【2024年最新】入管法改正で何が変わる? 外国人雇用に与える影響と世間の反応、これまでの改正内容をわかりやすく解説!
日本で働く外国人は、毎年増加しています。
それに合わせて、「入管法(出入国管理及び難民認定法)」も何度も改正されています。
入管法は、外国人が日本へ入国したり、出国したりするときに、とても重要な役割を果たす法律です。
この記事では、最近の入管法の改正内容や、これまでにどんな改正があったのかについて、わかりやすく説明します。
目次
2024年の入管法改正
入管法の改正は、その内容によって施行されるまでの期間が異なりますが、一般的には法律が交付された後、数か月から数年の間に施行されます。
ここからは、最近の改正内容について順番に説明していきます。
① 新たな在留資格「育成就労」の創設
技能実習の在留資格が廃止され、新たに「育成就労」という在留資格が設けられました。
この資格は、帰国を前提とする技能実習生とは違い、日本国内の人手不足を解決するためのものです。
育成就労の期間は3年以内で、技能や日本語を学ぶための計画が必要です。
さらに、「外国人育成就労機構」という新しい組織のサポートにより、修了後に「特定技能1号」へ移行する人材の確保が目指されています。
改正前の意見
- 技能実習生が十分なスキルを学べないまま帰国することが多い
- 技能実習生に対する労働環境を良くしてほしい
- 人身売買や低賃金で働かせる問題がある
改正後の反応
- 技能実習制度よりも働く環境が良くなると期待している
- 受け入れ企業がよりしっかりとした育成体制を整える必要がある
- 育成した人材が他の企業に移る可能性が増えた
② 「特定技能」の適正化
特定技能1号の外国人が働く会社(受入れ機関)が、雇用に対して必要なサポートを外部の機関に委託したい場合、特定技能1号の外国人のサポートを行う外部機関は「登録支援機関」と呼ばれる、政府に認められた機関でなければなりません。
改正前の意見
- 登録支援機関以外の支援機関が増えていて、適切に管理するための監査が必要
改正後の反応
- 支援機関による不正の防止が期待できる
- 委託先が少なくなり、自社に合った支援機関が探しにくくなった
③ 不法就労助長罪の厳罰化
外国人を不法に雇用する雇用主や仲介業者(悪質なブローカー)への取り締まりが強化されます。
以前は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」でしたが、改正後は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」が適用されます。
改正前の意見
- 不法就労は、他の犯罪を誘発する可能性がある
- 不法就労者が社会保険料を納めないため、社会保障制度への負担が大きくなっている
- 不法就労者は、低賃金や長時間労働、劣悪な労働環境に置かれることが多い
改正後の反応
- 不法就労の抑止力になる
- 法遵守の重要性を再認識し、コンプライアンス体制の強化が進む
④ 永住許可制度の適正化
永住許可の基準を満たさなくなった場合や、故意に税金を払わない場合には、永住許可を取り消すことができるようになります。
ただし、特別な理由がない限り、在留資格が変わっても引き続き日本に住むことはできます。
改正前の意見
- 永住資格を持っている人が、その資格を悪用して、公的な義務を果たさなかったり、犯罪に関わることがある
- 永住資格の取得が比較的簡単なため、資格の価値が下がっている
改正後の反応
- 永住資格が悪用されず、信頼できるものになる
- 永住資格を失うかもしれないという不安を感じている
- ただ厳しくするだけでなく、個々の事情に配慮してほしい
⑤ マイナンバーカードと在留カードの一体化
外国人の利便性向上を目指し、マイナンバーカードと在留カードの一体化が進められます。この改正により、在留手続きや住居地届出と同時に特定在留カードを申請し、ワンストップで交付を受けることが可能になります。
ただし、一体化は義務ではなく、希望により選択できます。
改正前の意見
- 個人情報が一つにまとまることで、プライバシーが守られなくなることが不安
- 複数のカードの情報が一つにまとれば持ち歩きが楽になる
改正後の反応
- 行政手続きが簡単で便利になった
- 外国人住民にもっとよく理解してもらうためのサポートが必要
- 情報が漏れないようにするための対策をもっと強化するべき
参考:出入国在留管理庁 改正法の概要(マイナンバーカードと在留カードの一体化)
