ホテル・旅館で外国人を雇うには?宿泊業で使えるビザと注意点を解説
訪日外国人の増加が続く一方で、ホテル・旅館では深刻な人手不足が続いています。
政府が掲げる「2030年に訪日客6,000万人」の目標達成には、宿泊業で新たに約8万人の人材が必要とされており、日本人だけでは人材の確保が難しい状況です。
この記事では、宿泊業で外国人を雇用する際に必要な在留資格の種類と選び方を、最新データや採用成功事例とともに解説します。
外国人採用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
宿泊業の人手不足、実際どれくらい深刻?【最新データ】
国内外からの旅行需要が戻りつつあるなか、人手不足に悩む宿泊施設が増えています。
十分なサービスを提供できずに苦しむホテルや旅館も少なくありません。
業界全体で人材確保が課題となっている今、最新の統計をもとに現状と今後の見通しを整理していきましょう。
宿泊需要は「回復」ではなく「急増」へ

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査
日本の宿泊業は、コロナ禍の影響を乗り越え、すでに回復の段階を超えて過去最高水準に達しました。
国内旅行の回復に加え、訪日外国人の増加も大きな追い風となっています。
観光庁の調査によると、2023年の延べ宿泊者数は6億1,750万人となり、コロナ前の2019年(5億9,590万人)を上回りました。
とくに訪日外国人の宿泊者数は1億1,780万人を記録しています。
さらに2024年は、1億6,360万人(前年比+38.9%)と過去最高になり、宿泊需要の勢いはとどまる気配がありません。
業界の課題は「従業員の不足」と「宿泊施設の偏在」

出典:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)
2025年4月の調査によれば、宿泊業で人手不足を感じている企業の51.8%が非正社員の不足を問題視しています。客室清掃や配膳、フロント対応といった現場を支える業務の多くは非正規スタッフが担っているため、人手不足は直接サービスの質低下につながります。
実際に、予約の制限や業務の外注を余儀なくされる施設も増えています。
もう一つの課題が、宿泊施設の地域的な偏りです。
東京・大阪・京都などの都市部では客室不足が続く一方、地方では施設の増加が限定的で観光客を受け入れられない状況が見られます。
この結果、「人材がいても働ける施設がない」「施設があってもスタッフが集まらない」という雇用と設備のミスマッチが発生しています。
土地代や建設費の上昇も参入障壁となり、業界全体の成長を妨げる要因となっています。
宿泊業の新規求人は+10%増

引用:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
※紫色のドットが宿泊業(兼 飲食サービス)に該当します
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2025年3月の有効求人倍率は1.26倍でしたが、宿泊業・飲食サービス業の新規求人は67,064件(前年比+3.3%)と増加が続いています。観光需要の回復で求人は増える一方、働き手が集まらない構造的な人手不足が深刻化しています。
こうした状況を背景に、外国人労働者の数も増加傾向にあります。2024年時点で日本で働く外国人は230万人に達し、そのうち宿泊業では約4万人が就労しています。政府も外国人材の受け入れ制度を整備しており、宿泊業界の人手不足を補う重要な存在として期待されています。
2030年までに必要とされる労働力
政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人に増やす目標を掲げており、その実現には宿泊業で新たに約8.5万人の人材が必要と試算されています。
外国人スタッフの活用は、今後の宿泊業界にとって不可欠な採用戦略となるでしょう。
【採用難易度3.27倍】宿泊業(ホテル・旅館)は求人応募が集まらない?採用単価を抑えて人材確保する方法をご紹介!
宿泊業で雇用できる外国人の在留資格まとめ
外国人スタッフを宿泊業で雇用するには、まず「どの在留資格で働けるか」を正しく理解する必要があります。
在留資格ごとに従事できる業務内容や条件が異なるため、「フロント業務を任せたい」「清掃スタッフとして採用したい」といった希望があっても、資格によっては対応できない場合があります。
ここでは、宿泊業で活用できる主な在留資格と、それぞれのポイントを紹介します。
在留資格とは?
