特定技能外国人を採用することは、企業が人手不足を解消するのにとても役立ちます。
しかし、その一方でいくつかの費用がかかることも忘れてはいけません。

この記事では、特定技能外国人を採用する際にかかる主な費用について、どんな費用がどれくらいかかるのかを詳しく説明します。
人材紹介料や送出機関に払う費用、外国人本人やビザ申請にかかるお金など、採用前に知っておくべき費用をしっかり把握して、コスト管理に役立ててください。

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特定技能外国人を雇うときの費用について

どのような費用がかかるのかを事前に知っておくことで、スムーズに採用を進めることができます。
ここでは、主な費用の種類や負担する人の違いについて説明します。

特定技能の採用にはどんな費用がかかるの?

特定技能外国人を採用する際には、大きく分けて3つの費用があります。

  • ビザ申請や支援にかかる費用
    ビザを取得するための申請書類の作成にかかる費用や、登録支援機関に支払う支援費用などです。
  • 人材紹介会社や送出機関に支払う費用
    人材紹介会社を利用する場合、紹介料が発生します。また、海外から採用する場合は、現地の送出機関への費用が必要になることもあります。
  • 特定技能外国人本人に支払う費用
    採用後には給与のほか、社会保険や福利厚生の費用がかかります。さらに、住む場所を用意する場合は、住宅の手配や生活支援の費用も考えなければなりません。

特定技能ビザの申請や支援にかかる費用

パスポートと在留カードの画像

特定技能の外国人を受け入れるには、ビザの申請や生活・仕事の支援にさまざまな費用がかかります。
ここでは、ビザ申請にかかる手続きの費用と、外国人をサポートする登録支援機関の費用について説明します。

ビザ申請の手続きと費用

特定技能ビザを取得するには、必要な書類を準備して出入国在留管理庁に申請し、審査を受ける必要があります。その際、以下のような費用が発生します。

  • 必要書類の準備費用(証明書類の取得など)
  • 翻訳費用(外国語の書類を日本語に訳す費用)
  • 健康診断費用(日本で働くために必要な健康チェック)
  • 写真撮影費用(申請時に必要な証明写真) など

特定技能の申請は、必要な書類が多く、手続きも複雑です。そのため、多くの企業は行政書士や登録支援機関に手続きを依頼しています。
依頼する場合の費用の相場は10万~20万円ほどですが、内容やケースによって変わるため、事前に見積もりを取ることが大切です。

専門家に任せることで、手続きのミスを防ぎ、スムーズにビザを取得しやすくなります。

登録支援機関の費用

登録支援機関は、外国人が日本で安心して働き、生活できるようにサポートする機関です。
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、法律で定められた「義務的支援」を行う必要がありますが、対応が難しい場合は登録支援機関に依頼することができます。

支援費用の相場は、外国人1人あたり月額2万~4万円ほどです。支援の内容によっては、契約時に初期費用がかかることもあるため、事前に確認しておきましょう。

参考:出入国在留管理庁 登録支援機関(Registered Support Organization)

人材紹介会社や送出機関に支払う費用

人材紹介会社の担当者と握手を交わす画像

特定技能外国人に特化した人材紹介会社は、企業がスムーズに採用活動を進めるための重要な存在で、その手数料は採用コストの大部分を占めます。
また、海外から人材を送り出す送出機関にも費用が発生します。

人材紹介会社の紹介手数料

人材紹介会社に支払う手数料は、一般的に採用する人の年収の30~35%程度です。手数料の支払い方法には「成功報酬型」と「固定報酬型」の2つがあります。

  • 成功報酬型:採用が決まったときに手数料が発生し、入社後に支払います。
  • 固定報酬型:人材紹介会社に求人を依頼した時点で、一定額の手数料を支払います。

近頃の人材紹介会社は、「成果報酬型」が一般的になっています。

送出機関にかかる費用(海外からの採用の場合)

送出機関は、海外で特定技能外国人を募集し、日本に送り出す役割を持つ機関です。特定技能外国人を採用するときに、送出機関の利用が必要になることがあります。

送出機関に支払う費用には、主に以下のようなものがあります。

  • 講習費用:10万~60万円ほど
  • 渡航費用:数万円~数十万円ほど

講習費用(送出費用)は、各国の送り出し機関が日本での就労を望む外国人に対して教育を行うための資金として使われます。
また、フィリピンやベトナムをはじめとした特定の国の外国人を採用したい場合は、採用活動の際に必ず送出機関を使う必要があります。この際に、別途手数料が必要になる場合もあります。

