外国人ドライバーの採用方法|特定技能制度の要件・受け入れ手順をトラック・バス・タクシー別に解説
自動車運転従事者の有効求人倍率は2.62倍(令和8年2月)、全産業平均の1.19倍を大きく上回る水準が続いており、運送業界の人手不足は深刻な状態です。
こうした状況を受け、2024年3月に自動車運送業(トラック・バス・タクシー)が特定技能1号の対象分野に追加されました。
外国人ドライバーを合法的に受け入れる制度的な受け皿が整い、採用の選択肢は大きく広がっています。
この記事では、外国人ドライバーの採用を検討している企業の担当者・経営者に向けて、在留資格の種類や業種ごとの要件、受け入れ手順を整理してお伝えします。
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在留資格の選び方や採用フロー、コストまで、実務に即した情報をまとめています。
目次
なぜ今、外国人ドライバーが注目されているの?
まずは、外国人ドライバーが注目される背景について説明します。運送業界では人手不足が続き、制度面でも受け入れ拡大の整備が進んでいます。
ドライバー不足の実態
厚生労働省が公表した令和8年2月分のデータによると、自動車運転従事者の有効求人倍率は2.62倍です。
全産業平均(1.19倍)のおよそ2.2倍にあたり、採用の難しさが際立っています。
背景にあるのはおもに3つの要因です。
- ECサイトやフリマアプリの普及による宅配需要の急増
- 2024年4月から適用されたトラックドライバーへの時間外労働上限規制(いわゆる「2024年問題」)による実質的な輸送能力の低下
- バス・タクシー業界でのインバウンド需要の増大と運転手の高齢化
とくに2024年問題の影響は大きく、規制の適用後は既存人員だけでは業務をカバーしきれないと感じる企業が増えています。
参考:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年2月分)について
外国人ドライバーが解決策になりうる理由
従来は、就労制限のない「身分系ビザ(永住者・日本人の配偶者等・定住者)」を持つ外国人に限って、ドライバーとして雇用することが現実的でした。
しかし2024年3月の制度改正により、特定技能1号の対象に自動車運送業が加わりました。試験と要件を満たせば、より広い層から採用できるようになっています。
政府が示した5年間の受け入れ見込みは最大24,500人です。内訳はトラック19,000人、タクシー4,000人、バス1,500人とされています。
大手物流グループがすでに特定技能ドライバーの大規模採用計画を発表するなど、業界全体での動きが本格化しています。
参考:国土交通省 特定技能制度における自動車運送業分野の制度概要
外国人ドライバーを採用できる在留資格は?
外国人ドライバーを受け入れる際、まず確認すべきは相手の在留資格です。
在留資格によって就労できる業務の範囲が異なるため、採用前に在留カードの原本を必ず確認してください。
| 在留資格 | 就労制限 | ドライバー業務 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 身分系(永住者・日本人配偶者等・定住者) | なし | ○ 制限なし | 業種・職種を問わず雇用可能。最も採用しやすい層です。 |
| 特定技能1号(自動車運送業) | 自動車運送業のみ | ○ トラック・バス・タクシー | 2024年3月に新設。試験合格と企業要件の充足が必要です。 |
| 特定活動46号(本邦大学卒業者) | 付加価値業務のみ | △ 条件付き | 通訳を伴う観光案内など付加価値業務を行う場合のみ。タクシーなどで適用例があります。 |
| 技能実習・留学・技人国など | 原則不可 | × 雇用不可 | 在留資格の範囲外。雇用すると不法就労助長罪に該当するおそれがあります。 |
また「資格外活動許可」(留学生のアルバイト許可など)では、運転を主業務とするドライバー職は認められていません。
誤った解釈での採用は不法就労となるため、注意が必要です。
【特定技能】トラック・バス・タクシーそれぞれの要件は?
