外国人アルバイトの採用方法は? 就労制限や注意点、採用の流れとハローワークへの手続きをわかりやすく解説

日本の企業では、人手不足が深刻な問題となっています。とくに都心のコンビニや飲食店、工場などでは、外国人のアルバイトが重要な働き手として注目されています。
日本の人口が減少し、学生の数も少なくなっていることから、外国人の採用は多くの企業にとって欠かせない選択肢のひとつになっています。
この記事では、外国人アルバイトが増えている理由や、採用時に必要な在留資格の確認、手続きの流れについて説明します。さらに、助成金制度を活用する方法についても、最新の情報を交えてくわしく紹介します。
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外国人アルバイトの採用が増えている理由とは?
多くの企業で外国人アルバイトの採用が進んでいます。その背景にはどのような要因があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
日本の人口減少と働く人の不足
日本では少子高齢化が進み、働く人の数が減っています。とくに、アルバイトとして働くことが多い大学生や高校生の数が少なくなっているため、外国人留学生や在留者がその役割を担うことが増えてきました。
たとえば、大手コンビニエンスストア3社では、多くの外国人スタッフが働いており、全体で約8万人以上にのぼるという調査結果があります。
このような状況から、外国人のアルバイト採用は企業にとってますます重要になっています。
外国人採用を支える政府の取り組み
厚生労働省のデータによると、2014年以降、外国人労働者の数は急速に増えています。
コロナ禍の影響を受けた時期もありましたが、大きく減ることはなく、2024年10月には約230万人に達し過去最高を記録しました。経済が回復する中で、企業は今後さらに外国人アルバイトを活用する動きを強めると考えられています。
厚生労働省は、毎年6月を「外国人雇用啓発月間」とし、企業向けに外国人を雇う際に必要な法律や手続き、在留資格に応じた労働条件について説明するセミナーを開いています。
また、外国人労働者の雇用管理を改善するためのガイドラインを作成し、ハローワークや自治体に相談窓口を設置しています。こうした支援を活用することで、外国人が安心して働ける環境が整えられています。
多文化共生の取り組みとして、企業が外国人労働者を受け入れる際の補助金制度や研修プログラムを実施することもあります。このように、外国人がアルバイトとして働きやすくなるよう、企業側のサポートが進められています。
そして、外国人が仕事を見つけやすくするための支援も行われています。
ハローワークや自治体では、多言語対応の求人情報を提供したり、就職相談の窓口を設けたりしています。さらに、留学生や家族滞在者向けに就労情報を案内する取り組みもあります。
外国人向けの就職フェアやセミナーも開催されており、こうした機会を活用すれば外国人もスムーズに仕事を見つけることができます。
参考:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
参考:厚生労働省 外国人の雇用
外国人アルバイトの在留資格と働ける条件
外国人が日本でアルバイトをするには、決められた在留資格を持っていることが重要です。ここでは、アルバイトができる在留資格とその特徴について説明します。
1. 身分系の在留資格
「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のいずれかに当てはまる外国人は、特別な許可がなくても自由に働くことができます。
仕事の種類や雇用形態に制限がないため、日本人と同じように働けるのが大きなメリットです。
2. 特定活動(ワーキングホリデー)
ワーキングホリデーは、観光を楽しみながら一定期間働くことができる制度です。アルバイトも可能ですが、働ける期間に制限があるため、雇う前に条件をしっかり確認することが大切です。また、所得税が一律20.42%かかるため、給与を計算するときは源泉徴収を考慮する必要があります。
3. 留学・家族滞在・文化活動
「留学」や「家族滞在」などの在留資格は、もともと勉強や家族と一緒に生活することを目的としたものです。そのため、アルバイトをするには「資格外活動許可」を取らなければなりません。
この許可を持っている場合、基本的に週28時間以内(長期休みの間は週40時間以内)で働くことができます。採用するときは、在留カードの裏に記載されている許可の有無や有効期限を確認しましょう。
また「技術・人文知識・国際業務(技人国)」や「高度専門職」などの就労ビザを持つ外国人も、資格外活動許可を取ればアルバイトができることがあります。ただし「本業に関係する仕事でなければならない」「単純作業はできない」などの決まりがあるため、採用時に仕事内容が適しているかをしっかり確認することが大切です。
外国人アルバイトの採用手続きと流れ
