人口減少は日本だけ? 海外でも人手不足は進行している? 企業が人手不足倒産を回避するためにすべきことは
日本でも世界でも、先進国では人口減少がつづいています。子育て支援など、さまざまな政策を行っていますが、実際にはあまり効果が出ていません。日本では人手不足が原因の倒産も増えていますが、この状態が進むとどうなるのでしょうか? 今後増える問題と、その問題への解決策について以下では示します。
日本の人口減少についてまとめました。
目次
就業人口の減少
全国的に、地方部での生産年齢人口(15~64歳)が著しく減少しています。
たとえば秋田県では生産年齢人口が大幅に減少し、2040年までにさらに29%減少することが予測されています。また全国的には1995年をピークとして、生産年齢人口は減少しつづけており、2050年までに約30%減少する見込みとなっています。
65歳以上人口の増加
反対に高齢者の人口は全国で増加しており、2022年時点で65歳以上の割合が約29.0%に達しています。秋田県では65歳以上の人口が38.6%にたっしており、ほかの都道府県でも高齢化が進行しています。また75歳以上の割合も増えており、全国平均で15.5%に上昇しています。
ほかの国々、とくに欧州の先進国でも高齢化が進行していますが、75歳以上が15%に達する国はありません。たとえばドイツでは、急速な高齢化が進んでおり、総人口の約7.2%を占める程度といわれています。
人口減少率が高い地域
人口減少率がもっとも高いのは東北地方や北陸地方などの地域です。岩手県、福井県、和歌山県などでは、とくに人口減少が顕著です。一方で東京都は全国で唯一人口が増加しており、外国人の流入もこの増加に貢献しています。
高齢者の割合はどのくらい? 海外も人口減少中?
日本の65歳以上の高齢者人口は3,627万人で、過去最多になっています。
日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合は世界最多で29.1%になり、2位はイタリアの24.1%、3位はフィンランド23.3%とつづいています。
世界も多くの国が高齢者の割合が増加に向かっており、これにともなって起こる人材不足については、世界中で対応が必要な問題となっています。
イタリアの場合
出生率
イタリアでも2023年の出生数は37万9,000人と過去最低を記録しており、前年から3.6%減少しました。2008年以降は減少傾向がずっとつづいています。
結婚・出産観
イタリアの若者(20代、30代)に対する結婚や出産に関するアンケートによると、多くの若者は不安定な雇用状況や経済的な理由から、結婚や出産を遅らせている傾向があります。
とくに女性の就業率が高まる一方で、育児支援や安定した生活環境が整っていないことが、出産をためらわせる大きな要因とされています。また住宅コストや仕事と家庭の両立に対する不安も、結婚や家族を持つことに対する障壁となっています。
フィンランドの場合
記録的に低い出生率
フィンランドの出生率は、2023年に1.32と記録的な低水準に達しました。
これは、1776年以降の統計でもっとも低い数字となっており、出生数も43,383人に減少しています。地方では出生率が低く、キュメンラークソ(1.01)や北カレリア(1.14)といった地域で顕著です。
この低下の背景には出産年齢の上昇や、全体的な人口減少が影響しているとされています。
日本のニュースからわかること
就活解禁で高校生の争奪戦 バブル期を上まわる
2024年春に卒業する予定となっている高校生の就職活動がはじまった際に、新卒の高校生採用がバブル期の求人倍率を超えているニュースが流れました。
1988年以降に始まった計測ですが、1992年の3.34倍を越えるのは今回が初めて。
求人倍率は3.49倍となっていますが、この数値には大企業なども含まれています。中小企業の採用担当からすると、この求人倍率をはるかに上回る倍率(8倍から9倍)での、新卒高校生の争奪戦が起きている実感を持っている方も多いでしょう。
人手不足倒産が今年度も過去最多ペース
従業員の離職や採用難などで人手を確保できないために起こる人手不足倒産ですが、2024年上半期(1-6月)に累計で163件が起きています。2023年度は313件で、前年度比2.1倍と大幅に増加していますが、さらにこの数字を上まわる可能性が出てきています。
なかでも、建設と物流は人手不足倒産全体の45%を占めています。
人手不足が進むと社会はどうなる?
労働力が不足して倒産が増えると、実際にわたしたちの生活にどんな変化が起きるのでしょうか。
インフラ整備の遅延と劣化
建設業界の人手不足による倒産が進むと、道路や橋、公共施設などのインフラ整備が遅れたり、メンテナンスが十分に行われなくなる可能性があります。これによりインフラの劣化が進み、安全性に問題が生じるリスクが高まります。
とくに老朽化したインフラの補修が滞ると都市部でも生活に影響が出たり、地方では経済活動が停滞することが考えられます。
物流の停滞と消費者価格の上昇
物流業界での人手不足は配送業務が遅れたり、サービスの停止につながります。これにより商品の流通がスムーズに行えなくなり、店舗や消費者に商品が届くまでの時間が増加します。その結果として物価が上昇し、消費者は高い価格を支払うことになります。
さらに、とくに地方では物流が滞ることで生活必需品が不足し、地域経済にも大きなダメージを与える可能性があります。
介護サービスの崩壊と高齢者のケア不足
介護業界での人手不足による倒産は、介護施設の閉鎖やサービスの質の低下に直結します。
これにより増加する高齢者を十分にケアすることが難しくなり、要介護者が適切な支援を受けられなくなる可能性があります。
また介護サービスが不足すると家族が介護の負担を直接的に担うことになり、家庭内での負担が増加するため働き手の労働時間が減少し、経済的な影響が広がることも考えられます 。
社会全体での経済停滞
人手不足による倒産が多くの業界で進行すると、経済全体の生産性が低下し、GDP成長率にも影響が出る可能性があります。とくに建設や物流は経済の基盤となる重要な産業であり、これらが滞るとほかの業界にも連鎖的に悪影響がおよびます。企業の倒産や雇用機会の減少により失業率が上昇し、消費活動が低迷する可能性も高まります 。
問題の解決に必要不可欠なことは?
人口減少、労働力不足の問題を解決するに、一般的に以下のことが必要です。
女性の社会進出
国内でも問題解決に対して高い意欲を持つ企業では、女性が働きやすくなるようなさまざまな施策が実施されています。
たとえばメルカリが社員が「思い切り働ける環境にする」ために2016年2月に導入したmerci boxでは、以下のような支援が行われています。
◎産休、育休、介護休業の支援 ・・・ これらの休業から復職する場合には、復職一時金を支給します。安心して出産や育児に専念できる環境を整えます。
◎育児、介護休暇の取得 ・・・ 子どもの看護及び家族の介護で休暇を取得する場合は、5日間を特別有休休暇として最大で10日間(1年あたり)まで休暇取得が可能。
◎妊活のサポート ・・・ 高額な費用が発生する不妊治療を行う場合には、所得や年齢の制限なくその費用を会社が一部負担(上限あり)。
など
女性が今以上に社会に進出するには、会社側ができるだけ柔軟な制度を準備する必要があります。
高齢者の再雇用
高齢者の再雇用は人材不足を補う上では非常に大きな施策のひとつです。
とはいえ、やはり肉体的にキツイ業務などは各人の能力や素養に合わせて、周囲が支援をする必要があるでしょう。
外国人採用
日本では在留外国人が年々増えています。
コンビニ、飲食店、ホテル、小売店、バレエ教室、歯科やクリニックなどでも、外国人の方が働いているのを見たことがある方も増えているのではないでしょうか。
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