採用面接で「日本語はどのくらい話せますか?」とたずねると、にこっと笑ってうなずくネパール出身の方々。実際に配属されると、仕事には真面目にコツコツ取り組む姿が目立ちます。
ただ一方で、宗教行事の時期には長めの休暇をお願いされることがあったり、まかないに牛肉が出て気まずい雰囲気になることもあるでしょう。

人手不足が続く今、ネパール人を採用することは大きな力になります。
勤勉で働き手が多く、日本語や英語の習得に前向きな人が多いため、安心して任せられる人材に育つ可能性も高いといえます。

この記事では、ネパール人の性格や特徴、日本に来る理由、そして気をつけたいタブーについてわかりやすくまとめました。配属や教育の設計を考えるときの参考にしてください。

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ネパールってどんな国?

ネパールの国旗

ネパールは南アジアにある内陸の国です。北は中国のチベット自治区に接し、南・東・西はインドに囲まれています。
国土の多くは丘や山で、ヒマラヤ山脈の中には世界最高峰のエベレストがあります。現地では「サガルマータ(सगरमाथा)」と呼ばれ、「天空の額」という意味が込められているそうです。

また、ネパールは多民族国家で、100以上の民族が暮らし、いろいろな言語が使われています。宗教はヒンドゥー教が中心ですが、文化そのものはとても多様です。
近年は政治的な安定が少しずつ進んでいますが、貧困や教育、医療の格差は今も課題となっています。

ネパールの基本データ

ネパールは南アジアに位置する内陸国で、北は中国のチベット自治区、南・東・西はインドに接しています。
国土の大部分は丘陵や山岳地帯で、とくにヒマラヤ山脈には世界最高峰のエベレストが存在します。現地では「サガルマータ(सगरमाथा)」と呼ばれており、これは天空の額、という意味だそうです。

多民族国家であり、100以上の民族が共存し、様々な言語が話されています。おもにヒンドゥー教が信仰されており、文化的にも多様性に富んでいます。
近年は政治的安定が進んでいるものの、貧困や教育、医療の格差が依然として課題となっています。

ネパールの基本データ

  • 首都:カトマンズ
  • 人口:約2,969万人(2023年時点)
  • 面積:14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)
  • 時差:日本より−3時間15分
  • 言語:ネパール語
  • 民族:パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワールなど
  • 宗教:ヒンドゥー教徒(81.3%)、仏教徒(9.0%)、イスラム教徒(4.4%)ほか
  • 国祭日:9月20日(憲法公布日)
  • 通貨:ネパール・ルピー(1円=約0.92ネパール・ルピー/2025年4月1日時点)
  • 識字率:71%(2022年時点)
  • 在留ネパール人数:233,043人(2024年末時点)

参考:外務省 ネパール(Nepal)基礎データ

参考:出入国在留管理庁 令和6年末現在における在留外国人数について

ネパールには働き盛りの若者が多い

ネパールの人口のうち、15〜64歳が約65%を占めています。なかでも10〜30代が活発で、国全体の活気を生み出しています。
農業に携わる人が多い一方で、より高い収入を求めて都市部や海外に移る若者も少なくありません。学び直しに前向きな人が多いことも特徴です。

教育やOJTを行うときは、まず見本を見せ、一緒に取り組み、その後任せるという流れを意識すると理解が深まりやすいでしょう。
また、意欲の高さを活かすためには、チェックリストや進捗表で成長を「見える化」することが効果的です。こうした工夫でモチベーションを高めることができます。

隣国(インド/中国)との関係

ネパールの位置を示した地図

ネパールの周りには、人口も経済力も大きいインドと中国があります。これらの国はネパールにとって重要な存在ですが、どのような関係を築いているのでしょうか。

ネパールとインドの関係

インドとは地理的にも文化的にも近く、長い国境を共有しています。
言語や宗教も似ているため、人の交流も盛んです。インドはネパールにとって最大の貿易相手国であり、経済的な依存度は高いといえます。
さらに、インドはネパールの政治にも影響を与える場面があり、最近ではインフラ整備や教育支援を通じた協力関係が広がっています。

ネパールと中国の関係

中国とは経済を中心に協力が進んでいます。とくに「一帯一路」という国際的なプロジェクトに参加したことで、中国からの投資が増え、鉄道や道路などのインフラが整備されるようになりました。
こうした支援はネパールの発展に役立っていますが、同時に自国の独立や主権を守る姿勢も大切にしています。中国との関係は、慎重にバランスをとりながら進められているのです。

【一帯一路とは】アジア、ヨーロッパ、アフリカを結ぶ大規模なインフラ計画です。鉄道や港を整備して貿易を促進し、経済の結びつきを強めることを目的としています。参加国は中国から投資を受けられる一方、中国との経済的な結びつきも深まります。

