ブラジル人はどんな仕事が好き?

20世紀初頭ブラジルへの移民が始まって以来、約25万人の日本人が移民し、現在、日系人は6世にまで及ぶとされ、その数はなんと約160万人と言われています。1990年には、日本の「出入国管理及び難民認定法」が改定され、日系ブラジル人2世・3世やその家族の日本での就労が合法化されました。そのため、それ以降、在留ブラジル人の数は増加の一途をたどっているのです。
法務省入国管理局が2019年3月に発表した「平成30年末現在における在留外国人数について」によると、在留ブラジル人は20万人を超え、中国、韓国、ベトナム、フィリピンに次ぐ多さでした。
歴史的なつながりから多くのブラジル人が日本で暮らしていますが、我々日本人は彼らのことをどれくらい理解しているのでしょうか?今回は、雇用するブラジル人をより理解してうまくやっていくために、ブラジル人について解説します。
目次
ブラジル人はこんな仕事が得意
「ブラジル」と聞くと、ラテン系で明るい国というイメージが強く、「サッカー」「カーニバル」「アマゾン」などを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
地球上で日本の真裏に位置するブラジルは移民大国で、日系を含むアジア系のほか、白人・黒人・先住民・パルド(先住民・ヨーロッパ系・アフリカ系の混血)系が共存するいわゆる「人種のるつぼ」です。そんなブラジルでは、どのような教育を受け、どのような仕事が人気なのでしょうか?ブラジル人が得意な仕事を探っていきます。
ブラジルの教育は?
ブラジルの国家教育基本法では、基礎教育を以下のように分けています。
- 幼児教育:0~6歳
- 初等教育:6~14歳(最低8年)
- 中等教育:15~17歳(最低3年)
- 高等教育:中等教育修了後
義務教育となるのは初等教育で、公立は無償です。基礎教育では、社会情緒的スキル育成の習得を目的とした全国共通のカリキュラムがあり、科学的なアプローチで知的好奇心を刺激しながら教育の質を高めています。また、国家教育計画では全ての教育レベルで10カ年目標を設定し、それぞれの地方政府が目標に準じた計画を策定しているそうです。
ブラジルが教育に力を入れる理由のひとつは非識字率を下げることにあり、教育省は「識字ブラジルプログラム」を通して非識字撲滅に取り組んでいます。その成果は如実に現れ、2018年の非識字率は6.8%にまで低下。1900年代の65%、1980年の25.4%と比較しても、かなり非識字率が下がったことが分かります。
また、国際統計・国別統計専門サイト「GLOBAL NOTE」によると、ブラジルの大学進学率は51.34%(2018年)でした。ただし、経済的な負担が大きいため、学位を持つ人はより少なくなるでしょう。
出典:
日本とブラジル間の知的交流の可能性(駐日ブラジル大使館 教育スポーツ部長 レアンドロ・ディアス・ナポリターノ) |ニーズ / シーズ集|EDU-Portニッポン
ブラジル 成人の識字率, 1960-2019 – knoema.com
ブラジル人に人気の仕事は?
一口に「ブラジル人に人気の仕事」と言っても、学歴や年齢などのバックグラウンドにより異なります。ただ、全般的に言えるのは、ブラジル人の陽気で気さくな民族的特徴から「ホスピタリティ」が求められる仕事、つまり接客等が伴う仕事に向いていると言えるでしょう。一方、このような仕事は高い日本語能力が求められるため、来日したばかりのブラジル人には敷居が高いかもしれません。
人気の仕事はバックグラウンドにより異なりますが、反対にブラジル人が苦手とすることから得意な仕事を考えてみましょう。日系ブラジル人とはいえ南米の広大な土地で育った2世・3世は、他のブラジル人と同様の環境で教育を受けて成長します。多くのブラジル人は「時間を自然の流れ」と捉えて生活しているため、「時間厳守」という習慣はありません。つまり、日系ブラジル人でもスケジュールが分刻みのような仕事は向かない可能性があるということです。
一方、移住が始まって以来、ブラジルでは1世であろうが3世であろうが日系人を「外国人」ではなく「ジャポネ-ズ」と呼ぶそう。なぜなら、日系人はブラジルで最も尊敬されている人種で、絶対的な信用を得ているのだとか。移住した日本人は子孫に日本人が大切にしていることを伝承していると考えられます。そのため、日本人の勤勉さなどを持つ日系ブラジル人も少なくありません。
ブラジル人はこんな仕事観を持っている!