2023年の入管法改正
2023年の入管法改正で、大きく注目されたのが「特定技能制度の対象分野の追加」や「難民認定手続きの厳格化」「補完的保護の導入」「監理措置制度の導入」などです。
① 特定技能2号の対象分野の追加
これまでは、特定技能2号は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみが対象でした。
入管法改正により特定技能2号の対象分野が大幅に拡大され、以下の分野が新たに追加されました。
ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分すべて
また、介護分野は他に移行可能な在留資格「介護」があることから、対象から除外されています。
② 難民認定手続きの厳格化
外国人は日本で難民として認められるために申請をすることができますが、その申請によって強制送還が一時停止されるのは、原則として2回までになりました。
これまで何度も申請して送還を逃れるケースがあったため、3回目以降の申請では「相当の理由」がないと認められません。
これにより、無理な申請が制限されるようになっています。
③ 補完的保護の導入
「補完的保護」とは、難民には当てはまらないけれど、紛争や迫害などの理由で自分の国に戻れない人を保護する制度です。
これにより、保護対象の人は日本で安全に暮らすために難民と同様の扱いとなり、国民年金などの社会保障を受けたりできるようになりました。
また、補完的保護を受ける人も、難民申請者と同様に強制送還に関するルールが適用されます。
④ 監理措置制度の導入
これまで、難民申請中の人や国外退去を命じられた人は、収容施設に入れられていました。しかし、監理措置制度の導入により、条件を満たした人は支援者である「監理人」のもとで生活できるようになりました。
ただし、この制度を受けられるのは、難民申請中で逃げる可能性が低い人や、退去命令を訴えている人など、いくつかの条件を満たす場合のみです。
監理人は外国人の生活を見守り、もし逃げたり不法に働いたりする可能性があるときは、入管に報告する義務があります。
この改正については、収容者を信用せず、依然として人権を侵害しているという批判の声もあります。
過去の主要な入管法改正
入管法はそのときどきの社会情勢にあわせて、改正されてきました。以下は過去の主要な改正です。
2018年の改正
- 在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設 など
2016年の改正
- 在留資格「介護」の創設
- 偽装滞在者対策の強化(罰則・在留資格取消事由の整備) など
2014年の改正
- 在留資格「高度専門職」の創設
- 在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」の統合
- 在留資格「投資・経営」から「経営・管理」への変更 など
2009年の改正
- 在留カード・特別永住者証明書の交付(新たな在留管理制度の導入)
- 外国人登録制度の廃止
- 在留資格「技能実習」の創設
- 在留資格「留学」と「就学」の統合 など
2006年の改正
- 上陸時における個人識別情報の提供義務付け
- 外国人研究者及び情報処理技術者を在留資格「特定活動」で受け入れる規定の整備 など
2005年の改正
- 人身取引議定書の締結に伴う定義規定の創設
- 密入国議定書に伴う罰則・退去強制事由の整備 など
2004年の改正
- 在留資格取消制度の創設
- 仮滞在許可制度の創設
- 出国命令制度の創設
- 不法入国罪等の罰則の強化 など
1999年の改正
- 不法在留罪の創設
- 退去強制者の上陸拒否期間の延長
- 再入国許可の有効期間の延長 など
このように、日本で働く外国人を増やすために、入管法の内容は何度も変えられてきました。
そして、これまでの外国人の仕事の仕方に大きな影響を与えてきたことがわかります。
さいごに
外国人を雇うときは、入管法について正しく知っておくことが大切です。
入管法が改正されて、外国人がさまざまな分野で働けるようになりました。
これにより、企業は必要な人を見つけやすくなり、国際的な視野を広げることができます。
外国人を雇うことで、新しいアイデアや技術を取り入れるチャンスが増え、企業が成長するための大きなステップになります。
ぜひ積極的に外国人を採用して、より良い職場環境を目指しましょう!