外国人を雇用するには? メリット・デメリット、手続き、募集方法などについて解説いたします
目次
外国人雇用の見通しは?
外国人の雇用に対するスタンスとしては、おもに二極化する傾向があり、雇用をすでに始めている企業は雇用を拡大させ、非雇用企業は日本人の活用のみを優先するという傾向があるようです。
外国人の人材をすでに雇用している企業においては、雇用を拡大したいという方が7割に登ることが、パーソル総合研究所の「外国人雇用に関する記号の意識・実態調査」で報告されています。
外国人採用をしている企業が採用強化する理由は?
外国人採用をしている企業はその多くが、採用を強化する傾向がみられます。採用をさらに強化したいと考える理由を、具体的なポイントを上げてみてみましょう。
労働力不足への対応
日本国内では医療、建設、介護などさまざまな産業で労働力不足に直面しています。
外国人労働者はこうした労働市場の空白を埋め、企業の円滑な運営と成長に貢献することができます。
外国人雇用を強化することは、企業が労働力不足を克服し、熟練した労働者を確保するのに役立ちます。
多様な視点とスキル
外国人を含む多様な人材を採用することで、様々な視点、経験、スキルが会社にもたらされます。
この多様性は組織内の創造性、問題解決力、革新性を高めることができます。
また異なる文化的背景や言語スキルは、国際的な事業展開を目指す企業にとって貴重なものとなります。
言語能力と多文化的な顧客サービス
異なる言語に堪能な外国人労働者を雇用することで、特に国際的な顧客や多様な顧客層を抱える産業において、コミュニケーションや顧客サービスを向上させることができます。
母国語で顧客と効果的にコミュニケーションできる従業員の存在は、顧客満足度の向上やビジネスチャンスの拡大につながります。
インバウンドでチャンスが多い、観光業や小売店でも採用を強化する傾向がみられます。
包括的でグローバルな職場環境の構築
外国人労働者を積極的に雇用してサポートすることで、多様性を尊重し、文化交流を促進する包括的な職場環境を作ることができます。
これは従業員の士気、モチベーション、生産性の向上に貢献します。
また企業の多様性へのコミットメントを示し、求職者、顧客、ステークホルダーからの評判を高めることができるでしょう。
政府の支援とインセンティブ
日本政府は外国人労働者の雇用を促進する政策やプログラムを実施しており、外国人人材を積極的に雇用・育成する企業に対して、助成金や税制優遇措置などのさまざまな支援策を提供しています。
こうした政府の制度を活用することで、外国人雇用の強化を目指す企業にとって、金銭的なメリットやサポートが得られます。
外国人が日本で働くことのメリットは?
では外国人が日本で働くことのメリットは、どのような点があるのかについてみてみましょう。
質の高い労働環境
日本はプロ意識、規律、高水準の仕事を重視する国として知られています。
外国人労働者は、時間厳守、効率性、細部への注意を重視する、構造的で組織的な環境で働くことで利益を得ることができます。
先進的なテクノロジーとイノベーション
日本は技術的な進歩や革新的な産業で世界的に知られています。
日本での仕事は最先端の技術、研究、開発に触れる機会を提供し、キャリアアップやスキルアップのために有益となります。
文化体験と自己成長
日本での生活や仕事は、ユニークな文化体験になります。
日本の伝統や習慣、生活様式に触れることで、自己の成長、異文化理解、グローバルな視野の育成につながります。
競争力のある給与と福利厚生
日本では一般に競争力のある給与と福利厚生が提供され、経済的な安定と良好な生活水準が保証されています。
企業によっては健康保険、住宅手当、交通費補助などの追加給付が手厚い場合もあります。
キャリアアップのチャンスと専門性の向上
日本には自動車、エレクトロニクス、金融、ITなど、さまざまな産業があります。
外国人労働者は特に労働力不足に直面している分野で多様なキャリアアップの機会を見つけることができます。
また日本で働くことで、職業能力開発プログラムやスキルアップの機会を多く得ることができます。
外国人が日本で働くことのデメリットは?
では、外国人が日本で働くことのデメリットはどのような点があるでしょう?
