外国人人材の受け入れの拡大で、近年は「特定技能」の資格を持つ方が増えていますが、フィリピンから日本に働きに来る方が増えています。

日本とフィリピンは地理的に近く、外見的にも同じアジア人で似ていることから、昔から国際結婚をするケースも多くありました。

じつはあまり知られていないのですが、フィリピン人を雇用するには特別なルールが存在しています。そこで今回は日本で人気の高いフィリピン人の雇用について、徹底解説します。

フィリピン人雇用を検討されている方、すでに雇用していらっしゃる方はぜひチェックしてみてください。

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日本の会社では、今後フィリピン人をもっと採用するようになる!

フィリピン人口と移住者の推移のグラフ

2023年時点で、フィリピンの人口は1億1千万人を超えました。
日本の人口は約1億2千万人ですが、日本は少子高齢化が進んで人口が減っているのに対して、フィリピンは若い世代が最も多く、たくさんの働ける人がいます。

フィリピンの人口はこれからも増えると予想されており、若い人たちが国の経済を元気にする力になると期待されています。

参考:出入国在留管理庁 令和5年末現在における在留外国人数について

日本はフィリピン人にとって、今も人気の国!

出入国在留管理庁の発表によると、2023年末時点でフィリピン出身の在留外国人は322,046人で、全体の9.4%を占めています。これは、中国、ベトナム、韓国に次いで多い数です。

フィリピンは日本企業とも強い関係を持っていますが、フィリピンの公用語が英語(とタガログ語)であるため、世界中の国々ともさらに関わりが広がっています。
そのため、最近ではフィリピンの人々にとって、日本で働くことが前ほど人気がないという意見もあります。

しかし、日本はフィリピンから近くて住みやすいことから、まだ多くのフィリピン人が日本で働くことを望んでいます。
グラフを見ると、日本に来るフィリピン人の数は増えており、フィリピンの人口が増えることで、さらに多くのフィリピン人が日本に移住することが大きく期待できます。

フィリピン人と日本人の性格的な相性は?

フィリピンと日本は文化的な違いがあります。
日本では当たり前と考えられていることが、フィリピンでは非常識なことに該当することもありますので、フィリピン人を雇用する際にはこの文化的なちがいを知っておくことが重要です。

たとえばフィリピン人は、仕事よりも家族との時間や長期休暇を大事にしています。
あくまで一般論ですが、この事実を知らずに接していると、やる気の低下や離職を招く恐れがあるので注意しましょう。

他にもフィリピン人は大勢の前で怒られることには慣れていないため、反省点などは個別に直接伝えたほうがいいでしょう。
フィリピンでは人をほめて伸ばす文化があるため、日本人を雇っているのと同じ感覚で怒って育てようとするのはおすすめできません。

フィリピン人は日本で仕事を探している! 同僚になる前に知っておきたい国民性や常識の違いについて解説

フィリピン人は日本語がペラペラ?!

外国人を雇用する際、「日本語がどのくらい話せるか」はとても気になる部分でしょう。
文化庁の発表している「国・地域別の日本語学習者数」によると、国内で日本語を学習する外国人の中でフィリピン人は5位であり、その数は1万人くらいいるようです。

日本にいるフィリピン人の大半は最低限の日本語を話すことができるので、他国の方よりも採用するハードルが低いと言えます。

フィリピン人を採用するときに気をつけるポイント

笑顔のフィリピン人の画像

日本の会社が外国人を雇うときは、その外国人の「出身国のルール」を知っておく必要があります。
特にフィリピン人を雇うときは、フィリピンに特有のルールがあるので注意が必要です

フィリピン人は直接雇用できない?!

フィリピン人は、2017年8月におこなわれた法改正によって、直接雇うことができなくなりました。
フィリピン人を雇うには、フィリピン海外雇用庁「DMW(旧:POEA)」が認めた現地のエージェントを通さなければなりません。

このルールがあるのは、フィリピンの特別な事情が関係しています。
フィリピンでは人口が増えている一方で、十分な仕事がないため就職難が続いており、たくさんの人が中東やアジア、ヨーロッパに働きに行っています。
どの国でも、海外で働く外国人労働者と雇用する企業の間では「過剰な労働」を強いられる問題が起こることがあるため、このような法改正がおこなわれました。

もしDMWの介入なしにフィリピン人を雇おうとすると、働く前に止められてしまい、働けなくなります。
フィリピン人を雇うときは、必ずDMWが認めた現地のエージェントを通して手続きをしましょう

フィリピン人を採用するときは「MWO(旧:POLO)」への申請が必要!