外国人をアルバイトとして採用するには、在留資格の確認や必要書類の提出など、守るべきルールがあります。
1. 求人募集と選考
外国人アルバイトを募集する際は、求人サイトや留学生向けの求人サービスを活用したり、日本語学校や専門学校と連携したりする方法があります。応募者を選考する際は、在留資格や資格外活動許可の有無、働ける時間帯をしっかり確認することが大切です。
また、面接では簡単な日本語を使ったり、必要に応じて通訳を準備したりすると、応募者が安心して受け答えできます。
2. 雇用契約を結ぶ
採用が決まったら、労働条件通知書と雇用契約書を作成します。契約内容には、以下の項目を明記する必要があります。
- 雇用期間や仕事内容、勤務する場所
- 勤務時間、休憩や休日、給与の支払い方法
- 退職に関するルール
資格外活動許可の条件や労働時間の制限など、外国人ならではの注意点も明記することで、雇用契約に対する認識のズレを防げます。そのうえで、給与は日本人と同等の条件となるよう配慮することが大切です。
3. 必要書類の提出
採用後は通常の雇用手続きに加え、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出しなければなりません。これらの書類は法律で定められているため、早めに準備し、期限内に提出しましょう。
4. 社会保険の手続き
外国人アルバイトも、日本人と同じように社会保険に加入しなければなりません。
加入の条件は勤務時間や会社の規模によって異なるため、事前に確認し、適切に手続きを進めましょう。
外国人アルバイトの採用で活用できる助成金
外国人アルバイトを採用する際の費用や、働く環境を整えるための費用には、国の助成金制度を利用できます。ここでは、代表的なものを紹介します。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人労働者が働きやすい環境を整えるため、企業が負担する費用の一部を国が支援する制度です。雇用保険に加入している外国人アルバイトも対象となり、作業環境の改善、多言語対応の資料作成、研修費用などが助成されます。
トライアル雇用助成金
外国人アルバイトを試験的に雇い、正社員としての採用を目指す場合に活用できる助成金です。試用期間中に適性や能力を確認しながら、研修や教育を実施するための費用が補助されます。
正社員として定着させるための取り組みが評価されるため、長期的な雇用を考えている企業にとって役立つ制度です。
助成金を申請する際は、対象となる経費や条件を事前に確認し、必要な書類をそろえる必要があります。最新の公募要領をチェックし、条件を満たしているか確認しましょう。
外国人アルバイト採用の注意点をチェックしよう
外国人をアルバイトとして採用する際は、在留資格の確認や労働時間の管理など、守るべきルールがあります。適切な対応を行うことで、トラブルを防ぎ、安心して働ける環境をつくることができます。
在留資格の確認
採用する前に、必ず在留カードを確認し、在留資格や資格外活動許可の有無、許可された内容が正しく記載されているかチェックします。さらに、在留期限や更新の状況も定期的にフォローすることが大切です。
労働時間の管理
資格外活動許可を持つ外国人は、週28時間以内(留学生の長期休暇中は週40時間以内)の労働が認められています。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての勤務時間を合計し、規定を超えないよう注意が必要です。
もし労働時間を超えて働かせてしまうと、不法就労とみなされ、企業にも罰則が科せられる可能性があります。
コミュニケーションと教育
外国人アルバイトが職場で孤立しないよう、定期的なフォローや研修を行いましょう。採用書類や業務マニュアルにはフリガナや図解を加え、難しい言葉を避けることで理解しやすくなります。
職場での日本語教育を充実させると、仕事の効率が上がり、チームワークの向上にもつながります。
ハローワークへの届出
外国人を雇ったときや退職したときは、「外国人雇用状況の届出」をハローワークに提出しなければなりません。届出を怠ると罰則の対象になることがあるため、手続きを忘れないように管理することが必要です。
法律の遵守と公平な待遇
外国人だからといって、日本人と異なる条件を設定することは認められていません。最低賃金や労働基準法などの法律を守り、平等な待遇を提供することが求められます。
国籍による差別をせず、公正な雇用環境を整えることが、企業の信頼につながります。
さいごに
外国人アルバイトの採用は、人手不足を解決するための有効な手段のひとつです。在留資格の確認や労働時間の管理にくわえ、採用後のサポートや助成金制度の活用など、必要な手続きをしっかり行うことで、安心して優秀な外国人労働者を迎え入れることができます。
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外国人採用について不安や疑問がある方は、お気軽にお問い合わせください。