2024年時点で、日本で働くインドネシア人は17万3,813人います。年々その数は増えており、仕事や日常生活の中でインドネシアの人と関わる機会がある方も多いのではないでしょうか。
しかし、「インドネシアではどんな宗教が信仰されているのか?」「どんな性格の人が多いのか?」など、意外と知らないことも多いかもしれません。

そこで今回は、インドネシアの人々について知っておきたいポイントをまとめました。インドネシア出身の方を採用する際や、一緒に働くときの参考になれば幸いです。

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インドネシアの基礎知識

インドネシアの場所にピンをさした地図

  • 国名:インドネシア共和国
  • 首都:ジャカルタ
  • 面積:約192万平方キロメートル(日本の約5倍)
  • 人口:約2.79億人 ※2023年時点、世界第4位
  • 公用語:インドネシア語
  • 通貨:インドネシアルピア/IDR(1円=約108.81インドネシアルピア) ※2025年2月20日時点
  • 宗教:イスラム教(87%)、キリスト教、ヒンズー教、仏教など
  • 主要産業:製造業、卸売・小売、農林水産業、鉱業など

参考:外務省 インドネシア基礎データ

インドネシアは、東南アジアにある世界最大の島国で、約17,000もの島からできています。国の中にはさまざまな文化や民族があり、中でもジャワ人が最も多く、全体の約40%を占めています。
ジャワ人は、インドネシアの中西部にあるジャワ島を中心に暮らす民族です。ジャワ島には首都ジャカルタがあり、世界で最も人口の多い島でもあります。

また、インドネシアは自然が豊かで、観光地としても人気があります。とくにバリ島は、美しいビーチや伝統文化が楽しめる場所として、多くの観光客が訪れます。

さらに、インドネシアはASEAN(東南アジア諸国連合)のメンバーでもあり、東南アジアの経済の中心として重要な役割を持っています。
最近では経済が成長し、若い働き手が増えていることから、これからの産業発展が期待されています。

参考:外務省 ASEAN(東南アジア諸国連合)

インドネシアの成長と若者の増加

インドネシアの人口は約25%が15歳未満、約68%が15〜64歳の働き世代です。このように、インドネシアは非常に若い人口構造をしており、今後の成長において重要な役割を果たすと期待されています。
とくに若い人が多いので、これから数十年にわたり活発な労働市場が続き、消費や投資が増えると期待されています。

また、若い世代は技術やトレンドを柔軟に取り入れる力があり、これが新しいアイデアや技術の進歩を生み出す可能性もあります。もしインフラや教育がもっと良くなれば、インドネシアはさらに魅力的な成長市場となり、国際的な競争力も強くなると考えられています。

参考:国際連合人口基金 人口データ(インドネシア)

インドネシアの経済はどうなっている?

インドネシアの首都、ジャカルタ

インドネシアは、東南アジアでもとくに経済が成長している国のひとつです。ここ数年は安定して発展を続けており、2024年の経済成長率(実質GDP)は前年より5.03%増えました。これは3年連続で5%を超える成長です。

2023年と比べると、輸出額は少し減りましたが、その一方で、若い世代の人口が増えたり、中流の家庭が多くなったりしたことで、個人の消費企業の投資がさらに活発になっています。

成長している産業は?

インドネシアの成長産業には、製造業、農業、鉱業、サービス業などがあります。

製造業は国の経済の約19%を占めており、とくに自動車産業や電子機器の生産が盛んです。たとえば、日本の自動車メーカーはインドネシアに工場を構え、東南アジア市場向けの生産拠点としています。
また、近年は環境にやさしい電気自動車(EV)関連の技術開発も進んでおり、国内でのバッテリー生産も拡大しています。

農業も近代化が進み、スマート農業技術の導入により、より効率よく生産できるようになってきました。
インドネシアは世界最大級のパーム油生産国であり、コーヒーやカカオの生産でも重要な役割を果たしています。とくに、インドネシア産のジャワ・アラビカコーヒーは高品質で知られ、海外市場でも人気があります。

さらに、観光業も成長中です。バリ島は世界的に有名な観光地ですが、政府は新たな観光地開発にも力を入れており、「Ten New Balis(10の新しいバリ)」と呼ばれるプロジェクトを推進しています。
たとえば、ロンボク島やラブアンバジョが新たな観光スポットとして注目され、2025年までに外国人観光客を1,800万人まで増やすことを目指しています。

インドネシア経済の課題とは?

