近年、日本ではグローバル化の進行により、外国人大学生を採用する企業も増えています。
実際に、現在のビジネスシーンでは英語をはじめとした言語能力が必須となっており、その中で優秀な外国人大学生は貴重な人財と言えるでしょう。

しかし外国人学生を採用する上で不安なこととして「会社になじむことができるのか」「日本語の語学力」があると思われます。

そこで本記事では、外国人大学生の現状と、学生間の交流や、語学学習のサポートが充実している大学を3つ紹介します。
「外国人の大学生を採用してみたい!」と考える方は、ぜひご覧ください。

 外国人大学生の現状は?

最近はコンビニや飲食店で若い外国人スタッフを見かけることが増えてきました。しかし、彼らの大半は「留学ビザ」で滞在している留学生だといわれています。
ここでは、日本の大学に通う外国人学生の人数や就職状況について、外国人大学生の現状をご紹介します。

留学生数は年々UP

日本で暮らす留学生の人数は、10年前に比べて2倍に増加したと言われています。令和4年には231,146人を記録しており、留学生の出身国は中国が最多で、つづいてベトナム、ネパール、韓国などアジア圏の国が上位を占めています。

参考:文部科学省「外国人留学生在籍状況調査」

就職率は低い…

留学生のうち、日本での就労を希望する外国人は全体の55%にのぼります。

しかし、彼らが日本国内で働き口を見つけるのは難しく、就職率は約3割に留まっているのが現状です。外国人留学生の就職率が低い原因として、例えば以下の3つが挙げられます。

参考:JASSO 外国人留学生の就職促進について

外国人留学生向けの求人が少ない

日本で就職を希望する外国人が増加する一方で、日本企業の受け入れ態勢が整備されていないという問題があります。外国人雇用のノウハウ不足や、外国人学生へのアピール方法を知らないなど、原因はさまざまです。また、留学生が日本で働くためには就労ビザの取得が必須ですが、こうした申請の難しさも、外国人採用のハードルを上げている一因かもしれません。

留学生向け就職活動の情報が不足している

外国人の大学生が就職活動をするとき、日本特有の「就活」が大きな壁となっています。
例えば履歴書の書き方やリクルートスーツの着こなしなどは、外国人にはとても難しいのです。また海外では通年採用が主流のため、日本の「就職活動期間」の情報収集も留学生を悩ませています。

日本語による試験や面接が難しい

外国人採用において、日本企業は日本語能力の高さを重要視する傾向にあります。
確かに日本語を流ちょうに話せる外国人を雇用すれば、安心してコミュニケーションをとることができます。

しかし、外国人が日本語を習得するのは非常に難しいことです。
ひらがな・カタカナ・漢字の3種類の文字や文法、敬語の使い方、「ニュアンス」に苦戦している外国人は珍しくありません。外国人の大学生が就職活動をするにあたり、日本語の適性試験や面接対策はとても高いハードルとなっています。

促進するためのプログラムも!

日本政府は「日本再興戦略改訂2016」の中で、外国人留学生の日本国内での就職率を3割から5割へ引き上げることを目指しています。そこで実施されているのが「留学生就職促進プログラム」です。
日本の各大学は地域の自治体や産業界と連携して、外国人が就職に必要なスキルを学ぶための以下の取り組みを行っています。

日本語教育

留学生がビジネス日本語を学ぶための講座が開講されています。教室へ通うことが難しい外国人からは、ビジネス日本語の紹介動画も人気です。

中長期インターンシップ

大学と受け入れ企業が連携し、1か月以上のインターンシップの機会を提供する取組です。
外国人の大学生は「日本の会社のルールや慣習」を体験したり、日本語でのコミュニケーション能力を向上させることができます。

キャリア教育

外国人が日本で働くためには、「入社後研修」や幅広い業務への配置など、日本独自の「企業文化」への理解が不可欠です。キャリア教育ではこうした日本の企業文化を理解したり、就職活動のノウハウや就職後の働き方などを学んだりする機会が用意されています。

参考:首相官邸ホームページ 日本再興戦略改訂2016

外国人大学生サポートの充実した大学3選

企業が留学生を採用するためには、大学へのアプローチが重要です。
外国人学生が多く在籍し、サポートの充実した大学であれば、優秀な学生と出会える可能性も高まるでしょう。

