近年、深刻な人手不足を背景に、外国人採用を検討する企業が急増しています。
しかし、外国人採用には、日本人採用にはない「入管法」などの法的規制があり、知らなかったでは済まされない重い罰則(不法就労助長罪など)も存在します。

本記事では、行政書士の視点から、外国人採用において企業が必ず押さえておくべき15の注意点を、「法的確認」「採用・選考」「待遇・契約」「入社後・手続き」のカテゴリ別に解説します。

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外国人採用で必ず確認すべき15の注意点【行政書士監修】

まずは全体像を把握しましょう。以下の15項目は、法令遵守と円滑な運用のために不可欠な要素です。

カテゴリ注意点
法的確認①在留資格とビザの違い
②在留資格の確認
③在留期限
④業務範囲
⑤単純労働禁止
採用・選考⑥日本語レベル
⑦差別禁止
⑧紹介会社の選定
待遇・契約⑨給与設定
⑩社会保険・税金
⑪労働条件の相互確認
入社後・手続き⑫教育環境
⑬日本人社員の理解
⑭ハローワークへの届出
⑮罰則リスクの認識

【法的確認】不法就労を防ぐ基礎知識

① 在留資格とビザは別物として理解する

在留資格とビザはちがうものです。

  • 在留資格:外国人が日本に滞在するために必要な資格。法務省が認定します。
  • ビザ(査証):外国人が日本に入国するための許可証。外務省が発行します。

具体的には、外国人が日本に入国する際、まず外務省からビザをもらい、それを持って来日します。そこで入国審査を受け、問題がなければ法務省から在留資格が与えられます。
ビザをもらっても、必ず在留資格がもらえるわけではありません。この違いはしっかり理解しましょう。

また「就労ビザ」という言葉を耳にすることがありますが、これは俗称です。正式には「働くための在留資格」であり、混同しないよう注意が必要です。

② 在留カードを用いて在留資格を確認する

引用:出入国管理庁ホームページ

外国人を採用する前に、在留カードを用いて在留資格を確認する必要があります。

  • 在留カードの確認:偽造カードではないかどうかを確認します。コピーの場合は偽造の可能性があるため、在留カードは実物を確認するようにしましょう。目で見るだけでなく、アプリを使って確認する方法もあります。
  • 在留資格の確認:在留カードには「在留資格名」と「就労制限の有無」が書かれています。ここで、応募者が希望する仕事ができるかどうかを確認します。

カードの表面に「就労不可」と書かれていても、裏面に「資格外活動許可」という記載があれば、一定の制限内で働けます。
在留資格は、車の運転免許のように、法務省が与える許可の一種です。許可された範囲を超えて働くと違法になるため、注意深く確認することが大切です。

参考:法務省 在留カード等読取アプリケーション サポートページ

③ 在留期限とカードの有効期限を確認する

外国人を雇うときは、在留期限を確認することがとても大切です。
在留期限が切れた外国人を雇うと、雇用主には「3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」が科せられる可能性があります。

「在留期限」と「在留カードの有効期限」の違いも覚えておきましょう。

  • 在留期限:外国人が日本に滞在するための資格の有効期間です。この期限を過ぎると不法滞在者(オーバーステイ)となり、犯罪とみなされます。
  • 在留カードの有効期限:身分証明書としての有効期限です。更新を忘れると罰則があります。

基本的には上記2つは同じ日になることがおおいですが、どちらも期限内に更新されているかを確認し、不法就労を防ぎましょう。

④ 在留資格の範囲内での業務しか行わせない

外国人が働ける仕事は、その人の在留資格によって決まります。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を持っている人は、専門的な仕事しかできません。単純作業や、はじめての分野の仕事には就けないのです。

採用する前に、その外国人の在留資格が予定しているポジションに合っているか確認しましょう。
もし合わなければ、在留資格を変更する必要があります。適切な人なら、企業が「在留資格認定証明書」を代理で申請することも可能です。

