さまざまな理由から、外国人雇用を考える企業は年々増えてきています。しかし、採用を担当する立場からすると、外国人の雇用は不安や疑問も多いもの。文化や顔が違えば考え方や行動も違うのですから、雇用に慎重になるのは当然のことだといえるでしょう。

しかしそれは、逆にいえば、相手の考え方や行動、特徴などを知れば、おたがいに満足いく雇用関係が結べるということなのです。そこで今回は日本に多く滞在し、今なお増加し続けている「タイ人」について特集しました!

タイ人の特徴①:親日家

タイ人が親日家だというのは有名な話です。仕事以外でも、タイ人と接する機会があった人は、笑顔でフレンドリーな対応をされたのではないでしょうか。

これにはいくつか理由があり、まず、タイには日本文化が深く根付いていることがあげられます。とくに、日本アニメや日本食は長年ブームが続いており、タイ人の若者は幼いころから日本のアニメを見、日本の食べ物を口にしながら育ってきたので、自然と日本を受け入れる器ができあがっているのです。

しかも、このブームは日本人や日本企業が仕掛けたものではなく、タイ人の間で自然とできあがったもの。つまり、タイ人と日本人は、そもそも感性などが似ている部分があるのかもしれません。

それ以外にもタイ人が日本人に好感を抱く理由はいくつかありますが、その中でもとくに大きな理由が歴史と王族・皇族関係でしょう。

国同士の仲が悪いとき、二国の間には戦争など歴史的な問題がある場合が少なくありません。

しかし、日本とタイの間にはそういった問題がないどころか、第二次世界大戦中には一時的に同盟関係を結んでいたこともありました。つまり、日本とタイは軍事的に大きく衝突したことがないのです。

また、日本には皇室が、タイには王室がそれぞれあります。タイ人にとって王室はとても大切で重要な存在であり、とくに国王は国父と呼ばれ敬われているほど。

日本人にとって皇室はそれほど馴染み深い存在ではないかもしれませんが、タイ王室と日本皇室の間には深い親交があるために、タイ人は日本人のことを自分たちと同じアイデンティティーをもつ民族だと感じ、親しみを覚えているのです。

このように、タイ人は日本人に対して初めからあるていど心を開いているケースが多いです。これは、一緒に仕事をする上で非常に大きなプラス要素だといえるでしょう。

タイ人の特徴②:信心深い

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外務省の統計では、タイ人は人口の94%が仏教、5%がイスラム教となっています。タイの統計局によると94.6%が仏教徒、4.6%がイスラム教徒、0.7%がキリスト教徒ともう少し細分化されますが、どちらにしても9割以上が仏教徒であることに変わりはありません。

そんな仏教国であるタイには信心深い人が多く、昼夜を問わず仏に祈りをささげています。僧侶という職業も特別視されており、タイ人は街で僧侶に会うと手を合わせて拝み、お金などを奉じるほどです。

また、タイ人が日常的に拝むのは仏様だけではないのです。タイ国内にはいたるところに祭壇が設置されており、ここに祭られているのは仏様ではなくバラモン教の神様や精霊たち。

タイ人は、この祭壇の前を通るときは必ず手を合わせ、お祈りするのです。それだけでなく、どこのお店にも神棚や護符が見られるのですから、タイ人の信心深さは相当なものだといえるでしょう。

タイ人の特徴③:温厚でやさしい

微笑みの国といわれるタイですが、これは、タイ人が非常に温厚でやさしいことを示しています。実際、いつも笑顔なのもタイ人の大きな特徴でしょう。タイはもともと気候が温暖で食料も豊富と、土地柄がとても恵まれているのです。そのためむやみに争う必要がなく、昔から穏やかで快適に暮らしていくことができていました。

その中で育まれたのが、マイペンライの精神。マイペンライとは「大丈夫」「なんとかなる」という意味で、今では広くタイ人に根付いている精神です。

実際タイ人同士では、小さな問題はもちろん、けっこう重要な失敗もミスも「マイペンライ!」の一言で済ますことがほとんど。たとえどんなに深刻な問題でも、もう取り返しがつかないのなら、追求しても仕方がないので「マイペンライ」なのです。

日本人にとっては「転んじゃった」「マイペンライ!」と「取引がだめになっちゃった」「マイペンライ!」のマイペンライはまったく違う意味なのではないかと感じるでしょうが、タイ人にとってはどちらも同じマイペンライ。マイペンライはマイペンライなのです。

タイ人の特徴④:教育に力を入れている

タイの青年識字率は98.1%あり、これは、アジアでは日本やシンガポールと並ぶ高さです。

タイは学歴社会なので学習意欲は高く、就学率もかなりのもの。とくに15歳までの義務教育者を理由なく就学させなかった保護者は罪に問われるので、保育園や幼稚園は74%、小学は104.8%(外国人や就学遅れを含む為)、中学の前期は95.6%、後期は68.1%とけっこうな就学率を誇ります。

また、1999年より義務教育期間が延長されたため、タイ国内の学習意欲と学歴社会ぶりはますます高まり、現在では義務教育ではない大学への進学率も60%を上回っているようです。

タイ人の特徴⑤:女性は嫉妬しやすい?