ここでは、外国人学生が多く、留学生向けのプログラムが豊富な大学を3つご紹介します。

1.立命館アジア太平洋大学(APU)

大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学は、日本で外国人大学生が最も多い大学です。
2023年の学生数は、国内学生が3033人なのに対し、国際学生が2531人と、約半数を占めています。
世界中の80を超える国と地域から生徒が集まっており、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、中東など多国籍な留学生がいる点も魅力です。

このように、国際性を重視していることから、留学生向けのサポートも充実しています。
最も特徴的な取り組みは、「APハウス」と呼ばれる学生寮です。
この学生寮は、はじめて日本で暮らす留学生が、日本の生活スタイルを学ぶ事を目的に利用されています。
入学1年目、外国人学生は皆ここに住むようになっており、日本人学生と共に生活を送ることで、日本人との交流や生活に慣れていきます。

また学生寮の他に、キャリア教育にも力を入れているのがこの大学の特徴です。学生たちは1回生から将来像のモデルを構築するプログラムが組まれており、卒業生との懇談会や講演会などを通じて、自らのキャリアについて考える機会やサポートが充実しています。

実際に、2022年の就職決定率は国内学生98%、国際学生96.3%と高水準になっています。

キャリアプランを明確にもった学生や、日本での生活に溶け込んだ学生が多く集まる大学と言えるでしょう。

2.大阪観光大学

大阪観光大学は、大学名に「観光」の言葉がつく日本で唯一の大学です。

観光学部と国際交流学部の2つの学部を持ち、それに加えて「日本語別科」という留学生向けに日本語を教育する科があります。「日本語別科」では、外国人留学生がビジネスレベルの日本語習得を目指すだけでなく、日本での生活全般の指導が行われています。
日本語能力試験の対策講座なども実施されており、高レベルな日本語習得を目指す留学生が多く集まっている環境である事がわかります。

また、学内では国際交流イベントが年に数回行われ、留学生たちは日本文化の体験やスポーツ大会などを通して、日本人学生との交流や日本文化への理解を深めることができます。

その他にも、日本で進学や就職を希望する留学生に向けて、履歴書・自己PR書などの必要書類の書き方や面接対策など、就職活動について大学内のスタッフが1からサポートする設備が整っています。2023年の就職決定率は、国内学生98.8%、国際学生80.9%と、こちらも留学生含めて高い水準となっています。

日本で働くキャリアプランを持つ学生や、日本語学習に意欲的で、語学力の高い学生が多くいる大学と言えるでしょう。

 

3.神戸国際大学大学

神戸国際大学は「Global Campus(グローバルキャンパス)」をスローガンに掲げ、国際交流に力を入れている大学のひとつです。北米、ヨーロッパ、アジアなど海外30以上の協定大学があり、生徒の留学支援が充実しています。

特徴的な部分として、「国際別科」では大学入学前に日本語能力や日本事情の基礎知識を習得するためのプログラムが実施されています。
入学後も、留学生の学生生活をサポートする制度が整っており、登校率が低い学生に電話や下宿訪問を行う取り組みや、英語・中国語・ベトナム語を話すスタッフが常駐し、母国の保護者との連携を図る工夫がされているようです。

そのほかにも、Student Assistant制度では日本人学生が授業のサポートを行っており、日本人学生との交流も盛んな環境である事がわかります。

また、キャリアサポートの面では、日本での就職を目指している学生に対し、1回生から4回生を通して、コミュニケーションやマナー、更には働くために必要なビザ取得まで支援する制度が整っています。

入学前に日本への理解や語学力が求められるだけでなく、実際のビジネススキルを学ぶサポートが充実している環境に置かれた学生のいる大学であると言えます。

外国人の大学生について詳しくなりましたか?

本記事では、外国人大学生が多く、学生間の交流や、語学学習のサポートが充実している大学をご紹介してきました。

外国人学生の採用には多くの不安があると思いますが、ご紹介したような大学に絞り、アプローチすることで、貴重なグローバル人材の獲得へとつながるでしょう。

ぜひ、外国人学生の採用に挑戦してみてはいかがでしょうか。