在留資格とは、外国人が日本でどのような活動ができるかを定めた「活動の許可」です。
従事できる仕事内容、就労時間、在留期間などが資格ごとに決まっており、違反すると不法就労とみなされます。
宿泊業で採用できる主な在留資格は以下の通りです。
技術・人文知識・国際業務/技能/特定技能/技能実習/永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者/特定活動/留学/家族滞在/文化活動それぞれの資格で働ける仕事の範囲は大きく異なるため、事前に制度を理解しておくことが重要です。
技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)
外国人の専門性を活かすための在留資格で、大学や専門学校で学んだ内容と業務内容の関連性が求められます。
宿泊業ではフロント業務や海外対応などで活用されますが、客室清掃や荷物運びなどの単純作業は対象外です。
【例】技人国で認められる業務
- 外国語を使ったフロント対応
- 海外のお客様向けの予約管理
- 観光案内などインバウンド対応
- 多言語でのウェブサイト管理や広報活動
許可を得るためのポイント
- 専攻内容と仕事内容の関連性が明確であること
例)観光学科卒業→フロント業務、経営学部卒業→予約管理・マーケティング - 給与や労働条件が日本人スタッフと同等以上であること
不許可になりやすいケース
- 客室清掃やベッドメイクなど単純作業がメイン
- 学んだ内容と仕事内容の関連性が不明確
- 提出書類が不十分
「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)ってなに?|取得条件と採用のコツを徹底解説
技能
海外で発展した専門的な技術を持つ外国人が、その技能を日本で発揮するための資格です。中国料理、インド料理、フランス料理など、国内に同レベルの技術者が少ない分野で活用されます。宿泊業では、ホテル・旅館のレストランで外国料理専門のシェフとして働くケースが一般的です。
【例】技能ビザで認められる業務
- ホテル内中華レストランで広東料理を提供する料理長
- インド料理店でスパイス調合やタンドール窯を使った本格調理を行うシェフ
- フレンチレストランで伝統技法を使いコース料理を担当する料理人
許可を得るためのポイント
- 「外国ならではの専門料理」であり、日本では学びにくい技能
- 10年以上の実務経験があり、高度な技術を証明できる
- メニュー構成や過去の経歴、料理工程を示す資料を準備できる
不許可になりやすいケース
- ファミリーレストランや一般的な洋食店での調理補助
- 業務内容があいまいで専門性を証明できない
- 配膳や清掃など、調理以外が主な仕事
特定技能1号・2号
人手不足が深刻な16分野に対応するための在留資格で、宿泊業も対象です。試験に合格すれば学歴・職歴不問で働けます。フロント業務、清掃、配膳など幅広い業務に従事可能で、特定技能1号は最長5年間、特定技能2号は期間制限なく家族帯同も可能です。
【例】特定技能で認められる業務
- チェックイン・チェックアウトの受付
- 客室の清掃やベッドメイクなどの衛生管理
- 館内レストランでの接客、配膳、レジ業務
- 備品補充や館内案内などのサポート業務
許可を得るためのポイント
- 宿泊分野特定技能評価試験と日本語能力試験(N4以上)に合格
- 契約書や支援計画書に業務内容とサポート内容を明記
- 住まいの確保、生活相談、日本語学習支援などを実施
不許可になりやすいケース
- 宿泊分野以外(飲食店、建設現場など)の仕事をさせている
- 書類と実際の支援体制が一致しない
- 賃金や待遇が他の従業員より著しく劣る
◼️「特定技能制度」についてより詳しく知りたい方はこちら!
