【在留外国人アンケート調査】母国と日本で就職活動のちがいはある? 転職で移住を考える条件は?
令和5年の平均有効求人倍率は1.31倍を記録し(※厚生労働省データ参照)、各業界で人手不足がさらに深刻化しています。慢性的な人手不足や、海外からの訪日客が増えることによる多言語化対応の必要が増え、いま外国人採用を始める企業が増えています。
在留外国人の方々はいい条件でさえあれば、いま住んでいる場所から県をまたいでの転職を検討する方も多いです。
今回のアンケートでは、「日本の就職活動に対しての基本的な質問」と、「どのくらいの条件なら移住をするか」ということ、また企業さまにとって気になる質問である「永住権を持っていても母国に帰る可能性はあるのか?」などについて質問をしています。
◆今回のアンケート回答者
回答者数:120名
男女比:5:5
在留資格:身分系(永住者・定住者・配偶者等の長期滞在者)56%、留学生29%、etc 15%
目次
日本の就職活動に対しての基本的な質問
Q1 : 母国と日本の就職活動で気になったちがいは?
「選考フロー」をあげた方がもっとも多く、全体の40.8%でした。
つづいて質問内容が26.4%、履歴書が19%という結果でした。
「選考フロー」は国によって異なります。アメリカを始めとした「ジョブ型」採用がおもな国では、ポジションに空きが出た際に求人を出し、それに見合うスキルをもった方を採用する方法が一般的です。
一方で日本の採用では、ポジションやスキルよりも人柄や社風とのマッチ度を重視する企業が多い傾向があります。そもそも採用プロセス自体に母国との差を感じた方が多いことから、他国と比較して日本の採用方法が特徴的であると言えるかもしれません。
Q2 : 就職活動でもっとも苦労したことは?
62.8%と過半数を超えるかたちで「日本語」が選ばれました。非ネイティブの言語を使った就職活動が難しいことは容易に想像ができます。しかし今回の調査で改めて、日本語での面接や履歴書作成が海外の方々にとって困難であることがわかりました。外国人採用を行うにあたり、選考フロー全般で柔軟な言語対応ができれば、外国人から選ばれる企業になることができそうです。
日本語の次に苦労した点として挙げられたのは「求人探し」です。苦労する理由として、条件に見合った給与・勤務地・仕事内容の求人を探す難しさに加え、「自身の日本語レベルに合った職を探す」という難しさがあります。
今回の調査に参加していただいた120名のうち、日本語が会話レベルの方は55%、ビジネスレベルと回答された方はわずか10%でした。
仕事によって求められる日本語レベルは異なります。外国人採用における求人では、求められる日本語レベルの記載も重要です。
Q3 : 就職活動でもっとも重要視していることは?
いちばん多くの票を得たのは「給与」で32.8%でした。それに続いて勤務地と職場環境(人や雰囲気)など、回答はバラけた印象です。
日本の就職市場と比較すると?
株式会社電通が行った就職活動に関する意識調査「Z世代就活生まるわかり調査2024」によると、エントリーする企業選びで重視するポイントの1位に「給料がいい」(46.7%)が選ばれました。今回の在留外国人の方々に向けた調査の回答と同じ「給与」が一位という結果となり、この質問における回答では違いは見られませんでした。
どのくらいの条件なら移住を検討する?
Q4 :いまの勤務地を選んだ理由は?
勤務地を選んだ理由として「住所が近いから」が69票でした。次に「住みやすい」「給与がいい」「知り合いがいる」がそれぞれ約25票程度でつづきました。
Q5: 現在の職場で働き始めるときに、県をまたぐ引っ越しはした?
いいえが77%ですが、23%の方は引っ越しをしていました。4人に1人が引っ越していると考えると、日本人の採用よりも活発に県を超えて仕事を探していると言えるのではないでしょうか。
Q6 : もし現在より給与が高くなったら、地方へ移住を検討しますか?
前の質問からの流れですと意外ですが、今後「給与が高ければ地方への移住も検討する」という方が過半数を越える63%でした。
Q7 : どのくらいの月給アップで移住を検討する?
移住を検討する給与増額の条件として、現在の月給より+5万がもっとも多い30.4%、+10万が21.3%、+10万以上が26.3%という結果となりました。
1万円〜3万円の給与アップでも、20%は移住を検討するのは比較的高い数値といえそうです。
永住権を持っていても、母国に帰る可能性はある?
「永住権を持っている場合、母国に帰る可能性があるか」という質問に対し、「帰る予定がない」と回答した方が過半数の58%となりました。
帰る予定がないと回答された方のうち、最も票を集めたのは「日本の方が住みやすいから」で79票、つづいて、「家族が日本にいるから」が29票、「日本の方が稼ぎがいいから」が27票という結果となりました。
多様な要因から、日本で長く働いて生活したいと考える外国人就業者が多いことがわかり、外国人採用におけるひとつの偏見でもある「採用しても、すぐやめて帰国してしまうのではないか」というイメージを、今回のアンケートでは裏切る結果となりました。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると以下のようになります。
・外国人就業者が仕事を探す段階でもっとも困るのは言語の問題
・仕事を新たに決めた外国人の、4人に1人が県をまたぐ引っ越しをしている
・1~3万円の給与アップでも、20%の人が県をまたぐ引っ越しを検討
・永住権を持っている方の6割は、母国に帰る可能性はないと回答
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