在留カードを紛失したらどうする? 企業がサポートできること、無くした外国人がすぐに取るべき行動や注意点を解説
日本に中〜長期滞在している16歳以上の外国人は、在留カードを常に持ち歩かなければいけません。
この記事では、外国人を雇っている企業が、もしその人が在留カードをなくしてしまったときに、どのようにサポートできるかを説明します。
目次
在留カードを紛失したことに気づいたらすぐに行動すること
外国人の従業員が在留カードをなくしたり、盗まれたりしたときの手続きの流れを説明します。
この手続きは、常にカードを持っている必要がない特別永住者も同じように行わなければなりません。
【重要】紛失手続きは「14日以内」に済ませてください
在留カードをなくした場合、そのことに気づいた日から14日以内に入国管理局で新しいカードを発行してもらわなければいけません。
もし海外にいるときに気づいた場合は、日本に戻った日から14日以内です。
在留カードを拾った人が悪用する可能性もあるので、気づいたら「すぐに」行動しましょう。
紛失手続きは、次の手順でおこないます。
- 警察への届け出
- 入国管理局で再交付申請
手続き① まずは近くの警察に届出を!
最初に、近くの警察にすぐ届け出をしましょう。在留カードをなくしたことを証明するための書類が必要だからです。
警察では、在留カードをなくしたことを伝え「遺失届出証明書」や「盗難届出証明書」など、状況に合った証明書をもらってください。
もし災害で在留カードをなくした場合は、「り災証明書」という書類が必要です。これは消防署や市役所などで発行してもらいます。
手続き② 近くの入国管理局で再交付申請をしましょう
再発行の申請に必要な書類は、次の通りです。
- 在留カード再交付申請書(または特別永住者証明書再交付申請書)
- 証明写真(縦40mm×横30mm)1枚
- 紛失したことが分かる証明書(警察が発行する遺失届出証明書など)
- パスポート
再発行の手数料はかかりませんが、証明写真を準備する費用が必要です。
入国管理局の受付時間内に申請をすれば、基本的にその日のうちに新しい在留カードがもらえます。
本人に代わって企業が紛失手続きをすることもできます
「申請等取次制度」という制度があり、これは外国人を雇う会社の人が利用できる制度です。
この制度を使うと、会社の人が委任状を持って、本人に代わって再発行の申請や新しいカードの受け取りをすることができます。
参考:地方出入国在留管理局の一覧(出入国管理庁 地方出入国在留管理官署)
在留カードを紛失したときの注意点
ここからは、在留カードを無くしてしまったときに注意しておくべきポイントを解説します。
注意点① 放置しないことが大事
在留カードをなくしたこと自体には、罰則はありません。
しかし、14日以内に再交付の手続きをしなかった場合、最長で1年の懲役や20万円までの罰金が科せられることがあります。
なくしたと気づいたら、「すぐに」手続きを進めましょう。
注意点② 申請中はパスポートを持ち歩きましょう
在留カードをなくして再発行されるまでの間は、身分証明のために「パスポート」と「警察での届出の控え」を持ち歩くことが大切です。
身分証明ができないと、トラブルになることがあります。
警察官に在留カードの提示を求められたとき、紛失して手続き中であることを証明できないと、不法滞在者と疑われることがあります。
もし意図的に在留カードを持ち歩かないと判断されると、最大で1年の懲役や20万円の罰金が科せられることがあります。
また、処分の情報は記録され、次回の在留資格の更新にも影響が出ることがあるので注意が必要です。
注意点③ 紛失が心配でも、企業が預かることはできません
厚生労働省は「外国人労働者の在留カードやパスポートを預かってはいけない」と決めています。
外国人の社員からこれらを取り上げることはもちろんダメですが、無くさないために好意で預かることも禁止されています。
外国人の社員から「保管をお願い」と言われても、うっかり預かってしまわないように注意しましょう。
注意点④ 一時帰国中に在留カードを紛失しても焦らない
一時帰国や旅行などで海外にいるときに在留カードをなくしてしまった場合は、まず現地の警察署に行き、紛失を届け出ましょう。
各国での手続きは少し異なるため、現地の警察に行って在留カードを失くしたことを伝え、適切な証明書をもらってください。
ここでは「海外の警察で証明書をもらう」ことが重要です。この証明書は、日本での再発行申請の際に提出が必要になるからです。
海外では在留カードを再発行できないため、日本に帰国したあと14日以内に再発行の手続きを行い、新しい在留カードを交付してもらいましょう。
ビザが必要な国で在留カードを無くしてしまった場合
ビザが必要な国から日本に再入国する場合、帰りの便の搭乗手続きで再入国許可の期限がまだ有効だと証明する必要があります。
もし在留カードがないと、この証明ができず、搭乗を断られることがあります。
これを避けるために、「再入国許可期限証明書」を用意する必要があります。
再入国許可期限証明書の取り方は次の通りです。
- 委任状の作成:証明書は日本の入国管理局が発行するので、代わりに手続きをしてもらうための「委任状」を、在留カードを無くした本人が作成します。
- 代理人への依頼:「委任状」と「紛失・盗難の証明書」(現地の警察が発行したもの)を、日本にいる代理人にメールやFAXで送ります。
- 代理人による手続き:日本の入国管理局で代理人に「再入国許可期限証明書」をもらってもらいます。
- 証明書の受け取り:代理人から、再入国許可期限証明書をメールや国際郵便で送ってもらいます。
空港では、「再入国許可期限証明書」と「紛失・盗難の証明書」を見せて搭乗手続きを行います。
この手続きにくわえ、日本に戻ったときに在留カードを再発行するためにも「紛失・盗難の証明書」が必要になります。ですので、警察から受け取ったときにコピーを何枚か取っておくことをおすすめします。
注意点⑤ 紛失したカードが見つかった場合は返納しましょう
新しい在留カードをもらったあとに、以前なくしたカードが見つかった場合は、その日から14日以内に古いカードを返さなければなりません。
さいごに
外国人の従業員を雇っていると、急に困ったことが起こることがあります。
とくに在留カードのような大事なものをなくすと、本人も会社の担当者もとても不安になります。
外国人の従業員だけでなく、会社の担当者も正しい知識を持って、予想外の問題にしっかり対応できるように準備しておくことが大切です。