【2024年版】人手不足が起きている業界の現状と解決策をご紹介!
日本ではさまざまな業界で人手不足が深刻化しているのはご存知でしょうか。日本人の人口減少、生産人口の海外移住などさまざまな原因で人材不足が加速化しています。また、パンデミックによる影響で、飲食業、宿泊、ホテル業では一時的に衰退がおこり、人員削減が行われました。
しかし、現在では需要が急回復したことで、またもや供給が追いつかなくなっています。本記事では、人手不足の原因や背景、また人手不足が深刻化している業界とその解決策をご紹介していきます。
目次
人手不足の原因と背景
日本ではさまざまな業界で人手不足が起きています。では、なぜ人手不足が起きているのでしょうか。人手不足が深刻化している業界を紹介する前に、人手不足が起きている原因やその背景についてご紹介していきます。
日本の人口減少・少子高齢化が人手不足を加速
出典:総務省統計局
人口減少、少子高齢化が人手不足の原因の1つにあげられます。日本の総人口は13年連続で減少を続けており、減少幅も12年連続で拡大。また、少子高齢化も進んでおり、2024年の日本国民の平均年齢は約48歳となっています。過去20年間で日本国民の平年年齢は41歳から48歳に。
このように日本人の人口減少、少子高齢化による生産労働人口の減少が根本に、各業界での人手不足を引き起こしています。
若者や生産労働人口層の海外流出
若者・生産労働人口層の海外流入も各業界の人手不足の原因となっています。毎年、人口減少により労働者人口が減少していますが、移住、就労目的で海外に移り住む生産労働者層も増えており、日本の人手不足が加速化。
海外流出の原因は、日本の労働賃金、労働環境の観点からだといわれています。外務省が発表している情報によると、2023年の海外永住者の人数は約57万人、過去30年連続で増加。このように海外に拠点をうつす人がふえている点も日本の人手不足の背景にあります。
人手不足の業界はどのように変化した?
パンデミック開始以降、「営業自粛」や「事業縮小」を余儀なくされ、多くの失業者を出した業界が近年再び顧客を取りもどし、人手不足に陥っています。代表的な例は飲食業です。
帝国データバンクによる調査では、飲食業界の非正規雇用についてコロナ禍の2021年では50%が人手不足であったものの、2023年の調査では85.2%までその数値が上がり、業界トップを記録しています。
主な原因として、飲食店ではパート・アルバイトの非正規労働者が雇用者全体の7割以上を占めており、人の出入りが激しい業界であることが考えられます。また、観光客の復活にともなう、顧客の急増もかなり影響しているでしょう。
その対応策として回転寿司チェーン店などを始め、一部の店でIT化や自動化が進められてきました。しかし、接客業ではその場における柔軟な対応が求められることや、コストの面で、非正規労働者を中心とした労働環境を抜け出せずにいます。
【2024年】人手不足が起きている業界
飲食業以外にも、人手不足の問題が広がり続けている業界は多くあります。ここ数年間、人手不足は日本全体の問題として注目されていますが、いまだに状況は悪化しつづけています。深刻な人手不足に直面している業界を紹介し、業界ごとの現在の状況と、どのような取り組みがなされているかを紹介していきます。
宿泊・ホテル業界
宿泊・ホテル業界では飲食業と同様に、パンデミックの影響によって大幅な人手不足がおこっています。帝国データバンクの調査によると、正社員の人手不足率が75.5%、非正社員が78%と、どちらも高い割合になっていることがわかっています。
その原因として考えられているのが、離職率の高さです。厚生労働省の発表した調査によると、宿泊・ホテル業界の入職率は23.5%なのに対し、離職率は全業界の中でもトップの25.6%となっています。
対応策として、多くの宿泊施設では、デジタルツールの導入を行っています。例えば、自動チェックイン機や問い合わせ対応のAI化、清掃業務におけるロボットの活用があります。しかし、このような業務の自動化を進めるなかでも人手は足らず、観光客を中心とした宿泊者が増加する一方の状況が続いています。
建設業界
建設業界は新型コロナウイルスの流行が雇用環境に与えた影響は比較的少なく、コロナ後も依然として人手不足の状況が続いています。実際に、建設業就業者は2013年から2022年の10年間にかけて、20万人減少している状況です。2024年現在、建築業では69.2%の企業が人手不足を感じています。
その中で高齢化も進んでおり、総務省労働力の調査によると現場の6人に1人が65歳以上。
参考:総務省 労働力調査(基本集計)(令和4年)平均結果の要約
また、建設業では、「現場作業」において人材派遣が認められておらず、建設業特有の規制も人手不足を解消する障壁となっていることがわかります。
