外国人は日本の不動産を購入することはできるの?ビザや条件、制限があるのはどんなケース?!
近年、外国人は日本の不動産に大きな注目をしています。今回外国人はそもそも日本で不動産を購入可能なのか、また購入する際に必要な書類、税金などについてくわしく解説いたします。
日本の不動産の購入を検討している海外のお知り合いがいる方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
目次
外国人は日本での不動産購入に制限や条件はない?
基本的には日本では外国人も日本人と同様に不動産の購入ができます。しかし近年は外国人からの不動産購入が増えるにつれて、一部で規制もできました。以下でくわしく説明しています。
一般的な規制の状況
説明 | |
制限なし | 一般的には、外国人が日本の不動産を購入する際に特別な制限はありません。日本国内の不動産市場は基本的に開放されています。 |
登記手続き | 不動産を購入した場合、登記手続きは日本人と同じ手続きで行われます。登記の際には購入者の身元証明(パスポートなど)や日本での住所(住民票や滞在先の住所)が必要になります。 |
外国人でも日本人同様に不動産を購入できますが、日本に不動産を持っているからといってビザや在留資格が与えられるわけではありません。
※登記(とうき)とは?
登記(とうき)とは、不動産や動産の所有権やその他の権利を公に証明するために、公式な記録を作成する手続きのことです。これによって、だれがその不動産を所有しているのか、またはどのような権利が設定されているのかが明確になります。
特定の規制
説明 | |
外為法 (外国為替及び外国貿易法) | 外国人が大規模な土地を購入する場合や、特定の重要な地域で土地を購入する場合、外為法にもとづいて報告義務が発生することがあります。 たとえば国防上重要な地域や、安全保障に関わる地域での土地購入は、事前に政府に報告しなければなりません。 |
農地法 | 農地の購入に関しては、外国人でも日本人と同様に農地法の規制を受けます。 農地を購入する場合には、農業委員会の許可が必要となります。これは農地の利用目的が農業に限定されているためです。 |
国防に関連する地域 | 自衛隊の基地や防衛関連施設の周辺地域では、土地の購入に関して追加の審査や制限が課される場合があります。 これらの地域では安全保障上の理由から、土地の利用目的や購入者の背景についての詳細なチェックが行われることがあります。 |
海外では不動産購入の制限はあるの?
海外も国ごとに不動産の購入に関して、さまざまな制限があります。
【事例1】ミャンマー
ミャンマーでは、外国人による土地や不動産の購入は基本的に禁止されています。すべての土地は政府が所有しており、ミャンマー国民のみが土地を利用できます。
ただし建物に関しては、一定の制限のもとで認められています。たとえばコンドミニアムのユニットを購入できますが、建物全体の40%しか認められない、などです。
【事例2】インドネシア
インドネシアでも、外国人による不動産購入には厳しい規制がありますが、完全に禁止されているわけではありません。
外国人は土地の所有はできませんが、建物は一定の条件を満たせば最長25年でリースホールドすることができます。
インドネシアでは、外国籍の企業が商業用の不動産を所有する場合にも、特定の条件と規制が適用されます。
【事例3】ヨーロッパの国々
ヨーロッパにも外国人による不動産購入に制限を設けている国がありますが、完全に禁止している国はほとんどありません。
以下に外国人が不動産を購入する際に、特定の制限や条件を設けている国を紹介します。
国 | 内容 |
スイス | 外国人(スイス国内に居住していない外国人)が住宅用不動産を購入することに対して厳しい制限があります。 観光地でのセカンドホーム購入は可能ですが、特定の許可が必要です。 |
デンマーク | 外国人が不動産を購入する際に、デンマーク政府から特別な許可を取得する必要があります。 特にデンマークに居住していない外国人に対する制限が厳しいです。購入する不動産が主要な居住地である場合や、デンマークでの滞在期間が長期である場合には許可が下りやすいです。 |
アイスランド | 非EU/EEA(欧州経済領域)国籍の外国人が不動産を購入する場合には、アイスランド政府の許可が必要です。 特定の職業や特定の目的(たとえば農業用地や工業用地)での購入の場合には許可が得やすいです。 |
このように、海外でも不動産や土地の購入に制限があるケースがあります。
外国人による日本での不動産購入の推移
日本の不動産は海外からも人気をあつめています。海外とくらべると安価なうえ、さまざまな面から安定しており、不動産投資として多くの外国人が注目しています。
年々、外国人による不動産購入は増加しているようです。日本の不動産についてのニュースや記事が海外でもおおくとりあげられているようで、海外にいても日本の不動産情報をキャッチできる環境になっています。
日本での不動産購入には届け出の義務が必要
海外在住の外国人(非居住者)が日本の不動産を購入する場合には、外為法の「資本取引」となり、届け出の義務があります。
不動産取得から20日以内に、財務大臣宛に「取得名義人の名前」や「取得価格」などを書面で報告しなければなりません。
ただし届け出が不要なケースもあります。
- 非居住者本人または当該非居住者の親族若しくは使用人その他の従業員の居住用目的で取得した場合
- 日本において非営利目的の業務を行う非居住者が、当該業務遂行のために取得した場合
- 非居住者が本人の事務所用として取得した場合
- 他の非居住者から不動産を取得した場合
引用:PLAZA HOMES
なお外国人が不動産を購入する際に必要な書類は、当該外国人が日本在住が海外在住なのかで異なります。
日本での不動産購入に必要な書類は?ビザや在留資格は?