外国人がドライバーとして働く場合、仕事の種類によって必要な資格や条件が少しずつ異なります。
ここでは、新しく対象になった「特定技能1号」で働くために必要な資格や条件を説明していきます。

トラックドライバーに必要な資格と取得条件
トラックドライバーを目指す外国人が特定技能1号を取得するには、次のような条件を満たす必要があります。
- 日本語能力試験でN4レベルに合格すること
- 特定技能1号評価試験に合格すること
- 日本の運転免許(第一種運転免許)を取得すること
まず、外国人が日本でトラックドライバーとして働くには、外国の免許を日本の免許に切り替える「外免切替」を利用して、普通自動車運転免許を取るのが一般的です。
その後、日本の道路交通法に従って一定期間の運転経験を積み、中型や大型免許を取得していく流れになります。
特定技能1号評価試験では「運行業務」や「荷物の積み下ろし(荷役業務)」など、トラックドライバーとして必要な知識が出題されます。
この試験に合格すると、特定技能1号の在留資格を取得でき、正式にトラックドライバーとして働けるようになります。
参考:全日本トラック協会 (外国人向け)トラック運転者を目指す人のための学習用テキスト
バス・タクシードライバーに必要な資格と取得条件
バスやタクシーの運転手を目指す外国人が特定技能1号を取得する場合も、いくつかの条件があります。
- 日本語能力試験でN3レベルに合格すること
- 特定技能1号評価試験に合格すること
- 日本の運転免許(第二種運転免許)を取得すること
- 新任運転者研修を修了すること
バスやタクシーを運転するには、まず第二種運転免許が必要です。
この免許を受けるには、普通免許などで3年以上の運転経験が求められますが、海外での運転経験も認められるため、日本に来る前の経験を活かせます。
また、日本語能力試験ではN3レベルの合格が条件です。これは、バスやタクシーの運転手が乗客への案内や接客対応を行うため、ある程度高い日本語力が必要だからです。
特定技能1号評価試験では「運行業務」や「お客様への対応」に関する知識が出題されます。
この試験に合格し、日本の交通ルールや安全運転を学ぶ新任運転者研修を修了すると、特定技能1号の在留資格が認められ、バスやタクシーの運転手として働けるようになります。
参考:日本バス協会 (外国人向け)バス運転者を目指す人の為の学習用テキスト
参考:全国ハイヤー・タクシー連合会 (外国人向け)ハイヤー・タクシー運転者をめざす人のための学習用テキスト
外国人ドライバーを受け入れるときに気をつけることは?

ここでは、外国人ドライバーの採用を考えている企業が、事前に確認しておくべきポイントを紹介します。
採用手続きや労働条件など、いくつかの点に注意が必要です。
外国人ドライバーの採用に必要な在留資格
外国人ドライバーを採用するには「身分系の在留資格(永住者・日本人の配偶者等・定住者)」 または 「特定技能1号(自動車運送業)」 が必要です。
また、「特定活動46号(本邦大学等卒業者)」 は、日本語を使った付加価値のある業務(たとえば通訳を伴う観光案内など)を行う場合に限り、タクシードライバーなどの職種で適用されます。
いずれの場合も、在留カードの原本確認や外国人雇用状況届出書の提出など、法令に沿った手続きを必ず行わなければなりません。
在留資格に合わない仕事をさせると不法就労にあたるおそれがあり、企業にも罰則が科される場合があります。
特定技能で採用する場合、すでに別の在留資格で働いている人でも「特定活動(自動車運送業の準備活動)」に在留資格を変更することで、免許取得や研修を受けられます。この期間は、トラックが最長6か月/バス・タクシーが最長1年で、準備を終えたあとに特定技能1号へ移行する流れとなります。
特定技能ビザの取得には試験合格が必要
特定技能制度は、「即戦力として働ける人」を対象とした仕組みです。そのため、取得には評価試験と日本語試験 の両方に合格する必要があります。
評価試験では、仕事に必要な知識や技術を持っているかどうかを確認します。一方で、日本語試験は、職場でのコミュニケーションや安全に関する理解度を測るものです。
この基準は、特定産業分野に関係なく、特定技能ビザを取得するすべての外国人労働者に適用されます。
日本の運転免許を取得するタイミング
海外から新しく特定技能で受け入れる場合、基本的な流れは次の通りです。
- 評価試験・日本語試験に合格
- 入国後、「特定活動」で免許取得などの準備を実施
- 特定技能1号へ在留資格を変更
準備期間(特定活動)の上限は、トラックが最長6か月、バス・タクシーが最長1年です。
この間に、外免切替などで日本の運転免許を取得し(バス・タクシーは新任運転者研修も必須)、速やかに特定技能1号へ変更する必要があります。
もし期間内に免許を取得できない場合、特定技能への移行は認められません。
また、日本にすでに在住している外国人が在留資格を変更する場合も、身分系・特定活動46号以外の人は同様の流れを踏むことになります。
外免切替を行う際は、元の免許が有効であること、そしてその国に3か月以上滞在していた実績があることなど、細かな条件にも注意が必要です。