近年では、若者による「危険で過酷な職場」だという印象をいだかれていることをふまえ、業界全体としてイメージアップを試みるためのイベントや取り組みが行われています。その影響から、厚労省による雇用動向調査では、建設業に新たに入職する新規学卒者は増えていることがわかります。
くわえて、外国人労働者を受け入れる動きも進んでおり、一例として、清水建設では国内外の外国人労働者がより働きやすい職場環境作りを目指し、人権尊重の取り組みを強化。そのほかにも、国土交通省が建設産業における女性の定着促進に向けた建設産業行動計画を官民一体となって行なっています。
運送・物流業界
運送・物流業界でも、高齢化と需要の増加が進むなか、人手不足が深刻化しています。総務省の調査によると、25〜34歳の労働者が1,151万人なのに対し、55〜64歳の労働者は1,235万人となっており、55歳以上の労働者が若年層をこえる現状があります。
近年では、オンラインショッピングや宅配サービスなどの利用がさらに広がり、細かい時間指定や当日・翌日配送のようなサービスが高度化したことにより、仕事と働き手のギャップがより拡大しています。
また、テクノロジーによる自動化が進みづらい分野でもあります。自動運転に限らず、運転貨物の荷下ろしなど、現場での効率化は途中段階といえます。テクノロジー分野の導入はまだ途中段階ですが、政府が運送業界の人手不足解消を目的にした、特定技能「自動車運送業」を施行しました。この制度は、トラック、タクシー、バスなどの運転業務が対象となるため、外国人人材の雇用で運送業界の人手不足が緩和されるかもしれません。
人手不足を解消するための取り組みは?
少子高齢化等の社会問題が、人手不足の大きな要因になっていますが、実際にどんな対応を取っていけばよいのでしょうか。その対応策をご紹介いたします。
①給与・雇用条件を見直す
なかなか人員が集まらないということであれば、今の条件に問題があるかもしれません。とくに給与は人材を獲得するための重要な要素であり、応募者が少なく離職率の高い業種では、給与の低さが原因となっていることが継続的な調査によりわかっています。
給与を上げたり、待遇を見直すことはコストのかかる対策に見えますが、長期的にみると効果的です。モチベーションの高い人材を採用できれば、離職率が下がり、人員不足を解消につながります。
②ITや技術で業務効率を改善する
人員で補填できない業務を技術で解決するのも一つの選択肢です。看護や介護業では記録をアプリやシステム化、一部の運送業では、トラックへの積載を機械化するなど少しずつですが業務効率改善が図られています。
また、現場の負担が軽減されることで結果として定着率が上がることも期待できます。
③未経験の人材も採用する
未経験の人材を採用することも、人手不足の解決策の1つです。人材採用をする際、多くの場合に応募条件や採用にたいして何らかの基準をもうけるのが一般的です。しかし、基準をみたす人材がなかなか集まらないこともよくあります。
そこで未経験の人材を採用するという選択肢をもつことも人手不足を解決するときにおすすめです。即戦力とはいかないかもしれませんが、社内で教育環境、マニュアルなど整備すれば会社にフィットする人材に成長する可能性は多いにあります。そのため、人手不足を解消するさいに、未経験人材を採用するという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
④外国人労働者を採用する
近年、多くの業界で外国人労働者を積極的に受け入れる取り組みが進められています。導入していない企業にとってはハードルが高く感じられるかもしれませんが、一度社内でマニュアル化してしまえば、長期的に行える対応策といえます。また、アフターコロナにより、観光客が増えたいまでは、外国人労働者は貴重な人材であり、求職意欲の高い在日外国人の方を採用していくのは、むしろ「効率的」ともいえます。
人手不足は今後、いつまで続くのか
人手不足が今後、いつまで続くかというのは景気やテクノロジーに左右されます。そのため、今後何年人手不足が続くかというのはわかりません。
しかし、日本の人口は過去10数年を振り返っても減少が続いているため、人的リソース自体は減少していくという予想がたてられます。
人手不足を解消するために、テクノロジーの導入や外国人人材の雇用などさまざまな人材確保のオプションを持っておくことが重要になりそうです。
人手不足の現状についてわかりましたか?
アフターコロナの影響によって労働環境が大きく変化しましたが、人手不足の問題は変わらず広がり続けています。業界によって問題の内容が異なっているため、適切な対応を取ることが重要です。
最新の動向を確認し、自社で取り入れられる取り組みを積極的に導入していきましょう。