はじめて外国人を採用するとき、「全体の費用の流れがわかりにくい」と感じる方は多いものです。
たとえば、求人にどのくらいのお金が必要か、申請にかかる費用はどれほどか、さらに毎月の支払いがどの程度続くのか…こうした疑問は当社にもよく寄せられています。

そこでこの記事では、特定技能外国人を受け入れる際に必要となる費用についてわかりやすくまとめました。
段階ごとの相場や、本人が負担する部分と企業が負担する部分の違いも紹介しています。社内で情報を整理する際の参考としてご活用ください。

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まず確認したい費用の総額は?

外国人採用は今、これまでにない高い水準に達しています。中小企業でも広がりを見せており、特定技能の受け入れは珍しいものではなくなりました。
だからこそ最初に「どの費用が、いつ、いくら必要か」を整理しておくことが大切です。

費用が増えたり減ったりするポイントは大きく3つあります。
募集ルート(国内転籍か海外か)、分野ごとの特則(たとえば建設分野など)、そして誰が負担するか(本人か会社か)です。まずは総額の目安と早見表を確認し、全体像をつかんでおきましょう。

総額の目安

  • 国内転籍:初期費用40〜90万円+月2〜4万円/人
  • 海外採用:初期費用70〜180万円+月2〜4万円/人 ※送り出し機関の費用・渡航費・住居初期費が加算されやすい
  • 技能実習生から特定技能へ移行:初期費用20〜40万円+月2〜4万円/人
  • 建設分野など特則あり:上記に団体費(年会費・受入負担金など)が加わることが多い

迷ったときは「初期費用は厚めに、月額は2〜4万円」で試算すると比較しやすくなります。社内で前提をそろえる際の参考にすると安心です。

費用の早見表(費目・相場・負担者)

費目目安負担者(推奨)補足
人材紹介手数料30〜60万円/人会社年収の割合や固定額。国内転籍でも発生
送り出し機関手数料(海外)20〜60万円/人会社国や機関で差あり。講習費込みの場合が多い
在留資格手数料(変更/更新)6,000円(オンラインは5,500円)会社認定証明書(COE)は無料
申請委託(行政書士など)10〜20万円/件会社書類の量や難易度で変動
書類・翻訳・通訳1〜5万円会社委託費を本人負担とする場合もある
渡航費(片道)4〜15万円本人 or 会社距離や時期で変動。近年は会社負担が増加傾向
住居初期費(敷金・家電など)20〜40万円本人 or 会社天引きする場合は同意書と明細が必要
健康診断5,000〜20,000円本人 or 会社入社前に実施することも多い
登録支援機関(義務的支援)月2〜4万円/人会社訪問頻度や時間外対応で金額が変わる
建設分野:団体費など年会費+申請4〜8万円+月額会社受入負担金など。最新運用の確認が必要

費用を確認するときのポイント

特定技能の費用は一律ではありません。人材紹介会社の手数料、送り出し機関の費用、住居の初期費用などをどう組み合わせるかで大きく変わります。
さらに、本人にどこまで負担してもらうかによっても総額は動きます。ただし、負担を重くしすぎると応募のしやすさや定着率に影響する可能性があり、結果として採用コストがかさむこともあるため注意が必要です。

また、毎月の支払いは意外と見落とされがちですが、実際には登録支援機関の料金がかかります。
訪問の回数や夜間対応の有無によって金額が決まるため、固定費と変動費を分けて整理することがポイントです。

募集から雇用後まで、各段階でかかる費用はどのくらい?

費用が発生するポイントを整理したイラスト

ここからは、採用活動のスタートから雇用後までの流れに沿って「どの場面で、どのような費用が必要になるのか」を見ていきます。
段階ごとに特徴を押さえて確認していきましょう。

フェーズ1:募集・選考にかかる費用

特定技能人材を採用する最初のステップは、募集と選考です。この段階で大きな割合を占めるのは「人材紹介会社の手数料」と「送り出し機関の費用」です。

  • 人材紹介会社の手数料:採用者の年収の30〜35%
  • 送り出し機関の費用:20〜60万円(国や機関により差あり)
  • 渡航費:4〜15万円

海外採用では送り出し機関を通すことが法律で義務づけられている国もあり、この費用は避けられません。国内採用の場合も、紹介会社を利用すれば同様に費用が発生します。

費用を抑える方法

  • ハローワークや自社サイトを活用して直接募集する
  • 雇用中の技能実習生を特定技能へ移行する

こうした工夫により、紹介料や送り出し機関費用を大幅に減らせます。

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フェーズ2:在留資格申請にかかる費用

申請書類を確認する男性のイラスト

次のステップは在留資格(特定技能ビザ)の申請です。外国人を雇うには、出入国在留管理庁への手続きが必要になります。

おもにかかる費用は以下の通りです。

  • 在留手数料(変更・更新):6,000円/オンライン申請は5,500円、認定は無料
  • 書類取得費用:住民票・納税証明書・健診書類などで1〜5万円
  • 行政書士など専門家への依頼:10〜20万円
  • 翻訳費用:1文書あたり2,000〜1万円ほど