⑤ 基本的に「単純労働」は禁止されている

外国人が日本で働く場合、基本的に単純労働は禁止されています。たとえば、コンビニやスーパーのレジ打ちのような仕事は、ほとんどの在留資格ではできません。
この理由は、日本の治安への影響や、日本で働く人の仕事を奪う可能性があるからです。

  • 例外:「留学」や「家族滞在」の人は、「資格外活動の許可」を受けることで、週28時間まで単純労働が可能です(風俗営業店などは不可)
  • 身分系資格:「永住者」や「日本人の配偶者等」などは就労に制限がないため、単純労働も可能です。

【採用・選考】適切な見極めとルール

⑥ 日本語レベルを実務視点で確認する

日本語レベルの目安イラスト

外国人を雇うときは、日本語がどのくらい話せるかを確認することが大切です。
日本語が上手でも、仕事ができるとは限りません。過去の経験を日本語で具体的に聞き、仕事で力を発揮できそうかを見ていきましょう。

日本語能力は、日本語能力試験(JLPT)で確認できます。
N1が一番高く、ビジネスの場ではN1かN2が必要です。N3は日常会話が理解でき、N4は簡単な話題を読めるレベルです。工場などでは、N3やN4でも働けることがあります。

日本語が上手だと、在留資格も取得しやすくなります。採用時にしっかり確認しておくと安心です。

参考:日本語能力試験(JLPT)

⑦ 人種・国籍などによる差別の禁止

外国人を採用する際、人種や国籍などによる差別は法律で禁止されています。求人募集に「〇〇人歓迎」などと書くのも避けるべきです。

「国籍不問」を伝えたい場合は、「外国人の方も働いている」「留学生・就学生歓迎」といった表現に置き換えましょう。
国籍ではなく、応募者の能力や経験を見て判断することが大切です。

⑧ 信頼できる人材紹介会社をえらぶ

人材紹介会社によって、質やサポート内容は異なります。必ず「有料職業紹介事業」の許可を持つ会社を選びましょう。

派遣サービスを使う場合は、社会保険の未加入などの違法行為がないか確認が必要です。
一部の会社が「問題ない」と言っても、雇用主は「知らなかった」では済まされません。適法に雇用できるか、自社でも確認しましょう。

参考:厚生労働省 職業紹介事業制度の概要

\外国人採用サービス【ガイダブルジョブス(Guidable株式会社)】は有料職業紹介事業です!/

ガイダブルジョブスLP

【待遇・契約】日本人と同等の条件提示

⑨ 給与は日本人と同じ設定にする

外国人を安く雇うことはできず、労働基準法や最低賃金法が適用されます。教育が大変だからと賃金を安くするのは間違いです。

同じ仕事をしていれば、正社員・非正規に関わらず同じ賃金を受け取る権利があります。残業代や地域別の最低賃金など、ルールをしっかり守って雇用しましょう。

参考:厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ

⑩ 社会保険や税金の適用を徹底する

外国人も日本人と同様に社会保険や税金が適用されます。
正社員や、アルバイトでも一定の条件を満たす場合は、社会保険への加入は法律にもとづく義務です。本人の希望に関わらず、加入させないと雇用主が罰則を受ける可能性があります。

  • 対象:健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険
  • 税金:所得税や住民税も日本人と同様に適用されます。

参考:法務省 税金

参考:日本年金機構 外国人従業員を雇用したときの手続き

⑪ 労働条件を理解しているか書面で十分に確認する

口頭説明は誤解が生じやすく、トラブルの原因になります。
外国人労働者の雇用では「労働条件通知書」よりも、双方が同意した証拠が残る「雇用契約書」を作成するのが望ましいです。

