政府は2018年5月「2025年に向けて外国人労働者数を50万人増加させる」という方針を打ち出しました。これが公表されたとき外国人労働者数は国内で約128万人でした(算出したのは2017年10月末)。

2023年10月の厚生労働省発表では、約182万人になり過去最高を更新しました。近年は例にみないほど、外国人労働者数は増えています。

今回は外国人雇用促進に向けた政府の取り組みや、外国人を雇用しなければならなくなった日本の現状について解説いたします。

日本に住みたい外国人を増やす施策が必要!

2025年問題」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。2025年には団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になることで、社会保障費のパンクや年金問題などのさまざまな課題に直面することになります。
その中でも企業がとくに取り組まなければならない問題としては、労働者不足があげられるでしょう。

現在では外国人の雇用は増えているものの、年間の日本での就業人口はどんどん減っている現状があります。また日本だけではなく、ほかの先進国も高齢化を迎えており、ある程度の体力が必要なブルーカラー系の仕事では人手が足りなくなっている国が多いです。

そのような状況で、日本を他国よりも魅力的に思ってもらって、日本に住みたいと考える外国人を増やすような施策が必要になります。

政府が示す今後の外国人労働者とは

先ほどの発表と同時に、政府は外国人受け入れの要件緩和を発表しました。
これまで外国人労働者は「高度な専門知識を持つ人」に限定されていましたが、特定の分野において簡単な試験を通過したひとに最大5年の在留期間が許可されます。

2016年に約108万人であった外国人労働者数は2023年10月末には約182万人にまで増えました。この7年で68%の増加です。

日本で働く外国人労働者数は、今後も増えていくことになるでしょう。
それに伴って、いまでは日本の多くの企業が外国人採用を始めている現状があります。

外国人労働者がとくに必要な産業は?

政府が増加を見込んでいる産業として、以下の5つの産業があります。

  • 介護
  • 農業
  • 建設
  • 造船
  • 宿泊

これらの産業は少子高齢化が進む日本で、需要が増えているのに働き手が減っている産業です。当然ながら労働者の確保が難しいとされています。

そのため外国人労働者を受け入れて、労働力を担保することを目指しています。

上記の産業における在留資格は、技能実習の修了者であれば日本語能力・技能に関する試験は免除されます。この「試験免除」のような条件緩和を通して、外国人が日本で働きやすいように制度やルールを再設計し、外国人労働者の受け入れを増やそうと政府は動いています。

外国人労働者の増加を目指す政策の今後

外国人労働者を受け入れるにあたり、政策も見直されました。
本来なら外国人を雇ううえで設けられていた制度である「技能実習制度」は、外国人を雇う場合は「労働力の確保」ではなく、「他国に技術を教える」という趣旨でした。

しかしさらなる外国人労働者数増加に向けて、「労働力の確保」としての外国人雇用が認められました。これまで原則禁止されていた、特定業界の単純労働分野で、政府が設けた一定の技能と日本語能力を満たしていた場合「特定技能」という在留資格を獲得できます。

また「技能実習制度」自体も、時代に合っていないこと、国際的な批判に晒されていることなどから、新しい制度に変わることが決定しています。

2025年からでも外国人雇用はまに合う?

外国人の雇用・外国人雇用の準備をいち早く行うべきでしょう。この7年で外国人は日本国内で74万人増えていますが、今後もこの傾向は進みます。

同時に日本人の若い人材を獲得することは難しくなり、年を追うごとに出生数が減っていることからも毎年この傾向は強くなります。
外国人雇用をすることは大都市では当たり前のことになりつつあり、始めていない企業は競争力が落ちていくことが危惧できそうです。

人手不足はこんなに深刻

少子高齢化社会が進む日本において、すでに国民全体における生産年齢人口(15〜64歳)の割合が年々減少しております。厚生労働省は2025年には生産労働人口割合が60%を下まわっていると予測しているほどです。

国民の10人のうち、5〜6人しか労働ができない状況になります。
逆に老年人口(65歳以上)は増えつづけており、2025年には30%を超える予測となっています。

つまり社会保障費などで、莫大なお金が必要な一方で労働ができる人手は今よりも早いペースで減少していくと予想されています。

外国人採用のメリットは?

今後は生産労働人口が減少していく日本で、外国人の雇用は多くの企業が注目しております。外国人の雇用と聞くと、難しそう・大変そうと感じてしまうかもしれません。
しかしそれ以上にメリットもありますので、ここでいくつかご紹介いたします。

意欲が高い人を採用できる

母国を離れて仕事を探している方は、ある程度の決意や覚悟のもとで仕事を探しています。日本にもともと興味を持っていて来日しているのか、ただ純粋にお金を稼ぎに来たのかなど、その方の背景を聞いて、本人の意思に合わせた仕事を任せることでいい成果が生み出されるでしょう。

労働者数確保問題の解決の糸口になる

日本の労働者数が減少している現状は明確です。会社として早めに外国人雇用を促進していくことで、今後も慢性的な問題となることに対処することになります。

職場環境が活性化する

外国人が職場にいることで、これまではなかったコミュニケーションや、仕事のアイデアが生まれます。それらをうまく活用することで、より職場環境や仕事がおもしろく斬新なものになるでしょう。

また日本に来る外国人に何かものを売りたいと考えるときや、海外に何かものを売りたいというときにも、その文化で育ってきた人が社内にいると非常にいいでしょう!

今後も外国人採用は増加する見込み!

将来に向けてあらゆる業界が、外国人雇用に向けた適切な準備が必要になります。

どんな手続きが必要か、外国人とはいえ具体的に何人を雇用するべきか、職場のメンバーにどのように伝えるか、など細かく事前の準備を進めてはいかがでしょうか? そして、可能であれば早めに実際に外国人採用に乗り出せれば他社との差もつけやすいです。

2025年には万端な体制でスタートを切って人材獲得を目指しましょう。