タイ人女性の特徴を一言であらわすと、とても自由でストレート。そのため、自分の感情に素直です。好きなものは好きなので相手の年齢は気にしませんし、会いたいときには会いたいので情熱的にもわがままにもなります。

ですから、嫉妬しやすいのも、単純に感情を素直におもてに出しているだけだといえるでしょう。浮気をされてうれしいはずがありませんから、タイ人女性は無理に気持ちを抑えたり、必要のない我慢をしたりしないだけなのです。それに加えて、タイ人女性は、他国に比べて恋人との別れを多く経験している傾向にあります。しかも、その原因はほとんどが男性の浮気。

そのため、男性の浮気に過敏になるあまり、嫉妬深くなってしまうという節があるようです。とはいえ、これは、一途に自分を見てくれる人がいれば一生懸命になれるというタイ人女性の気質をあらわしているにほかなりません。

つまり、上司としてじょうずにタイ人女性の心をつかみ、信頼を勝ち取ることができれば、一緒に仕事をする上で非常に頼もしいパートナーになることが期待できるでしょう。

タイ人の特徴:⑥:男性は浮気性?

タイ人男性の特徴として、女好きで飽き性なことがあげられます。つまり、好みのタイプがいれば臆せず声をかけるし、なかなか一人で満足することができないしと、浮気をする要素が満載なのです。

もちろんタイ人男性のすべてが浮気をするわけではないでしょうが、そのおそれが強いことは否定できません。その証拠にタイにはギックという言葉があり、その意味は遊び相手。関係性でいえば、友達と恋人の間くらいの位置づけでしょうか。タイ人男性同士では、冗談でおたがいのギックの数を競い合うなど、このあたりからもタイ人男性の浮気性ぶりが見て取れると思います。

とはいえ、浮気をするには行動力が必要ですし、メンタル面でも強くなければなりません。これらは間違いなくタイ人男性の長所ですから、上司としてうまく引き出すことができれば、タイ人男性はビジネスの場でもかなりの戦力となるはずです。

タイ人の特徴⑦:一緒に仕事をする上での注意点

タイ人の雇用を考えたとき、気になるのはすでにタイ人を雇用している企業の声でしょう。そして、そういった声の中に、タイ人はあまり仕事をしないという類のものがあり、採用を躊躇するケースもあるかもしれません。

しかし、外国人を雇用しようと思うのなら、相手のことをよく知り、それに合った対応をする必要があることは言わずもがな。それをせずにただ単に文句を言っているのなら、それはタイ人ではなく、雇用する側の姿勢に問題があるといえるのです。

まず、タイが恵まれた土地柄の国であることを忘れてはいけません。つまり、タイ人はストイックに慣れていないのです。そのため、理不尽に怒鳴ったり、縛ったり、押さえつけたりしないこと。もしもタイ人を注意したいのなら冷静に、なぜそれがいけないのか、どうしてそうしてほしいのかなど、理由をきっちり説明することが大切です。

また、タイは仏教国です。仏教の教えである争いごとを避けるという点も尊重したほうがいいでしょう。もしもタイ人の失敗を叱らなければならないときでも、頭ごなしにならないこと。とくに、ほかの社員の見ている前で叱るのは対人の信用を大きく損なうようです。

それに加えて、重要になってくるのがタイ人への指示の仕方。マイペンライの精神があるタイ人は仕事に余裕があってもなくても引き受けるのですが、結果的にうまくいかなくてもそのまま流してしまおうとすることがあります。

そのため、指示は口頭ではなく書類等残る形にしておきましょう。その上で、定期的に進捗を確認することが大切です。

最後に、タイ人が信心深いことはすでに述べましたが、その理由の一つに祟りや幽霊をおそれるからというのもあるようです。そのため、親睦を深めるためや冗談の一環としてでも怪談などをもちいると心を閉ざされてしまうことがあります。職場でタイ人とうまくやろうと思うのであれば、オカルトやミステリはあまり持ち出さないほうがいいでしょう。

タイ人の特徴について掴めましたか?

外国人雇用は、採用担当者にとってとても大きな問題でしょう。しかしタイ人は日本人と通ずる部分も多く、なによりタイは親日国家。つまり、こちらが間違った対応をすることさえなければ、なにもマイナスに働く心配はないのです。

もしもはじめての外国人雇用を考えているのなら、ぜひタイ人の採用を前向きに考えてみてください。