日本人には当たり前のことでも外国人には違う場合があります。しっかりと契約書に明記し、納得してもらうことでトラブルを防ぎましょう。

【入社後・手続き】定着支援と義務的届出

⑫ 教育環境を整え、孤立を防ぐ

マニュアルを渡すだけでなく、教育担当者による積極的なコミュニケーションや、上司による定期的な面談を行いましょう。
指示の誤解を防ぐための日本語教育や、機械などを扱う際の「安全衛生教育」は、労働災害を防ぐために必須です。

⑬ 日本人労働者にも異文化を理解してもらう

お互いの文化や価値観を理解することが大切です。たとえば宗教上の理由による食事制限、お祈り、断食(ラマダン)などへの配慮を怠ることはハラスメントにあたります。

日本のチームワークと海外の個人主義の違いを知ることで、互いに働きやすい職場環境が作れるでしょう。

⑭ 採用・離職時の正しい届け出(ハローワーク)

外国人を雇う・離職させる際は、ハローワークへ「外国人雇用状況届出書」を提出することが義務付けられています。

  • 対象:日本国籍を持たない人(特別永住者、外交・公用は除く)。
  • 確認事項:在留資格、仕事内容、在留期間など。
  • 注意:在留資格の変更等は、入社前に済ませておかないと働くことができません。

⑮ 違法な雇用による罰則(不法就労助長罪)を認識する

「不法就労助長罪」にはとくに注意が必要です。観光ビザでの就労や、オーバーステイ、働く許可(就労ビザ等)がない人の雇用は違法です。
「知らなかった」では済まされず、企業に懲役や罰金が科せられます。

不安な場合は、必ず在留カードを確認し、専門家に相談して適法に雇用しましょう。

【実践編】外国人採用の実務フローと運用のポイント

採用成功に向けて進む社員の画像

ここからは、前述した「15の注意点」を、採用活動のどのタイミングで確認すべきか、実務フローに沿って整理します。
この流れに沿って進めることで、法令違反やミスマッチのリスクを最小限に抑えられます。

フェーズ1:採用計画・募集

自社の業務が法的に可能かを確認し、適切な募集条件を固める「土台作り」の段階です。

業務内容の適合性を判断する

募集する具体的な仕事内容が、入管法の定める「業務範囲(④)」に適合するか、また「単純労働(⑤)」とみなされないかを事前に確認しましょう。
とくに「技術・人文知識・国際業務」などの専門資格は、実務内容とのミスマッチがあると不許可リスクが高まるため、行政書士などの専門家への事前相談が推奨されます。

日本人と同等以上の待遇で求人票を作成する

「給与設定(⑨)」は日本人社員と同等以上に設定し、最低賃金法や「社会保険・税金(⑩)」の適用を前提とした条件を明文化します。
募集文言では国籍を特定せず、能力や適性に基づいた「差別禁止(⑦)」を遵守した表現を徹底し、必要に応じて多言語対応や「やさしい日本語」での情報発信を検討しましょう。

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信頼できる採用パートナーを選定する

自社で直接応募を集めることが難しい場合は、厚生労働省の許可を受けた「人材紹介会社(⑧)」を活用します。

一部の悪質なブローカーを介した採用は、後に不法就労助長罪などの法的トラブルに発展する恐れがあります。
紹介実績や入管法への理解度、サポート体制の有無を基準に、慎重に選定することが重要です。

フェーズ2:選考・面接段階

履歴書や面談を通じて、応募者の適性と「働く意志・権利」をスクリーニングする段階です。

履歴書などで在留資格の自己申告内容を確認する

履歴書に記載された「在留資格(②)」の種類や「在留期限(③)」を確認し、現在の資格で自社の業務が可能か、本人の申告にもとづき判断します。
面接での口頭確認も通じて、採用後に手続き上の齟齬が出ないよう、スクリーニングを行いましょう。