言葉の壁
外国人労働者にとって、日本語は重要な課題です。
多くの職場ではコミュニケーションに日本語を使うことが多く、上級職には日本語の能力が求められることが多いです。
言葉の壁を乗り越えるには、時間と労力がかかるかもしれません。
労働文化、長時間労働
日本には強い労働倫理と長時間労働の文化があり、一部の外国人労働者には厳しいかもしれません。
残業や仕事への献身が求められるため、ワークライフバランスが崩れ、ストレスになる可能性があります。
文化的適応
異なる文化や社会環境に適応するのは難しいことです。
日本の習慣、階層構造、コミュニケーションスタイルなどを理解し適応するためには、忍耐力と柔軟性が必要かもしれません。
社会的統合と孤立
外国人労働者はとくに日本語が流暢に話せない場合、社会的なつながりを築き、サポートネットワークを確立することに困難を感じることがあります。
とくに国際的なコミュニティが少ない地方では、孤立感やホームシックになることもあります。
外国人労働者を雇用する流れは?
外国人労働者を雇用する際には、対象者が日本で働くことができるかをまず確認する必要があります。
在留資格の確認
雇用対象の方が日本にいる際には、「在留資格」の確認をする必要があります。
厚生労働省のサイトでは、おもな在留資格を確認できます。
ぜひ、一度内容を確認してみましょう。
在留資格では、その資格ごとに就労できる仕事が決まっています。
もし採用予定の仕事内容と在留資格が異なっている場合には、可能であれば該当する仕事につける在留資格に変更する手続きが必要となります。
雇用契約
雇用契約をする際には、賃金や業務内容など労働条件についてよく話し合ったのちに、書面にて雇用契約を結びます。
もしトラブルが起きた際には、雇用契約書が証明書になって機能してくれます。
ちなみに雇用契約書や労働条件通知書などを従業員に配布することは、労働基準法によって義務化されています。
もし契約書の配布を行わなかった際には、企業が責任を取ることになります。
募集の方法は?
外国人の募集方法についてみていきましょう。
求人サービス、求人広告
もっとも多く使われるのが、求人サービスや求人広告です。
オンライン上には外国人採用に特化したサービスも増えています。現代においては、もっとも効果的に求人を探す方法ともいえるでしょう。
新聞、各種メディア、雑誌、外国語のポータルサイトにも募集を出すことができます。ただ応募者数は抑えられるかもしれません。
大学、専門学校の紹介
大学や専門学校の中には、外国人留学生の就職をサポートする機能を持つところも多いです。
就職課に連絡をして、求人情報を掲載してもらう方法があります。
リーチできる外国人の数という面でみると、少し物足りない場合もあるかもしれません。
ハローワークなどの公的な機関を活用
公的な機関(ハローワークなど)を通して採用をする方法もあります。
厚生労働省の「外国人雇用サービスセンター、一覧」をみてみましょう。
優秀な外国人採用を行うポイントは?
国内では少子高齢化が進んでいますが、若くて優秀な外国人労働者を採用する事例が増えています。しかしながら、日本人を採用するときと同様で、外国人でも優秀な方とそうではない方がいます。
外国人採用で優秀な方を雇用するには、以下のことにはとくに留意する必要があります。
給与・待遇
優秀な外国人は自分の価値を知っており、選べる選択肢の中からもっとも自分に見合っているものを選びます。
一般に日本人よりも仕事に対してはビジネスライクですので、十分な給料を提示することが必要となるでしょう。
現状では正社員の日本人と外国人では、「4.6万円ほど安い」という調査結果が明らかになっています(パーソル総合研究所調べ)。
特に英語がある程度できる方にとっては、カナダやオーストラリア、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)など、他国でもさまざまな選択肢があります。
優秀な人材なら日本で雇っている場合でもポジションを上げ、給与も上げて、自社の生産性・収益性を増やしていく必要があるのは明らかです。
多言語対応
「外国語ができなくても仕事は有能」という方は多いです。
日本語は漢字、ひらがな、カタカナが混ざっている複雑な言語で、外国の方にとって日本語の文章を完全に読めるようになるのは難しいです。
ひらがなだけであればあるのは「50音のみ」のため、理解できる方は非常に多くなります。
外国人にムリな漢字対応をさせるよりも、ひらがなや英語での対応を社内で進め、「会社内で外国人の方が能力を発揮できるような環境を整える」のが大切です。
まとめ
外国人労働者を雇用するときには、面接の時点から外国人の方に対してわかるような文面でコミュニケーションを取ることが必要になります。
また初めて外国人を雇用される企業さまなら、採用が決まった後で気づいて変えていくことが多いでしょう。
日本の人口が減っていくにつれて、外国人の力を借りる必要がどんどん出てきます。社会の変化についていくことで、事業を成長させ、国内に住む外国人ともWin-Winの関係を作りましょう!