自社で申請を進めることも可能ですが、書類の不備で差し戻されるのを避けるため、行政書士へ依頼する企業も少なくありません。

費用を抑える方法

  • 書類収集や翻訳を社内で対応し、依頼範囲をしぼる
  • オンライン申請を活用して、手数料や手間を減らす

こうした工夫で、依頼費用を抑えながらスムーズに申請を進められます。

フェーズ3:入国・受け入れ準備にかかる費用

在留資格が認められたあとは、入国や生活環境を整える準備に入ります。特定技能1号を受け入れる場合、法律で定められた「義務的支援」を行うことが必要です。

おもな費用は次の通りです。

  • 登録支援機関への委託料:月2〜4万円/人
  • 住居初期費:敷金・礼金・家電などで20〜40万円
  • 生活オリエンテーションや行政手続きの補助費用

これらは外国人が安心して働き始めるための大切な準備です。必要以上に削ってしまうと、受け入れ後のトラブルにつながりやすくなります。

費用を抑える方法

  • 社宅やシェアハウスを活用して初期費用を下げる
  • 登録支援機関に委託せず、社内に支援担当者を配置する
  • オリエンテーションや手続きを一部自社で対応する

会社の体制によっては、外部委託を減らすことで大きな節約が期待できます。

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フェーズ4:雇用後にかかる継続的な費用

最後に、雇用が始まったあとに必要となる継続的な費用を見ておきましょう。給与や社会保険料は日本人と同等以上が条件とされており、必ず予算に組み込む必要があります。

  • 給与:最低賃金以上で、日本人と同等以上が必須
  • 社会保険・雇用保険:日本人社員と同じ水準で加入
  • 登録支援機関への委託料(継続):月2〜4万円
  • 福利厚生費:家賃補助や交通費など、会社によって差あり

外国人が安心して長く働き続けるには、生活面でのサポートも欠かせません。

費用を抑える方法

  • 自社に支援担当を配置し、一部を社内で対応する
  • 住宅支援や研修費用に助成金を活用する

これらを取り入れると、長期的に定着率が高まり、結果として採用コスト全体の削減につながるでしょう。

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本人負担はどこまでOK?どこからNG?

外国人労働者の受け入れで発生する費用を洗い出している女性のイラスト

ここからは「どの費用を本人に負担してもよいのか」という、現場でとくに迷いやすいテーマを整理していきます。
法律のルールと、定着につながる工夫をあわせて見ていきましょう。

本人負担が認められる代表例

外国人本人にお願いしても差し支えない費用はいくつかあります。代表的なのは、採用活動の中で「本人のために直接かかる費用」です。

  • 渡航費(航空券代など)
  • 住居の初期費用(敷金・礼金・家電など)
  • 健康診断費(入社前健診など)
  • 在留申請の委託費(行政書士報酬の一部)

これらは本人の生活や雇用条件に直結しているため、適切に同意を得れば負担を求めることができます。
ただし、その際は「明細を提示すること」「署名をもらうこと」が欠かせません。合意のないまま給与から天引きするのは不適切とされます。

一方で、最近は企業がこれらを負担する流れも強まっています。採用競争力を高め、定着を促す意味でも会社側が持つほうが望ましいケースが増えているのです。
もし本人にお願いする場合は、社宅を活用するなどして金額を抑え、双方が納得できる形を整えることが大切です。

本人負担がNG、または注意が必要なケース

反対に「本人に負担させてはいけない費用」も明確にあります。とくに、法律で企業側に義務付けられているものや、不当に高額な天引きは認められません。

  • 登録支援にかかる費用(法律で企業負担と定められている)
  • 教育や講習の費用を相場以上に請求すること
  • 契約違反時に高額な違約金として天引きすること
  • 実際には提供していないサービスや名義借りの費用

こうした負担を求めると、不法就労助長や労働基準法違反と見なされる可能性が高まります。結果として、企業側が処分を受けるリスクも生じるため、安易に本人に回すことは避けるべきです。
契約内容はできるだけシンプルにし、不要なオプションを付けないことが自然なコスト削減にもつながります。

負担者を決めるときの実務ポイント

本人負担を設定する際に押さえておきたい実務のポイントをまとめます。これを守ればトラブル防止にも役立ちます。

  • 同意書を必ず取り、署名と日付を残す
  • 負担内容を給与明細に明確に記載する
  • 本人の負担額が過大にならないよう、社内基準を設ける

「どこまで本人にお願いできるか」をあらかじめ明確にしておくことは、採用後の信頼関係に直結します。安心して働いてもらえるよう、丁寧な運用を心がけましょう。
同意書や明細のフォーマットを準備しておけば、事務作業の負担も減り、結果的に余計なコスト削減にもつながっていきます。

分野ごとにかかる追加コストはある?

