近年、日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しています。特に新型コロナウイルスのパンデミックから回復した2023年以降、観光業はふたたび活況を呈しており、インバウンド市場は今後さらに成長すると予想されています。
観光客のニーズに応えるために、宿泊施設や飲食店、観光施設などのインバウンド対応がますます重要となっています。

その中で、どの国からの観光客が多く、日本に対して親しみを感じているかを理解することは、企業や業界にとって重要なポイントです。

特に親日国からの観光客は、日本の文化や習慣に理解があり、訪日経験も多い傾向があります。彼らに対して効果的なマーケティングやサービスを提供することで、リピーターの増加や口コミによる新たな観光客の誘致が期待できます。

この記事では、2023年度における訪日観光客数や日本との関係を基に、親日国10か国を紹介し、それぞれの国がどのように日本と関わっているかをくわしく解説します。

なぜ日本に友好的な国が多いのか

経済的な協力と支援

日本は、戦後の復興を成しとげたあと、アジアや世界各国への経済協力や開発援助(ODA)を積極的に行ってきました。特にアジア諸国に対して、日本はインフラ整備や教育、技術移転など、多岐にわたる支援を行っています。

たとえばインドネシアやフィリピン、ベトナムなどの国々では、日本からの経済援助や技術支援が国の発展に大きく寄与しており、その結果として日本に対して好意的な感情を抱く国が多くなっています。

歴史的な関係

日本の外交は、第二次世界大戦後、平和主義を基盤に構築されてきました。戦後、日本は戦争の反省を基に、周辺国や旧植民地に対して友好的な関係を築くことを目指しました。特に、賠償金や経済支援を通じて信頼関係を再構築し、東南アジアや太平洋地域の国々と強固な関係を築いています。タイやフィリピン、インドネシアといった国々は、このような歴史的経緯から日本に友好的な姿勢を取っています。

文化的な魅力と影響

日本の文化は、アニメ、漫画、映画、音楽、ファッションなどを通じて世界中に広がり、多くの国々で高い人気を得ています。特にアジア諸国や欧米諸国では、日本のポップカルチャーに対する強い関心があり、これが日本に対する親しみや好意的な感情を促進しています。

例えば、台湾やタイ、フィリピンなどでは、日本のアニメやファッションが非常に人気であり、これが日本に対するポジティブなイメージ形成に寄与しています。

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観光と人的交流

日本は観光立国としての地位を確立しており、多くの国々から観光客が訪れています。訪日外国人が日本の文化やサービス、景観に感動し、帰国後に日本に対して良い印象を広めることで、日本に友好的な国が増えています。特に、韓国や中国、台湾からの観光客は多く、日本を訪れることで日本文化への理解が深まり、親日感情が育まれています。

また、学生や労働者として日本を訪れる人々も増え、日本との交流が活発になっていることも一因です。

平和主義と国際貢献

日本は戦後、憲法で平和主義を掲げており、軍事的な対立を避ける姿勢を堅持しています。また、国連平和維持活動(PKO)への参加や、災害支援などの国際貢献活動を通じて、世界中で信頼を得ています。

こうした日本の姿勢は、多くの国々から好意的に受け取られており、特に発展途上国や戦争被害を受けた国々から高い評価を得ています。

技術力と製品の信頼性

日本の製品や技術は、高品質で信頼性が高く、世界中で評価されています。特に、自動車、家電、電子機器といった分野では、日本製品が世界中で愛用されており、その技術力と品質が日本に対する好感を形成しています。

たとえば、東南アジア諸国では日本の自動車や家電製品が広く普及しており、日本の企業や技術に対する尊敬が根付いています。

異文化理解と交流への寛容性

日本は、国内における外国人の受け入れを強化しており、留学生や労働者の受け入れが進んでいます。また、異文化交流や教育プログラムを通じて、多くの国々と文化的な結びつきを深めています。これにより、他国からの日本に対する理解が深まり、友好的な感情を持つ国が増えています。

