2019年4月に在留資格「特定技能」が創設されましたが、近年はますます多くの業界でこの在留資格を持つ外国人を雇用したいという声が高まっています。

この記事では、特定技能1号と2号の違いや、1号から2号への移行方法について解説します。2023年と2024年の制度変更も踏まえた最新情報をお届けするので、ぜひ参考にしてください。

 

在留資格「特定技能」とは?

「特定技能」は、2019年4月に創設された比較的新しい在留資格です。日本の少子高齢化による人手不足を解消するため、特定の産業分野において即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。

2024年10月現在、特定産業分野は16分野に拡大されています。

特定産業分野 一覧 (16分野)

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業
  13. 自動車運送業 【NEW】
  14. 鉄道 【NEW】
  15. 林業 【NEW】
  16. 木材産業 【NEW】

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「特定技能1号」と「特定技能2号」はなにが違う?

特定技能の1号と2号とでは、在留資格の取得要件に大きな違いがあります。それぞれのポイントを、以下の表で比較してみましょう。

 

特定技能1号

特定技能2号

技能レベル

産業分野において最低限の知識や技術が必要な業務をこなせる ※技能試験あり ※技能実習2号を修了した外国人は試験なし

産業分野において熟練した技能が必要な業務をこなせる ※技能試験あり

日本語レベル

基本的な日本語が理解できる ※言語試験あり ※技能実習2号を修了した外国人は試験なし

確認不要 ※試験なし

支援の有無

必要

不要

対象となる産業分野

16分野すべて

介護と飲食料品製造業を除く14分野

在留期間

通算5年 (1年・6か月・4か月いずれかの付与された在留期間ごとに更新手続きが必要)

上限なし (3年・1年・6か月いずれかの付与された在留期間ごとに更新手続きが必要)

家族帯同

基本不可

要件を満たせば可能(配偶者・子)

技能レベルの違い

特定技能1号は、働く業界で即戦力となる最低限の知識や技術を持つ人材が対象です。一方、特定技能2号は、さらに高度なスキルや経験を持つ熟練した技能を持つ人材が対象となります。

参考:出入国在留管理庁 特定技能に関する試験情報

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日本語レベルの違い

特定技能1号では、基本的なコミュニケーションに支障がない日本語能力試験N4レベル以上が求められます。特定技能2号に日本語試験は不要ですが、これは特定技能1号で既に日本語能力が証明されているためです。

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受入れ機関・登録支援機関による支援の有無

特定技能1号の外国人を雇用する企業(受入れ機関)は、職業生活・日常生活・社会生活上の支援を行うことが義務付けられています。

支援が必要な10項目:

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居確保・契約支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続きへの同行
  6. 日本語学習の機会提供
  7. 相談・苦情対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(人員整理などの場合)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

これらの支援は、出入国在留管理庁に認められている「登録支援機関」に委託することも可能です。

特定技能2号の場合は、これらの支援は不要です。

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対象となる産業分野の違い

2023年6月と2024年10月の制度改正により、特定技能2号の対象分野は大幅に拡大されました。

  • 特定技能1号: 16分野すべてが対象です。
  • 特定技能2号: 介護と飲食料品製造業を除く14分野が対象です。

なお、介護分野の外国人は、在留中に介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」へ移行し、在留期間の上限なく日本で働くことができます。

在留期間と家族帯同の違い

特定技能1号の在留期間は通算5年ですが、特定技能2号に在留期間の上限はありません。これにより、更新手続きをすれば日本に何年でも滞在できます。

また、特定技能1号では家族帯同が認められませんが、特定技能2号では配偶者と子を日本に呼び寄せることが可能です。この違いは、外国人材が日本で長期的なキャリアを築く上で非常に大きなメリットとなります。

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特定技能1号から2号へ移行するには?

在留資格を新規取得する場合、原則として特定技能1号からスタートします。その後、1号で実務経験を積み、熟練した技能を身につけることで、2号への移行が可能になります。

特定技能2号に移行する段階で必要な実務経験

特定技能2号へ移行するには、特定技能1号として在留中に、各分野で求められる実務経験を経る必要があります。

業種

内容

ビルクリーニング

2年以上の現場管理者としての実務経験

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

3年以上の現場での実務経験

建設

指導・管理者としての実務経験(年数は試験区分ごとに定められる)

造船・舶用工業

2年以上の監督者としての実務経験

自動車整備

3年以上の事業場での実務経験

航空

指導者としての実務経験(空港グランドハンドリング業務)、3年以上の現場での実務経験(航空機整備業務)

宿泊

2年以上の指導を含めた実務経験

農業

2年以上の指導・管理者としての実務経験 もしくは 3年以上の現場での実務経験

漁業

2年以上の監督補佐・指導・管理者としての実務経験

外食業

2年以上の店舗管理補助者(副店長など)としての実務経験

自動車運送業

指導・管理者としての実務経験

鉄道

指導・管理者としての実務経験

林業

指導・管理者としての実務経験

木材産業

指導・管理者としての実務経験

自身の業務だけでなく、周囲のチームや同僚をサポート・管理する経験は「リーダーシップスキル」や「協調性」の向上につながります。
在留資格の取得要件として重視される「企業・社会へ貢献できる人材かどうか」を上記の実務経験から判断されます。

参考:出入国在留管理庁 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領

よくある質問(Q&A)

Q1. 特定技能2号に日本語能力試験は必要ですか?

  1. 必要ありません。

特定技能2号の申請には、特定技能1号の取得が前提となっており、すでに日本語能力が証明されているため、日本語試験は免除されます。

Q2. 特定技能1号から2号に移行するメリットは何ですか?

  1. 外国人、企業双方に大きなメリットがあります。

外国人にとっては在留期間の上限がなくなり、日本に長期滞在できること、家族を日本に呼び寄せられることが最大のメリットです。企業にとっては、熟練した外国人材に長く安定して働いてもらうことができ、採用や教育にかかるコストを削減できます。

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さいごに|特定技能外国人と長く働くために

日本では急速に労働人口が減少しており、社会のさまざまな産業で人手不足が深刻化しています。この課題を解決するためにも、特定技能などの制度を通じて外国人材の受け入れをさらに増やす必要があります。

受け入れた外国人に長く働いてもらうためには、特定技能1号から2号への移行を支援することが不可欠です。労働環境の整備や、日常生活も含めたサポートを充実させることで、外国人材は安心して長期的なキャリアを築くことができます。

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