「指定書ってなに？」「どんなことが書かれているの？」という疑問を持たれる方も多くいらっしゃるのでは無いでしょうか。外国人人材を雇用する際に指定書の確認が必要になります。また、在留資格によって指定書の有無があります。

この記事は会社で人事を担当していても指定書を見る機会がなく「作業書の見本が見たい」という方、外国人人材の採用を検討している方向けに指定書について詳しくご紹介していきます。

指定書とは

指定書とは、外国人人材が日本で就労する際に入管で交付される書類です。指定書には、在留資格別に指定された活動の内容や就労可能か、否かなどが記載されています。

外国人人材全員に指定書が発行されているわけではなく、「特定活動ビザ」、「特定技能ビザ」といった活動内容が決まっている在留資格で滞在している外国人に発行され、ー般的に入管でパスポートに貼付されます。

そのため、指定書を確認する際はパスポートを確認する、もしくは、在留カードにて確認することが可能です。

特定活動ビザに関する指定書

特定活動は就労の内容が多岐にわたるため、指定書ごとに詳細な記載がなされています。
会社にとっては一人の労働者として、フレキシブルな就労条件で働いて欲しいものですが、指定書に記載された内容で就労が行われていない場合は「違法労働」となります。そのため、人事担当者としては、記載内容をしっかり確認して理解する必要があります。

将来的にさらに外国人労働者が増加し、特定活動が多様化していく中で、指定書の活動内容もこれまで以上に様々な記載がされることが予想されます。

初めて特定活動の指定書を見る方にとっては、

• 就労内容と指定書の記載内容はあっているのかわからなない
• 申請の際にどこに相談すればいいのかわからず手続きが遅れる

というケースも少なくありません。そういった方々に向けて、今回は特定活動の指定書の申請方法や見本を紹介していきます。

特定活動の概要

そもそも特定活動とは何なのでしょうか？

近年、日本の色々なお店で外国人労働者が働いているのをよく目にするようになりました。日本では若者労働者人口が減少しており、都市部でも労働力を確保するために外国人労働者に頼らざるを得ません。

ただ、元々政府が定めていた在留資格のみでは、外国人の入国や活動を必要以上に制限してしまい、必要人材の入国が中々進まないという課題がありました。そこで、日本入国に正当な理由があれば、在留資格に該当しない活動であっても入国できる「特定活動」の仕組みが設けられました。

特定活動は「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定義され、「法定特定活動」「告示特定活動」「告知外特定活動」の3種類が存在します。

1. 「法定特定活動」：入管法で認められており、上陸審査の時に特定活動を付与。
2. 「告示特定活動」：告示で認められており、上陸審査の時に特定活動を付与。ワーキングホリデー、インターンシップ、サマージョブなど、特定活動にも40種類以上の活動が規定されている。
3. 「告知外特定活動」：入管法や告示で認められておらず、下記の場合には告知外特定活動に該当。

• 大学や専門学校などを卒業後、就職先が決まらない留学生の就職活動期間
• 在留資格更新が許可されず出国まで準備を行う期間
• 親を外国から呼び寄せた場合
• 人道的な配慮が必要である場合

また「告知外特定活動」は日本への上陸・在留を認められていますが、原則的に就労が禁じられています。

▼ワーキングホリデーについての記事はこちらをチェック！

ワーキングホリデー（特定活動）ビザの外国人を雇うには？　滞在期限、社会保険、他ビザへの切り替えについて

特定活動の申請について

申請方法

「在留資格認定証明書交付申請書」へ必要事項を記入し、添付書類を添えて地方出入国在留管理官署の窓口に提出します。入国前に交付を受けられるように事前提出が望ましく、提出からおよそ1〜3ヶ月で申請が許可されます。

必要添付書類

• • 在留資格認定証明書交付申請書×1
  •  写真（縦4cm×横3cm）×1
  • 返信用封筒　　　　※定形封筒に宛先を書いて、404円分の切手（簡易書留用）を貼付×1
  • 身分証明書

提出者

• 入国を希望する本人
• 外国人受け入れ機関の職員
• 法務省令で規定された代理人
• 地方出入国在留管理局長が認めた外国人受け入れ公益法人職員
• 地方出入国在留管理局長に届け出ている弁護士、行政書士
• 申請者本人の法定代理人

インターンシップの場合

申請人の在学証明書が必要です。

日本国内の大学を卒業して特定活動を希望する場合

労働条件を明記した書類や雇用理由書、学歴証明書、日本語能力証明文書、勤務先の事業内容を確認できる資料が必要です。また日本国内の大学に在籍し、大学を卒業後に就職活動を行う際には「在留資格変更許可申請書」を地方出入国在留管理官署の窓口に提出し、在留資格「特定活動」への変更申請を行うことも可能です。

▼特定活動ビザについてより詳しく知りたい方はこちらをチェック！

特定活動ビザで就労することはできるの？　「告示特定活動」は全部で54種類！　それぞれの活動内容について知りましょう

特定活動の指定書見本はこれ！

特定活動の指定書は在留カードとともに発行され、パスポートに添付されています。
特定活動で在留が許可された場合に指定書は交付されるため、かならず指定書に規定された活動を確認し、その内容に沿った活動を行うようにしてもらいましょう。

指定書に記載された活動以外のことを就業時に行うと「違法労働」となるため、注意が必要です。

留学生の場合

留学生の就職活動の場合は、在留状況に問題ないと判断され、学校からの推薦があると6ヶ月の特定活動が認められます。在留期間の更新が一度だけ付与されるため、最大1年間は就職活動のための在留が可能です。2年目には地方公共団体が実施する「適合就職支援事業」に参加して、就職活動やインターンシップを行う場合には、1年目と同様に特定活動が認められます。

高度専門職の場合

「高度専門職1号」は在留資格・特定活動が付与されている外国人労働者の中でも、「学歴・職歴・年収」などの各基準の合計が70点以上になる場合に許可される在留資格です。特定活動の活動内容から高度専門職で規定された活動に変更されるため、在留資格変更許可申請が必要です。

特定活動の指定書見本での注意点

最近では職務内容も多様化し、フレキシブルな業務をこなせる人材が求められています。
しかしながら、特定活動の指定書に記載された内容以外の就労は認められていません。
外国人労働者に対しての業務命令は、指定書の内容に沿ったものでなくてはなりません。

また「高度専門職1号」への在留資格変更許可申請など、新たな在留資格を取得できるまでの期間に就労することも認められていません。
「前から日本で働いているし、大丈夫だろう」という認識は改める必要があります。

特定活動にはさまざまな規定が存在します。
今回紹介した見本以外にも、さまざまな記載が就労内容ごとに存在するので、不明点がある場合は「地方出入国在留管理局への確認」を必ず行いましょう。

指定書をしっかり把握して外国人人材を採用！

今回は、外国人採用の際に重要な確認ポイントとなる指定書を「留学生の就職活動」「高度専門職1号」など特定活動を中心にご紹介してきました。外国人労働者数は年々増加しており、日本企業にとっても受け入れの態勢を強化する必要があるでしょう。企業にとっては「これまでとは異なる社内制度」が必要となり、コミュニケーションの面でも負担が大きくなることでしょう。
一方で労働力が確保でき、積極的な事業創出を行えるという観点から、外国人労働者の増加が地方創生を担うとして期待も寄せられています。

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