近ごろは日本の企業でも外国人を雇うことが増え、ネパールから働きに来る人も急激に増えています。
とはいえ「ネパール人ってどんな性格なんだろう?」と、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、実際にネパール出身の大学生と一緒に働いている筆者が、ネパール人の性格や特徴について紹介します。

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ネパールってどんな国?

ネパールの基本データ基礎知識

  • 首都:カトマンズ
  • 人口:約3,054万人 ※2022年時点
  • 面積:14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)
  • 言語:ネパール語
  • 民族:パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワール等
  • 宗教:ヒンドゥー教徒(81.3%)、仏教徒(9.0%)、イスラム教徒(4.4%)他
  • 国祭日:9月20日(憲法公布日)
  • 通貨:ネパール・ルピー(1円=約1.08ネパール・ルピー) ※2025年2月8日時点
  • 識字率:71% ※2022年時点
  • 在留ネパール人数:206,898人 ※2024年6月末時点

ネパールは南アジアに位置する内陸国で、北は中国のチベット自治区、南・東・西はインドに接しています。
国土の大部分は丘陵や山岳地帯で、とくにヒマラヤ山脈には世界最高峰のエベレストが存在します。現地では「サガルマータ(सगरमाथा)」と呼ばれており、これは天空の額、という意味だそうです。

多民族国家であり、100以上の民族が共存し、様々な言語が話されています。おもにヒンドゥー教が信仰されており、文化的にも多様性に富んでいます。

近年は政治的安定が進んでいるものの、貧困や教育、医療の格差が依然として課題となっています。

ネパールの国旗が世界で唯一長方形ではないのも、ユニークな特徴です。
この三角形がふたつならんだようなデザインも、じつはヒマラヤ山脈が象徴されており、いかにこの山がネパールの誇りであるか、国民性と深く結びついているのかがわかります。

ネパールの隣国(インド、中国)との関係

ネパールの位置を示した地図

ネパールの隣には、インドと中国という大きな国々があります。これらの国はどちらも人口が多く、経済的にも影響力を持っていますが、ネパールとはどのような関係があるのでしょうか。

ネパールとインドの関係

ネパールとインドは、地理的にも文化的にもとても近い関係にあります。
両国は長い国境を共有し、言語や宗教も似ています。インドはネパールの最大の貿易相手国であり、経済的にも大きく依存しています。
また、インドはネパールの政治にも影響を与えることが多いです。最近では、インフラの整備や教育支援などを通じて、両国の協力がさらに深まっています。

ネパールと中国の関係

ネパールと中国は、経済的な協力を中心に関係が進んでいます。とくに「一帯一路」という中国の国際的なプロジェクトに参加することで、中国からの投資が増えており、インフラの整備が進んでいます。
ネパールは中国から経済的な支援を受けており、貿易も増えています。ただし、ネパールは自国の独立や主権を大切にしているため、中国との関係でもバランスを取ることが大切だと考えています。

【一帯一路とは】

アジア、ヨーロッパ、アフリカをつなげる大規模なインフラ整備計画です。鉄道や道路、港湾などを建設して、貿易の促進や経済協力を強化することを目的としています。このプロジェクトに参加する国々は中国からの投資を受けることができ、同時に中国との経済的なつながりも深まります。

ネパールと日本の関係

ネパールと日本は、長い間友好関係を築いてきました。日本はネパールに対して大きな支援をしている国のひとつで、とくにインフラ、教育、農業の分野での協力が目立ちます。日本からの技術や資金援助は、ネパールの経済発展に役立っています。
また、日本とネパールの間では、留学生の受け入れ特定技能労働者の受け入れが進んでおり、両国の経済的なつながりがさらに強化されています。
日本との関係を深めることで、インドや中国の影響をうまく調整し、経済の多様化を図っています。

