習生に法的に許可された活動のすべてとなります。

 

【国の認定を目指せ】技能実習計画 | WINDS行政書士事務所

【ここを確認!指定書の重要チェック項目】

指定書を確認する際は、以下の項目を一つひとつ、厳密にチェックする必要があります。

  1. 技能実習生の氏名・国籍・対象となる本人に間違いないか、在留カードやパスポートと照合します。
  2. 実習実施者(受入れ企業名)と実習場所・自社の名称・住所が正しく記載されているか確認します。
    ・特に、本社と実習工場が異なる場合などは、実際に実習を行う場所が「実習場所」として正確に記載されているかが重要です。記載のない場所での作業は一切できません。
  3. 技能実習の職種及び作業内容(【最重要項目】)・ここが指定書の核となる部分です。「職種名」と「作業名」が具体的に記載されています。(例:職種「パン製造」、作業「製パン作業」)
    ・重要なのは、ここに記載された作業以外の業務には、たとえ数分であっても従事させられないということです。「人手が足りないから、少しだけ別のラインの梱包作業を手伝ってもらう」といった安易な判断が、後述する重大な違反につながります。

【なぜ「指定書」の確認がこれほど重要なのか?】

この書類の確認を怠ることは、企業にとって計り知れないリスクを招きます。

  • リスク①:意図しない「不法就労助長罪」 指定書に記載のない作業をさせた場合、企業は不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2)に問われる可能性があります。これは「知らなかった」では済まされず、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科される重い罪です。さらに、技能実習計画の認定を取り消され、今後数年間にわたり外国人材の受け入れが一切できなくなるという厳しい行政処分を受けることになります。
  • リスク②:「特定技能」への移行手続きの障壁 技能実習生が日本でさらに活躍したいと考えた場合、「技能実習」から「特定技能」へ在留資格を変更するケースが多くあります。その際、「技能実習2号を良好に修了した」ことを証明する公的な証拠として、この指定書(と技能評価試験の合格証明書など)が必須となります。指定書の内容と実際に行ってきた業務内容が異なっていると、資格変更の審査で不利に働く可能性があります。

指定書ってなに?発行される外国人の条件、書かれている内容や採用時に確認したいポイントを見本付きで解説!

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原則NG!在留カード裏面「資格外活動許可」欄の見方

技能実習生は、実習として許可された活動以外で収入を得る活動(アルバイトなど)は原則として認められていません。

  • 確認箇所: 在留カード裏面の「資格外活動許可欄」を確認します。
  • 通常の状態: 技能実習生の場合、この欄は通常「許可なし」を示すスタンプが押されているか、何も記載されていません。
  • 「許可」の記載がある場合: 万が一「許可」の記載がある場合は、許可されている活動内容と時間(通常は週28時間以内)が明記されていますが、技能実習生に資格外活動が許可されるケースは極めて例外的です。
    (出典:出入国在留管理庁「資格外活動許可について」

安易に副業やアルバイトを許可・黙認しないよう、制度を正しく理解しておくことが重要です。

不法就労助長罪は身近な問題?!逮捕、起訴されたケースの事例についても紹介します!

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在留カード確認で陥りがちな失敗例と、ミスを防ぐためのチェックポイント

 

技能実習生の在留カード確認では、知らず知らずのうちに重大なコンプライアンス違反を犯してしまうリスクが潜んでいます。ここでは、採用担当者様が陥りがちな失敗例と、それを未然に防ぐための具体的なチェックポイントを解説します。

【失敗例①】善意で「ちょっとだけ」と別の作業を頼んでしまう

現場が忙しい時など、「人手が足りないから、少しだけ手伝って」と、許可されていない別のラインの梱包作業や、事務所の清掃などを頼んでしまうケースです。これは善意からであっても、最も起こりがちで、最も重大な違反の一つです。

  • ✅ ミスを防ぐには 指定書に記載された「職種・作業内容」と、指示する業務が完全に一致するかを常に確認してください。技能実習生に許可されているのは、あくまで「技能実習計画」で認定された業務のみです。指定書は「やっていいことリスト」ではなく、「これ以外は絶対にやってはいけない」というルールブックだと認識することが重要です。

【失敗例②】在留期間の更新を「本人任せ」にしてしまう

在留期間の管理は本人が行うもの、と考え、更新手続きの進捗を全く確認しないケースです。技能実習生本人が手続きを忘れてしまったり、書類の準備に手間取ったりして、気づいた時には在留期限が目前に迫っている、という事態を招きます。

  • ✅ ミスを防ぐには 企業側で「外国人雇用管理台帳」を作成し、在留期間の満了日を必ず記録・管理してください。スケジュール管理ツールなどを活用し、満了日の3ヶ月前にはアラートが鳴るように設定しておくと安心です。在留期間の更新は、企業が主体となってサポートする責任がある、という意識を持ちましょう。

【失敗例③】在留カードの目視確認だけで「本物」だと信じ込む

採用時に在留カードのコピーを取るだけで、そのカードが本当に有効なものかどうかの確認を怠るケースです。近年、精巧な偽造在留カードが出回っており、目視だけで真贋を判断するのは極めて困難です。

  • ✅ ミスを防ぐには 必ず出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」サイトで、カードの有効性をチェックしてください。採用時の一度だけでなく、在留期間の更新時など、雇用期間中も定期的に確認することで、偽造カードや失効したカードを使い続けられるリスクを根本から断つことができます。
    (出典:出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報照会

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まとめ:適正な確認が技能実習生の活躍と企業の信頼を守る

技能実習生の受け入れは、人材確保の有効な手段となり得ますが、その制度は他の在留資格と比べて特有のルールが多く、複雑です。

在留カードの確認においては、表面の記載事項だけでなく、「指定書」との照合や資格外活動の制限など、技能実習ならではのポイントを確実に押さえる必要があります。

これらの確認を怠ると、不法就労助長といった重大なコンプライアンス違反につながるリスクがあります。

正しい知識に基づいた適正な確認と労務管理を行うことが、技能実習生の活躍を支援し、企業の信頼を守ることに繋がります。

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