特定技能外国人を受け入れる企業の条件
外国人ドライバーを受け入れる企業には、次のような条件が定められています。
- 道路運送法に基づき、自動車運送業を経営していること
- 自動車運送業分野特定技能協議会の会員であること
- 「運転者職場環境良好度認証制度」または「Gマーク制度」による認証を受けた事業所を持っていること
これらを満たすことで、外国人ドライバーが安心して働ける環境を整えることができます。
労働条件は日本人と同じにする
外国人ドライバーを採用する際は、労働条件を日本人社員と同じにすることが原則です。
これは「同一労働同一賃金」というルールに基づいています。
外国人だからといって、給与を下げたり、不公平な待遇にしたりすることは法律で禁じられています。給料や福利厚生、休暇など、すべての面で平等に扱うことが大切です。
また、雇用契約を結ぶ際には、本人が理解できる言語で労働条件を説明するようにしましょう。そうすることで、トラブルの防止にもつながります。
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【実例でわかる】現場で活躍する外国人ドライバー

日本の運送業界はサービスの質が高く、初めて外国人を受け入れる企業ほど「接客の丁寧さ」や「免許取得の難しさ」に不安を感じることがあります。
ここでは、実際に外国人ドライバーが活躍している企業の事例を紹介します。
外国人タクシードライバーの活躍事例
日の丸交通株式会社
ダイバーシティ採用を積極的に進めており、現在は外国籍ドライバーが160名以上在籍しています(2025年10月時点)。
会社では、第二種免許の取得支援や丁寧な研修を行っています。地理に不安がある未経験者でも安心してスキルを身につけられる環境が整っているのが特徴です。
公式ホームページでは、ドライバーたちの声(出身国・前職・研修での経験など)が多数紹介されており、実際の働き方を具体的に知ることができます。
アサヒ交通株式会社
フィリピン、ミャンマー、タンザニア出身のドライバーたちが、優れた接客スキルと高い仕事の能力を持ち、チームを盛り上げています。
外国人ドライバーの採用は試行錯誤を重ねた結果、成功に繋がり、企業が新しい時代に対応するための大きな一歩となりました。
外国人ドライバーを大規模に採用する計画
センコーグループホールディングスは、2032年までに特定技能の外国人ドライバーを100人採用する計画を発表しています。
2025年4月から第1期生の受け入れを始め、モデル事業所で研修や教育の仕組みを整えたうえで、グループ全体へと広げていく方針です。
さらに、将来的には海外から直接、特定技能ドライバーを採用することも検討されています。
人手不足の解消と車両増強を両立させるため、計画的に人材の育成と登用を進めていく考えです。
参考:カーゴニュース センコーGHD、外国人ドライバー100人採用へ
よくある質問【FAQ】
Q. 特定技能で採用した外国人が免許取得期間内に免許を取れなかったら?
「特定活動(準備期間)」内に運転免許を取得できなかった場合、特定技能1号への在留資格変更は認められません。そのまま就労を続けると不法就労に該当するため、帰国もしくは別の在留資格への変更が必要です。
スケジュールには余裕を持ち、取得状況をこまめに確認することが重要になります。
Q. 特定技能1号は何年間雇用できる?
特定技能1号の在留期間は通算で最長5年です。1年・6か月・4か月ごとに更新しながら継続できます。
更新時には、引き続き在留要件を満たしているか確認が必要です。なお、現時点で自動車運送業に特定技能2号は設定されていません。
Q. 日本での運転歴が短くても、第二種免許は取れる?
可能です。第二種免許の受験には「普通免許などでの3年以上の運転経験」が要件ですが、海外での経験も算入されます。
また試験は現在20言語に対応しており(2024年から順次拡大)、日本語が堪能でなくても受験しやすい環境が整っています。
企業が取得費用を支援することで、候補者の来日意欲を高める効果もあります。
Q. 身分系ビザの外国人をドライバーとして採用する際の注意点は?
就労制限がないため特別な許可申請は不要です。ただし、雇入れ時の在留カード原本の確認と雇用状況届出書の提出は必須となります。
また、在留期限が切れていないか、更新手続き中でないかも必ず確認してください。
在留期限を超えて雇用を継続すると、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
さいごに
日本では、労働人口の減少によってドライバー不足がますます深刻になっています。
しかし、特定技能の対象に「自動車運送業」が新しく加わったことで、外国人ドライバーの活躍の場が広がりつつあります。
今後は、こうした人材の力を取り入れることが、運送業界の安定した運営にもつながるでしょう。
人手不足の解消を早めるためにも、この機会に外国人採用を検討してみてはいかがでしょうか?
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