中小企業の外国人雇用はどう進める? 採用の流れや注意するポイント、活用できる助成金・補助金制度をわかりやすく解説

中小企業にとって、優れた人材を確保することは事業を成長させるための大切なポイントです。とくに、人手不足が続く中で、外国人労働者を採用することが注目されています。
外国人を採用するには気をつけるべきことも多く、しっかり準備をする必要があります。
この記事では、外国人採用を進める中小企業の現状や、実際の採用の流れ、そして利用できるサポート制度についてわかりやすく説明します。
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中小企業で外国人を雇うことが増えている?
引用:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)
日本の中小企業で外国人を雇うケースが増えています。厚生労働省のデータによると、2023年10月の時点で外国人の働く人は204万人を超え、過去最多となりました。
外国人を雇っている会社の数も31万にのぼり、人手不足を解決する方法の一つとして注目されています。
中小企業の人手不足の現状
中小企業が外国人を雇うことが増えている1番の理由は、少子高齢化による人手不足が深刻になっているからです。
約63%の中小企業が「働く人が足りない」と感じており、その影響で仕事がスムーズに進まないこともあります。とくに製造業やサービス業では、求人を出しても応募が少なく、なかなか人を採用できない状況です。
日本では高齢化が進み、若い働き手が減っているため、企業は外国人の採用を考えざるを得ません。こうした状況の中で、外国人を雇うことは、中小企業が生き残るための大切な方法の一つになっています。
参考:東京商工会議所 「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」 の集計結果について
なぜ外国人採用が注目されているの?
日本全国で外国人採用が注目されている理由は、大きく分けて「人手不足を解消するため」と「多様な人材を確保するため」の2つです。
とくに中小企業では、働き手が足りず採用が難しくなっているため、外国人労働者の受け入れが進んでいます。
また、実際に雇用してみると、外国人ならではの視点や経験が企業の新しいアイデアや成長につながることもあります。外国人スタッフがいることで、訪日外国人への対応がしやすくなったり、海外との取引がスムーズになったりするというメリットもあります。
どんな業界で外国人採用が進んでいるの?
外国人採用が進んでいる業界は、おもに製造業、サービス業、建設業です。
製造業では、とくに自動車や電子機器を作る工場で、技能実習生として外国人を受け入れることが増えています。
サービス業では、飲食店や宿泊施設で外国人スタッフを雇うことが多くなっており、外国人観光客への対応力で効果をあげています。
また、建設業でも人手不足が進んでいるため、外国人労働者を受け入れることが増えています。
外国人採用の流れと成功のコツ
外国人採用を成功させるためには、計画的に進めることが大切です。
具体的な計画を立てることで、どんな人材が必要なのかが明確になり、採用活動がうまくいきやすくなります。
STEP1. 採用計画を立てる
外国人採用をうまく進めるためには、まずどんな人材を求めているのかをしっかり考え、採用計画を立てることが大切です。
企業が求めるスキルや経験、たとえば特定の技術や言語能力が必要であれば、その条件に合った人をターゲットにする必要があります。また、業務内容や職場の雰囲気を考えて、どのような文化的背景を持つ人が合っているかも考えることが重要です。
このように計画を立てることで、必要な人材がはっきりし、採用活動がうまく進みやすくなります。また、採用の目的や必要人数、スケジュールを決めることで全体の流れをつかみやすくなり、より効率的に進めることができます。
STEP2. 信頼できる人材紹介会社を選ぶ
外国人を採用する際は、人材紹介会社の利用がおすすめです。専門的な知識と経験を持つ会社を選ぶことで、効率よく必要な人材を見つけられます。
人材紹介会社は、求職者のスクリーニング(候補者が仕事に適しているかを調べること)や面接サポートを通じて、企業に合った候補者を提案してくれます。
たくさんの紹介会社があるので、過去の実績や契約内容をしっかり確認し、信頼できる会社を選びましょう。
STEP3. 求人情報の出し方を工夫する
求人内容は、わかりやすくて具体的に書くことが大切です。求めるスキルや経験をはっきりと伝えましょう。また、外国人求職者が理解しやすい言葉で説明することも重要です。
求人情報を載せる場所も工夫しましょう。外国人がよく使う求人サイトやSNSを活用すれば、より多くの応募者を集めることができます。
会社の多様性や国際的な雰囲気など、働きやすさをアピールすることで、魅力的な職場だと感じてもらえます。
