特定活動ビザは就労できる? 在留カードの見方と採用前のチェックポイント
「応募してきた外国人にビザの種類を聞いたら、特定活動と言われた。これは採用していいのかな?」「ほかのビザとどう違うのかよく分からないし、手続きで失敗したらどうしよう…」
そんな戸惑いを抱えている方もいるのではないでしょうか。
外国人を採用したい気持ちはあっても、在留資格や働ける条件が分からないと、どうしても不安が残りやすいものです。とくに「特定活動ビザ」は種類が多く、フルタイムで働ける人とそもそも働けない人がどちらも含まれているため、判断がむずかしいと感じる場合があります。
この記事では、特定活動ビザで働けるかどうかを初めての方でも見分けられるようにまとめました。
在留カードのどこを確認すれば良いか、働く時間の上限、そして実際に雇用する場合の注意点まで、順番に紹介していきます。今回の内容が、採用前の不安を少しでも軽くするきっかけになれば幸いです。
目次
特定活動ビザでも働けるの? まずは結論と全体のイメージを整理しよう

「特定活動(Designated Activities)」という在留資格は、日本の法律で決められた就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)や身分系ビザ(永住者など)のどれにも当てはまらない人を受け入れるための仕組みです。
言いかえると、ほかのビザに分類できない活動をまとめて扱うための「特別な枠」として使われています。そのため、できる活動の内容が広く、人によって条件が大きく違うのが特徴です。
特定活動ビザは「就労可」「一部のみ可」「就労不可」の3タイプ
特定活動ビザの外国人を採用できるかどうかは、つぎの3つのどれに当てはまるかで決まります。
| パターン | イメージ | 具体例 |
| ① 就労可 | 日本人とほぼ同じように働ける(職種が決まっている場合もある) | 特定活動46号(日本の大学を卒業した人)、ワーキングホリデーなど |
| ② 一部のみ可 | 「週28時間以内」などの条件つきでアルバイトができる | インターンシップ、就職活動中の学生(資格外活動許可がある場合)など |
| ③ 就労不可 | 原則として働けない | 老親扶養、医療滞在など |
まずは「特定活動だから無理だ」と決めつけずに、①か②なら採用の可能性があると考えてみてください。
在留資格が「特定活動」だったときに確認すること
では、この3つのパターンをどうやって見分ければいいのでしょうか。
応募者に在留カードを見せてもらい、つぎの3点をチェックしてみてください。
- 在留資格の種類: 表面に「特定活動」と書かれているか
- 就労制限の有無: 表面の中央あたりに「指定書により指定された就労活動のみ可」や「就労不可」やといった記載があるか
- 資格外活動許可の有無: 裏面の左下に「許可」のスタンプがあるか(アルバイト採用の場合に重要)
この3つを合わせて見ると、「フルタイムでの採用ができるのか」「アルバイトだけなら問題ないのか」が具体的に分かってきます。より詳しい読み取り方や対応の仕方については、後ほど紹介していきます。
特定活動ビザの種類や働ける条件はどう決まるの?