経済は順調に成長していますが、いくつかの問題もあります。
まず、物価が上がったり、失業が増えたりすることで、多くの人々の生活が困難になっています。とくに非正規雇用が増えたために、安定した収入を得ることができず、社会保障が足りないという問題があります。

経済の格差も広がっており、地域ごとの差が大きくなっています。
インフラ(道路や港など)の整備が遅れていて、とくに遠い場所では、経済活動を進めるのが難しくなっています。

投資を増やすための取り組み

インドネシアでは、政治が安定し、経済が回復してきたことで、投資の環境も改善されています。
たとえば、新しく株式を公開する企業(IPO)が増え、民間企業や国の企業も投資に関心を持っています。また、政府は金融市場を発展させるために、新しい投資商品を導入し、お金の流れをスムーズにしようとしています。
こうした取り組みにより、国内外の投資家がインドネシアに関心を持つようになっています。

参考:ニッセイ基礎研究所 インドネシア経済

参考:国連NGO JACE NGOs インドネシア共和国

インドネシア人の性格と特徴

笑顔のインドネシア人女性

楽天的でおおらか

インドネシアの人は、明るく前向きな性格の人が多いです。たとえ大変なことがあっても、くよくよせず、どうすれば良くなるかを考えます。
仕事や普段の生活でも、失敗して落ち込むのではなく、すぐに気持ちを切り替えて次に進もうとするのが特徴です。また、人とのつながりを大切にし、周りの人と柔軟に対応しながら、良い関係を築いていきます。

家族を大切にする

インドネシアでは、家族の絆をとても大切にします。仕事とプライベートをはっきり分けるよりも、家族や親しい友人との時間を優先することがよくあります。
そのため、職場でも同僚との距離が近く、家族のような雰囲気になることが多いです。周りとの助け合いを大事にする気持ちが、人間関係を円滑にする理由のひとつにもなっています。

時間に対する考え方が違う

インドネシアでは、日本ほど時間に厳しくない文化があります。「ジャムカレット(ゴム時間)」という言葉があり、これは時間がゴムのように伸びたり縮んだりするという考え方です。
そのため、約束の時間に遅れたり、仕事の期限が延びたりしても、あまり気にしないことが多いです。日本の時間の感覚とは少し違うところがあるので、注意が必要です。

インドネシア人と一緒に仕事をするときに気をつけたいこと

グローバルな環境で働くインドネシア人の画像

宗教に配慮する

インドネシアでは、約9割の人がイスラム教を信仰しています。そのため、イスラム教徒の社員がいる場合は、礼拝や食事に配慮することが大切です。

イスラム教では、1日に5回(夜明け前・昼・午後・日没・夜)礼拝を行います。礼拝は5〜10分ほどかかり、仕事中にも2回ほど時間が重なることがあります。
そのため、オフィス内に静かに礼拝できるスペースを用意すると、安心して仕事ができる環境になります。

食事の習慣も日本とは違います。インドネシアでは、家族や友人と食事をする時間をとても大切にします。社員同士で一緒に食事をすることで、より良い関係を築くことができます。
ただし、イスラム教では「ハラール(食べてもよいもの)」と「ハラーム(食べてはいけないもの)」が決まっています。とくに豚肉とアルコールは厳しく禁止されているため、食事の際には気をつけましょう。ハラール対応のレストランもあるので、そうしたお店を選ぶのもおすすめです。