ネパールと日本の関係

日本とは長年にわたり友好関係を築いてきました。日本はインフラ、教育、農業といった分野で大きな支援を行っており、その技術や資金はネパールの発展を後押ししています。
また、留学生や特定技能労働者の受け入れを通じて、経済的なつながりも強くなってきました。

日本で増えるネパール人労働者のいま

ネパールの若者の画像

ここからは、ネパール人が日本に来る理由や働くための仕組みを整理します。まず全体像を理解して、採用計画と受け入れ体制をそろえていきましょう。

海外出稼ぎ・送金の背景

ネパールでは、国内の賃金が月2〜4万円ほどにとどまります。そのため中東やマレーシアなどに出稼ぎに行く人が多く、仕送りが家計の中心になっている家庭も少なくありません。
家族を大切にする考え方が強いため、職業選択も家族の意向に影響されることがよくあります。

一方で、日本が選ばれる理由はいくつかあります。治安の良さ、日本語学校の多さ、同郷コミュニティの存在、そして技能習得と収入を両立できる点です。
採用する側にとっては勤怠が安定しやすいという利点がありますが、宗教行事や冠婚葬祭で休暇が重なることもあります。
年間カレンダーをあらかじめ共有し、代替シフトを決めておけば安心でしょう。

日本でのネパール人の在留資格

ネパール人が日本で働くときに利用する資格はいくつかあります。代表的なのは以下の3つです。

  • 技術・人文知識・国際業務(いわゆる就労ビザ):事務、通訳、設計など専門的な仕事が対象です。
  • 特定技能:試験に合格すれば、製造や外食、介護など現場での仕事に就けます。
  • 留学生の資格外活動:アルバイトは週28時間までと決められています。

実際には、多くのネパール人が「留学」の資格で来日し、その後「技術・人文知識・国際業務」などに切り替えています。
生活が安定すると、母国から家族を呼び寄せて「家族滞在」を取得するケースも増えてきました。

採用時は在留資格を確認しよう

外国人を採用する際は、在留カードの「資格・期限・就労の可否」を必ず確認してください。契約内容と実際の業務が一致しているかどうかも大切です。

流れの一例は以下の通りです。

  1. 在留カードの資格と期限を確認する
  2. 業務が資格の範囲に含まれているかを照らし合わせる
  3. 労働時間や深夜勤務の可否、残業の取り扱いを共有する
  4. 更新の時期を逆算し、期限切れを防ぐ

最新データで見る在留・就労の増加傾向

在留ネパール人の数は近年右肩上がりです。2024年末には233,043人に達し、日本で暮らす外国人の中で国籍別第5位となりました。

地方の中小企業でもネパール人の採用は広がっています。飲食や宿泊、製造、介護、物流など職種の幅が広く、留学から就職への切り替えや特定技能の活用が増えてきました。
企業が安定した定着をめざすなら、日本語教育の有無、先輩社員によるOJT、生活面の支援(住まい・携帯・医療など)を計画段階で決めておくことが効果的でしょう。

ネパール人の性格・価値観の傾向

穏やかな表情のネパール人女性の画像

親しみやすく、おもてなしの心が強い

多民族社会で育ったため、受け入れる力が高いのが特徴です。来客には料理や飲み物を惜しまずふるまい、職場でもあいさつや雑談を大切にします。

接するときは、相手のおもてなしの心を尊重し、感謝の言葉を忘れないことが信頼につながります。
指示を出すときは短く具体的に伝え、できた部分をまず褒めてから改善点を伝えると関係が深まりやすいでしょう。

勤勉で努力家

ネパールでは雇用の機会が限られており、海外で働くことが家族を支える手段になっています。そのため責任感が強く、学びに前向きで反復練習にも粘り強い傾向があります。

評価は「行動基準×結果」で見える化すると成長が加速しやすいです。進捗ボードや目標カードを活用し、小さな成功を積み重ねることでモチベーションも高まります。

控えめな性格

ネパール人は控えめで、自分の意見を強く主張しないことが多いです。これは家族や地域の調和を大切にし、年長者を敬う文化が根付いているからです。

そのため、人前で強く否定されると萎縮してしまう場合があります。注意を伝えるときは「事実→理由→期待する行動」の順に落ち着いて説明すると効果的です。
定期的に1on1の対話を設けて、困りごとを早めに共有できる環境をつくれば、トラブルを小さいうちに解決できるでしょう。

言葉の相性

ネパール語は日本語と語順が似ているため、日本語学習に前向きな人が多いです。英語を学んだ経験を持つ人も一定数います。

現場では、やさしい日本語と図解を組み合わせると理解が進みます。また、数量や時刻は数字で示す、禁止表現は「〜してはいけない」ではなく「こうすると安全」と肯定的に伝えるなどの工夫をすると、よりスムーズに伝わるでしょう。

ネパール人と働くときの注意点と対策は?

