外国人が日本で生活するには、身分を証明する在留資格が不可欠です。その中でも「配偶者ビザ」という在留資格は、新規取得する際の審査が厳しいことで知られています。

今回の記事では、配偶者ビザの有効期限が切れるまえに、更新をスムーズに終わらせるための手続き、ポイントを解説いたします。

配偶者ビザの更新対象になる外国人

配偶者ビザとは、在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の総称です。
更新対象になるのは、この2種類のどちらかを持っている外国人で、在留期限が切れる3ヶ月前をむかえた方です。対象者は「在留期間更新許可申請」が可能です。

配偶者ビザ更新手続きの流れ

配偶者ビザ更新の流れは上記のようになります。

STEP1. 夫婦で提出書類を収集・作成

申請時に出す書類を集めて、作成します。

書類の種類やこまかな点は以降で書きますが、申請者である本人が記入する書類のほかにも、申請者の配偶者(日本人もしくは永住者)が準備する書類があります。

提出書類の準備には手間や時間がかかります。
夫婦で協力しながらとりかかりましょう。

STEP2. 申請書類の提出・提示

STEP1 で収集・作成した書類を、本人が地方入国管理局(※外国人本人の居住地を管轄している支局・出張所)の窓口にて提出します。出張所は居住地からかなり遠くなってしまう場合もあります。

また事前(申請日の約2週前まで)に利用の申し込みをしておくと、オンラインでの申請ができます。

参考:出入国在留管理庁 地方出入国在留管理官署
参考:出入国在留管理庁 在留申請のオンライン手続

STEP3. 審査

提出した書類をもとに、出入国在留管理局が審査をします。

審査の途中でも、申請者やその配偶者(日本人もしくは永住者)に追加書類の提出がもとめられることがあります。その際はすぐ対応しましょう。

STEP4. 許可通知

審査が完了すると、出入国在留管理局から許可通知が届きます。
窓口で申請した場合は「郵送」。
在留申請オンラインシステムから申請した場合は「メール」で通知されます。

どちらの申請方法にしても、審査には2週間〜1ヶ月ほどの時間がかかります。

STEP5. 新しい在留カードの受け取り

新しく発行された在留カードを「地方入国管理局(外国人本人の居住地を管轄している支局・出張所)の窓口」もしくは「郵送」で受けとります。

窓口で受けとる場合に持参するもの

  • 更新・変更申請の許可通知書
  • パスポート
  • 現在の在留カード
  • 手数料納付書(収入印紙 4,000円分)

郵送で受けとる場合に送付するもの

  • 現在の在留カード
  • 手数料納付書(収入印紙 4,000円分を貼りつけたもの)
  • 在留カード送付用の封筒(宛先を書き、簡易書留代分の切手を貼ったもの)

参考:法務省 手数料納付書

また注意したいのは、書類を提出したあとに審査状況の確認はできないという点です。

出入国在留管理庁に連絡して「書類を受け取り、審査に入っているかどうか」は確認できます。
しかし「書類に不備や不足があったか」「審査で許可はおりそうか」といった、審査に関わる質問は回答してもらえません。

参考:出入国在留管理庁 外国人在留総合インフォメーションセンター等

配偶者ビザ更新に必要な書類一覧

最低限準備が必要な書類

以下が申請する際に必要となる書類です。

 内容
在留期間更新許可申請書

入国管理局で指定されている公式の申請書です。正確に記入する必要があります。書類は、入国管理局のウェブサイトでダウンロード可能です。

パスポート

申請者の有効なパスポート(原本)。更新手続きの際には、提示する必要があります。

在留カード

申請者の在留カード(原本)。こちらもパスポートと同様に提示が求められます。

日本人配偶者の戸籍謄本

直近3ヶ月以内に発行されたものが必要です。これは日本人配偶者の婚姻関係や家族の状況を確認するためです。

日本人配偶者の住民票

申請者と配偶者が同居していることを確認するための書類です。日本人配偶者の住民票を取得し、記載内容が最新であることを確認してください。

申請者と配偶者の収入証明書

収入や生活の安定性を証明するために必要です。以下のいずれかを提出します。

  • 日本人配偶者の源泉徴収票または所得証明書
  • 最近の給与明細(数ヶ月分)
  • 納税証明書(課税証明書とも呼ばれる)
写真申請者の最近6ヶ月以内に撮影された縦4cm x 横3cmの証明写真が1枚必要です。顔がはっきり見えるものを用意します。
質問書

入国管理局から求められる場合があります。
これは夫婦関係の実態を確認するための書類で、結婚生活の詳細について質問されます。

婚姻証明書(日本国外で結婚した場合)

国際結婚の場合、婚姻が成立した国の婚姻証明書(日本語翻訳付き)も提出する必要があります。

追加で準備ができるといい書類

最低限の書類にくわえて、以下の書類が用意ができれば審査官による確認がスムーズに進みます。

 内容
経済的基盤を強化していることが証明できる資料

安定的に日本で生活を送れることをアピールしましょう。
・雇用契約書
・内定通知書 など

スナップ写真

婚姻関係が継続していることの信ぴょう性を高めるために、前回の申請以降に夫婦で撮影した写真(2人の顔が判別できるもの)を2~3枚程度添付しましょう。

コミュニケーションツールのキャプチャ

LINEやメッセンジャーなどで夫婦が日々やりとりしているスクリーンショットを添付し、婚姻関係が継続していることをアピールしましょう。

・日付がわかる画像
・フルネームが表示されている画像
・3ヶ月以上のやりとり(1月1枚、最低3枚)

