特定技能の外国人を雇用する企業には、「特定技能評価試験」が彼らのスキルを確認するためにとても大切です。
この記事では、各産業ごとの試験内容をわかりやすくご紹介します。

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特定技能試験は、大きく分けて2種類!

特定技能試験に合格した笑顔の外国人の画像

特定技能試験とは、在留資格「特定技能」を取得して日本で働きたい外国人が受ける試験のことです。
特定技能という在留資格は、人手不足の産業で外国人を採用するために作られた制度で、即戦力として働ける外国人が取得の対象者です。

この試験に合格することが、即戦力として活躍できる知識・技術を持っていることの証明になります。
そのため、特定技能を取得するための条件として「特定技能試験の合格」が必須になっています。

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特定技能試験の内容

特定技能試験の内容2種類の画像
特定技能試験の試験内容は2つあります。

1つ目は、日本で働くために必要な「日本語の力をはかる試験」です。
特定技能に必要な日本語力は、「基本的な日本語が理解できること」とされています。これは「日本語能力試験(JLPT)のN4レベル」か「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)」に合格することで証明されます。

また、介護の仕事をする場合は、「介護日本語評価試験」に合格することが必要です。この試験は、介護の仕事に必要な最低限の日本語を評価するものです。

2つ目は、それぞれの仕事に必要な知識や技術を確認する「技能をはかる試験」です。これは職種ごとの業界団体が行う「技能測定試験」で判定されます。

つまり、在留資格「特定技能」を取得するためには、日本語試験と技能試験の両方に合格しなければならないということです。

特定技能試験の対象者

特定技能試験は、日本の在留資格を持っている外国人なら、誰でも受けることができます。「短期滞在」の在留資格を持って日本で生活している人も、試験を受けられます。

また、在留資格「技能実習2号」を終えて「特定技能」に変更する外国人は、基本的に技能試験と日本語試験が免除されます。
これは、技能実習中に必要な技術や日本語の力を身につけたと考えられるからです。

「日本語能力」を測る特定技能試験の内容は?

ここからは、1つ目の特定技能試験である、日本語の力をはかるための3種類の試験について説明していきます。

日本語能力試験(JLPT)

日本語能力試験のロゴ

引用:日本語能力試験

日本語能力試験は、外国人に最も知られている日本語の試験です。
この試験には、N1(難しい)からN5(易しい)までの5つのレベルがあります。特定技能試験では、N4以上のレベルに合格することが条件になっています。

試験の内容は「聴解(聞き取り)」「読解(読む力)」「文法(文の作り方)」「語彙(言葉の知識)」の4つのセクションで構成されています。
これにより、日常会話や簡単な文章を理解する力や、文法の知識を測ります。

合格点は毎年変わりますが、だいたい60%くらいの正しい答えが目安です。
問題がわかりやすく、海外でも受験できるため、比較的身近な試験となっています。

日本語能力試験(JLPT)について解説! 日本語検定の受験要件、難易度(N3・N4 etc)、受けるメリットや目的は?

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)

国際交流基金日本語基礎テストのロゴ

引用:国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テストは、JLPTよりも実用的な日本語力を評価する試験です。

試験にはレベル分けがなく、「文字と語彙」「会話と表現」「聴解(聞き取り)」「読解(読む力)」の4つのセクションで構成されています。

合格点は250点満点中200点以上で、この点数がJLPTのN4レベルに相当します。
会話表現などの実用的な日本語を測るため、日常会話や実際の生活シーンで役立つスキルを確認できる試験となっています。

介護日本語評価試験

介護日本語評価試験は、介護の現場で必要な日本語能力を測る試験です。
この試験は、特定技能ビザの「介護分野」を取得するための要件の一つに設定されているので、介護業界で働きたい外国人は合格する必要があります。

試験は「介護のことば」「介護の会話・声かけ」「介護の文書」の3つのセクションで構成されています。
これにより、介護現場でのコミュニケーション能力や介護記録の読み書き能力が評価されます。

合格点は、だいたい60%の正しい答えが目安です。
この試験は、介護職という専門的な分野で働く際に、現場で役立つ実践的な日本語能力を確認するためのものです。

参考:介護日本語評価試験

「技能」を測る特定技能試験の内容は?

