酒類卸売業免許のなかでも、すべての品目の種類を卸売りできるのが「全酒類卸売免許」です。
この全酒類卸売業免許を外国人がもし取得できれば、外国人を雇用したときにも任せられる仕事がより増えるでしょう。

そもそも一般の方ではあまりなじみのない資格ですので、まずは全酒類卸売業免許の概要について知りましょう。

全酒類卸売業免許って?

「飲食店でお酒を売るのと酒屋でお酒を売るのは、いったいなにが違うの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。簡単にいってしまえば、これは「お酒の容器を開けて売るかどうか」の違いです。

飲食店では食品衛生法に基づいて、保健所から飲食店営業許可をもらう必要があります。この許可をもらうことで、開栓してお酒を提供できるようになります。
一方で未開栓のお酒をボトルやタルごと売る場合には、小売業に該当するので「酒販免許」がべつに必要となるのです。

酒類販売業免許には、「酒類卸売業免許」と「酒類小売業免許」のふたつが必要。
酒類卸売業免許ですべての品目の種類を卸売りできるのが、全酒類卸売免許です。

この酒販免許にもさまざまな種類がありますが、今回は酒販免許の全酒類卸売業免許について詳しく知りましょう。

全酒類卸売業免許とは?

酒税法に規定される酒類の販売を行うための免許を、「全酒類卸売免許」といいますが、卸売免許と小売業販売免許があります。
この免許を持っていれば酒類販売業者や酒類製造者が、お酒を継続的に販売することができます。

ちなみに卸売りをするための免許ですので、一般消費者や飲食店などにはお酒を売れません。これは平成24年より新たに3つの区分が、新設されつぎのように8区分されています。

免許内容
全酒類卸売業免許原則すべての品目のお酒を卸売できる免許
ビール卸売業免許ビールのみ卸売りできる免許
(都道府県ごとに免許可能件数が決まっています。注意しましょう!)
洋酒卸売業免許洋酒を卸売りすることができる免許
輸出入酒類卸売業免許輸出されるお酒を卸売りできる免許
店頭販売酒類卸売業免許自己の会員である酒類販売業者に対してお酒を卸売りできる免許
(※こちらは店頭で直接引き渡す方法のみ認められています。)
共同組合会員間種類卸売業免許自己が加入する事業協同組合の組合員に対して卸売りできる免許(※こちらは中小企業共同組合法に基づき設立された組合のみになります。)
自己商標種類卸売業免許自ら開発した商標や銘柄のお酒を卸売できる免許
特殊種類卸売業免許酒類事業者が特別に必用になったときに卸売りできる免許

お酒を売るにもさまざまな免許が必要です。
どういった形態でどんなお酒を販売したいのかを決めてから、必要な免許を取得しましょう。

どんな人が取得するの?

全酒類卸売業免許はどんな人がとるのでしょうか。じつはネットでお酒を売るときにも免許が必要です。

継続的な酒類の販売に該当しない場合には販売業免許は必要ないため、ガレージショップやバザーなどに酒類を出品する場合も、基本的には免許はいりません。しかし転売目的で売買しているならば、免許が必要となります。

酒類や調味食品の販売経験がある方や、未経験でも酒類販売管理者研修を受けている方、事業や経営の経験がある方など、全酒類卸売業免許をとる方はさまざま。

つぎは外国人でも免許が取得できるのかについてみてみましょう。

外国人でも全酒類卸売免許は取得可能です!

外国人でも全酒類卸売免許を取得することはできますが、書類の準備が必要です。
また外国人が個人で販売するのか、法人で販売するのかによって必用な書類も変わってきます。

外国人が全酒類卸売免許を取る場合の要件や申請方法、注意点を見てみましょう!

外国人が取得するための条件は?

外国人が全酒類卸売免許を取る場合にどうしたらいいのでしょうか?