「MWO(Migrant Workers Office)」は、フィリピン政府が日本で働くフィリピン人とその家族のために設けた事務所です。
昔は「POLO」という名前で知られていましたが、DMW(旧:POEA)の再編に伴い、名前が変わりました。

前述した通り、フィリピンではたくさんの人が海外で働くため、自国の労働者が不利益を受けないようにエージェントを通して雇用します。
MWOは日本の企業とフィリピンのエージェントのやり取りを仲介し、フィリピン人労働者が適切に働けるようにする役割を持っています。

つまり、フィリピンのルールによれば、フィリピン人を日本で雇うときは、日本の在留資格手続きに加えて、MWOでの申請が必要だということです。

参考:MWO Tokyo 【フィリピン移住労働者事務所】

フィリピン人を雇用するために必要な手続きは?

フィリピン人の採用ステップを表した画像

ここでは、日本の会社がフィリピン人を雇うために必要な手続きを説明します。

ステップ① 現地エージェントとの契約

まず最初に、フィリピンの「DMW」が認めた現地エージェントと契約を結ぶ必要があります。
このエージェントがフィリピン人を雇う手続きをサポートしてくれます。

ステップ② 書類の準備

現地エージェントとの契約が終わったら、審査に必要な書類が送られてきます。
必要な書類には、通常、雇用契約書や会社の登録証明書、労働条件についての文書が含まれます。ただし、どの書類が必要かはエージェントによって異なることがあるので注意しましょう。

ステップ③ MWOへの提出と審査

書類の準備ができたら、それを「MWO」に提出します。
書類の審査には、5日から2週間ほどかかることが多いです。

ステップ④ 面接を受ける

書類審査が終わったら、MWOと会社の経営者との面接があります。この面接は英語で行われるので、通訳を連れて行くこともできます。
面接に合格すると、その日のうちに承認証書をもらえます。

ステップ⑤ 就労ビザの申請

承認証書をもらったら、次は就労ビザの申請をします。
これは「在留資格認定証明書」や「在留資格変更許可申請書」の作成・提出です。
この申請が承認されたら、フィリピンの日本大使館でビザを取得する手続きをおこないます。

ステップ⑥ フィリピン人労働者への書類送付

ビザの取得手続きが終わると、フィリピン人労働者に必要な書類が送られます。
フィリピン人労働者はその書類に必要事項を書いて、現地のDMWまたは日本のMWOに提出しなければなりません。

ステップ⑦ 就労許可をもらう

フィリピン人労働者がDMWから就労許可をもらえたら、実際に仕事ができるようになります。

フィリピン人を雇うための手続きは以上です。
就労ビザの取得やMWO、DMWに対する手続きが必要で、少し手間と時間がかかります。フィリピン人を雇うときは、時間に余裕を持って手続きを進めましょう。

なお、以前はMWOへの手続きとビザ取得の手続きの順番は自由でしたが、2018年8月からはMWOの手続きを先に済ませることが原則になったので注意してください。

参考:出入国在留管理庁 フィリピンに関する情報

※制度は頻繁に変更されますので随時最新のものを確認しましょう。

さいごに

今回の記事では、フィリピン人を雇用するメリットや手続きについて紹介しました。

直接雇用が認められていなかったり文化の違いがあったりと、フィリピン人の雇用には通常とは異なる点がいくつもあります。
そのため日本企業がフィリピン人を雇用する際には、多少なりとも手間がかかるのは事実です。

しかし日本語を積極的に学ぶフィリピン人は、日本企業にとって貴重な戦力となり得ます。
多少考え方に違いはあるもののコミュニケーションを円滑に行えるので、仕事を安心して任せることが可能です。

フィリピン人を雇用する際には文化や考え方の違いに注意しつつ、フィリピン人の良さを最大限に活かしましょう!

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