観光客が多い親日国10選

韓国

韓国と日本の関係は歴史的には複雑ですが、観光や経済の分野では強い結びつきがあります。2023年度には約600万人の韓国人観光客が日本を訪れ、これは全観光客の中でも大きな割合を占めます。
日本との国交は1965年に樹立され、現在も文化的な交流が盛んです。

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中国

中国もまた、日本との経済的なつながりが深い親日国のひとつです。2023年度には約500万人の中国人観光客が日本を訪れました。日中関係は1972年に正式に国交が回復され、経済協力や観光業が活発に行われています。
中国人観光客は、日本の文化や商品に強い関心を持っており、消費力も高いです。

台湾

台湾はもっとも親日的な地域のひとつで、2023年度には約400万人もの台湾人が日本を訪れました。日本との関係は、戦後の経済協力や文化交流を通じて強化され、台湾の若者を中心に日本のファッション、アニメ、食文化が非常に浸透しています。
国交は存在しないものの、民間レベルでの交流が盛んであり、日本語学習者も多いです。

タイ

タイは日本に対して非常に好意的な感情を持つ国で、東南アジアにおける代表的な親日国です。2023年度には約120万人のタイ人観光客が日本を訪れました。日本との関係は経済的にも文化的にも深く、特にアニメや食文化がタイ国内で大変人気です。日本とタイの国交は1887年に樹立され、その後も緊密な関係が続いています。日本企業の進出や技術協力が、タイの発展に大きく寄与しています。

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マレーシア

マレーシアは、経済や教育分野で日本との強い関係を持っている親日国です。2023年度には約70万人のマレーシア人観光客が日本を訪れました。

特に第4代首相であるマハティール・モハマド氏が1982年に打ち出した「ルックイースト政策」によって、日本への留学や技術研修が盛んになり、日本企業の存在感も大きいです。
日本とマレーシアの国交は1957年に樹立されました。

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フィリピン

フィリピンは、戦後日本からの経済援助を受けたことから、日本に対して好意的な感情を持っています。2023年度には、約60万人のフィリピン人観光客が日本を訪れました。特にフィリピンでは、日本の家電製品や自動車が高く評価されており、また日本のアニメや音楽も人気です。日本とフィリピンの国交は1956年に再開され、その後の経済協力が関係を深めています。

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ベトナム

ベトナムは日本に対して非常に友好的であり、2023年度には約50万人のベトナム人観光客が日本を訪れました。日本との国交は1973年に正式に樹立され、近年では経済的な協力が進んでいます。特に日本企業の進出が目立ち、日本で働くベトナム人労働者も増加しています。ベトナムでは日本語を学ぶ人も多く、文化交流も盛んです。

インドネシア

インドネシアは、長年にわたる経済協力や技術支援を通じて日本に親しみを感じている国です。2023年度には約40万人のインドネシア人観光客が日本を訪れました。インドネシアは日本の技術や製品に高い評価を持っており、また宗教的な理解も進んでいるため、インドネシア人にとって日本は訪れやすい国となっています。
日本との国交は1958年に樹立されました。

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インド

インドは、仏教のルーツを共有することから歴史的に日本との絆が深い国です。2023年度には約30万人のインド人観光客が日本を訪れました。インドは日本の技術力に注目しており、特に経済協力が近年増加しています。
日本とインドの国交は1952年に樹立され、両国は貿易や投資での連携を強化しています。

ブラジル

ブラジルは、日本からの移民が多いことから、日本に対して特別な感情を持つ国です。2023年度には約20万人のブラジル人観光客が日本を訪れました。日本とブラジルの国交は1895年に樹立され、戦後の移民によって日系ブラジル人が増加しました。

現在でも日系人コミュニティが活発に日本文化を広めています。

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おわりに

親日国からの観光客は、日本に対して好意的で、リピーターとなる可能性が高い重要な顧客層です。彼らのニーズに応えるためには、文化的な理解や言語対応が欠かせません。そのため、インバウンド対応を強化し、外国人観光客を迎え入れるための環境整備が求められます。

特に外国人労働者を積極的に採用することで、観光業界やサービス業において多様なニーズに応える体制を整え、さらに多くの観光客を引き付けることができるでしょう。