理由書

上記の追加書類を複数提出できる場合は「理由書」としてひとつの書類にまとめましょう。
以下の内容に当てはまる場合は証明できる書類を添付して、日本への定着性をアピールすることをおすすめします。

・妊娠
・出産
・子育て
・運転免許の取得
・ボランティアなど社会活動への参加
・別居中の交流(※単身赴任などのやむを得ない場合)

配偶者ビザ更新時の審査ポイント

新規で取得した配偶者ビザは、基本的に在留期間が1年で発行されるケースが一般的です。
更新時には多くの人が「在留期間が3年以上」の配偶者ビザを目標にします。

ではそれぞれの在留期間ごとに、審査で注目されるポイントを解説します。

在留期間「5年」の配偶者ビザの審査基準

  • 住所の変更や所属期間の変更などがあった場合は、入管法上の届出義務を果たしている
  • 申請者本人が、各種税金・年金・健康保険などの公的義務を果たしている
  • 配偶者・支弁者(生活維持者)が、各種税金・年金・健康保険などの公的義務を果たしている
  • 配偶者(日本人/永住者)との同居期間が3年を超えている
  • 婚姻生活の継続が見込める
  • 小中学生の子供がいる家庭の場合には、学校に通学させている

在留期間「3年」の配偶者ビザの審査基準

  • 住所の変更や所属期間の変更などがあった場合には、入管法上の届出義務を果たしている
  • 申請者本人が各種税金・年金・健康保険などの公的義務を果たしている
  • 配偶者・支弁者(生活維持者)が各種税金・年金・健康保険などの公的義務を果たしている
  • 申請後の滞在予定期間が1年以上である
  • 婚姻生活の継続が見込めて、1年に1度の確認は不要とみなせる

在留期間「1年」の配偶者ビザの審査基準

在留期間「5年」「3年」の審査基準を満たしていない場合や、以下のいずれかに該当すると判断された場合には、在留期間が「1年」になる可能性が高い。

  • 申請後の滞在予定期間が1年未満である
  • 婚姻生活を取りまく状況から、1年に1度の確認が必要とされる

※離婚調停中や離婚訴訟が行われている場合、もしくは夫婦の一方に離婚の意思があるときは在留期間が「6ヶ月」になる場合があります。

審査で注目されるポイントは、おもに上記の内容になります。しかしそのほかにも「夫婦のつながり」が明確に記載できる場合は、積極的にアピールしましょう。とくに5年や3年の在留期間をめざす場合には「婚姻生活の継続性」の証明がとても重要です。
基本的に理由書は必要
だと考えましょう。

配偶者ビザの更新が許可・不許可になった事例と解決策

配偶者ビザの取得は期待と不安が入り混じるものです。ときには申請が不許可になることもあり、その理由はさまざまです。
ここからは配偶者ビザが不許可となる事例と、それに対する解決策について紹介します。

配偶者と同居していない場合

同居していない場合でも、やむを得ない理由を証明することで配偶者ビザの更新が許可された事例があります。

たとえば「配偶者が単身赴任している」「すれ違いがあったが、円満回復に向けて具体的に行動している」などの場合は、単身赴任証明書や家庭裁判所の係属証明書を提出して「やむを得ない理由によって別居中」であることを証明しましょう。

収入が安定していない場合

申請者の世帯収入が370万円に満たず、配偶者ビザの更新が不許可になった事例があります。

明確に定義された要件ではありません。しかし日本で生活するうえで必要な年収は、支弁者が300万円、被扶養者1名あたり追加で70~80万円が目安とされています(子供の人数も含めます)。

夫婦二人暮らしの場合は、最低でも世帯収入が370万円を超えておくべきでしょう。

「生計の安定性」を証明するためにも、支弁者の年収が370万円以下の場合は、不足分を被扶養者が補えるようにアルバイトなどを検討しましょう。
また求職中の場合には、「ハローワークの登録をしている」などの説明ができるようにしましょう。

申請書類が過去に提出した経歴と異なる場合

更新時に出入国在留管理庁へ出す書類の内容が、「過去に提出した書類の内容と異なっていた」という理由で、配偶者ビザの更新が不許可になった事例があります。

この事例は、「在留期間更新許可申請書の書き間違い」により発生することが多いです。
また住所の変更や所属期間の変更などがあった場合に、届出をおこなっていなかった場合も不許可になることがあります。

在留資格に関する提出書類はすべて控えをとっておき、つぎに申請するタイミングで内容に違いがないか確認しましょう。

さいごに

配偶者ビザの更新方法と申請時に押さえておきたいポイントについて紹介しました。

配偶者ビザは一度でも不許可になってしまうと、再申請の許可率が下がってしましまうともいわれています。
配偶者である日本人や永住者と協力しながら、審査に有利となる資料を準備して配偶者ビザを更新しましょう!