➡︎外国人採用に必須知識!在留資格完全ガイド
特定技能の職種は何がある?16分野の仕事内容と最新ルール【2025年版】
技能実習1号・2号・3号
開発途上国への技能移転を目的とした制度で、人手不足の補填が目的ではありません
宿泊業では「接客・衛生管理作業」と「ビルクリーニング作業」が対象で、1号から始まり条件を満たせば2号・3号へ進めます。
【例】技能実習で認められる業務
- 客室清掃やリネン類の交換・管理【ビルクリーニング作業】
- ベッドメイクや浴室清掃など衛生管理業務【ビルクリーニング作業】
- アメニティの説明や荷物運搬などの接客補助【接客・衛生管理作業】
- 宴会場での配膳や後片付け【接客・衛生管理作業】
許可を得るためのポイント
- 法務省・厚労省認可の監理団体と契約
- 実習計画に技能習得としてふさわしい業務を明記
- 日本語指導、生活支援、報告体制を適切に整備
不許可になりやすいケース
- 教育や指導がほとんど行われていない
- 長時間勤務や単純作業ばかりを任せている
- 寮環境や給与が不十分で法令違反のおそれ
技能実習生の受け入れが可能な90職種165作業を解説!受け入れるメリット、特定技能への移行についても知りましょう
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者
「身分系」と呼ばれる在留資格で、就労制限がないのが最大の特徴です。日本人と同様に自由に仕事を選べるため、フロント業務から清掃、レストラン対応まで幅広く対応でき、在留資格の変更や追加申請も不要です。
注意したいポイント
- 在留カードの「就労制限の有無」欄を必ず確認
- 税金滞納や法令違反があると資格更新に影響
- 家族と暮らす方も多いため、勤務時間や通勤環境への配慮が定着率向上につながる
身分系ビザとは? 就労制限がない外国人の在留資格をわかりやすく解説
特定活動46号
日本の大学・専門学校卒業者が一定条件下で就労できる資格です。2020年の制度拡大で業務範囲が広がり、フロント業務に加え客室清掃やレストラン接客など、通常の技人国では認められない単純労働も可能になりました。
ただし「日本語力」「語学を使う業務」「フルタイム雇用」が必須です。
【例】特定活動46号で認められる業務
- フロント対応と清掃業務の兼務
- 通訳や翻訳を含む外国人観光客への接客
- ホテル内レストランでの接客や配膳(外国語対応含む)
- 日本語と外国語を使った電話応対やメール返信
許可を得るためのポイント
- 日本の大学・専門学校卒業、日本語能力試験N1またはN2取得
- 翻訳・通訳・語学対応業務が含まれる
- 正社員としてフルタイム雇用
不許可になりやすいケース
- 通訳や語学対応業務がなく単純作業のみ
- 契約書や業務マニュアルに語学を使う仕事内容が未記載
特定活動46号とは、どんなビザ? 取得できる人の条件や雇用方法、メリットについて解説!
資格外活動(留学・家族滞在・文化活動など)
本来就労が認められていない在留資格でも、「資格外活動許可」を得れば一定条件下で働けます。外国人留学生やその家族が宿泊業でアルバイトするケースが増えていますが、就労はあくまで副次的な活動です。
注意したいポイント
- 事前に資格外活動許可の取得が必須(無許可は不法就労)
- 留学生は週28時間以内、長期休暇中は1日8時間が上限
- 業務内容と就労時間を企業側で厳格に管理
外国人アルバイトの採用ガイド|就労時間の上限と必要な手続きを解説
宿泊業で外国人を雇用するメリット
外国人スタッフの採用には、宿泊業の人手不足を補うだけでなく、社内の雰囲気やサービスの質を高める多くの効果があります。
ここでは、具体的なメリットを5つに分けて紹介します。
メリット① 短期間で人材を確保しやすい
日本で暮らす外国人の中には、「働きたくても働く場所が見つからない」と感じている人が多くいます。
文部科学省の調査によると、日本で就職を希望する外国人留学生のうち2割が内定を得られていないという結果が出ています。
その最大の理由が「外国人向けの求人が少ない」ことです。
つまり、外国人を対象とした求人を出すだけで、他社より多くの応募が集まる可能性が高まります。
早期に外国人採用を始めることが、貴社の短期での人材確保を有利にするといえるでしょう。
【地方×中小企業】3年で約20名採用に成功した製造業の裏側を動画インタビュー
メリット② 若い労働力が確保できる
最近では、宿泊業でもデジタル化が進み、ゲスト用アプリや宿泊管理システムを活用する機会が増えてきました。こうした変化に対応するため、新しい技術に柔軟な若手人材を採用したいと考える企業も増えています。
一方で、日本では少子高齢化や転職希望者の増加により、若い世代の確保が年々むずかしくなっているのが現状です。