ここでは、「どうして特定活動ビザは人によってルールが違うのか」という疑問を、できるだけ分かりやすく整理していきます。
特定活動ビザの区分(入管法・告示・告示外)
少し専門的な内容になりますが、特定活動ビザは大きく分けて次の3つのグループで管理されています。
1. 入管法に書かれている特定活動
現在は「特定研究活動」「特定情報処理活動」「特定研究等活動等の親・家族」の3種類です。研究機関に所属する人や、外交官をサポートする家事使用人などが持つ種類で、会社の採用現場ではあまり見かけないタイプになります。
2. 告示特定活動
これは、入管法には書かれていないけれど「法務大臣があらかじめリスト化した特定活動」のことです。ワーキングホリデーやインターンシップが代表的で、それぞれに番号がついています。
2025年11月時点では57種類が告示されていますが、社会の状況によって増えたり減ったりすることがあります。たとえば次のような人たちが、この区分の対象です。
| 告示 | 対象 |
| 1号 | 外交官・領事官の家事使用人 |
| 2号 | 高度専門職ビザ、経営・管理ビザなどを持つ外国人の家事使用人 |
| 3号 | 台湾日本関係協会の在日事務所職員、またはその家族 |
| 4号 | 駐日パレスチナ総代表部の職員、またはそのその家族 |
| 5号 | ワーキングホリデーで来日する外国人 |
| 6号 | アマチュアスポーツ選手 |
| 7号 | 6号の家族 |
| 8号 | 弁護士 |
| 9号 | インターンシップ |
| 10号 | イギリス人ボランティア |
| 11号 | 現在は削除されています |
| 12号 | サマージョブ(3か月未満の短期インターンシップ) |
| 13号 | 2025年大阪万博の関係者 |
| 14号 | 13号の家族 |
| 15号 | 国際文化交流学生 |
| 16号 | EPA(経済連携協定)を利用するインドネシア出身の看護師、またはその候補者 |
| 17号 | EPA(経済連携協定)を利用するインドネシア出身の介護福祉士、またはその候補者 |
| 18号 | 16号の家族 |
| 19号 | 17号の家族 |
| 20号 | EPA(経済連携協定)を利用するフィリピン出身の看護師、またはその候補者 |
| 21号 | EPA(経済連携協定)を利用するフィリピン出身の介護福祉士、またはその候補者 |
| 22号 | EPA(経済連携協定)を利用して就学する、フィリピン出身の介護福祉士候補者 |
| 23号 | 20号の家族 |
| 24号 | 21号の家族 |
| 25号 | 入院または入院前後の治療のために滞在する外国人 |
| 26号 | 25号の日常生活を世話する人 |
| 27号 | EPA(経済連携協定)を利用するベトナム出身の看護師、またはその候補者 |
| 28号 | EPA(経済連携協定)を利用するベトナム出身の介護福祉士、またはその候補者 |
| 29号 | EPA(経済連携協定)を利用して就学する、ベトナム出身の介護福祉士候補者 |
| 30号 | 27号の家族 |
| 31号 | 28号の家族 |
| 32号 | 現在は削除されています |
| 33号 | 高度専門職外国人の配偶者で、日本で就労する外国人 |
| 34号 | 高度専門職外国人(またはその配偶者)の親 |
| 35号 | 現在は削除されています |
| 36号 | 研究・教育に関する指導者または経営者 |
| 37号 | 情報技術処理者 |
| 38号 | 36号、37号の家族 |
| 39号 | 36号、37号(またはその配偶者)の親 |
| 40号 | 1年以内の観光・保養を目的とする、特定の国出身の外国人 |
| 41号 | 40号の家族 |
| 42号 | 製造業の従事者 |
| 43号 | 日系4世 |
| 44号 | 起業家 |
| 45号 | 44号の家族 |
| 46号 | 日本の大学の卒業者 |
| 47号 | 46号の家族 |
| 48号 | 現在は削除されています |
| 49号 | 現在は削除されています |
| 50号 | スキーインストラクター |
| 51号 | 未来創造人材(J-Find) |
| 52号 | 51号の家族 |
| 53号 | 国際的なリモートワーカー(デジタルノマド) |
| 54号 | 53号の家族 |
| 55号 | 自動車運送業分野で特定技能1号を目指す人 |
| 56号 | 2027年国際園芸博覧会の関係者 |
| 57号 | 56号の家族 |
3. 告示外特定活動
リストには載っていないものの、人道的な配慮や特別な事情から個別に認められたタイプです。「就職活動中の学生」「内定者」「難民認定申請中の人」などがこれに含まれます。
こうした背景から、特定活動ビザは「大きな箱の中に、事情の異なる小さな箱がたくさん入っている」ような仕組みになっています。そのため 「特定活動ビザだから働ける」 と単純には言えないのです。
就労ビザ・身分系ビザと比べると何がちがうの?