では次に、ブラジル人とともに働くうえで重要となる「仕事観」について考察します。
ブラジル人の特徴は
まず、一般的なブラジル人の特徴を見ていきましょう。
・陽気で気さく
前述した通り、多くの人が抱くイメージですが、実際にブラジル人は明るくて陽気です。一緒にいると、こちらまで楽しい気分になるほど。おしゃべりが好きで、人見知りすることなく誰とでも気軽に話します。なかには、歌ったり踊りだしたりする人もいますが、彼らにとっては特別なことではなく、ごく自然なことです。
・おおらか
時間厳守の習慣がないことからも分かるように、ブラジル人は非常におおらか。仕事に遅れても悪びれた様子も見せないので、日本人は驚くかもしれません。時間は「目安」という感覚に近いのでしょう。また、買いものをしたときのお釣りを四捨五入して返されることも。よく言えば「おおらか」ですが、「いい加減」「時間にルーズ」とも言えます。
・マイペース
日本人は真面目で責任感が強いため他人に合わせようと努力しますが、ブラジル人はゆったりのマイペースが当たり前。約束をしても都合をつけることはせず、勝手にキャンセルということも日常的に起こります。ただ、ブラジル人に悪びれた様子はありません。
・家族・友人を大切にする
とにかく家族との絆が深く、とても大切にします。週末は家族で集まってワイワイと過ごすのが一般的。ブラジル人に限りませんが、家族の悪口はタブーです。親しい友人に対しても親切で、友人が悪く言われるのも嫌います。
・お祭りことが好き
リオのカーニバルは世界的に有名ですが、ブラジル人はお祭り好き。何かにつけパーティーを開き、盛大にお祝いするのが生活の一部だそうです。とにかく、にぎやかにワイワイ楽しむのが大好き。
・恋愛は情熱的
男女を問わず、恋愛に関しては情熱的かつ積極的。人前でも構わず愛情を表現します。さらに、束縛や嫉妬も愛情のひとつで、その気持ちを隠すことなく表現するそうです。
・行動的
目標を定めると行動的になる人が多いそう。恋愛で情熱的になるのと同様に、これと決めたら突き進むのかもしれません。ただ、あまり深く考えずに家や車を買ってしまうというようなことも見受けられます。行動が先で手続きが後ということもしばしば。裏を返せば、計画性に欠けるということかもしれません。
・Yes/Noをはっきり言う
どんなにフレンドリーに接していても、受け入れられないことに対しては「No」とはっきり言います。日本人は「No」と言われることに慣れていないため、きつく感じたり腹が立ったりするかもしれませんが、彼らにとっては単なる意思表示に過ぎません。
ここでご紹介した特徴が全てのブラジル人に当てはまるわけではありませんが、このような傾向があることはしっかり覚えておきましょう。
ブラジル人の仕事観とは?
年齢や経験等により「仕事観」は変化していきますが、ブラジル人の特徴から分かる一般的な「仕事観」についてまとめてみます。
・転職は当たり前
職に就いていても、今より給料が高く楽な職場を求める傾向があります。ブラジルでは転職回数が多いとハクがつくそう。閑散期になるとあっさり解雇されるなど、正社員でも季節労働者的に働かなければならないことも背景にあるようです。
・怠惰の傾向がある
おおらかな気質であるがゆえに、いい加減に見える場合もあります。なかには「働いても働かなくても給料は変わらない」という感覚の人もいるので、怠け心が出てしまうのかもしれません。
・人同士は対等・平等
職場の上下関係に気を使うことはなく、もちろん「お客様は神様」という精神も持ち合わせていません。日本とは大きく異なる点なので、雇用する際には注意が必要です。
・時間にルーズ
雨が降れば遅刻しても誰もとがめないという環境で、職場でも同様です。納期などをきちんと守るのも苦手なので、それを踏まえたうえで利害関係を構築する方がいいかもしれません。
・スキルアップ・キャリアアップに熱心
スキルアップやキャリアアップに役立つ情報に反応がよく、実際に専門性を磨いて活躍するブラジル人も少なくありません。
ブラジル人と仕事するうえでの注意点
仕事観とともに注意点もご紹介しましたが、ブラジル人と仕事をするうえで大切なのは、彼らの長所を活かして、短所をうまくカバーすることです。さらに、日本の文化を押し付けず、相手の文化を理解する共存の気持ちを持つことも必要でしょう。
もちろん、日本人のような「空気を読む」という感覚がないことも理解しなければなりません。やってしいことは明確に伝える必要があります。顧客とのトラブルなどにおいては、「できない」のではなく「知らない」というケースがほとんど。日本の文化や風習、接客などは、しっかりと指導しましょう。
また、多くのブラジル人は、「労働」を「苦役」や「我慢」と捉え、給料はその「代償」と考えます。つまり、日本人の考え方とは大きく異なるということ。自分に与えられた仕事に対して「責任を持ってやる」という感覚はないので、任せた仕事はチェックするようにしましょう。
さらにブラジル人に限ったことではありませんが、外国人にとって日本の「マニュアル文化」は理解できません。仕事を覚えてもらう際には、動画にするなどの工夫が必要です。
ブラジル人の仕事について詳しくなりましたか??
ブラジル人は細かいことを気にせず、自然の流れのままに暮らすおおらかな人種です。それは、ときにマイペースで怠惰に見えるかもしれませんが、肩の力を抜いて自然体でいることは日本人が学ぶべきことかもしれません。
また、日系ブラジル人には日本のよさが受け継がれている面もあるので、雇用する側は彼らのポテンシャルを引き出していくようにしましょう。ブラジル人をより理解して日本の労働力にしていくかは、雇用主次第かもしれません。
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参考サイト
外務省: ブラジル ~ 日本の反対側にある,多様性に富んだ国
日本とブラジル間の知的交流の可能性(駐日ブラジル大使館 教育スポーツ部長 レアンドロ・ディアス・ナポリターノ)
ブラジル 成人の識字率, 1960-2019 – knoema.com
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