特定技能ビザで働く外国人労働者たちのイラスト

ここでは、16分野それぞれに「協議会や業界団体に加入するための費用があるかどうか」を整理していきます。
とくに建設分野と工業製品製造業分野は例外的に費用が発生するため、事前に把握しておくことが大切です。

建設分野(JACの会費と受入負担金)

建設分野は、制度の中で唯一「協議会費用」と「受入負担金」が定められています。
受入企業は建設分野特定技能協議会(JAC)に加入し、賛助会員として年会費を支払うか、団体を通じて参加する必要があります。
さらに、特定技能1号の外国人1人につき、月額12,500円以上の受入負担金が必ず発生します。
これは固定費として毎月かかるため、受け入れる人数が増えるほど大きな負担になります。

このほか、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録料や利用料も必要です。見積もりを作成する際には、申請前から含めておくことが重要になります。

参考:一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)
参考:建設キャリアアップシステム(CCUS)

工業製品製造業分野(JAIMの年会費)

製造関連の3分野が統合されて生まれた工業製品製造業分野では、日本工業製品製造業協会(JAIM)への入会が義務付けられています。
ここでは年会費が明確に決まっており、初年度は3〜4万円、翌年度以降は6〜8万円程度が必要です(事業所の規模によって区分あり)。

この費用は他の分野とは異なり、すべての受入企業が必ず負担しなければなりません。

参考:一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)

上記以外の14分野

介護/ビルクリーニング/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造/外食業/自動車運送業/鉄道/林業/木材産業

上記14分野については、協議会の入会費や年会費は当面のあいだ無料とされています。

ただし、どの分野でも在留資格を申請する前に「協議会に加入し、証明書を取得すること」が必要です。無料だからといって後回しにすると、申請が差し戻されてしまうおそれがあります。
また、自動車運送業では新任運転者研修が義務付けられるなど、協議会費用以外の社内コストが発生するケースもあるため注意しておきましょう。

特定技能の採用費用をうまく管理するコツ

採用費用の使い分けを検討中の男女のイラスト

特定技能外国人の採用では、募集から雇用後まで段階ごとにさまざまな費用が発生します。
だからこそ「合計でどのくらいかかるのか」を全体で見通し、予算をしっかり管理することが欠かせません。ここでは、費用を管理するうえで意識しておきたいポイントを紹介します。

自社採用ルートを活用して費用を下げる

紹介会社を使わずに、自社で直接採用する方法もあります。求人サイトやハローワーク、自社ホームページを活用すれば、紹介料をゼロにできます。
また、すでに働いている外国人社員から紹介を受けるケースもあるため、社内ネットワークを活かすのも一つの方法です。

技能実習生の移行でコストを抑える

技能実習から特定技能へ移行するのは、実務でもよく使われるコスト削減の方法です。
新規採用のように人材紹介料や送り出し機関への費用がかからず、すでに現場に慣れているため教育にかかるコストも抑えられます。
現状の技能実習生を即戦力として活かせるのは、大きなメリットといえるでしょう。

信頼できる紹介会社・支援機関を選ぶ視点

委託先の質によって、採用のスムーズさや長期的な定着率が変わります。会社の実績評判を確認し、対応可能な国や言語が自社のニーズに合っているかを見極めることが大切です。

また、サポート内容が明確に記載されているか、追加料金が発生するリスクはないかも重要なチェックポイントです。
信頼できるパートナーを選ぶことが、結果的に余計な費用を防ぐ近道になります。

さいごに

特定技能の採用では、人材紹介料やビザ申請、受け入れ準備、さらに雇用後の継続的な費用まで、いろいろなお金がかかります。
確かに負担は小さくありませんが、計画的に管理していけば予算を大きく超える心配は減らせます。何より、人手不足の解消や現場の安定につながるという点で、大きな価値があるといえるでしょう。

大切なのは「どこに、どのくらい費用がかかるのか」を正しく理解し、自社に合った方法を選ぶことです。この積み重ねが、外国人材と企業の双方にとって安心できる環境を形づくります。

これから外国人採用を考えている方も、まずは小さな一歩から始めてみてください。その行動こそが、未来を支える力につながっていくはずです。

そもそも「在留資格の制度がよく分からない」と悩んでいませんか?

特定技能制度の概要や就労ビザの種類の違い、外国人留学生の働き方を理解しないまま進めると、後で思わぬトラブルにつながることがあります。安心して受け入れるためには、不法就労のリスクや罰則を事前に知っておくことも欠かせません。

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