在留資格全体の関係を、ここでいったん整理してみましょう。
| 区分 | イメージ | 就労の考え方 |
| 就労ビザ | 「仕事の種類」で決まるビザ | 職務内容がルールに合えば働ける |
| 身分系ビザ | 「家族や身分」で決まるビザ | 原則として働く内容に制限はない |
| 特定活動ビザ | 「個別の事情」に合わせた特別枠 | 号数や内容によってバラバラ |
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)は、「どんな仕事をするか」で判断されます。
一方、身分系ビザ(永住者、日本人の配偶者等・定住者など)は家族関係が根拠のため、基本的に幅広い仕事ができます。
それに対して特定活動ビザは、「この人はこの活動を、この条件で行うことを許可します」というピンポイントの指定を受けている点が大きな違いです。
同じ「特定活動」でも、
- フルタイムで働ける人
- アルバイトだけ可能な人
- 一切働けない人
と分かれる理由はここにあります。そのため、特定活動ビザの外国人を採用するときは、その人ごとに内容が書かれた「指定書(オーダーメイドの説明書のようなもの)」を確認することが重要です。
これを確認しないまま採用を進めると、知らず知らずのうちに不法就労につながるおそれがあります。
なぜ特定活動の種類は増えているの?
最近、「特定活動ビザの人が前より増えた気がする」と感じる方もいるかもしれません。
その背景には、政府の方針があります。日本の労働力不足を補うため、これまで働けなかった外国人にも条件つきで活躍してもらえるよう、新しい特定活動が次々と作られているのです。
たとえば、つぎのような理由から追加されています。
- 高度なスキルを持つ人材やスタートアップ人材を呼び込みたい(未来創造人材・J-Findなど)
- デジタルノマドのような新しい働き方に対応したい
- 特定技能1号への移行準備など、「今のビザから次のビザへつなぐ」仕組みが必要になっている
こうした流れを見ると、企業にとっては採用の選択肢が広がりつつあるという前向きな変化ともいえます。
採用の現場でよく出会う特定活動ビザを紹介!
ここからは、採用で見かけることの多い特定活動ビザを中心に、働けるかどうか・働ける時間・正社員になれる可能性を整理していきます。
「特定活動46号」「ワーキングホリデー」「インターンシップ」など、よく耳にする種類についても、この段階でまとめて押さえておきましょう。
正社員OK?アルバイトだけ? 特定活動ビザの比較一覧
| ビザの通称(告示番号) | 就労可否 | 就労時間 | 正社員登用 | ポイント |
| 本邦大学等卒業者(46号) | 可 | フルタイム | 可 | 日本語を使う接客・営業など、幅広い職種で働ける |
| ワーキングホリデー(5号) | 可 | フルタイム | 可 | 旅行資金を補うための就労が基本。長期雇用は就労ビザへの変更が必要 |
| インターンシップ(9号等) | 一部可 | プログラムにより異なる | 不可 | 大学の単位認定が前提 |
| 継続就職活動(告示外) | 一部可 | 週28時間以内 | 不可 | 資格外活動許可が必要。正社員にする場合はビザ変更が必須 |
| 特定技能移行準備(告示外) | 可 | フルタイム | 可 | 特定技能への移行を前提とした働き方 |
大学等卒業者(告示46号)|日本語を使う幅広い仕事でフルタイム就労が可能
特定活動ビザの中でも、採用との相性が良いのが「特定活動46号」です。
翻訳や通訳のサポート、日本語を使った外国人スタッフとのやり取りなど、日本語力が求められる仕事で力を発揮しやすいタイプになります。
さらに、飲食店のホール業務や工場のライン管理のように、一般的な就労ビザではむずかしかった「単純作業をふくむ仕事」にも就ける点が大きな特徴といえます。