外国人でも日本人でも必用な要件がありますので、以下を確認してみて下さい。

要件内容
人的アルコール事業法の許可を取り消された日から3年経過していない場合や、国税や地方税の滞納をしていないか、破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていないか、など
場所的正当な理由なく不当と認められる販売所、酒場、料理店などと同一の場所ではないか、など
経営基礎的以下⑴~⑶のいずれかを満たす必要があります

⑴酒類の製造業若しくは販売業の業務に直接従事した期間が引きつづき 10 年(これらの事業の経営者として直接業務に従事した者にあっては5年)以上である者、調味食品などの卸売業を 10 年以上継続して経営している者またはこれらの業務に従事した期間が相互に通算して 10 年以上である者。

⑵酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者または酒類に関する事業および酒類業界の実情に十分精通していると認められる者。

⑶申請等販売場が沖縄県に所在する場合の申請者などの経歴については、1に定める期間が 10年とあるのを3年と読み替えます。

需給調整的毎年、地域的な需給調整を行うので、各都道府県ごとに免許可能件数が定められています。免許可能件数には上限があり、応募者が多い場合には抽選になります。

これらを満たした上で、外国人が免許を取得する場合にはべつに国籍を証明する書類、個人、法人での必用な書類が変わってきます。
まずは現段階で免許がとれるのかどうかを、税務署に問い合わせてみましょう!

もし問い合わせをする場合には、「販売したい地域の税務署」に聞かなくてはいけません。酒類指導官が設置されているのかを、まずは問い合わせてみましょう。
電話で聞いてみて、指導官がいる日を確認し、直接出向いて聞きにいくと相談に乗ってくれます。

要件と申請方法は

外国人が全酒類卸売免許をとる場合にも、まずは要件を満たしているか確認しましょう。

個人として申請する場合には、外国人登録法に定める「外国人登録証明書」が必要。これは外国人本人の申請で行われるのですが、市区町村ごとに管内に住む外国人登録原票が保管されていて、現住所の証明に使われます。

日本に連続90日を超えて滞在する場合は、一部を除きかならず登録する義務がありました。市区町村長は登録後に証明写真付きカード形式で外国人登録証明書を交付。日本での外国人の身分証明書として使われるものです。

外国人はこの証明書か、パスポートのどちらかを携帯する必要があります。

外国法人の場合には日本国内の支店登記が完了していなくてはいけません。この支店登記は会社法で決まっていて日本における代表者の登記・支店設置の登記・日本法人の登記か組合の登記をしなければならなく、外国人企業が日本で営業の拠点を設置する時に最も簡単な方法です。

酒類の販売のためには販売場ごとに、所在地の所轄税務署長から「販売業免許」を受けなければいけません。申請書を提出して法律の遵守状況や経営、販売設備などを審査して問題なければ免許がもらえます。
酒税法において保全上酒類の需給の均等を維持するため販売業免許を与えない場合もあり、全酒類卸売免許は需給調整上の措置もされているので必ず要件を満たしたからとれるわけではありません。

申請する流れは
1.免許をどれにするか決める
2.取得の可否を確認
3.販売場所
4.酒類販売管理者研修を受講
5.申請書類の作成
6.申請して免許を取得

こういった流れがあるので、簡単に免許を撮ることができませんし、時間もかかるので計画的に動きましょう。

外国人が免許を取るときの注意点は

外国人が免許をとる時には必用な書類をきちんと用意するのと、心配な方は税務署に確認してから申請をすすめていくようにしましょう。外国人の場合には外国人登録証明書やパスポートも必用になるので、そういったものの不備がないのかも確認が必要です。

また、酒類販売管理者研修を受けなくてはいけないので、日本語もしっかり理解できるようでないと難しいでしょう。

外国人でも全酒類卸売免許は取得できる!

外国人が全酒類卸売免許を取得する場合には、必要な書類が変わってきます。よく確認して準備しましょう。外国人でも日本人でも、免許を取得するまえの条件を満たしているかの確認も重要です。

すぐに免許はとれないので、いつから卸売業を始めたいのかを考えて、早めに申請の準備をしましょう。