インドネシア出身で、日本で働く方が増えています。しかしインドネシア人がどのような宗教を信仰していて、一般にどんな性格の方が多いのかなど、基礎的なことを知らない方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、インドネシア人について知っておくべきことをまとめました。ぜひインドネシア人の採用を検討する際に、こちらのドキュメントを参考にしていただければと思います。

インドネシアについての基礎知識

国名:インドネシア共和国
首都:ジャカルタ
面積:1,904,569平方キロメートル(日本の約5倍)
人口:2億7,300万人
公用語:インドネシア語
通貨:インドネシア・ルピア(IDR)
宗教:イスラム教(約87%)
気候:熱帯気候(雨季と乾季がある)
名目GDP:1.19兆USD(2022年時点、日本は約4.9兆USD)
主要産業:農業、鉱業、製造業、石油・ガスなど

インドネシアは1万7千以上の島からなる国です。島ごとに民族的、言語的、文化的なちがいが見られます。国土は日本の5倍程度の面積があり、東西も5,000kmとかなり長く、アメリカ大陸の東西間の距離と近いです。また人口も非常に多いのが特徴で、世界第4位の人口数です。

インドネシア人口の44%が24歳以下

インドネシアの人口の27%程度が14歳以下で、17%程度が15~24歳の若者です。つまり24歳以下が44%程度を占めており、非常に若くていきおいがあります。若者の総人口だけで約1億人いるともいわれています。

少子高齢化が進む現代日本の平均年齢は48歳前後といわれていますが、日本にもやはり若者が40%を占めていた時代があります。それが戦後から高度経済成長期(1945~70年)です。
若者が労働市場に参入することで、製造業を中心として経済活動が活発化しました。つまり今後の20年、インドネシアがこの時期の日本のようになることも充分に考えられます。

宗教的多様性

インドネシアはイスラム教徒が多数派(87%程度)です。キリスト教(10%程度)、ヒンドゥー教、仏教、儒教も信仰されています。国民の中でもさまざまな宗教が信仰されているため、たがいの宗教を尊重しあっています。

では信仰の度合いはというと、ほとんど興味がない人もいれば、敬虔な方もいるといった具合です。ヒジャブも首都では付けている人が半々程度。親は敬虔だけれど、若い世代はそうでもない、という家庭も多いようです。

インドネシア人の性格に特徴はある?

インドネシア人は「スローペースな性格」「時間にしばられない」人が多いとよく言われます。その理由として年中常夏であるから、という説明を見ることがあります。しかし実際にインドネシア出身の留学生と一緒に働いて見ると、このようなゆったりとした国民性はそこまで強く感じられません。

むしろ時間に対してかなり正確であり、睡眠時間を削って勉強をしたり、クラブ活動をしている印象です。日本の大学生とほとんど同じように見えます。

急成長するインドネシアの経済

名目GDPの成長の推移

2012年からの10年間で、インドネシアのGDPは着実に増加しています。以下では成長している産業と、インドネシア国内でも有名な企業について解説いたします。

デジタル経済とテクノロジー産業

企業例:Gojek、Tokopedia(のちに合併してGoToグループに)

インドネシアはスマートフォンの普及にともなって、デジタル経済が急成長しました。Gojek(ゴジャック)はタクシー配車サービスからはじまり、現在では金融サービス、食品配達、物流など多岐にわたるサービスを提供する、インドネシアを代表するアプリとして成長しています。

また、Tokopedia(トコぺディア)はインドネシア最大のeコマースプラットフォームのひとつで、オンラインショッピングの拡大に貢献しています。この2社は2021年に合併し、GoToグループとしてインドネシア最大級のテック企業になりました。

金融サービス(フィンテック)

企業例:OVO、DANA

インドネシアでは成人でも7%程度の方が銀行口座を持っていないようですが、スマートフォンの普及によりデジタル決済が急速に拡大しました。

OVOやDANAはモバイル決済や電子ウォレットの分野で急成長しており(※日本でいえばPayPayのような存在です)、キャッシュレス化を推進しています。
これにより多くのインドネシア人が、初めてデジタル金融サービスにアクセスできるようになりました。

製造業

産業の例:自動車、電気機器、石油化学

インドネシアの製造業はとくに自動車や電気機器の分野で急成長しています。インドネシアはトヨタ、ホンダ、ダイハツなどの日本企業の生産拠点としても、とても重要な役割を果たしています。
またインドネシア政府は電気自動車(EV)や、バッテリーの製造に対しても投資を促進しており、これによりインドネシアの製造業全体がさらに活発になっています。

エネルギーと鉱業

企業例:Pertamina(国営石油会社)

インドネシアは天然資源が豊富で、石油、天然ガス、石炭、鉱物資源の生産が経済に大きな影響を与えています。とくにニッケルやボーキサイト(※酸化アルミニウムを多く含む鉱石)などの鉱物資源は、バッテリーや電子機器の製造に不可欠で、世界市場において重要な位置を占めています。

Pertaminaは国内外でエネルギー事業を展開し、インドネシアのエネルギー自給率の向上に貢献しています。

消費財とリテール

企業例:Unilever IndonesiaIndofood

インドネシアの中産階級の消費が拡大するのとともに、消費財や小売市場が急成長しています。Unilever Indonesiaは、日用品や食品の分野で広く認知されており、Indofoodはインスタントラーメン「Indomie」で世界的にも有名です。これらの企業は、国内市場における強力なブランド力を活かして成長をつづけています。

日本在住のインドネシア人の数は?