対象となる外国人(応募者)
- 日本の大学・大学院・短大・高専、または「専門士」資格が取れる認定専修学校を卒業している
- 日本語能力試験(JLPT)N1相当の高い日本語力がある
企業側の条件
- 給与が日本人と同じか、それ以上であること
- 日本語を使った円滑なコミュニケーションが必要な業務であること
これらの条件を満たせば、現場とお客様対応の両方を任せられる「安心して育てられる人材」として活躍してもらえます。
ワーキングホリデー(告示5号)|手続きが少なく、即戦力になる。ただし「期限」に注意
飲食店・小売店・宿泊業などで、とくに採用しやすいのが「ワーキングホリデー」です。
特別な手続きがほとんど必要なく、面接で合意すればすぐに働いてもらえるため「繁忙期だけ人手がほしい」「急に人員が必要になった」という場面で役立ちます。
ただし、この制度はあくまで「休暇」が中心になるため、1年以上の長期雇用を希望する場合は就労ビザへの変更が必要です。
対象となる外国人(応募者)
- 日本と協定を結んでいる国・地域の出身者(韓国・台湾・オーストラリアなど)
- 18歳〜30歳(申請時)の若者
企業側の条件
- フルタイムで働ける(ただし風俗営業などは禁止)
- 働ける期間はビザの有効期限まで
- ※国によっては「同じ会社で働ける期間」に制限がある場合があります
若い人をすぐに採用したい企業には向いていますが、期間限定での戦力確保と割り切って採用するのがポイントです。
インターンシップ(告示9号)|大学の単位認定を前提にした実習ビザ
海外大学の授業の一環として、日本企業で実習を行うためのビザです。
最大の特徴は「大学から単位として認められること」が必要な点で、大学側との調整が欠かせません。
対象となる外国人(応募者)
- 海外の大学に在籍している学生
- 専攻と関連した内容の実習であること
企業側の条件
- 大学の単位認定が前提の実習であること
- 実習計画に沿っていれば、週28時間を超える就労も可能
- 日本人と同等額以上の報酬を支払うこと
将来の採用を視野に入れながら、丁寧に実務を教えたい企業に向いた制度です。
継続就職活動(告示外)|アルバイト採用で「適性」を見極められる
日本の大学や専門学校を卒業した後、日本で就職先を探している留学生が持つビザです。
このビザそのものではフルタイムで働くことはできませんが、資格外活動許可があれば「週28時間以内」のアルバイトが可能になります。
企業側としては、まずアルバイトとして採用し、仕事ぶりを見ながら「正社員(技術・人文知識・国際業務ビザなど)」への切り替えを検討する方法もあります。
対象となる外国人(応募者)
- 日本の大学・大学院・専門学校を卒業している
- 学校の推薦状を得て、就職活動を続けている
企業側の条件
- 週28時間以内のアルバイトであること
- アルバイトには「資格外活動許可」が必要
- ※正社員にする場合は、あらためてビザ変更が必要です。
「面接だけでは不安」という企業にとって、働きながらお互いの相性を確認できる点がメリットになります。
特定技能1号移行準備(告示外)|技能実習生などを「空白期間なし」で雇用する
特定技能1号移行準備は、在留期限までに特定技能の申請書類がそろわないときに使われる特定活動です。
たとえば、期限直前にやむを得ない理由で転職して書類の準備が間に合わない場合や、必要書類の発行に時間がかかる業種へ移るケースがこれに当たります。
この仕組みによって、日本に合法的に滞在しながらフルタイムでの就労を続けられます。
対象となる外国人
- 特定技能への移行準備に時間がかかっている人
企業側の条件
- 申請中の「特定技能」と同じ業務内容で働くこと
- 給与が日本人と同じか、それ以上であること
特定活動ビザの就労可否はどう確認する?