実務を想定した日本語レベルを直接確認する

JLPT(日本語能力試験)の級数だけでなく、実際の業務で必要となる対話力を、面接を通じて直接「日本語レベル(⑥)」として判定しましょう。

日本語が堪能な場合でも、仕事上の専門用語や社内の独自ルールへの理解度を測るための質問を用意し、採用後の「指示が伝わらない」といったトラブルを未然に防ぐことが大切です。

フェーズ3:採用決定・入社手続き

採用決定後にいま一度確認を行い、法的な雇用契約を締結する段階です。

在留カード原本の提示を受け、在留資格を再確認

採用決定のタイミングで、在留カード原本の提示を求め「在留資格(②)」「在留期限(③)」が申告通りであるかを必ず確認します。
原本の目視確認に加え、アプリ等による偽造チェックを確実に行い、雇用主としての確認義務を果たしてください。これにより、意図せぬ不法就労の助長を未然に防止できます。

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雇用契約書の締結と労働条件の相互確認

書面で「労働条件の相互確認(⑪)」を行い、日本語の理解度に応じて翻訳版などを併記して署名・捺印を交わします。

あわせてこの段階で、入社後10日以内に必要となる「ハローワークへの届出(⑭)」に必要な情報の収集と、現在の資格で就労できない場合の「在留資格変更許可申請」の準備を進めましょう。

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フェーズ4:入社後・就労中のフォロー

多文化共生の環境を整え、長期的な定着と戦力化をサポートする段階です。

教育環境を整え、日本人社員の理解を深める

マニュアルの図解化など「教育環境(⑫)」を整備すると同時に、現場の「日本人社員の理解(⑬)」を促すための研修を実施しましょう。

宗教上の配慮(礼拝や食事制限)や文化の違いを互いに認め合える職場環境を作ることで、孤立による早期離職を防ぎ、チームとしての生産性を高めることが可能になります。

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罰則リスクを意識し、期限管理を継続する

一度採用して終わりではなく、常に「罰則リスク(⑮)」を意識した運用が求められます。

とくに在留期限の更新忘れは、悪意がなくとも「不法就労助長」とみなされる非常に危険なミスです。
期限の3か月前から更新準備を促すなど、管理のルーチン化を徹底し、企業の社会的信用を守りましょう。

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2026年最新! 制度改正にともなう注意点(育成就労制度など)

外国人採用をとりまく法制度は、2026年から2027年にかけて「技能実習制度」の廃止と「育成就労制度」の導入という大きな転換期を迎えます。
最新の動向を正しく把握し、将来を見据えた採用戦略を考えましょう。

「特定技能」への円滑なステップアップと長期雇用

育成就労で3年間のキャリアを積んだ人材は、試験などを経て「特定技能1号」へスムーズに移行できるようになります。
これにより、自社で育成した人材を中長期的に雇用し続けることが可能となります。人手不足解消に向けたキャリアパスの設計が、優秀な人材をつなぎ止めるポイントです。

2026年以降の在留管理におけるデジタル化と厳格化

在留カードのデジタル確認アプリの普及や行政手続きのオンライン化が進み、企業の「確認不足」が見過ごされにくい環境になっています。
不法就労助長罪のリスクを避けるためにも、最新のチェックツールや行政書士などの専門知識を活用し、常に最新の法令にもとづいた対応を心がけましょう。

【最新情報】新制度「育成就労」について|技能実習制度との違い、何が変わるのか、今後の動きを詳しく解説

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さいごに

外国人採用は、労働力不足の解消だけでなく、社内の活性化や多様な視点の導入といったメリットをもたらします。
一方で、日本人採用にはない、法的ルールや文化的な配慮が必要になる点も事実です。

本記事で紹介した「15の注意点」と「採用フェーズ別の実務フロー」は、判断に迷ったときの指針として活用できます。法令を守ったうえで、無理のない運用を積み重ねていくことが重要です。
もし手続きや判断に不安がある場合は、早めに行政書士や専門の紹介機関へ相談し、確実な一歩を踏み出すことをおすすめします。

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