特定技能外国人本人に支払う費用

手当を受け取る特定技能外国人の画像

特定技能の外国人を雇うには、給与や保険、住居などさまざまな費用がかかります。
とくに、給与は日本人と同等以上にする必要があり、社会保険や雇用保険にも加入しなければなりません。また、企業が住居を用意する場合、その費用も考慮する必要があります。

給与・福利厚生の費用

特定技能外国人の給与は、地域ごとの最低賃金を基準に決められます。最低賃金は、労働者の生活費や地域の賃金水準を考慮して決められており、これを下回ることはできません。
また、日本人と同じように社会保険や雇用保険に加入する必要があり、その費用は企業が負担します。

  • 社会保険(健康保険・年金保険など)
  • 雇用保険(失業したときの保障)

これらの保険料は給与の一部として計算されるため、企業の人件費に影響します。
特定技能外国人を雇う際は、これらの費用も事前に確認し、予算に組み込んでおきましょう。

住居・生活支援にかかる費用

外国人が日本で安心して働けるように、企業は住居や生活面のサポートをすることが多いです。

  • 住宅の手配(社員寮の提供やアパート契約など)
  • 生活支援(健康診断・生活相談・家賃補助など)

住宅を用意する場合、契約時の初期費用として数十万円かかることもありますが、企業が負担することで外国人が安心して働ける環境を作れます。
また、健康診断も日本人と同様に法律で義務付けられており、費用は1万円程度が目安です。支援の内容や費用は企業によって異なるため、事前に計画を立てて準備しましょう。

特定技能の採用費用をうまく管理するコツ

企業が特定技能外国人を採用するための費用を把握し、予算をうまく管理することはとても大切です。正しい管理をすることで、予想以上の支出を避けることができます。

費用を抑えるための工夫

コストダウンのイメージ画像

人材紹介会社や登録支援機関を比較する

人材紹介会社や登録支援機関の紹介手数料は会社によって違うため、複数の会社から見積もりを取ることが大切です。
同じようなサポート内容でも、費用に差があることが多いので、料金の相場を把握してできるだけコストを抑えられる会社を選びましょう。
また、契約内容やフォロー体制も確認し、必要な支援を適正な価格で受けられるようにしましょう。

自社で求人を出す

人材紹介会社を利用せず、自社で直接求人を出すことで、紹介手数料を削減できます。
求人サイトや会社のホームページ、ハローワークなどを活用し、外国人向けの求人情報を発信するとよいでしょう。
また、すでに働いている外国人労働者やその知人を通じて紹介してもらう方法もあります。こうした工夫をすれば、コストを抑えつつ、信頼できる人材を確保しやすくなります。

技能実習生から特定技能へ移行する

すでに技能実習生として働いている外国人がいる場合、特定技能に移行することで、新たな紹介手数料や送り出し費用がかかりません。
技能実習の期間中に業務に慣れているため、新しく採用するよりもスムーズに即戦力として活躍してもらうことができます。

信頼できる人材紹介会社・登録支援機関の選び方

登録支援機関のスタッフと打ち合わせをする女性の画像

特定技能外国人の採用を成功させるために、人材紹介会社や登録支援機関の選び方もコツをつかんでおきましょう。

実績や評判を確認する

まず、その会社が過去にどのような実績を持っているのかを調べましょう。成功事例導入企業の声を確認し、信頼できる会社かどうか判断することが大切です。
インターネットのレビューだけでなく、同業他社に紹介してもらうのも良い方法です。

対応できる国や言語を確認する

企業が採用を検討している国の人材を紹介できるかどうかを確認しましょう。
また、外国人労働者が安心して働けるように、母国語でのサポートが充実しているかも重要なポイントです。たとえば、書類の翻訳や生活サポートを母国語で対応できるかどうかは、外国人が日本で長く働くうえで大きな助けになります。

契約内容や手数料をしっかり確認する

契約を結ぶ前に、料金やサポート内容を細かく確認しましょう。手数料が相場と比べて高すぎないか、サポートの範囲が十分かどうかをチェックすることが大切です。
とくに「後から追加料金が発生する」ような契約には注意し、すべての費用が明確に書かれているか確認してから契約を結ぶようにしましょう。

さいごに

特定技能外国人の採用には一定のコストがかかりますが、それを上回る大きなメリットもあります。
人手不足の解消や新たな視点を取り入れるチャンスとして、特定技能外国人の活用を検討してみてはいかがでしょうか?