ここは、実務でとくに重要なパートです。
最初に紹介した「在留カードで確認すべき3つのポイント」について、ここからは詳しい見方と次のステップを順番に説明していきます。
ステップ1. 在留カードの表面で「在留資格」と「就労制限」の内容を確認する
まず、在留カードの表面にある在留資格欄に「特定活動」と書かれているかを確認します。
そのうえで、右側にある「就労制限の有無」の欄を見てください。ここには、次の4つのうち、どれかが記載されています。
「就労制限なし」
どんな仕事でも働けるという意味です。仕事内容や働き方の制限もありません。
これは永住者や日本人の配偶者など、身分系のビザにつく表示で、特定活動ではほとんど見かけない表記です。
「在留資格に基づく就労のみ可」
持っているビザの範囲でだけ働ける、という意味になります。
この場合は、仕事内容がそのビザで認められた内容と合っているかを必ず確認します。
「指定書により指定された就労活動のみ可」
パスポートに添付されている「指定書」に書かれた会社名・職種・働き方の条件に合わせて働く必要があります。
雇用契約と指定書の内容がズレていないか、丁寧に確認してください。
「就労不可」
報酬を得る仕事はできない、という意味です。
ただし、カード裏面の「資格外活動許可」で許可が出ていれば、週28時間以内のアルバイトは可能になります。
ステップ2. 裏面の「資格外活動許可」でアルバイトの可否を確認する
本来の活動(就職活動・治療など)以外に働けるかどうかは、裏面の「資格外活動許可」で判断します。
在留カードを裏返し、左下にある「資格外活動許可欄」を確認してください。
ここに 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」 というスタンプがあれば、アルバイトとして働くことができます。
とくに、留学生や就職活動中の特定活動、内定者向けの特定活動などの人をパートやアルバイトで採用するときは、このスタンプの有無が重要です。
許可がない状態で働かせてしまうと、不法就労を助けたことになってしまうおそれがあります。
ステップ3. パスポートの指定書と「申請中」スタンプを確認する
特定活動の中には、パスポートに「指定書」が付く種類があります。
指定書には、勤務先の会社名や仕事内容、働ける場所や時間帯などが細かく書かれており、この内容から外れる働き方は認められません。
在留カードに「指定書により指定された就労に限る」と記載されている場合は、かならず指定書の内容と照らし合わせてください。
さらに、在留カード裏面に「在留資格変更申請中」などのスタンプが押されていることがあります。
この場合は、申請が終わるまで現在のビザで認められた範囲内でしか働けないという点に注意が必要です。変更後のビザを前提にした働き方はできません。
偽造在留カードを避けるためのIC読取アプリの活用
近年、見た目が本物に似た偽造在留カードも出回っています。
もし偽造カードを持つ人を採用すると、企業側も不法就労を助けたと判断され、処罰されるリスクがあるため注意が必要です。
こうしたトラブルを防ぐために、出入国在留管理庁が提供するICチップ読取アプリを使って、採用時や更新時にカード情報を読み取る方法があります。アプリで確認しておくと安心です。
参考:出入国在留管理庁 在留カード等読取アプリケーション サポートページ
特定活動ビザの外国人を雇用するときの注意点

「採用したあとに、思っていたより働ける範囲がせまかった」というトラブルを防ぐために、ここではよくある失敗とその対策を紹介していきます。
採用前|雇用契約とビザの条件が合っているか確認する
外国人を採用するときは、「雇用契約書の内容」と「ビザで認められている活動」が一致していることが前提になります。
たとえば特定活動46号で申請した際に「通訳をふくむ現場管理業務」で許可を受けているのに、実際には翻訳が必要ないライン作業ばかり任せていた場合、次回の更新が不許可になる可能性があります。会社側が処罰の対象になることもあるため、注意が必要です。
こうしたリスクを避けるために、求人票や雇用契約書を作成する段階で「この仕事は、このビザで認められる範囲なのか」をしっかり把握しましょう。不安がある場合は専門家に確認しておくと安心です。
採用後|仕事内容の変更で「指定内容」から外れないようにする
特定活動は、その人ごとに内容が決められる「オーダーメイド型」の在留資格です。言いかえると、許可された内容を越える仕事は基本的にできません。
