観光・サービス業で外国人を雇用するメリット|観光客の集客・インバウンド需要の回復に向けて外国人採用が適している理由
コロナ禍により激減した外国人観光客(インバウンド)の数が再び増加し、人々が心待ちにしていた光景が戻ってきました。 都市部だけでなく地方の観光地にも多くの外国人が訪れ、その増加を肌で感じている方は少なくありません。
本記事では急増する外国人観光客の動向にもとづき、観光地がより良い受け入れ体制を整えるためにできることをご紹介 します。
目次
日本で増加する外国人観光客の特徴
データ出典:日本政府観光局(JNTO)
日本政府観光局の発表では、2023年の訪日外国人は25,066,100人でした。新型コロナウイルスの収束にあわせて訪日外国人が再び増加しはじめています。
そして2023年10月以降の訪日外国人数は2019年と同等かそれ以上になっており、2024年も引き続き増加していくことが期待できます。
また2019年(コロナ禍前)のインバウンド需要は4.8兆円とされ、日本経済に与えた影響が非常に大きかったことから、今後の訪日外国人の増加は経済活性化のための重要な要素となります。
参考:日本政府観光局(JNTO) 訪日外客数(2023 年 12 月および年間推計値)
外国人観光客(インバウンド)が多い都道府県
2023年の訪日外国人の動向を都道府県別でみると、以下の結果になりました。
外国人観光客が多い都道府県
1位:東京都
2位:大阪府
3位:京都府
4位:北海道
5位:福岡県
外国人観光客の数の多さでは、首都圏や地方都市が上位に入っています。
日本人観光客にも人気が高い都心部は「交通の便が良く、観光名所やショッピングエリア、レストランなどが集約している」ため周遊や散策にぴったりのエリアと言えます。
都心部は交通機関や観光施設、宿泊施設などの整備に力をいれており、外国人観光客が安心して旅行を楽しめる環境づくりにいち早く取り組んでいます。
外国人観光客が増えた都道府県 (2019年比)
1位:東京都 (+45.6%)
2位:高知県 (+35.8%)
3位:栃木県 (+27.6%)
4位:福岡県 (+11.2%)
5位:大分県 (+6.2%)
外国人観光客の増加率で見ると、都心部以外に高知県・栃木県・大分県がランクインしています。
この背景には「地方空港と海外を結ぶ直行便の就航」や「外資系高級ホテル(ザ・リッツ・カールトンなど)のオープン」などインバウンド獲得に向けた各地域の取り組みがあります。
昨今は訪日観光のリピーターも増えていることから、首都圏以外の各地域を観光したいと考える外国人が少なくありません。
そのため今後は都心部以外の都道府県も「外国人のニーズに合わせたサービス」ができる環境の整備が重要となります。
参考:観光庁 宿泊旅行統計調査
日本へ訪れる観光客の出身国
引用:日本政府観光局(JNTO)
訪日外国人の国籍で見ると、最も増加したのは韓国人です。日韓情勢の変化や日本各地への地方路線の増便・復便などの影響で2019年比が300%以上となっています。
また円安の影響もあり、北米や東南アジア諸国(ウクライナ侵攻によりフライト運行において影響の少ない国)は増加傾向にあります。
観光業界を筆頭に、ビジネスチャンスを広げるためには各国の文化や言語を理解し、これらに対応できる人材を獲得することが必要です。
観光客のニーズは「モノ消費」から「コト消費」へ変化
以前は日本に来て「商品(モノ)を購入すること」が主な目的だった外国人ですが、近年は「日本での体験や思い出(コト)」を求める傾向が強まっています。
この変化により、外国人観光客とのコミュニケーションがより重要になっています。
日本文化やアクティビティに参加したいと考えている外国人は多く、これに対応するにはサービスを提供する人材の確保が不可欠です。
コミュニケーションを通じて地域の魅力や日本文化を伝えるためには、お互いの文化の違いを理解し多言語を話せる状態がベストといえます。
観光客の受け入れ準備、まずは「人材確保」
外国人観光客の増加ペースが早まっているため、優秀な人材を確保するスピードも早める必要があります。
外国人採用はどこも取り入れ始めている
引用:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)
厚生労働省の発表では、2023年10月時点での外国人労働者数は過去最高の2,048,675人となっています。
日本が観光大国であることから「宿泊業」「サービス業」に従事する外国人は年々増加しています。
外国人を雇用する事業所も年々増加しており、2019年は242,608事業所でしたが2023年は過去最高の318,775事業所を記録しました。
宿泊・サービス業はもちろん、そのほかの業界においても外国人採用をはじめる企業は増加傾向にあります。
観光における外国人採用のメリット
観光客の受け入れにあわせて外国人を採用することのメリットについて紹介します。
多言語に対応できる
現在は便利な翻訳アプリがたくさんありますが、接客レベルで使えるものは多くありません。
日本人スタッフだけでは、様々な国からやってくる外国人観光客への接客に限界がくることもあるでしょう。
飲食店での接客や店舗での商品説明など、外国人観光客とのコミュニケーション機会が多い事業者は「各国出身の外国人」または「客層を鑑みた外国人」を採用することで、語学力不足による機会損失を防ぐことができます。
外国人のニーズを把握できる
日本には日本ならではの文化や視点があるように、外国人にも日本人にはない外国人ならではの視点があります。
外国人観光客のニーズはアンケートや様々な媒体から把握することもできますが、外国人を雇用していればより早く具体的な分析ができます。
自社商品・サービスのターゲットに設定している国の文化に合わせた施策をおこなうなど、マーケティングの精度を高めることも可能です。
ローカルなSNSで集客できる
多くの外国人は観光地や飲食店を探す際に、インスタグラムをはじめとしたSNSを使用します。
しかし、インスタグラムのような世界中で使われているSNSだけでなく、それぞれの国で主要に使われているローカルなSNSで観光先の情報収集をおこなう方も大勢います。
例えば、中国人の方はweibo(ウェイボー)というサイトをよく使い、そこには日本の飲食店に関する情報がたくさん載っています。そのようなローカルなSNSは競合が少ない上に特定の観光客へとリーチできる点で優れていますが、大抵の場合はネイティブレベルの言語力がないと上手く使いこなすことができません。
外国人を雇用することで、ローカルな人ならではの切り口による観光客へのアクセスが可能となります。
グローバル展開の足掛かりになる
現在は日本国内のみで外国人観光客向けの商品やサービスを提供しているものの、将来的にはグローバル展開を見据えている企業もあるでしょう。
そのためには事業の担当者が外国人労働者とのコミュニケーションを通して、異文化間の理解を深めることが重要です。これにより外国人にとって魅力的な商品やサービスを提供するためのインサイトやアイデアが生まれるかもしれません。
外国人を雇用すると、現地でのコミュニケーションを円滑にするための「ブリッジ人材」としての活躍が期待できます。
さいごに
外国人観光客とコミュニケーションを取るのは「日本人だけ」という決まりはありません。また海外では、外国籍の店舗スタッフが接客しているのは珍しくない光景です。
外国人を雇用することで「多言語対応」はもちろんのこと「外国人観光客向け施策の展開」や「海外進出」などのメリットがあります。
自社商品やサービスをさらに発展させるためにも、外国人採用を検討してみてはいかがでしょうか。