外国人雇用状況届出書とは? 外国人を雇用する事業主は提出必須!
外国人を雇用する場合、または雇用していた外国人が離職した際には「外国人雇用状況届出書」を提出しなければなりません。この提出は厚生労働省令で定められているもので、厚生労働大臣に届出を提出することが義務づけられています。
外国人雇用状況届出書を作成にあたり、必要な情報、方法、注意すべき点はあるのでしょうか? 今回はこのあたりに焦点を当てて解説したいと思います。
目次
外国人雇用状況届出書とは?
外国人雇用状況届出書とは、すべての事業主が「外国人を雇用する際」と「外国人が離職する際」に提出する書類です。
おもな目的は以下の2つです。
- 外国人労働者の雇用状況を把握し、雇用管理や雇用安定につなげること
- 不法就労の防止
厚生労働省は毎年10月末時点の、外国人雇用状況届出の集計結果を公表しています。
令和5年10月末時点の集計結果は、以下のとおりです。
外国人労働者数:2,048,675人(前年比225,950人増加、過去最高)
外国人を雇用する事業所数:318,775所(前年比19,985所増加、過去最高)
国籍別:1位 ベトナム(518,364人)、2位 中国(397,918人)、3位 フィリピン(226,846人)
このように、外国人労働者の数や職種、国籍などの情報を把握し、労働市場の分析や政策の立案に活用しています。またこの届出書があることで、不法就労の摘発にも役立っています。
参考:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)
外国人雇用状況届出の対象者
外国人雇用状況届出書は、日本で外国人を雇うすべての事業主が提出しなければなりません。
雇用形態には制限がなく、正社員、契約社員、アルバイトなど、どのような形態でも提出が必要です。留学生やワーキングホリデー中のアルバイトも対象です。
(※派遣社員の場合は、派遣元が届出をおこないます)
ただし「外交」「公用」の在留資格を持っている外国人、もしくは「特別永住者」を雇う場合にはこの書類を提出する必要はありません。
外国人雇用状況届出の内容
外国人雇用状況届出書は、外国人労働者が「雇用保険の被保険者となる場合」「被保険者とならない場合」で内容にちがいがあります。
外国人労働者が雇用保険の被保険者となる場合
雇用保険の被保険者となる外国人の場合は「雇用保険被保険者資格取得(喪失)届」が外国人雇用状況届出書の代わりになります。通常の内容にくわえて、以下の項目が必要です。
- 氏名(ローマ字)
- 在留カード番号
- 在留資格(特定技能の場合は分野も記載、特定活動の場合は活動類型も記入)
- 在留期間
- 国籍・地域
- 資格外活動許可の有無 ※雇用時のみ
- 住所 ※離職時のみ
雇用時には「雇用保険被保険者資格取得届」、離職時には「雇用保険被保険者資格喪失届」に、これらの内容を追加して届け出をします。
外国人労働者が雇用保険の被保険者とならない場合
雇用保険の被保険者とならない外国人の場合は「外国人雇用状況届出書」に以下の内容を記入します。
- 氏名(ローマ字)
- 在留資格(特定技能の場合は分野も記載、特定活動の場合は活動類型も記入)
- 在留期間
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 資格外活動許可の有無 ※雇用時のみ
- 在留カード番号
- 雇入れ(離職)年月日
- 外国人が就労する事業所の情報(名称・所在地・電話番号・雇用保険適用事業者番号)
- 本社の情報(就労する事業所が支店や店舗、工場などの場合)
外国人雇用状況届出書(様式第3号)は、雇用時も離職時も同じフォーマットを使用します。
届出事項の確認方法
外国人雇用状況届出書や、雇用保険被保険者資格取得(喪失)届は、外国人労働者の「在留カード」をみながら記入しましょう。
在留カードは日本に住む外国人に発行される身分証明書で、顔写真、氏名、住所、在留資格などが記載されています。
記載内容が正しいかどうか確認する責任は事業主にあります。まちがった情報を記入しないように注意しましょう。
また偽造カードではないかを確認することも、非常に重要です。
くわしくは、以下の記事を参考にしてください。
外国人雇用状況届出書はダウンロードできる?
外国人雇用状況届出書は、ハローワークの事務所で用紙を受け取れるほか、厚生労働省のサイトからダウンロードすることも可能です。
直接ハローワークで外国人雇用状況届出書を取得しにいく際には、ハローワークの職員に質問をして疑問点を解消できるため、初めて外国人人材を雇用するときにおすすめです。 また、webからフォーマットのファイルをダウンロードして届出書の記入をすることも可能なため、直接ハローワークに行かずに届出書を作成することもできます。
外国人雇用状況届出書の提出先と提出方法
外国人雇用状況届出書は「ハローワークに直接提出する」方法と、「オンラインで提出する」方法があります。
提出方法① ハローワークへ提出する
外国人雇用状況届出書や、雇用保険被保険者資格取得(喪失)届は、外国人労働者の勤務地を管轄するハローワークに届け出ます。
ハローワーク(公共職業安定所)は、届出をもとに雇用環境を改善するために、事業主にアドバイスや指導をおこなっています。
直接届け出ることで、外国人労働者が安心して働ける環境をつくれるようにサポートを受けられます。
方法② オンラインシステム(電子申請)で提出する
オンラインで外国人雇用状況届出書を提出するには、厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を使います。
利用にはIDとパスワードが必要です。このシステムはオンラインで完結し便利なため、多くの業者が利用しています。
以前に一度でもハローワークの窓口で届出をしたことがある事業者は、新規登録ボタンからIDを登録できません。
その場合は以前に届出を行ったハローワークに問い合わせましょう。ハローワークがオンライン提出に切りかえる手続きを教えてくれます。
提出期限
雇用保険被保険者となる外国人の場合、雇用保険被保険者資格取得(喪失)届の届出期限は以下のとおりです
- 雇用時:翌月10日まで
- 離職時:離職日から10日以内
雇用保険被保険者とならない外国人の場合、外国人雇用状況届出書の届出期限は雇入れ、離職ともに翌月末日までです。
外国人雇用状況提出書を出し忘れた場合
外国人雇用状況届出書は、外国人を雇用する際に必ず提出しなければならない書類です。しかしうっかり忘れてしまうこともあるかもしれません。
忘れた際の対処法:すぐにハローワークに問い合わせる
提出を忘れた場合は、すぐに管轄のハローワークに連絡しましょう。
ハローワークでは未提出の届出に関する手続きや、再提出期限の確認、罰則の有無などについて詳しく教えてくれます。早めに相談することで、適切な対応が可能になります。
そのままにすると罰則を受ける
提出を放置すると、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。雇用対策法では、外国人雇用状況届出書の提出を怠ると罰則が定められています。
罰金を科せられるだけでなく、企業のイメージダウンや行政処分を受けることもあります。
提出期限を過ぎた場合でも、速やかにハローワークに連絡して指示に従って手続きを進めましょう。
さいごに
外国人を雇い入れるとき、また離職するときに提出する必要のある書類、それが外国人雇用状況届出書です。その外国人が雇用保険の対象となるかどうかで、提出する書類や期限などが変わってきます。
提出の際は該当のフォーマットをよく確認するようにしましょう。
これらの届出は外国人を不当な労働環境から守るため、外国人の労働状況を把握するために利用されています。外国人を雇うときは提出を忘れないようにしましょう。