STEP4. 面接で適性をチェックする
外国人の求職者が仕事に向いているかを正しく評価するために、いくつか大切なポイントを確認しましょう。
まず、言語能力はとても大事です。日本語だけでなく、英語や他の言語のスキルもチェックし、業務で必要なコミュニケーション能力があるかを評価します。また、その仕事に必要な専門知識や経験を具体的な例を聞きながら確認することも重要です。
職場文化にどれだけ適応できるかや、チームでうまく働けるかも評価するポイントです。
異なる文化を持つ外国人が、チームの中でどううまくやっていけるかを見極めるために、過去の経験や価値観を聞いてみると良いでしょう。
STEP5. 採用後もサポートを続ける
外国人を採用したあと、サポートを続けることは、長く働いてもらうためにとても大切です。
入社したら、まずオリエンテーションを行い、会社の文化や仕事の内容をきちんと説明します。また、日本語の研修や生活のサポートをすることで、外国人社員が安心して働ける環境を作ることができます。
定期的にフィードバックや面談をして、彼らの悩みや問題を聞き、適切なサポートをすることも大切です。
これらのサポートをしっかり行うことで、外国人社員は会社に信頼を感じ、長く活躍できるようになります。
中小企業向け!活用できる外国人採用支援制度
外国人を採用したいけれど、コストが心配な中小企業にとって、国のサポートや助成金・補助金制度は大きな助けになります。
これらの制度をうまく活用すれば、外国人労働者を雇う際の負担を減らすことができます。
外国人雇用で使える助成金・補助金制度
中小企業が外国人を雇用する際に使える助成金や補助金があります。これらは、外国人労働者を雇うためのコストを軽くし、企業の負担を減らすために役立ちます。
たとえば、「人材確保等支援助成金」は、外国人労働者のために職場環境を整える費用を助成する制度で、最大72万円の支援が受けられます。
また、「雇用調整助成金」や「トライアル雇用助成金」なども利用でき、雇用を維持したり、新しい雇用を創出するための支援をしてくれます。
助成金や補助金を申請するためには、雇用保険に加入していることや、必要な書類を準備することが重要です。
申請する前に条件をしっかり確認して、計画的に進めましょう。
参考:厚生労働省 人材確保等支援助成金のご案内
参考:厚生労働省 雇用調整助成金
参考:厚生労働省 トライアル雇用助成金
ハローワークや自治体のサポートを活用しよう
引用:厚生労働省
ハローワークや地方自治体は、外国人を採用するためにいろいろなサポートを提供しています。
ハローワークでは、無料で職業紹介や相談をしていて、企業と求職者をうまくつなげる手伝いをしています。地域によっては、外国人を雇うための特別な支援制度や助成金を提供しているところもあります。
こうした支援を活用することで、その地域に合ったサポートが受けられます。
また、ハローワークと地方自治体が協力関係にある「一体的実施事業」では、雇用対策をまとめておこない、さらに効率的な支援を提供しています。
これらのサポートをうまく使えば、外国人の採用をスムーズに進めることができます。
国の施策で活用できるものは?
補助金や助成金以外にも外国人雇用を支援するためのさまざまなプログラムや制度があります。
たとえば、経済産業省が行っている「製造業外国従業員受入事業」では、製造業で活かせる技術を持った外国人を受け入れるためのサポートをしています。
また、「国際化促進インターンシップ事業」では、日本の企業が外国人学生をインターンとして受け入れる手助けをしています。このプログラムは、企業が海外に展開しやすくなったり、外国人と一緒に働けるようにすることが目的です。
国内で参加するものや海外から来るもの、オンラインで参加する方法などいろいろな形で外国人を受け入れることができます。
また、外国人留学生が日本で仕事を見つける手助けもしています。たとえば、留学生向けに就職セミナーや企業説明会を開いて、企業と留学生をつなげる支援をしています。
留学生が日本で働くために必要な情報を教えたり、就職活動のアドバイスもしています。このサポートは、日本の企業が海外の人材を活かすことを助け、企業の力を強くするためにあります。
日本政府の施策は、外国からの人材を受け入れることで、企業の国際的な競争力を高めることを目的としています。
これらをうまく活用すれば、企業は外国人を雇いやすく、外国人も日本で働くチャンスを得ることができるでしょう。
参考:経済産業省 製造業外国従業員受入事業
参考:経済産業省 国際化促進インターンシップ事業
さいごに
外国人を採用することで、会社に新しい意識が芽生え、成長するチャンスが広がります。必要な準備をしっかり整え、支援をうまく活用すれば思っているよりもスムーズに採用できるはずです。
ぜひ、この機会に外国人採用を始めてみてはいかがでしょうか?