ネパールのお祭り「ダサイン」の画像

ここからは、現場でよくつまずきやすいポイントを「責めない工夫」で解決する視点からまとめます。文化や習慣を理解しながら、安心して働ける環境を整えていきましょう。

時間の感覚(ネパリタイム)

ネパールには「ネパリタイム」と呼ばれる独特の時間感覚があります。交通事情や天候、社会背景の影響もあり、約束の時間に30分から1時間ほど遅れることが珍しくありません。
とくに私生活では時間におおらかな場面がよく見られます。

仕事では開始・終了の時刻や報連相のタイミングを明確にし、朝礼5分前集合や出勤連絡のテンプレートをルール化すると安定しやすいです。
また、交通トラブルの際は「電話→チャット」の順で連絡するなど、型を決めておくと安心できるでしょう。

宗教とお祭り(ダサイン/ティハール)

ネパールでは、約8割の人がヒンドゥー教を信仰しています。宗教は生活に深く根づいており、働き方にも影響を与えます。

なかでも「ダサイン」は毎年9月下旬から10月にかけて15日ほど行われる最大のお祭りです。
この時期は帰省や同郷の集まりで休暇が増えるため、あらかじめ年次カレンダーに反映し、相談期限や代替シフトを明記しておくとスムーズです。

行事が終わったあとは、安全確認と面談をセットで行い、体調や生活のリズムを整えることが望ましいでしょう。

食べ物の文化

ネパールの食文化は地域や民族によってさまざまです。インドや中国、チベットの影響を受けており、料理も豊かに広がっています。
代表的なのは「ダルバート」と呼ばれる料理です。豆のスープ(ダル)とごはん(バート)を組み合わせ、野菜のカレーや漬物(アチャール)を添えるのが一般的です。栄養バランスに優れ、日常的に食べられています。

食事の回数は1日2回が基本で、朝食は9〜10時ごろ、夕食は19〜20時ごろに取る人が多いです。昼を食べない人もいますが、学校や仕事に合わせて時間を変える場合もあります。

また、ヒンドゥー教の影響も強くあります。他の人が口をつけたものは「穢れている」とされるため、食べかけをシェアする習慣はありません。
大皿を取り分ける文化も少なく、基本的には一人一皿で食事をします。

食のタブーと配慮

ネパール人と食事を共にする際は、次の点に気をつけると安心です。

  • 牛肉を避け、チキンや豆を使ったメニューを用意する
  • 取り分けには共用トングやスプーンを使う
  • 左手での受け渡しは控え、必要なら一声添える
  • 社内BBQやまかないではベジタリアン対応を含め、複数のメニューを準備する

また、社内食堂のルールとして「成分表示とベジ/ハラール表記をつける」「年1回、食に関するアンケートを取る」といった工夫をすると、本人たちも安心できます。

カースト背景に配慮した食事・調理のルール

都市部では意識がやわらいでいますが、カーストを重視する人もいます。調理者や器具を分けたり、セルフで取り分けられるようにすることが安心につながる場合もあります。

実務的には、人数分の手袋やトングを準備する、まかないはビュッフェ形式にしてセルフサーブにする、といった方法が有効でしょう。
推測で属性に触れるのではなく、全員に共通のルールとして整えることが大切です。

女性に配慮した話題・場づくりのルール

男女で機会を分ける必要はありませんが、飲酒や喫煙、私的な話題に慎重な人もいます。日本人と同じように、ボディタッチや冷やかしは避け、距離感をフラットに保つ姿勢が基本です。

環境整備の具体例

  • 更衣・礼拝・休憩スペースを確保する
  • 相談窓口を示し、女性担当者を配置する
  • 服装や装飾品のガイドラインを図で提示する

家族を大切にする暮らし

ネパールでは、家族をとても大切にする文化があります。年上を敬う気持ちが強く、親や祖父母の意見を尊重するのが一般的です。
家族の絆が深いため、誰かが病気になれば看病のために仕事を休むことも珍しくありません。結婚式や祭礼などの行事も重視され、親戚同士で助け合う場面が多く見られます。

そのため、欠勤によって現場が混乱しないように、連絡方法をテンプレート化したり、締切を明確にしておくことが効果的です。
価値観を理解しながらルールを共有すれば、チーム全体の信頼感が高まるでしょう。

さいごに

この記事では、ネパール人の特徴や、日本で一緒に働くときに気をつけたい点を紹介しました。性格や考え方に日本人と似ている部分もありますが、文化の違いは少なくありません。
だからこそ、相手を理解しようとする気持ちが大切になり、コミュニケーションの取り方にも工夫が必要です。

また、ネパールには仕事に意欲的な若者が多く、日本の人手不足を補う大切な存在になりつつあります。
外国人採用を検討している方は、今回の内容を参考にしながら、ぜひ一歩踏み出してみてください。

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