【ホテル・宿泊業】長野県の山奥の小規模ホテルで外国人雇用を成功させている企業さまにお話を伺いました!
少子高齢化にともなう、労働人口不足は日本にとって深刻な課題です。とりわけ地方において労働力の不足は顕著なものとなっており、長野総研が2024年の3月に発表したところによれば同年7月実施の県内企業向けアンケートでは、466社から回答を得ており、「人手不足」と答えている企業が全体の65%となっています。
今回は長野県のホテルに取材を行い、人手不足に対する解決策についてお聞きしました。長野県下高井郡山ノ内町、竜王山の竜王スキーパークに隣接する「T Hotel 竜王」さまは、弊社の外国人特化型求人サイトGuidableJobs(ガイダブル・ジョブス)を用いて外国人採用を導入されました。
今回は総支配人の今井さまにお話しを伺いました。どのような経緯で外国人スタッフ採用に興味を持ち、採用するまで至ったのかをご紹介いたします。
長野での人手不足のリアルな現状について
――ホテル業界の人材確保に関して、どんな課題がありましたか?
今井さま:
いまはホテル業はそれほど人気がある産業ではないです。人材の確保については業界全体としても厳しいでしょう。リゾートホテルは新型コロナウイルス流行の打撃を強く受けていて、さらに難しい状況がつづいています。
(※この記事の取材は2022年9月に行われました)
現状としては、リゾート専門の人材派遣会社がおもな人材確保のリソースです。
求人媒体・人材募集方法はこれまでどのように活用されていましたか?
今井さま:
地方では有力な媒体となると、まだまだハローワークが主流です。
地方の紙媒体はいろいろと試しましたが、応募人数を集めるという点に関してはさほど効果を感じませんでした。
無料のウェブ媒体も試してみましたが、長野の山奥という立地もあってまったく集まりませんでした。
そのような経緯があって多くの求人方法を検討し、Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)に興味を持ちました。留学生の方でしっかりとお勉強されていて、日本での就労を望んでいる方など、求職意欲の高い方が多くいらっしゃるという話だったので、応募者がたくさん集まることに期待していました。
応募者を採用するまでの過程は?
――御社では外国籍の方をどのように選考していましたか?
今井さま:
手法としては、おもにSkypeでオンライン面接を行っていました。新型コロナウイルスが流行する前は実際に来れる距離に住んでいる方はできるだけ直接来ていただいていました。
いちばん重視していたのは「応募者のビザはどういう状況なのか」というところですかね。
――外国籍の方の日本語能力はどうでしたか?
今井さま:
接客業で働くうえで、日本語がどの程度あるかは重要です。日本語能力検定など判断基準はいろいろありますが、読解力を判断することはなかなか難しいと感じました。
もし仮に日本語能力検定でN1を持っていても、読解力がおぼつかない方もいらっしゃいました。実務的なことが日本語で理解できるのか、本当にコミュニケーションを取れるのか判断することが重要だと思います。
御社でもとめられる人材は? どんな受け入れ体制が必要?
――外国人採用を進めるうえで、コミュニケーション面以外で、ほかに必要に感じたことを教えていただきたいです
今井さま:
自分たちが働いてる環境を好きになってもらえるかが重要ですかね。
ご紹介いただいた方は、ホントにさまざまな国籍の方がいらっしゃいました。そうなるとやはり宗教上の制約がある方を受け入れる際は、それなりの準備がないと現場も対応に困ってしまいます。
大きな施設であれば、専門の対応スタッフを準備するなどの対応ができると思いますが、うちのような小さなところでは工夫が必要ですね。
――住居など、生活面で気をつけることはありますか?
ドミトリーや社員寮がない場合、気をつけてあげた方がいいかもしれません。
私どもの方ではゲストルームを一部利用していたのですが、キッチンなどが充実していたわけではなかったので、栄養管理は気を使っていました。
また留学生の方などは、お車を持っていない方がほとんどです。お買いものや気分転換の意味も含めて、外に連れ出してあげることもよいかもしれません。
応募する方にもとめること
――応募者にもとめていたことはなんですか?
基本的に難しいことではありますが、「ホテルが第一志望なのかどうか」が大きなポイントです。
多くの方は「まずは日本で就労したい。比較的ハードルが低くて、就労できたところから働く」というのが多くの応募者の方の現実だと思います。そうして来てくれた方にどういうふうに仕事への興味を持っていただくかですね。
日本語能力を高めていただいて、少しでも多く日本のお客様とコミュニケーションをとっていただくことが大切かなと思います。
基本的にみなさん日本が好きな方なので、日本語でのコミュニケーションをいやがっている方はいないと思います。しかしまだまだ言語的な問題なのか、外国人だけでかたまってしまう状況はみられますね。
以前、御社の利用とはべつで、ハウスキーパーとしてベトナムの方を何人か雇っていました。実際のところ日本語能力はほとんどありませんでした。
いい方たちだったのですが、「現場で困ってしまった」ということはよくありました。
短期で採用するのであれば、技能実習のような手法もあるかもしれません。しかし長期的にみるなら、やはりその人自身のキャリアプランがないと難しいですね。
採用後について
――採用して感じたことを教えていただけますでしょうか?
チェックイン、チェックアウト、予約、電話応対など基本的なところはわりとすぐ覚えてくれました。それからレストランなどでの配膳業務も。
3か月もあれば、基本的なことはすぐに身につき、「次になにをするか」という段階になってきます。仕事に対して前向きな方であれば、自分から新しい仕事について提案してきてくれます。いわれたことだけできていればいいか、という方はそれ以上の進歩はないと感じます。
「自主性を発揮していい」ということを、どのように示してあげるかが大切だと思います。
また、当社のような小さなホテルの利点として、「本人がやってみたいことはできるだけ挑戦させてあげられること」だと思います。
とくに多国籍ですので、色々なカルチャーなかでSNSを主体として、国内の在留外国人の方のコミュニティなどに情報を発信するなど、能動的な動きを期待したいです。
――自分の可能性を自分で広げられる方が活躍していけるということですね
どの業界でも共通して言えることですが、職場の中の環境を利用して、楽しみながらご自身のスキルを伸ばせる方は活躍していけると思います。