たとえば「人手が足りないから、接客スタッフをキッチンへ移す」といった配置転換は、日本人なら自然な動きでも、特定活動では資格の範囲外とみなされるおそれがあります。
配置を変えるときは、指定書に書かれた業務内容とずれていないか、あらためて確認しておくことが大切です。
申請から入社までに時間がかかる前提で予定を組む
特定活動の新規取得やビザ変更は、審査に時間がかかることがあります。
とくに混み合う時期は長引くこともあり、一般的には申請してから1〜3か月ほど見込んでおくと安心です。
「すぐに働いてほしい」と考えていても、許可が出る前は勤務できません。採用スケジュールには余裕をもたせておきましょう。
許可が下りなかったときの備えとリスク
残念ながら、申請しても不許可になる場合があります。その場合は内定を取り消さざるを得ないこともあり、企業にとっても大きな負担になりかねません。
こうしたトラブルを防ぐために、雇用契約書には「在留資格が許可されなかった場合は、この契約は無効とする」という停止条件の文言を入れておく方法があります。
この一文があるだけで、会社のリスクをかなり減らすことができます。
特定活動ビザと「特定技能」「留学」など似ている在留資格の違い
最後に、現場でよく混同されやすい他のビザとの違いを整理します。
特定活動ビザと特定技能ビザのちがい
特定技能ビザは、人手不足の分野で働くための在留資格です。
たとえば介護・外食・宿泊・製造など、対象となる業種がはっきり決まっています。また、働くには技能試験や日本語試験に合格する必要があり、仕事内容も特定技能の分野に合っていなければいけません。
一方で特定活動ビザは、「就職活動中の人」「卒業後に幅広い仕事ができる人(特定活動46号)」「特定技能への移行を準備している人」など、目的がさまざまで、使われる場面も大きく異なります。
そのため、長く働いてもらいたいのか、柔軟に働ける人がほしいのかといった採用方針に合わせて、どちらを選ぶか考えていく形になります。
留学・家族滞在の資格外活動との違い
留学生や家族滞在ビザの人も、資格外活動許可があればアルバイトができます。
ただし、彼らのメインは「勉強」や「家族との生活」であるため、週28時間以内という厳しい上限があります。
一方、特定活動ビザの中には、特定活動46号やワーキングホリデーのように、時間制限なしでフルタイム就労ができる種類があります。
そのため「週40時間しっかり働いてほしい」と考えている場合は、資格外活動で働く人ではなく、フルタイム就労が認められている特定活動ビザの人を採用するか、ビザの変更を検討してもらう必要があります。
さいごに
ここまで、特定活動ビザと働ける条件について一気に見てきました。初めてだと複雑に感じるかもしれませんが、採用担当者が確認すべきことは意外とシンプルです。
- まずは在留カードで「特定活動」と書かれているかを確認し、その横にある就労制限の内容を見ます。
- 次に、パスポートに貼られている指定書で、許可されている活動内容や勤務先を確かめてください。
- そして、自社でお願いしたい仕事内容(働く場所・職種・時間)と指定書の条件が合っているかを見比べます。
この3つがそろえば、採用を前向きに進めても大きな問題はありません。
とはいえ、「指定書を読むと、うちの仕事と少し違う気がする」「照らし合わせてみたけれど判断しきれない」と感じることもあるはずです。
そんなときは、無理に一人で決めようとせず、私たちガイダブルジョブスにお気軽にご相談ください。
ガイダブルジョブスは外国人採用を専門にした求人サービスを運営しており、特定活動ビザをふくむ幅広い在留資格の人材と企業のマッチングを得意としています。
「この求人にはどんな在留資格の人が応募できるのか」といった疑問を整理しながら、貴社がスムーズに採用を進められるようにサポートしていきます。
複雑な在留資格の判断や、不法就労のリスクに悩んでいませんか?
外国人を採用するときは、特定活動ビザだけでなく、ほかの「就労」ビザとの違いも理解しておく必要があります。もし判断をまちがえると、不法就労とみなされるおそれがあり「知らなかった」で済まないケースもあります。
こうした不安を減らすために、一冊の資料を用意しました。
ガイダブルジョブスがこれまでに積み重ねてきた知識をもとに、各ビザの特徴や気をつけたい点をていねいにまとめています。
採用の場で迷ったときに役立つ内容となっていますので、手元に置いていただけると幸いです。

