日本では、深刻な人手不足を補うために外国人労働者の受け入れが広がっています。
けれども実際の現場では、文化や言葉の違いから思わぬトラブルが起こることも少なくありません。

外国人を雇ううえで注意すべき点はいくつかありますが、事前の準備をしっかり行えば、多様な人材を安心して迎え入れられます。

この記事では、外国人雇用で起こりやすい7つの問題と、その解決策をわかりやすく紹介します。

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外国人を雇う企業は年々増えている

外国人労働者の推移グラフ2025年10月末時点

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)

厚生労働省の発表によると、令和7年(2025年)10月末の時点で日本で働く外国人は2,571,037人、外国人を雇っている事業所は371,215所にのぼり、届出が義務化された平成19年以降で過去最多を更新しました。

少子高齢化が進む中で、日本では今後さらに人手不足が深刻になると予想されています。
全国の労働力人口は、2025年の7,004万人から2040年には5,460万人まで減ると見込まれており、長期的な人材確保を見すえた受け入れ体制づくりが欠かせません。

外国人労働者への需要はこれからも高まり、大企業だけでなく中小企業でも採用の動きが広がっていくでしょう。

日本で働く外国人が企業に期待していること

外国人が「なぜ日本で働きたいのか」を理解しておくことは、採用力を高めるうえで重要です。こうした期待にどう応えていくかが、職場定着のカギになります。

1. 安定して働きたい

日本は経済規模が大きく、世界的にも安定した国として知られています。
さらに、他の国と比べて解雇が少なく、長く働き続けられる点も魅力です。
経済が不安定な国で働くことに不安を感じている人にとって、日本の安定した雇用環境は大きな安心につながっています。

2. キャリアアップやスキルアップをしたい

とくに技術職や専門職で働く人の多くは、日本で学べるスキルや知識が世界で高く評価されていることを知っています。
日本の技術やノウハウを身につけることで自分の力をさらに高められると考える外国人も少なくありません。

3. 家族を支えたり、より良い生活を送りたい

日本で働いて得た収入を、母国にいる家族の生活費や教育費にあてたいと考える人もいます。
また、日本は医療や教育などの社会保障制度が整っているため、家族と一緒に安全に暮らせる国として人気があります。

4. 国際的なキャリアを築きたい

日本企業は海外拠点や国際案件が多く、グローバルに関わる機会が得やすいため、日本での実務経験を次のステップにつなげたい人も増えています。

参考:厚生労働省 外国人労働者をめぐる現状と課題

参考:総務省統計局 「労働力調査」2025年(令和7年)平均結果の要約

外国人雇用で課題となっていることは?

チェックリストのコンセプト画像

統計を見てもわかるように、日本では外国人の働き手を積極的に受け入れています。
外国人の多くも、日本で働くことに期待を寄せて来日しています。ただし、重要な労働力となっている一方で、外国人を雇う際にはいくつかの課題もあるのが現実です。

ここからは、東京都内で働く外国人労働者や、外国人を受け入れている企業から寄せられた相談内容をもとに、おもな課題を紹介します。

課題① コミュニケーションのすれ違いが起きやすい

外国人が日本で働くとき、「言葉の壁」や「文化の違い」が原因で、意思の伝わり方にずれが生じることがあります。
たとえば、指示の内容を誤解してしまったり、質問や相談を遠慮してしまったりするケースです。

厚生労働省の最新調査でも、企業が抱える課題の中で最も多いのは「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」(43.9%)という結果でした。

このようなすれ違いは、誤解や対立を生みやすく、双方にストレスを与える要因にもなります。
職場の人間関係を良好に保つためには、言葉や文化の違いを理解し合い、歩み寄る努力が欠かせません。

参考:厚生労働省 令和6年外国人雇用実態調査

課題② 賃金や待遇への満足度を高める工夫が必要

外国人労働者の中には、入社前に聞いていた条件と実際の待遇に差があり、不満を感じる人もいます。
母国よりも日本の生活費が高いことや、税金・社会保険の仕組みが分かりにくいことが原因で、負担を感じる場合も少なくありません。

法律上、外国人も日本人と同様に同一労働同一賃金の原則が適用されます。
外国人労働者からは「日本人と同じ、またはそれ以上の待遇」を求める声が多く、等級や役職ごとの賃金テーブルを明示することは信頼関係づくりで欠かせないポイントです。

また、一部の企業では「長時間労働」や「低賃金」で働かせている例も報告されています。
こうした不公平な扱いは、職場への不信感を生み、労使トラブルにつながる恐れがあるため早い段階での改善が求められます。