特定産業分野12種類の一覧画像

ここからは、特定産業分野に指定されている12の分野について説明します。
それぞれの技能試験を、1号と2号に分けて紹介します。

参考:出入国在留管理庁 特定技能制度の試験関係

1. 「介護」分野の技能試験

特定技能1号評価試験
課題① 筆記試験介護の基礎知識、身体の構造や機能、精神的なケアなどについて
課題② 実技試験移乗や食事などでの正しい介助方法を、画像やイラストを見て判断する
問題数① 40問
② 5問
合格点①と②の合計で満点の60%以上

介護分野の技能試験では、1号試験で介護の基本や、実際の現場での正しいお世話の仕方についての知識が出題されます。
また、介護分野では、1号試験を終えると「介護」という新しい在留資格に移るため、他の分野とは違って「特定技能2号」という制度はありません。

参考:介護技能評価試験

2. 「ビルクリーニング」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験清掃用具の種類や用途、清掃方法などについて1号の知識に加え、品質管理や人材育成などについて
課題② 実技試験・床面の定期清掃作業
・ガラス面の定期洗浄作業
・洋式大便器の日常清掃作業
現場責任者としての清掃作業や、人材管理の方法を、画像やイラストを見て判断する
問題数① 17問
② 3課題
① 50問
② 10問
合格点① 満点の60%以上
② 満点の60%以上
① 満点の65%以上
② 満点の65%以上

 

ビルクリーニング分野の技能試験では、1号試験で現場での清掃作業に関する基本的な知識が問われ、実際に作業を行って技術を確認します。
2号試験では、より高い知識や責任者としての管理能力も試されます。

参考:ビルクリーニング分野特定技能1号・2号評価試験

3. 「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験原材料や安全衛生、作業方法などについてビジネス・キャリア検定3級 を受験する
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する原材料や模型、写真などを見て正しく判別・判断する
問題数① 30問
② 10問
① 40問
② 20問
合格点① 満点の65%以上
② 満点の60%以上
① 資格取得
② 満点の60%以上

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の技能試験では、「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」など、選ぶ科目(職種)によって内容が異なります。

1号試験では、おもに原材料や安全な作業についての基本的な知識が問われます。
2号試験では、実際の仕事で必要なより詳しい知識が問われ、ビジネス・キャリア検定(生産管理プランニングまたは生産管理オペレーション)も受ける必要があります。

参考:製造分野特定技能1号評価試験製造分野特定技能2号評価試験

4. 「建設」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験日本の建設現場で使われる用語や業務内容、関連する法律などについて1号の知識に加え、マネジメント業務などについて
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する
問題数① 30問
② 20問
① 40問
② 25問
合格点① 満点の65%以上
② 満点の65%以上
① 満点の75%以上
② 満点の75%以上

建設分野の技能試験では、「土木」「建築」「ライフライン・設備」など、選ぶ科目(職種)によって内容が異なります

1号試験では、工具の名前や機械の使い方、日本の建設現場での安全管理などについての基本的な知識と技術が問われます。
2号試験では、より進んだ技術や現場の管理能力が必要とされます。

参考:建設分野特定技能の評価試験情報と申込み

5. 「造船・舶用工業」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験作業中の安全に関する知識、材料や工具の使い方、関連する法律などについて1号の知識に加え、生産計画の立て方や品質・工程管理について
課題② 実技試験業務で使う機械の操作や組立作業、塗装作業、それらの検査など手溶接・半自動溶接、またはTIG溶接
問題数① 30問
② 選択科目により異なる
① 30問
② 選択科目により異なる
合格点① 満点の60%以上
② 仕上がりに欠陥がない
① 満点の60%以上
② 仕上がりに欠陥がない

 

造船・舶用工業分野の技能試験では、「溶接」「塗装」「機械加工」など、選ぶ科目(職種)によって内容が違います。

1号試験では、安全についての知識や材料・工具の使い方など、基本的な内容や技術が問われます。
2号試験では、より進んだ技術に加えて、生産計画や品質管理についての知識が必要です。

参考:造船・舶用工業分野特定技能試験

6. 「自動車整備」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験構造や機能、修理の方法、関連する法律などについて1号の知識に加え、完成検査や保安基準などについて
課題② 実技試験簡単な分解、組立て、修理など点検、分解、一般的な修理や完成検査など
問題数① 30問
② 3課題
① 40問
② 3課題
合格点① 満点の65%以上
② 満点の60%以上
① 満点の60%以上
② 満点の60%以上

自動車整備分野の技能試験では、1号試験で自動車の基本的な構造や機能についての知識と、図を用いた簡単な作業が評価されます。
2号試験では、完成検査や安全基準など、より難しい知識が必要になります。