そのような中、厚生労働省の統計によると、外国人労働者の年齢層は「20〜29歳」が最も多く、その割合は年々増加しています(※コロナ禍を除く)。
若い外国人を雇用することは、長期的な人材不足の解消につながるだけでなく、企業の安定した運営にも良い影響をもたらすと考えられます。
参考:厚生労働省 在留資格別×年齢別にみた外国人労働者数の推移
メリット③ 労働意欲が高く、社内のモチベーションが向上する
外国人労働者の中には「日本の技術を学びたい」「家族のためにしっかり働きたい」といった目標を持って来日している人が少なくありません。そうした気持ちは、仕事に対する意欲や責任感として日々の行動に表れます。
たとえば、積極的に接客をしたり、効率的な働き方を覚えようと努力する姿を見て、日本人スタッフの意識が高まることもあります。教える立場であっても、相手の熱意に刺激を受ける場面が多くなるでしょう。
こうした相乗効果によって、職場全体の雰囲気が活性化し、結果として生産性の向上につながっていくケースも見られます。
メリット④ 多言語対応のサービスが可能になる
外国人スタッフの採用によって、多言語での対応力を高めることができます。
とくに外国人観光客が増えている今、英語や中国語などで接客できる人材は、宿泊業にとって重要な存在です。
たとえば、チェックインの案内や観光情報の説明を外国語で行えると、旅行者が安心して滞在できるようになります。
満足度が高まれば、リピーターの増加や高評価の口コミにもつながるでしょう。
さらに、異文化への理解を持つスタッフがいることで、きめ細かなサービスが提供しやすくなります。
外国人のお客様にとって「また利用したい」と思える施設づくりに貢献できる点も大きな魅力です。
【飲食店】【多言語対応】インバウンド需要に対応するため外国人採用に注力!成功事例をご紹介します
メリット⑤ 政府の支援制度が活用できる
外国人を雇用する企業には、助成金や補助金などの公的な支援を受けられるケースがあります。
これらを活用すれば、研修にかかる費用の一部をまかなえる場合もあり、結果として採用コストの軽減につながります。
また、在留資格の手続きや雇用契約に関するサポートも受けられるため、制度に不慣れな企業でも安心して採用活動を進めることができます。
こうした支援をうまく利用すれば、コスト面と制度面の両方で安定した人材確保が可能になります。外国人採用に踏み出すきっかけとして、心強い後押しになるでしょう。
【2025年】外国人雇用で使える助成金・補助金・公的サポート一覧
外国人も日本人も長く働ける職場づくりのポイント

外国人スタッフの採用だけでなく、日本人も含めた定着を考えることが大切です。ここでは、誰もが安心して働き続けられる職場づくりのポイントを紹介します。
労働環境を改善する
宿泊業では、長時間労働や低賃金、休みの取りづらさが離職の大きな原因になっています。こうした環境を変えないかぎり、外国人・日本人のどちらも長く働き続けるのはむずかしいでしょう。
たとえば、法定休日をきちんと確保したうえで、繁忙期以外に有給休暇を取りやすくする工夫が求められます。
早朝と深夜のシフトが連続しないような勤務の組み方も、負担の軽減につながるはずです。
そのほかにも、業務マニュアルを整えて仕事の属人化を防ぐことや、メンタルヘルス対策を取り入れることなども「働きやすい職場」としての評価につながっていきます。
IT・DXによる業務効率化
チェックインのタブレット化や自動精算機の導入、配膳ロボットの活用など、宿泊業でもデジタル化が進んでいます。こうした工夫によって、フロントや清掃スタッフの負担が減り、仕事の効率が上がりやすくなります。
業務の一部をシステムで補えるようになることで、人手不足の解消にも役立つでしょう。
とくに、日本語が苦手な外国人スタッフにとっては、翻訳機能付きのツールや標準化された操作マニュアルが大きな助けになります。
技術をうまく取り入れることで、誰でも覚えやすく、働きやすい環境が整っていきます。
福利厚生を充実させる
外国人スタッフを長く雇うためには、給料だけでなく、生活のサポートも重視されます。たとえば、住まいを探すのがむずかしい人には社宅や住宅手当を用意することで、不安を減らすことができます。
制服の貸与や交通費の全額支給、食費の補助など、毎日の生活に直接関わる制度も喜ばれやすいです。なかには、健康診断や心のサポート、日本語学習の支援を行っている企業もあります。
こうした取り組みを積み重ねることで、安心して働き続けられる環境が生まれ、結果的に定着率の向上にもつながっていくでしょう。
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よくある質問 (FAQ)
Q1. 「技人国ビザ」で採用した外国人に、客室清掃やベッドメイクを手伝ってもらっても問題ないでしょうか?