課題③ 労働環境に慣れるまで時間がかかる

外国人が日本の働き方や文化に慣れるまでには、一定の時間がかかります。
とくに、日本独自の「報連相(ほうれんそう)」細かい品質管理のルールは、初めて働く人にとって戸惑うポイントになりやすいものです。

慣れない環境の中で仕事が遅れたり、ストレスを感じたりすることもあります。そのため、企業は外国人労働者がスムーズに職場になじめるよう、丁寧なサポート体制を整えることが重要です。
違反の多い項目としては「機械安全」「割増賃金」「労働時間」が挙げられ、理解不足が原因のすれ違いも見られます。

課題④ 教育やスキルアップの支援が不足している

外国人労働者が長く働き続けたいと感じるためには、教育やスキルアップの仕組みが欠かせません。し
かし、現状では研修の内容が限られていたり、日本語学習のサポートがなかったりする企業も多いようです。

また、日本企業に特有の年功序列的な昇給・昇進制度への不満も外国人労働者から多く聞かれます。
能力主義的な評価を好む傾向がある外国人にとって、成果が適切に評価されないと感じると早期離職につながるリスクがあります。
やりがいを感じながら働くための「成長を支える制度づくり」が定着率を高める鍵となるでしょう。

課題⑤ 意図せず「嫌がらせ」と受け取られることがある

東京都の労働相談件数は令和6年度で44,440件あり、そのうち「外国人労働相談」は1,970件でした。相談内容のトップは「職場での嫌がらせ」でした。

管理する立場の人に悪気がなくても、外国人からは「嫌がらせ」と受け取られてしまうケースがあります。
たとえば、日本語だけの早口の指示や、人前での強い叱責、アクセントをまねる発言、宗教や食文化を軽く扱う言葉などです。
また、連絡網から外す、残業や休憩の配分が偏る、日本語だけのマニュアルで重要事項を伝えるといったことも、差別的だと感じさせる要因になります。

このような行動が積み重なると、外国人が職場に不信感を持ち、相談や紛争に発展することもあります。
言葉の選び方や伝え方に配慮し、手続きや連絡を「見える化」して運用することが大切です。

参考:厚生労働省 令和6年東京都の労働相談の状況

課題⑥ 在留資格と業務内容のミスマッチによるリスク

外国人を受け入れる企業が見落としがちな課題のひとつが、在留資格と実際の業務内容のズレです。
在留資格(ビザ)には、それぞれ従事できる業務の範囲が定められており、資格外の業務をさせると「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。悪意がなくても、制度への理解不足から違反状態に陥ってしまうケースは今も後を絶ちません。

具体的には、次のような状況が現場でよく起きています。

  • 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用した外国人に、その資格では認められていない検品・清掃などの単純作業を担当させてしまう
  • 「留学」や「家族滞在」など、原則として就労が認められていない在留資格の人を、正式な許可なく働かせてしまう
  • 在留期間が切れていることに気づかず、期限超過の状態で雇用を継続してしまう

企業の担当者が「知らなかった」では済まされず、行政処分や処罰の対象となる場合もあります。
採用時に在留カードを必ず確認し、業務内容と在留資格が一致しているかを定期的にチェックする体制づくりが不可欠です。

課題⑦ 定着率を高めるための取り組みが求められている

これまでの課題①〜⑥が重なることで、外国人労働者が早期に離職してしまうケースも少なくありません。
仕事上のストレスや文化の違いに加えて、私生活での孤独や将来への不安が重なることが、働き続ける意欲を下げてしまうこともあります。

そのため、企業は職場環境の改善だけでなく、生活面のサポートにも目を向ける必要があります。
住まいや相談窓口、日本語学習の機会などを整えることで「この会社で頑張りたい」と思える環境をつくることができるでしょう。

外国人雇用の課題はどう解決する?