働くネパール人と海外進出

ネパールでは、働き盛りの若い世代が多く、国内外でさまざまな仕事に挑戦しています。ここでは、ネパール人の働き方や海外での活躍について紹介します。

ネパールには働き盛りの若者が多い

ネパールの若者の画像

ネパールは、働く世代の人が多い国です。人口の約65%が15〜64歳で、その中でもとくに10代から30代の若者が多く、活発に社会で活躍しています。

ネパール国内では約64%の人が農業に従事していますが、農業が経済全体に占める割合は約24%にとどまり、農業だけでは十分な収入を得ることが難しい状況です。
そのため、都市部の若者たちは、より高い収入を得られる仕事を求めるようになっています。

また、近年の教育改革で義務教育が8年間に延長され、誰でも無料で基礎的な教育を受けられるようになりました。とくに英語教育が広がったことにより、海外で学び、働く力をつける若者が増えています。

参考:Statista Nepal: Age distribution from 2013 to 2023
参考:World Bank Group Strengthening School Systems in Nepal

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ネパール人の出稼ぎ事情

ネパールの現状では月給が2〜4万円程度であるため、より高い収入を得るために多くの若者が海外に出稼ぎに行きます。
おもに中東やマレーシアに行き、建設業や製造業、サービス業などで働く人が多いです。家族を支えるために海外で働き、仕送りをすることが一般的です。
そのため、2023年のネパールのGDPの約26%が海外からの送金によるものとなっています。

また、より専門的な仕事を目指すネパール人は、インド、アメリカ、オーストラリア、中国、そして日本などへ留学することが増えています。とくに日本では、工学やIT、ビジネスの分野が人気で、奨学金や留学生支援が充実しているため、多くのネパール人が日本で学んでいます。

日本でのネパール人の在留資格

近年、日本で暮らすネパール人の数が増えてきています。
2024年6月末時点で、日本にいるネパール人労働者は206,898人に達し、前年よりも3万人以上増加しています。この増加率は、ミャンマー、スリランカに次いで3番目となっています。

日本にいるネパール人の多くは、「留学」の在留資格で来日し、その後、「家族滞在」や「技術・人文知識・国際業務(技人国)」などに資格変更をしています。
とくに、留学後に日本で就職して「技人国」のビザを取得するケースが増えており、ITやエンジニア、通訳、ビジネスなどさまざまな分野で活躍するネパール人が増加しています。

参考:出入国在留管理庁 令和6年6月末現在における在留外国人数について

ネパール人の性格と特徴

穏やかな表情のネパール人女性の画像

親しみやすく、おもてなしの心が強い

ネパールにはさまざまな民族や文化があり、たくさんの言語が使われています。そのため、ネパールの人たちは違う背景を持つ人と関わることに慣れていて、他の人を受け入れる気持ちが強いです。
とくに、家族や友人を家に招くときには、たくさんの料理や飲み物を用意して相手が快適に過ごせるように気を配ります。
ネパールの人と接するときは、このような温かいおもてなしの気持ちを大切にし、「ありがとう」と感謝を伝えることが大事です。

勤勉で努力家

ネパールは経済的に発展途上の国であり、国内の雇用機会は限られています。このため、多くのネパール人は海外での就労を選択し、とくに中東やアジア諸国で働くことが一般的です。
海外での労働は、ネパール国内で得られる収入の数倍に達することが多く、月に数万円の家族への送金が重要な収入源となっています。このような経済的なプレッシャーが、ネパール人の勤勉さをさらに強化しています。

また、ネパール社会では、勤勉さや努力が高く評価される傾向があります。
ネパールの教育制度も、努力を重視する傾向があり、高い成績を取るために一生懸命勉強します。
これらの要素が組み合わさることで、ネパール人は家族やコミュニティのために懸命に働く姿勢を持ち続けているのです。

控えめな性格

ネパール人は控えめで、自分の意見を強く言わないことが多いです。これは、家族やコミュニティを大切にする文化が影響していて、個人よりも集団の調和を優先するためです。
とくに年配の人を敬う考えが強く、年長者の意見を大切にすることが当たり前になっています。

また、ネパールは昔から周りの国の影響を受けてきました。とくにインドとの関係が深く、カースト制度の影響もあり、立場によって意見の伝え方が変わることがあります。そのため、社会全体で控えめな態度が自然と身についているのです。