参考:自動車整備分野特定技能評価試験

7. 「航空」分野の技能試験

特定技能1号評価試験
課題① 筆記試験航空機についての基礎知識や、貨物・手荷物のハンドリング、誘導作業などについて
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する
問題数① 30問
② 選択科目により異なる
合格点① 満点の65%以上
② 満点の65%以上

航空分野の技能試験では、「空港グランドハンドリング」「航空機整備」など、選ぶ科目(職種)によって内容が違います。

1号試験では、航空機の整備や空港での地上業務についての基本的な知識が試されます。
また、航空分野は比較的新しい分野なので、2号試験はまだ行われていません。

参考:日本航空技術協会(JAEA)

8. 「宿泊」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験フロント業務や接客業務の基礎的な知識、業務中の身だしなみ、言葉遣いやマナーについて1号の知識に加え、管理・マネジメント業務について
課題② 実技試験基本的な仕事に関する質問を、日本語で口頭で答える一般的な仕事に関する質問を、日本語で口頭で答える
問題数① 30問
② 6問
① 50問
② 20問
合格点① 満点の65%以上
② 満点の65%以上
① 満点の65%以上
② 満点の65%以上

 

宿泊分野の技能試験では、1号試験でフロントやレストランスタッフとしての基本的な知識や、日本のマナーや立ち振る舞いが必要です。
2号試験では、より良い接客対応に加えて、マネジメントの知識も求められます。実技試験では、質問に口頭で答える形式ですが、笑顔などの表情も評価されます。

参考:宿泊分野特定技能1号評価試験宿泊分野特定技能2号評価試験

9. 「農業」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験品種や栽培環境、飼養管理、安全衛生などについて1号の知識に加え、管理・マネジメント業務について
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見たり、聴き取って正しく判断する筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する
問題数①と②合わせて70問程度①と②合わせて50問程度
合格点全国農業会議所が定める判定基準点全国農業会議所が定める判定基準点

農業分野の技能試験では、「耕種農業」「畜産農業」など、選ぶ科目(職種)によって内容が違います。

1号試験では、作物を育てたり動物を飼ったりするための基本的な知識や、安全と品質の管理についてが出題されます。
2号試験では、もっと詳しい知識や実技に加えて、管理や運営の知識も必要です。

参考:農業技能測定試験1号農業技能測定試験2号

10. 「漁業」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験漁業で必要な日本語能力や基礎知識、安全衛生について1号の知識に加え、漁業の専門的な知識、資源の管理について
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する
問題数① 40問
② 10問
① 45問
② 7問
合格点①と②の合計で満点の65%以上①と②の合計で満点の54%以上

漁業分野の技能試験は、「漁業」「養殖業」など、選ぶ科目(職種)によって内容が違います。

1号試験では漁業に関する基礎的な知識や日本語能力、安全衛生についてが問われます。
2号試験では、より詳細な知識に加え、漁業計画や漁獲量の管理についての知識も求められます。

参考:大日本水産会

11. 「飲食料品製造業」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験一般的な衛生管理、労働

安全衛生に係る知識

1号の知識に加え、生産・品質管理やマネジメント業務について
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する
問題数① 30問
② 10問
① 35問
② 15問
合格点①と②の合計で満点の65%以上①と②の合計で満点の65%以上

飲食料品製造業の技能試験では、1号試験で食品を作ったり加工したりするための基本的な知識や、安全に作業するためのルールが出題されます。
2号試験では、ほかの人たちを教えながら作業を進め、仕事の流れを管理する能力が必要です。

参考:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構

12. 「外食業」分野の技能試験

特定技能1号評価試験特定技能2号評価試験
課題① 筆記試験調理や接客に必要な知識や日本語能力について1号の知識に加え、マネジメント業務について
課題② 実技試験筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する筆記試験の内容を、画像やイラストを見て正しく判断する
問題数① 30問
② 15問
① 35問
② 15問
合格点①と②の合計で満点の65%以上①と②の合計で満点の65%以上

外食業の技能試験では、1号試験で外食業に関する基本的な知識や、お客様と接する時の日本語の使い方が出題されます。
2号試験では、ほかのスタッフを指導したり、お店の管理をするための能力が必要です。

参考:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構

さいごに

特定技能試験は、外国人が日本で働くために必要な技術や知識を確認する大事な試験です。分野ごとに内容や基準が違い、筆記試験や実技試験を通して、仕事で使える能力がチェックされます。

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