日本人と外国人が安心して働ける職場づくりは、基本から一歩ずつ進めるのが近道です。
ここでは、前に取り上げた課題に対して、今日から取りかかれる対策を整理して紹介します。

日本人が「外国人と働くこと」を理解する

文化の違いを学ぶ社員のイラスト

まずは日本人側が、文化や考え方の違いを前提として受け止める姿勢を持つことが大切です。
あわせて、在留資格や手続きなどの基本知識を社内で共有し、誤解が生まれにくい環境を整えましょう。

ポイント

  • 文化・宗教・食習慣・休暇の違いを個性として尊重し、からかいをしない
  • 在留資格・雇用契約・社会保険の基本を一覧にまとめ、全員で確認する
  • やさしい日本語に図や具体例を添えて説明し、必要に応じて母国語で理解度を確かめる
  • 不安があれば、行政書士や外国人採用に詳しい人材紹介会社へ早めに相談する

外国人労働者向けの教育を充実させる

コミュニケーションの土台は、日本語学習の機会です。
さらに、安全や品質のルールは、言語が違っても同じ水準で理解できる形に整える必要があります。

ポイント

  • 日本語学習(社内・外部)を勤務時間内に一部組み込み、到達目標を明確にする
  • 必要な特別教育や免許を洗い出し、計画的に受講する
  • マニュアルを多言語・図解・動画で整備し、改訂の周知を徹底する
  • OJTを実施し、チェックリストで進捗を見える化する

日本人社員と仕事以外で関わる機会をつくる

レジャーを楽しむ人のイラスト

ちょっとした交流があるだけで、誤解は減らすことができます。会社が「話しかけやすい場」を用意し、関係づくりを後押ししましょう。

ポイント

  • 月1回の軽い交流(ランチや短時間の雑談会)を続ける
  • 参加は任意と明記し、宗教や食の配慮を事前に案内する
  • 生活相談の窓口を一本化し、対応言語と受付方法をはっきり示す
  • 連絡網や会議招集から外さない運用ルールを整え、情報の抜けを防ぐ

待遇を日本人と同じ水準にそろえる(同一労働同一賃金)

同じ仕事なら、賃金・福利厚生・休暇などの扱いに差をつけないことが基本です。仕組みを見える化し、納得感を高めることが誤解の防止につながります。

ポイント

  • 職務・等級に基づく賃金テーブルを日本語と多言語で共有する
  • 雇用契約を多言語で作成し、残業代・控除・社会保険の扱いを具体例つきで合意する
  • 評価基準に期待行動の例を明記し、年功と成果の考え方を事前に説明する
  • 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」を定期的に見直し、運用へ反映する

市場の動きを見ながら労働環境を見直す

労働市場の水準はつねに変わります。他社の状況を定期的に確認し、条件や働き方を無理のない範囲で調整していきましょう。

ポイント

  • 賃金・手当・シフトの水準を四半期ごとに点検し、必要に応じて改定する
  • 所定外労働の上限・割増・休憩ルールを、現場で実行できる手順に落とし込む
  • 休憩スペースや設備・備品類を実情に合わせて更新する
  • 業務負荷の申告を匿名でも受け付け、改善サイクルを回す

具体的なキャリアプランを一緒につくる

キャリアアップのイメージ画像

将来の見通しがあると、人は安心して仕事に向き合えます。
スキル、昇給・昇進、在留手続きの道筋を明確にして、本人と合意を重ねましょう。

ポイント

  • 3〜6か月ごとの育成目標(業務スキル+日本語)を本人と共同で設定する
  • 昇給・昇格条件を項目化し、面談で差分と次の目標を共有する
  • 在留資格変更や永住の可能性と要件を説明し、専門家への相談ルートを用意する
  • 社内のキャリア事例を紹介し、成長のイメージを見える化する

地域との交流を促進する

地域に居場所があると、生活の不安がやわらぎます。企業が橋渡しをすると関係づくりが進みやすいため、積極的に支援しましょう。

ポイント

  • 地域イベント(お祭り・スポーツなど)の参加情報を社内で周知する
  • 料理や文化の紹介の場を設け、双方向の理解を促す
  • 自治体の日本語教室や生活相談会に参加しやすい勤務調整を行う
  • 災害や医療の緊急連絡カードを多言語で整備し、配布する

専門家・外部リソースを積極的に活用する

外国人雇用に関連する法律や制度は複雑で、変化も多いため、社内担当者だけで判断するのには限界があります。
困ったことが起きてからではなく、採用前の段階から専門家の知見を取り入れることが、トラブルを未然に防ぐうえで有効です。

活用できる専門家の例

  • 行政書士:在留資格の申請・更新・変更手続きの代行、入管法に関するアドバイスなど、ビザに関する業務は行政書士の独占業務です。
  • 社会保険労務士(社労士):労働・社会保険の手続き全般、外国人向け就業規則の整備、助成金の活用支援をしてくれます。
  • 外国人採用に強い人材紹介会社:求人から採用・入社後の定着支援まで一貫してサポートする会社も増えています。

各専門家の役割を理解し、必要に応じて連携することで、より安心かつ効率的な外国人雇用を実現できます。

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