ネパール人と一緒に仕事をするうえで気をつけたいこと

時間の感覚

ネパールには「ネパリタイム」という文化があり、時間の感覚が日本とは少し違います。
ネパールでは、約束の時間に30分から1時間遅れることがよくあり、ビジネスの場でも時間に厳しくないことが多いです。
これには、ネパールの交通事情や社会的な背景が影響しています。ネパールでは、交通渋滞や天候の影響で移動が遅れることがよくあり、予定が変更されることもよくあります。
ネパール人自身もこの時間感覚を理解しており、時には「ネパリタイムだから」と自分を笑うこともあります。

そのため、ビジネスの場では時間を守ることの大切さを伝え、遅刻を避けるために事前に確認や調整をすることが大切です。
文化的な違いを理解し、会議や締切の前にリマインダーを送るなど、しっかり対応しましょう。

宗教とお祭り

ネパールのお祭り「ダサイン」の画像

ネパールでは、約80%の人がヒンドゥー教を信仰しており、宗教が生活の中でとても大切な役割を持っています。
とくに「ダサイン」というお祭りは、ネパール最大の行事で、毎年9月下旬から10月にかけて約15日間続きます。

この期間中は、多くのネパール人が家族のもとへ帰り、一緒にお祝いをします。
学校や仕事を休むことが多いため、あらかじめ休暇の予定を立てておくことが大切です。

食べ物の文化

ネパールの食文化は、地域や民族によってさまざまで、隣のインドや中国、チベットの影響を受けています。
ネパールの代表的な食事は「ダルバート」と呼ばれています。これは、豆のスープ(ダル)とごはん(バート)を組み合わせた料理で、野菜のカレーや漬物(アチャール)と一緒に食べることが多いです。栄養バランスがよく、ネパールでは毎日のように食べられています。

食事の回数は、1日2回が基本で、朝ごはんは9時から10時ごろ、夜ごはんは7時から8時ごろに食べます。昼ごはんを食べない人もいますが、仕事や学校のスケジュールに合わせて食事の時間を変えることもあります。

そして、ネパールの食事にはヒンドゥー教の影響が強くあります。
ヒンドゥー教では、他の人が口をつけたものは「穢れている」とされているため、食べかけのものをシェアすることはありません。大皿をみんなでつつく文化もなく、基本的には一人一皿で食事をします。
もしネパール人と一緒に鍋や大皿料理を食べる場合は、取り分け用のトングやスプーンを使って、他の人の食器が触れないように気をつけましょう。

また、ヒンドゥー教では牛が神聖な動物とされているため、牛肉を食べることはほとんどありません。お祭りや宗教行事の日には、特定の食べ物を食べないこともあります。

ネパールでは食事を手で食べる習慣があり、右手を使うのがマナーです。
左手は不浄と考えられているので、食事のほかにも、握手や物を渡すときには右手だけを使うようにします。もし左手を使う必要があれば、相手に許可を求めるようにしましょう。

家族を大切にする暮らし

ネパールでは、家族をとても大切にする文化があります。とくに年上の人を敬う気持ちが強く、親や祖父母の意見を大事にするのが一般的です。

また、家族のつながりが深いため、誰かが病気になると、看病のために仕事を休むことも珍しくありません。親戚同士のつながりも強く、結婚式やお祭りなど、家族のイベントには積極的に参加します。
そのため、仕事をする上でも、ネパール人のこうした価値観を理解し、家族の事情に配慮することが大切です。

さいごに

今回の記事では、ネパール人の特徴や、日本で一緒に働くときに気をつけたいことを紹介しました。
ネパール人は性格や考え方の面で日本人と似ているところもありますが、文化の違いもたくさんあります。そのため、お互いの違いを理解し、うまくコミュニケーションを取ることが大切です。

ネパールには、仕事に意欲的な若者が多く、日本の人手不足を支える貴重な存在になっています。
外国人採用を考えている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください!

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