また、ラマダン(断食期間) には、日の出から日没まで食事や飲み物を口にしません。この期間は、食事の時間に配慮することも大切です。

時間に対して柔軟に考える

インドネシアの人は、日本人ほど時間を厳しく考えないことが多いです。約束の時間に遅れたり、納期を守る意識が日本人よりも低いことがあります。

そのため、最初から厳しく時間を守るよう指導するのではなく、スケジュールには少し余裕をもたせ、無理に急がせないようにすると良いでしょう。
仕事に慣れてきたら、納期の大切さや時間の管理の仕方を少しずつ教えていくことが大切です。焦らせず、順番に慣れてもらうことで、スムーズに仕事が進み良い関係も築きやすくなります。

注意は個別に伝える

インドネシアの人は、仕事中でも雑談を楽しみながら働くことが多く、こうした会話がチームワークを良くすることにつながっています。

しかし、人前で注意されることをとても気にするという特徴もあります。間違いを指摘するときやアドバイスをするときは、他の人がいる場で言うのではなく、個別に伝えるのが良いでしょう。

また、ただ注意するのではなく「なぜ必要なのか」をしっかり説明することで、納得してもらいやすくなります。感情的にならず、落ち着いて伝えることも大切です。こうすることで、お互いに気持ちよく働ける環境を作ることができます。

留学生に聞いてみた!日本在住のインドネシア人の特徴は?

インドネシア人の特徴をまとめたイラスト

出入国在留管理庁の発表によると、2024年6月時点で、日本に住んでいるインドネシア人は17万3,813人でした。これは日本にいる外国人全体の4.8% にあたり、インドネシア人は7番目に多い外国人ということになります。

また、前の年と比べて16.6%(2万4,712人)増加しており、その数は年々増えています。
インドネシア人が取得している在留資格で最も多いのは、技能実習生(8万7,090人)で、次に特定技能(4万4,305人)が多くなっています。
この背景には「日本で働いたり学んだりすることが、より良い未来につながる」と考える人が多いことが挙げられます。

ここからは、実際に日本へ留学しているインドネシアの若者たちに聞いた、その理由を紹介します。

参考:出入国在留管理庁 令和6年6月末現在における在留外国人数について

結婚より仕事を優先する若者が増えている

インドネシアでは、若者の68.3%が未婚で、結婚する人の割合が年々減っています。これは、女性のキャリア志向の高まりや、親からの結婚へのプレッシャーが弱くなっていること が影響しています。
結婚よりもまずは仕事やスキルアップを大事にする人が増え、その手段として海外で働くことを選ぶ若者も多くなっています。

厳しい就職競争を避け、海外でチャンスをつかむ

インドネシアでは、企業が若い人(とくに25歳以下)を優先して採用する傾向があります。そのため、大学を卒業したらすぐに就職しなければならず、競争が激しくなっています。
国内で仕事を見つけるのが難しいと感じた若者の中には、日本の技能実習制度や特定技能ビザを活用して、海外で働く道を選ぶ人も増えています。

都市の暮らしに限界を感じ、海外へ

インドネシアの都市化は急速に進んでおり、とくにジャカルタのような大都市では家賃や物価の上昇、交通渋滞、環境問題などが深刻になっています。こうした厳しい生活環境の中で、より安定した仕事と快適な暮らしを求め、日本での生活を考える人が増えています。
日本は安全で生活水準が高く、給料も比較的安定しているため、多くのインドネシア人にとって魅力的な選択肢となっています。

海外での起業を目指す若者が増えている

最近のインドネシアでは、起業を目指す若者が増えています。とくにITやテクノロジー分野では、スタートアップ企業が次々に誕生しています。
しかし、国内の競争は激しく、新しい市場を求めて海外に目を向ける人も少なくありません。
日本での人脈を作り、ビジネスのチャンスを広げるために、まずは留学や就職をして経験を積むという人も増えています。

このように、インドネシアの若者が日本を目指す理由はさまざまですが、共通しているのは「より良い未来を求めている」ということです。
これからも、日本で学び、働くインドネシア人は増えていくでしょう。

さいごに

インドネシアの文化や考え方を理解することで、より良い関係を築いて一緒に働くことができます。
これからインドネシアの方を採用する予定があれば、この記事を参考にしてみてください。

また、弊社では外国人採用の専門家が求人から採用までをサポートしています。わからないことがあれば、ぜひ気軽にお問い合わせください。

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