A. 原則として、問題となる可能性が高いため避けるべきです。
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザは、大学などで学んだ専門的な知識やスキル(例:語学力、経営知識)を活かすための在留資格です。客室清掃やベッドメイク、単純な配膳といった業務は、専門的な知識を要しない「単純労働」と見なされます。
専門業務に付随するごく一時的、または補助的な単純作業(例:急なトラブル対応で荷物を運ぶ、手が空いたときに少しだけ書類整理をするなど)であれば許容されますが、メインの業務にするのは不可です。
Q2. 留学ビザの学生アルバイトを、夜間や早朝のフロント業務で採用することは可能ですか?
A. 可能です。ただし、厳格な労働時間の上限などに関する規制を守る必要があります。
- 労働時間の上限:留学ビザの「資格外活動」は、週に28時間以内という上限が厳格に定められています。繁忙期でもこの上限を超えて働かせることはできません。
- 長期休暇中の特例:夏休みなどの長期休暇期間中(学校が定めた期間)のみ、1日8時間以内で働くことが可能です。
- 深夜・早朝勤務:宿泊業は深夜勤務が多くなりがちですが、留学ビザのアルバイトは深夜(22時以降)勤務も可能です。ただし、上記の週28時間以内という上限は守らなければなりません。
企業がこの上限を超えて労働させた場合、「不法就労助長罪」に問われるリスクがありますので、勤怠管理は厳格に行うようにしましょう。
Q3. 特定技能で雇用する場合、どのようなサポートが必要ですか?
A. 定技能で外国人を雇用する場合、企業には以下のサポート義務があります。
必須のサポート内容:
- 住居の確保支援 – 賃貸物件の紹介、保証人の引き受け、社宅の提供など
- 生活オリエンテーション – 銀行口座開設、役所手続き、交通機関の使い方などの案内
- 日本語学習の機会提供 – 日本語教室の紹介や、業務で使う日本語の研修
- 相談・苦情への対応 – 母国語または分かりやすい日本語で相談できる窓口の設置
- 日本人との交流促進 – 社内イベントや地域活動への参加機会の提供
- 定期的な面談 – 業務や生活面での困りごとがないか、定期的に確認
これらのサポートを自社で行うのが難しい場合は、登録支援機関に委託することも可能です。ただし、委託費用(月額2〜3万円程度)が発生するため、予算に応じて検討しましょう。
また、支援計画書の作成と出入国在留管理庁への提出も必要になります。
Q4. 外国人スタッフの定着率を上げるにはどうすればいいですか?
A. 定着率を上げるには、働きやすい環境づくりとコミュニケーションの工夫が重要です。
効果的な取り組み:
1. 労働環境の整備
- 法定休日の確実な確保と、有給休暇を取りやすい雰囲気づくり
- 早朝・深夜シフトが連続しないような勤務スケジュールの配慮
- 日本人スタッフと同等以上の給与・待遇の提供
2. 生活面のサポート
- 社宅や住宅手当の提供
- 制服貸与、交通費全額支給、食費補助などの福利厚生
- 健康診断や心のケア相談窓口の設置
3. コミュニケーションの充実
- 業務マニュアルの多言語化、またはやさしい日本語での作成
- 翻訳アプリの業務利用を認める
- 定期的な面談で、困りごとを早期に把握
4. キャリア形成の支援
- 日本語学習の機会提供や資格取得支援
- 将来のキャリアパス(リーダー職や正社員登用など)を明示
5. 文化・習慣への配慮
- 宗教上の配慮(お祈りの時間、食事制限など)
- 母国の祝日や文化を尊重する姿勢
これらを組み合わせることで、「長く働きたい」と思ってもらえる職場になります。
Q5. 宿泊業で最も採用しやすい在留資格は何ですか?