【ケース1】購入者が日本に住んでいる場合
日本に住んでいる外国人が不動産を購入する場合には、必要な書類は以下の4点です。
日本の配偶者がいる方、永住者、ワーキングビザを持っている方などが該当します。
- 外国人住民票
- 在留カード
- 印鑑証明書
- 印鑑
1.外国人住民票
外国人住民票は、当該外国人が住んでいる市区町村の窓口で申請して取得します。
もし購入者が日本に子会社や営業所を持っている場合は、外国人住民票ではなく「資格証明書」と「会社登記簿謄本」が必要です。
2.在留カード
在留カードは、不動産を登記する際に必要となります。
3.印鑑証明書
売買契約を結ぶ際に必要です。印鑑証明書は、外国人住民票と同様に所在地の市町村で印鑑を登録すると取得できます。
なお購入する外国人自身が日本に子会社や営業所がある場合は、代表者の会社の実印での印鑑証明書が必要です。
4.印鑑
売買契約書などで捺印する際に必要となります。世界的に契約の際に印鑑を使う国は少ないです。日本で作るのがいいでしょう。
【ケース2】購入者が海外に住んでいる場合
海外に住んでいる外国人が不動産を購入する際に必要な書類は以下の4点です。
- 住民票の代わりとなる書類
- パスポート
- 印鑑証明書の代わりとなる書類
- 印鑑
1.住民票の代わりとなる書類
住民登録制度のある国では、各国で登録した証明書が住民票代わりです。たとえば韓国の場合には「住民登録証明書」が日本の住民票代わりになります。購入者が住民登録制度のない国にいる場合には、その国の公証人に認証された「宣誓供述書」が住民票の代わりです。
来日する際にその国の在日大使館領事部で認証された「宣誓供述書」も有効です。
法人の場合はその国の官庁によって発行された「法人登録証明書」か「宣誓供述書」が必要です。
2.~ 4.は省略します
外国人の不動産購入時の流れをチェック!
まず、外国人が不動産を購入する流れを確認しましょう。外国人が不動産を購入する流れは、以下の5段階にわけられます。
- 不動産会社と契約
- 住宅ローンの申し込み
- 手付金・仲介手数料などの支払い
- 売買契約の締結
- 物件の引き渡し
1.不動産会社と契約
購入する物件を決めて、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは契約した不動産会社を介して、不動産を購入する取り決めのこと。契約内容に了承のうえ、契約書にサインと捺印をします。
2.住宅ローンの申し込み
一般的に不動産を購入する際は、住宅ローンでの支払いになります。不動産会社を通して住宅ローンを申し込むことも可能です。ただし住宅ローンを申し込めるのは、日本での永住権をもっている外国人のみです。ほかの支払い方法では海外送金が一般的です。
3.手付金・仲介手数料などの支払い
不動産の支払い方法が決まったあと、不動産価格の一部を支払う必要があります。手付金・仲介手数料・印紙代の支払いが必要です。一般的に手付金は現金で支払います。印紙代は不動産会社によって異なるため、事前の確認が必要です。
4.売買契約の締結
正式に売買契約を結びます。売買契約時に必要な書類は、もうすでに説明した4点です。購入者が日本在住の場合と、海外在住の場合で必要な書類が異なります。注意しましょう。
5.物件の引き渡し
売買契約が成立すると、物件の引き渡しです。物件引き渡しと同時に不動産の所有権の移転もしなければなりません。一般的には司法書士に依頼して、法務局で「所有権移転登記」が行われます。
外国人が不動産を買うときの税金、注意点は?
外国人が不動産を購入する際の注意点としては、以下の3点があります。
1.不動産業者選び
不動産選びには細心の注意が必要です。不動産会社によっては外国人に高額な物件を買わせたり、条件の悪い物件を買わさせたりするケースもあります。
信頼できる不動産会社を選びましょう。
信頼のできる不動産を選ぶには通訳を雇うのが効果的です。とくに不動産取引は専門的な内容も扱うため、外国語である日本語ですべてを理解するのは非常に難しいはず。
通訳がいることで正しい情報を知ることができ、信頼のできる不動産業者を選ぶことができます。
2.確定申告
中には投資として日本の不動産を購入する外国人もいるでしょう。投資で不動産を購入する場合、購入した不動産から発生する収入を「確定申告」する義務が生じます。
確定申告では税理士への依頼をする必要があります。
3.納税管理人制度
海外在住の外国人が日本の不動産を購入する場合、海外から日本の税金の支払いや確定申告を行うのは難しいでしょう。そこで便利なのが「納税管理人制度」です。
納税管理人とは、自分の代わりに税金の支払いや確定申告の提出を代行する人をさします。日本に友人のいる友人や、不動産管理会社のスタッフが納税管理人に該当します。
外国人の不動産購入についてつかめましたか?
日本では外国人が自由に不動産を購入できます。海外の投資家が投資用に日本の不動産を購入するケースも少なくありません。
外国人が日本の不動産を購入する際の手続きは、日本人が購入する際とほとんど同じです。
ただし海外送金や必要書類が異なります。外国人が不動産を購入する際の手順や、必要書類を把握して、今後のビジネスでのヒントにしてください!
ただし、海外送金や必要書類が多少異なります。外国人が不動産を購入する際の手順や必要書類を把握して、今後のビジネスでのヒントにしてください。