出入国在留管理庁の報道発表資料によれば、令和5年(2023年)6月末時点では、日本に在住しているインドネシア人は122,028人です。
この数値は在日外国人総数の
3.7%で、日本で7番目に多いのがインドネシア人です。

また、前年度と比較するとインドネシア人(+23,163人)の増加率は、もっとも多いベトナム人(+30,842人)、そのつぎに多い中国人(+26,932人)の増加率に追いつく勢いがあります。
このことから、日本在住のインドネシア人は顕著に増加しています。

留学生に聞いた現在のインドネシア

☆ 結婚率が下がっている

ここ10年は順調に経済成長をしており、もっとも成長している発展途上国のひとつとなったインドネシア。人口も2億7千万人を超え、若い世代が非常に多いです。
しかし、インドネシアの若者の68.3%が未婚で、結婚率が次第に下がっています。

理由としては「女性のキャリア追求」「結婚観の変化」「親世代からのプレッシャーの減少」などがあります。

就職では激しい競争

インドネシア国内での就職は、競争がとても激しいです。年齢で差別するのが当然で、25歳以下までが重宝される傾向があります

インドネシアでも日本と同じように年上・先輩に対して敬意を持つ傾向があり「まだ若い状態の方を雇って、しっかりと育てていくもの」という考えがあります。
「若い方が新しいスキルを得やすい」「頭が凝り固まっておらず、柔軟な発想ができる」と考えるのは、日本と似た考え方でしょう。

就職活動での日本との違い

インドネシアでは、特定の時期に就職活動を始めるという考え方がありません。大学卒業までに仕事が決まっている人も多いですが、最近は在学中に決まらないまま卒業をする人も多いです。

前述しましたが、年齢での足切りがされるために、仕事を見つけることに対して心理的な圧力がかかっています。このことも影響してか、若者のあいだで起業を目指す動きは活発になっており、テクノロジー関連のスタートアップも増えています。

☆ 急速な都市化

インドネシアの急速な都市化は、経済発展に寄与する一方で、いくつかの深刻な問題を引き起こしています。

1.インフラ不足

急速に拡大する都市では、道路、公共交通機関、上下水道などのインフラが整備不足に陥ることが多く、生活に悪影響がでています。ジャカルタなどの大都市では渋滞や洪水が多く発生し、生活の質や経済活動に影響を及ぼしています。

2.スラムの増加

農村から都市部に移住する人が急増することで、十分な住宅が確保できずにスラムの拡大が問題となっています。インドネシアの大都市では低所得層がスラムに住むことが多く衛生や安全面での課題が深刻です。

3.環境汚染

都市化にともない廃棄物や排ガスの増加が環境汚染を悪化させています。とくに工業地帯や交通量の多い都市部では大気や水質の汚染が進み、住民の健康に悪影響をおよぼしています。
ジャカルタでは空気の質の悪さが健康問題を引き起こし、都市の生活環境に大きな影響を与えています。

4.社会的不平等の拡大

急速な都市化は、「都市部での富の集中」と「格差の拡大」を引き起こしています。裕福な層が繁栄する一方で低所得層は経済的な機会から取りのこされ、社会的な不平等が深刻化しています。この格差は都市部での犯罪や、社会的不安定にもつながる可能性があります。

5.自然災害リスクの増加

都市が急速に発展する中でインドネシアの沿岸部の都市では地震や津波などの自然災害リスクが高まっています。また都市の不適切な土地利用や、水の管理が洪水を引き起こす原因にもなっています。ジャカルタでは地盤沈下と気候変動により、洪水のリスクが増加しており政府は首都移転の計画を進めています。

6.交通問題

都市化による人口集中により、交通渋滞が深刻な問題となっています。特にジャカルタなどの大都市では、車やバイクが主な移動手段であり、公共交通機関の発展が遅れているため、通勤時間の長さや経済損失が増加しています。

インドネシア人の語学力

インドネシア人は日本語に興味がある?

採用する側にとっては、インドネシア人に語学力があるかどうかは重要な情報でしょう。

インドネシアでは日本語学習者は約70万人程度いるといわれ、インドネシア国内では中国語についで関心が高いです。
この関心は「インドネシアが親日国家である」という背景もありますが、日本の植民地であった時期に日本語教育が行われていた事実も関係しています。
インドネシアでは日本のアニメや漫画が人気で、こうしたコンテンツを通じて日本語への興味を持つ人は多いです。

高い英語力

外国人が多い首都ジャカルタや観光地のバリ島では、小学校1年生から英語が必須科目に定められています。日本で働くことを目指しているインドネシアの方の中には、高い英語を持つ方が多くいます。

日本に来ている留学生も、高い英語力を当たり前に備えている方も多いです。

さいごに

インドネシアは日本の高度経済成長と似たような、若者が非常に多いという局面を迎えており、名目GDPも急成長を遂げています。一緒に働いているインドネシアからの留学生もSNSでの知見が多くあります。

ぜひ有能なインドネシアの人材を採用したいと考えている方は弊社まで一度お声がけください!