状況によって異なりますが、以下の3つが採用しやすい在留資格です。
1. 特定技能1号【最もおすすめ】
- 理由: 学歴・職歴不問で、試験合格者なら採用可能。フロントから清掃まで幅広い業務に対応できる
- 採用のしやすさ: 宿泊分野特定技能評価試験と日本語試験(N4以上)に合格していれば採用可能
- 注意点: 支援計画の作成と実施が必要(登録支援機関への委託も可)
2. 身分系ビザ(永住者・日本人の配偶者等・定住者など)【最も自由度が高い】
- 理由: 就労制限がなく、日本人と同じようにどんな業務でも任せられる
- 採用のしやすさ: すでに日本に住んでいる人が多く、即戦力になりやすい
- 注意点: 在留カードで「就労制限の有無」欄を必ず確認すること
3. 留学ビザ(資格外活動許可あり)【短期・パート採用向け】
- 理由: 在留外国人数が多く、アルバイト希望者を見つけやすい
- 採用のしやすさ: 週28時間以内の制限があるが、シフト制の業務に組み込みやすい
- 注意点: 労働時間管理を厳格に行う必要がある(違反すると企業側も罰則対象)
選び方のポイント:
- 長期雇用・フルタイム希望 → 特定技能または身分系
- 即戦力・幅広い業務 → 身分系
- 短時間・パート希望 → 留学(資格外活動)
採用したい人材の条件や、社内の受け入れ体制に応じて、最適な在留資格を選びましょう。
宿泊業での外国人労働者の採用事例を紹介!
ここでは、在留外国人向けの求人サイト「Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)」を通じて、実際に外国人採用に成功した事例をご紹介します。
【事例1】多くの応募者の中から、希望に合った人材を採用
- 掲載日数:180日
- 採用人数:3名
- 企業のサポート内容:社員寮の提供、外部・社内研修あり、スタッフ同士の懇親会あり、多国籍スタッフが多数在籍
この企業では、採用したい人材に確実に届くよう、SNS広告を活用して求人を行いました。その結果、128名の応募があり、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ人材と、身分系の外国人それぞれの採用に成功しています。
また、選考を円滑に進めるため、一次面接はGuidableが代行しました。企業側の負担が軽減されたことで、採用活動もスムーズに進んだようです。
【事例2】在留外国人が少ない地域でも採用に成功
- 事業所の所在地域(市区町村)の在留外国人数:約250人
- 掲載日数:30日
- 採用人数:1名
- 企業のサポート内容:未経験者歓迎、資格外活動可、研修あり、制服貸与、資格取得支援制度、紹介手当あり
この企業では、日本語の条件を「ローマ字の読み書きができればOK」と設定していました。日本語を学習中の留学生や、家族滞在中の外国人からも応募が集まり、幅広い人材にアプローチできたことが特長です。
在留外国人の数が少ない地域でしたが、外国人向けの求人自体が限られていたため、近隣地域からの応募も多く寄せられました。結果として、希望に合う人材の採用につなげることができました。
【事例3】若い身分系外国人の採用に成功
- 掲載日数:30日
- 採用人数:1名
- 企業のサポート内容:未経験者歓迎、研修あり、制服貸与、資格取得支援、紹介手当あり
この企業では「中国語または英語が話せる方歓迎」と募集要項に明記し、日本語要件は「ひらがな・カタカナの読み書きができれば可」としました。言語面の条件を調整することで、多言語対応ができる応募者を効率よく集めることができたのが特徴です。
応募数は1か月で50件にのぼり、最終的には20代の若い応募者で、かつ「身分系」の在留資格を持つ人材を採用できました。このような条件の人材は長期的に働ける可能性が高く、企業にとっても大きなメリットとなったようです。
さいごに
宿泊業界では、人手不足の深刻化が続くなか、外国人の雇用やDXの導入など、新たな取り組みが広がりつつあります。
この記事で紹介した在留資格の特徴や、社内でできる工夫を参考にしながら、自社に合った人材戦略を考えてみてください。採用の進め方を少し見直すだけでも、スタッフの定着やサービスの質の向上につながっていくはずです。
外国人スタッフを長く受け入れていくために、文化の違いやコミュニケーションの取り方にも目を向けて、少しずつ歩み寄る姿勢を大切にしましょう。
外国人採用のポイントとは? 定着率UPの鍵は求人にあり! ミスマッチを防ぐ5種類のコミュニケーション
宿泊業の外国人採用を成功させるヒントとは?
外国人スタッフを実際に受け入れているホテル・旅館の採用事例をまとめた資料をご提供しています。
「どんな在留資格で、どんな業務に関わっているの?」「どのように定着につなげているのか知りたい」といった疑問に対して、実際の取り組みを通じてヒントが得られる内容です。
これから外国人採用を始めようと考えている方はもちろん、すでに制度を導入していて運用に不安がある方にもおすすめです。
ぜひこの機会にチェックしてみてください。
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